少しイレギュラーな時間ですが、どうしても今日投稿したかったので、久々の13時投稿です。ご了承ください。
今回は前回の続きですが、視点はナギちゃんではなくミカです。
まだ本編内の時間はちょっと進展ありませんが、次回には皆さん大好きあの『重大イベント』に入れそうです。お楽しみに。
体調も何とか無事に回復してきて、色々なミカのイラストを見ながらどうにかこうにか元気にやってます。
最近また冷え込んできたので、皆さんも体調にはお気をつけてお過ごしください。
そういえば、今日から本家では、またも『トリニティ』メインの音楽系イベントが始まりますね。しかもメインがマリー、サクラコ様、ミネ団長というね。
まだまだ先になるとは思いますが、このイベントも描写できたらいいなと思ってます。音楽系かつサクラコ様が参加するので、リンデも混ぜやすそうですしw
その頃には、ミネ団長との仲が縮まっていたらいいなぁ。
少し長い前書きになりましたが、改めて最新話です。
それではどうぞ!
〔はい、変わったよ。〕
ナギちゃんにお願いされて、リンデちゃんの代わりに画面に映ったのは、黒いスーツと白いインナーシャツを着て、セミロングの黒髪に少しパッチリした黒目、それと少し白めの肌で全体的に整った顔立ちをした、リンデちゃんよりもちょっとだけ身長が低そうな女の人だった。
ふ~ん、この人が『先生』か。何か、思ったよりも普通な人だね。リンデちゃんは、この人に何か思う所があるみたいだけど。う~ん、よく分かんないや。
「『先生』、初めまして。『トリニティ総合学園・ティーパーティー』所属、『フィリウス分派首長』の桐藤ナギサと申します。以後、お見知りおきを。」
おっと、ナギちゃんが姿勢を正して自己紹介してる。こういうのは最初が肝心だ、って、リンデちゃんも言ってたっけ? なら、ちゃんと覚えてもらえるように挨拶しとかなきゃね。
「ヤッホー、『先生』。私が」
「そして、こちらの少しやかましい生徒が、私とリンデさんの幼馴染で、同じく『ティーパーティー』所属、『パテル分派首長』の『聖園ミカ』さんです。」
と思ってたら、ナギちゃんになんか適当に流された挙げ句、サラッと幼馴染な事までバラされちゃった。思わずズッコケそうになったけど・・・。もしかしてナギちゃん、さっきの事根に持ってる? ナギちゃんの性格的にあり得そうだけど、人の自己紹介を邪魔して適当に済ませていい理由にはならなくない? ちょっと文句言わないと。
「ちょっと、ひどくないかなナギちゃん! 人の自己紹介を適当で済ませるなんてさぁ!」
「ミカさんは少し黙っててください。」
邪魔した事に文句を言ったら、軽く睨むことすらなくピシャリと黙ってと言われちゃった。やっぱり根に持ってるじゃん、と思って視線で念を送ってみると、ナギちゃんに一瞬だけギロッと睨まれちゃったから、これ以上は口出ししない事にした。またロールケーキ口に突っ込まれたくないしね。はいはい、黙ってますよ〜だ。
私が黙ったのを見たナギちゃんは、軽く息を吐き出すと、改めて『先生』の映る画面に顔を向けて話し始めた。
「さて『先生』、こうして話の場を設けさせてもらったのは、あなたに問いたい事があるからです。」
〔何が聞きたいの?〕
「聞く、ではありません。問いたいのです。あなたの『覚悟』を。」
〔『覚悟』?〕
「そう、『覚悟』です。私達の『宝』を託すに足る、その『覚悟』があるのかどうか。」
そう話すナギちゃんの目には、いつも私達と会議をする時よりも鋭い何かが宿っていた。何と言うか、「嘘は絶対に許さない」、みたいな感じって言えばいいのかな? さっきのリンデちゃんとの話でもここまでじゃなかったのに、今『先生』と相対してるナギちゃんの目は、そんな真剣さ全開の色を宿していた。
そんな雰囲気の中、ナギちゃんはさらに話を進めた。
「そこにいるヒフミさんは、私にとって、この『トリニティ』に属する生徒の中で、特に大事な存在です。そしてリンデさんは、私にとって、何よりミカさんにとって、無くてはならない存在です。それこそ、『太陽』のような。」
「っ、ナギちゃん・・・。」
ナギちゃんがリンデちゃんの事を、わざわざ私にとってなくてはならない存在と前置きした上で『太陽』のような、と言った事に、私は何だか胸の中が熱くなった。確かに、最近は割と皆の前でも遠慮なくリンデちゃんの事を「私の『お日様』」、って言う事もあったけど、まさかそれをわざわざ拾ってくれるとは思わなかったから。
私の呟きが聞こえたからか、ナギちゃんは一瞬だけこっちに優しげに微笑むと、すぐに表情を元に戻して続きを話し始めた。
「だから、本当はこんな危ない事からは、今すぐに手を引いてほしいと思っています。彼女達には本来、あるべき居場所が、帰るべき『日常』があります。それを、こんな事に巻き込まれたせいで悪意に晒されるなどという事は、あってはならないのです。」
〔ナギサ・・・。〕
〔ナギサ様・・・。〕
「ですが、今この時は、例え罪を犯すことになろうと、二人は我々の力に、そして貴女方の力になろうとしてくれています。その『覚悟』を、無碍にしたくはありません。」
『先生』にそう話しながら、普段滅多に握ったりする事のない綺麗な手を握りしめていくナギちゃん。画面越しにリンデちゃんやヒフミちゃんにも、ナギちゃんのそれが見えたのか、心配そうな声がかかってた。
ナギちゃんが拳を握りしめてるのは、たぶん自分の中の優しい部分を必死に押し留めてるんだと思う。優しいナギちゃんの事だもん。本当はリンデちゃんにもヒフミちゃんにも、こんな事をして欲しくないんだよね。分かるよ。
私だって、本当はリンデちゃんに危ない事をして欲しくないとは思ってる。でもそれと同じくらい、リンデちゃんなら何があっても大丈夫だって、私は信じてる。だから、それがリンデちゃんにとって本当に必要な事なら、私は背中を押してあげる事にしてる。だって、リンデちゃんには散々支えてもらってるもん。だったら私だって、リンデちゃんの力になりたいから。
ナギちゃんもきっと、そうやってリンデちゃんとヒフミちゃんの事を信じて上げたい気持ちもあるんだと思う。だから、その気持ちと相反する「危ない事はやめてほしい」っていう気持ちを今だけは抑えるために、ああやって慣れない握り拳を作って堪えてるんだって、私は感じた。
「ですから『先生』。あなたが、彼女達の思いに応えるに足る『覚悟』があるというのであれば。その全身全霊をもって、どうか私の、私達の大切な『宝』を・・・。あるべき『居場所』へ、帰るべき『日常』へ、無事に返すと約束してください。それが果たされるなら、それ以上に私達は、何も望みません。例えどのような対価を得られようと、それに勝る喜びはないのですから。」
ナギちゃんはそう言って、画面に映る『先生』をじっと見た。『先生』へと向けられるその顔は、普段してる優しそうな笑顔とは違う、真剣さの宿ったキリッとした表情をしていた。でも、さっき握りしめてた手にまだ力が入ってるから、私にはナギちゃんが、自分の中の気持ちが表に出ないようにあえてああいう表情をしてるようにも見えた。
こういうところは、本当ナギちゃんとリンデちゃんはよく似てると思う。自分の気持ちを我慢出来ちゃうところ。私はどうしても気持ちが表に出ちゃうから、リンデちゃんに手伝ってもらわないと自分の気持ちを我慢するのが苦手だ。だから正直、二人みたいなのは真似出来そうにないと思ってる。まあ、する気もないけどさ。
―――でも、私の事だと対照的な二人のこんな共通点が、この時だけは、何となく羨ましく感じていた。・・・何でだろうね?
と、それはともかく。
ナギちゃんにじっと見られた『先生』は、体感数秒くらいナギちゃんの方を見返すと、一度目を閉じて軽く息を吐きだした。そして目を開けると、その表情は『大人』らしい―――そして何処か私の『お日様』と似てる―――凛とした顔に少しの笑みを浮かべて、口を開いた。
〔うん、分かった。必ず無事に二人を、あなた達の大事な『宝』を返すよ。勿論、口だけじゃ信用してもらえないとは思う。それを信用してもらえるような対価を用意することも、今の私には出来ない。それでも、信じてもらえないかな?〕
最後の方には少し困った笑みになってたけど、『先生』はまっすぐに、画面越しのナギちゃんを見ながら答えた。その顔がほんの一瞬だけ、私の『お日様』と重なりそうになって―――、すぐに元に戻った。
何? 何でさっきからあの『大人』とリンデちゃんが被るの? 意味わかんない。何か、ムカつくなぁ。
でも、ナギちゃんは特に何の反応もしてないし・・・。もしかして、私だけ?
ん〜・・・。何かモヤモヤするけど、これで今ムカつくからって文句言っても、リンデちゃん達に迷惑をかけちゃうだけなのは分かる。とりあえず、一旦この事は忘れよう。幸い、リンデちゃんには見られてないから、心配とかはされないだろうし。
「・・・ナギちゃん。」
私は心の動揺が伝わらないよう願ってなんとか平静を装いながら、ナギちゃんに『先生』の言葉に対する返事を促した。
ナギちゃんは目を閉じて、じっと何かを考えてる。たぶん、『先生』の言葉に嘘はないかとか、信じるべきかどうかとか考えてるのかな? 私にはよく分かんないけど。でも、リンデちゃんとヒフミちゃんの『これから』がかかってるもんね。簡単には頷けないか。
―――体感の時間にして数分くらい。もっと短かったかもしれないけど、ナギちゃんは一呼吸いれると、目を開いて『先生』の方を見据えながら、重く閉じていた口を開いた。
「分かりました。その言葉、信じましょう。」
『先生』を信じる。
それが、色々考えた末にナギちゃんが出した結論だった。
ナギちゃんの事だから、たぶん色々と葛藤したんだと思う。でも、リンデちゃんとヒフミちゃんの気持ちに応えたい、っていうのが大きかったのかな。まあ、いくら幼馴染の親友でも、本当の所は分からないけど。
信じると言われた『先生』は、ナギちゃんにお礼を言おうとした。
〔っ、ありが〕
「ただし!」
すると、ナギちゃんがいつも私達に怒る時と同じかそれより少しだけ小さいくらいの声で割り込んでこう言い始めた。
「もし、もしこの件で何らかの悪意へ発展した場合、私は迷わず『連邦生徒会』と『シャーレ』に対して、その責任追及を行います。いいですね?」
それは、ナギちゃんなりに考えた最低限のボーダーライン。
この件でリンデちゃんやヒフミちゃん、他の『トリニティ』の娘達に悪意が及ぶなら、首長として黙ってないぞ、っていうもの。
まあ、確かに信じるとは言ったけど、それが本当に果たされるかはまた別の話。だから、このボーダーラインを超えるのなら、ナギちゃん、ひいては私達の『先生』に対する信頼はないものと思うこと、っていう警告でもあるのかな。
『先生』はナギちゃんの言葉に一瞬目を見開いたけど、すぐにまたさっきまでと同じ笑顔に戻って頷いた。
〔うん、分かった。それでナギサが、ミカが納得してくれるなら。私はその責任を果たすよ。〕
「よろしくお願いします。・・・願わくば、そのような事が起こらないことが、一番望ましいものです。」
〔そうだね。でも、必ずやり遂げてみせるよ。だって、『生徒』を守るのが『先生』の役目だから。〕
「・・・信じますよ、その言葉。」
笑顔のまま言い切った『先生』の言葉に、ナギちゃんはまた顔を半分隠すように手を前に組んでそう言った。ナギちゃん、珍しく今日はああやって肘ついてる気がする。よっぽど顔を見られたくないのかな?
「お時間を取らせてすみません、リンデさんに変わってください。」
〔うん、分かった。ちょっと待ってね。〕
そんな事を考えていると、ナギちゃんはもう『先生』と話すことが無くなったからか、リンデちゃんに変わるように言った。
『先生』もそれに頷くと、スマホから顔を離して後ろを向いてスマホを渡すと、画面にはいつもの笑顔を浮かべた私の『お日様』、リンデちゃんが映っていた。
・・・良かった、さっきの『先生』みたいに重なったりしなくて。ホント、何だったんだろうさっきの。
〔はい、お電話変わりました。〕
通話を変わったリンデちゃんは、いつもの笑顔でこちらに話しかけてきていた。それを見てると、さっき何となく感じてたイライラもだんだん落ち着いてきた気がして、我ながら本当に現金な性格してるな〜、と内心ひとりごちていた。
そんな私の内面なんて知らないナギちゃんは、リンデちゃんと後ろにいるヒフミちゃんに、今後の事を話していた。
「リンデさん、それとヒフミさん。くれぐれも、こんな無茶はこれで最初で最後にしてください。それと、『集金確認書類』を強奪後に情報を入手したら、すぐに『トリニティ』へ戻ってきてください。その後の話はその後いたします。いいですね?」
〔分かりました。〕
〔はい! ナギサ様。リンデさんと一緒に、無事に『カイザー』の情報を持ち帰りますね!〕
ナギちゃんの言葉にリンデちゃんは画面に映るよう小さく頷いて、ヒフミちゃんは今の見た目に似合わなそうな、元気強い返事を返した。何だか「ふんすっ!」って、気合いの入った顔をしてそうな気がしてちょっとおかしかったけど、クスッとか笑ったらナギちゃんに睨まれそうだなって思った私は、それをいつも通り笑う事で誤魔化して―――ふと、ある事を思いついてリンデちゃん達にこう言った。
「気をつけてね、二人とも。もし失敗して退学なんかになったら、私追っかけちゃうからね☆」
「ちょっとミカさん!? いきなり何を?!」
私が、リンデちゃんが『トリニティ』を辞める事になったら一緒に辞めると言うと、ナギちゃんがギョッとしてこっちを振り返ってきた。画面の向こうのリンデちゃん達も目を見開いて固まってるし。
ん〜、そんな驚くことかな? 普段の私を見てたら、割と分かりそうな気もするけど。まあ、リンデちゃんとナギちゃんは私の家の事も知ってるから、それも込みで驚いてるのかな?
そんな中、いち早く復帰したヒフミちゃんが少し笑いながら、リンデちゃんに失敗出来ないねと話しかけた。
〔アハハ、それは失敗出来ませんね。リンデさん?〕
〔ですね。ミカが私のせいで『トリニティ』を辞めたなんて、それこそ自死を選びたく〕
「そんなことしたら本気で追いかけるからね。」
〔っ、ミカ・・・。〕
ただ、その直後にリンデちゃんがちょっと許せないことを言い始めたから、思わず笑顔を引っ込めて被せるような形で私は怒った。急に怒った事にリンデちゃんは戸惑ってたけど、今のは私にとって許せそうになかった。
リンデちゃんが私を『太陽』で『月』で『一番星』で、替えのない唯一無二の『輝き』だって言ってくれるように、私にとってもリンデちゃんは唯一無二の『お日様』なんだ。その『お日様』がない世界なんて、私にとっては何の価値もない。そんな世界で生きるくらいなら、私は死ぬ事を選ぶのに躊躇いはない。
『トリニティ』を辞めるのだってそう。家から何か言われる、というか、間違いなく勘当されると思うけど、それでも私は構わない。『地位』や『名誉』、『家柄』なんかに私は一切興味ないし、それを捨てればリンデちゃんと一緒にいられるなら喜んでそうする。それでリンデちゃんに怒られたり泣かれたりしたとしても、それも含めて受け止めて、無理やりにでもついていく。そう決めてるから。って、これじゃリンデちゃんの事言えないなぁ。私も、大概『重い』のかな。
「だから、絶対無事に帰ってきて。じゃなきゃ、私の事も含めて責任、取ってもらうから。」
そんな、私の『重い』気持ちも込めた半ば脅迫に近い言葉を受けたリンデちゃんは、またいつものように悲しげに目を伏せた。それに対していつものように口を尖らせそうになったけど、リンデちゃんは一度目を閉じて深呼吸をすると、私の大好きな――さっきまであの『大人』に重なるように浮かんだ紛い物なんかじゃない本物の――優しい『お日様』のような『笑顔』を浮かべて、こう言ってくれた。
〔分かりました。必ずあなたの元へ帰ります。その、あなたの『お日様』として。〕
「っ、うん! 絶対だからね!」
リンデちゃんの言葉に嬉しくなって、大きく頷いて念押しした。それにリンデちゃんも頷き返してくれると、最後にナギちゃんと二言三言交わして通話が切れた。
「・・・ハァ〜、全くリンデさんはもう〜。勘弁してほしいです。」
通話が切れて数秒後。止めていた息を思いっきり吐き出すようにして、ナギちゃんが呆れの感情がいっぱい含まれてそうな声を上げた。まあ、今回はナギちゃんにしてみたら、だいぶストレスのかかる話だったよね。私は心配こそしたけど、それ以外は全面的に信頼してるからそうでもなかったし。
「アハハハハッ、流石に開幕『銀行強盗』するので許可をもらえますか、はビックリしたよね。」
「その後のあなたの発言もですけどね。」
「い、いやだな〜ナギちゃん。冗談だって言ったじゃん。」
「どうだか。」
ナギちゃんに笑いかけると、今度は私に呆れの矛先が向いた。リンデちゃんの提案の後言った事も、半分は本気だったことはナギちゃんにバレてたみたいでジト目で見返され、冷や汗を流しながら顔を背けて、私は慣れない口笛を吹いていた。
しばらくそのままナギちゃんからの視線を軽く受け流していた私だったけど、諦めたのかナギちゃんは視線を私から外して再度呆れのこもった溜め息をついて、母親のような事を言い始めた。
「全く。さっきの発言と言い、あなたはリンデさんが行く所なら本当に何処でもついて行ってしまいそうですよね、ミカさんは。私、心配です。」
普段だったら、何気ないいつもの小言と流すか、リンデちゃんが宥めてくれそうなナギちゃんの言葉。けど、さっきのリンデちゃんの許せない一言もあって少しだけ気持ちがささくれ立ってた私は、宥めるリンデちゃんもいなかったのもあって、ナギちゃんにイライラしながら言葉をぶつけた。
「ム〜、な〜んでナギちゃんに心配されなきゃ行けないの、そんな事でさ! 別にいいじゃんね。ふん!」
「ちょっと、何処行くんですかミカさん? ミカさん!」
言いたいことだけぶち撒けた私は、ナギちゃんの制止の声も無視して『フィリウス』の執務室を出た。正直、通話も終わっちゃったから残ってる理由もなかったから、私はそのまま、いつもの『パテル』の執務室へ、スタスタと戻すことにした。
でもその間、私の気持ちは晴れることはなかった。ナギちゃんに無茶苦茶言ったら少しはスッキリするかと思ったけど、寧ろ余計に気持ちを持て余してしまっていた。
「・・・私にとって、リンデちゃんのいる場所が私の居場所だもん。それだけは誰であろうと、例えナギちゃんであっても、絶対に否定はさせないから。」
―――だから、自分の中でナギちゃんに言った事を正当化させるように、私は拳を握りしめながらそう呟いた。すると、リンデちゃんの事を考えてたからか、何だかほんの少しだけ気持ちが落ち着いた気がした。
フフッ、やっぱりリンデちゃんは私の『お日様』だ。こうしてちょっと思い浮かべるだけで、私の気持ちは自然とリンデちゃんの事でいっぱいになっちゃう。他のことなんてどうでもよくなって、嫌なことなんて秒で忘れられる気がするんだ。これで更にリンデちゃん本人に抱きしめてもらえたら、『気がする』なんじゃなくて、本当に忘れられるんだけどさ。
よし、帰ってきたら思いっきり抱きしめてもらわなきゃ☆ 私は『パテル』の首長なんだし、リンデちゃんの『上司』? みたいなものなんだし。それぐらいはいいじゃんね?
と、そんなこんなでリンデちゃんの事を考えてたら、いつの間にか『パテル』の執務室前まで戻ってきていた。まだ仕事があると考えると少し憂鬱な気持ちになりそうだったけど、頑張ったらきっとリンデちゃんもいっぱい抱きしめてくれるはずと思い直して、執務室の扉を開いた。
(リンデちゃん。私、待ってるから。だから、無事に帰ってきてね。)
―――心の中でそっと、そう呟きながら。
▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽
「―――ふぅ~。」
ナギサ・ミカとの通話を終えて、一息つく。我ながら少々強引な部分はありましたが、何とか説得する事が出来たからか、私の胸の内には安堵が込み上げてきていました。それに後ろから聞いていましたが、『先生』の言葉もナギサを動かす一因になったはずですから、『先生』にも感謝を述べなければなりませんね。
・・・それにしても、最後のミカの言葉。私が『自死を選びたくなる』なんて言ったのが悪かったのですが、まさかあそこまで怒りを顕にするとは。あんなに怒ったミカは『原作』でも見たことない気がします。先日のミネとの言い争いの時と同じか、それ以上に怒っていたようにも感じましたし、今後はミカの前で気軽にああ言う物言いは避けた方が良さそうですね。反省しなければ。
「やりましたね、リンデさん!」
と、ミカの事を考えていると、説得が上手くいった事に喜ぶヒフミが嬉しそうに話しかけてきました。
そうでした。今はまだナギサの説得に成功しただけで、本命の『銀行強盗』に関してはまだ何も成せてません。それなのに、危うくミカの事で思考が囚われそうになるなんて、作戦を提案したものとしてあってはならない醜態です。切り替えなくては。
私はヒフミの声に振り返ると、笑顔を浮かべながら返事を返しつつ、近くにいた『先生』にもお礼を述べました。
「えぇ。これで作戦を実行に移せます。『先生』も、ご協力ありがとうございます。」
「ううん、気にしないで。」
「『アビドス』の皆さんもごめんなさい。ナギサ様は、決して悪いお方ではないんです。ただ少し友達思いで、『ティーパーティー』としてのお役目を立派に果たそうとしている、とても責任感の強いお方なんです。どうか、許してください。」
『先生』が気にしないでと首を横に振っている裏で、ヒフミが『対策委員会』のメンバーに頭を下げていました。確かに、先ほどの会話の中でいくつか、彼女達の神経を逆撫でしそうな言葉をナギサも放っていましたね。おそらく私達への心配ばかりでそこまで気を回す余裕がなかったのでしょうが、あれのせいで連携が取れなくなっては不味いですよね。
自主的とは言え、ヒフミに代わりに頭を下げさせてしまった事は少し申し訳ないと思っていたのですが、それに対する『対策委員会』のメンバーの反応は、思っていたよりも穏やかなものでした。
「ふふっ、ヒフミちゃん。謝らなくて大丈夫ですよ? 誰も怒ってませんから。ね?」
「ん。気にしてない。」
「だね〜。『ティーパーティー』の首長さん、って事は、そっちの生徒会長さんでしょ? ならしょうがないよ〜。」
〔はい。さっきの『先生』との会話で、どういう方なのかはよく伝わってきました。ナギサさんがリンデさんとヒフミさんの事をどれだけ大切に思っているか、というのもわかりましたから。〕
ノノミも、シロコも、ホシノも。ドローン越しのアヤネも。声音にも表情にも怒りのようなものは感じられず、ホシノやアヤネに至っては逆にこちらの事を慮る言葉を投げてきました。
「わ、私は」
「セリカ。」
「わ、分かってるわよ! もう怒ってないから。」
ただ一人、セリカだけは何か言いたそうにしていましたが、シロコが名前を呼ぶとちょっとプリプリして顔を背けながらも、怒ってないと言いました。
ん〜、まあ本当は色々と言いたいことがあるんでしょうけど、他の皆が許してるのに自分だけ怒ってるのも居心地が悪いのかもしれませんが、ああやって怒ってくれるメンバーが一人いるというのはいい事だと思います。それがかえって、チーム内の結束とバランスを保つ、いい刺激になりますから。
「皆さん・・・! ありがとうございます。」
『対策委員会』のメンバー全員の言葉に、お礼を言うヒフミ。
これで、作戦前に交わすべきやり取りは一通り済んだと判断した私は、作戦を立案した者として再度ヒフミの前に出て、口を開きました。
「さて、時間も結構押してます。ここからは電撃作戦です。いいですね?」
「はい!」
「おっけ〜おっけ〜。」
「はい、いきましょう☆」
「ん、いつでも行ける。」
「ふん、やってやろうじゃない!」
〔いつも通り、サポートは任せてください!〕
「私も。全力で皆をサポートするよ!」
ヒフミに『対策委員会』、そして『先生』。
全員が私の呼びかけに応えて力強く返事を返してくれました。モチベーションは十分高まっているようですね。これならば、余程のイレギュラーが起きない限りは―――、おっと、『フラグ』を立てる所でした。危ない危ない。この手の負の『フラグ』は、経験上一度立てると効力を発揮しやすいですからね。立てないに越したことはありません。
「では、参りましょうか。『ファウスト』、号令を。」
内心で立てそうになったフラグを立てる前にへし折っておいて、ヒフミ、もとい『ファウスト』に号令をお願いしました。
ここであえてヒフミを『ファウスト』と呼ぶ事には、勿論意味があります。ヒフミは常日頃から、自分は『普通』の生徒だと思っています。なので、言動なども『ペロロ様』さえ絡まなければ、そこから逸脱する事は殆どありません。―――言い換えれば、自分を型にはめてしまってるという事です。
ですから、私があえて『ファウスト』呼びをする事で、彼女の中の『普通』という枷を外し、『前世』でよく言われていた『ファウスト』と呼ばれる彼女のもう一つの側面を引き出しやすくする暗示になれば、と考えて、『ファウスト』と呼びました。
ヒフミは一瞬だけ緊張したように肩をビクンと跳ねさせましたが、すぐに軽く一呼吸入れると、普段の少しオドオドとした雰囲気を引っ込めて、内なる彼女を前に出した、堂々とした立ち振舞で号令をかけました。
「はい。『闇銀行』襲撃作戦、『オペレーション・レイジング』。作戦、開始です!」
今回ミカ視点にしたのは、久々にイチャつかせたり、『重い』ミカを描きたかったのもありますが、何より『エデン条約編』に入る前の『先生』に対する印象を描きたかったからです。
ただ、『先生』とリンデの笑顔がダブる描写は伏線、かもしれないし、そうじゃないかもしれません。
何となくで入れたものなので、お気になさらず。
ちなみにですが、筆者NTRは嫌いです。
ただ、『原作』と違うカップリング自体が生まれる事は全然ありだと思っています。脈絡もなく「お前の事が好きだったんだよ!」とか言い出すような急展開でなければ。
そこへ至る過程や下地が存在してこそのカップリングだと思ってますからね。この作品内でも、過去描写をたまに入れるようにしてるのはそういう事です。
いつか纏めて過去編みたいなのも描けたらいいんですけど、今は取り敢えず必要最低限の分だけ入れながら、本編を進めたいと思います。
また気が向いた際にアンケートを取るかもしれませんが、その時はご協力よろしくお願いします。
作戦名に関しては、色々と考えた末に『(身勝手な大人達に対する)怒り(Rage)』『(大人達の企みを)破壊する(rasing)』のダブルミーニングから『レイジング』という名前にしました。
一応、『(ヒフミを『ファウスト』として)育て上げる(raise)』もかかってはいますが、こっちはあんまり意識してないです。何故ならヒフミの内面はもう十分『ファウスト』出来るだけの力は持ってますからw
お気に入り登録者数490人、UA約46900突破ありがとうございます!
特にお気に入り登録者数は500人の大台が目の前に迫ってきててかなり喜んでいます。
書き始めた頃はここまで伸びると思っていなかったので、戦々恐々としながらも、これからも頑張っていきたいなとモチベが爆上がりしてます。
更新頻度は不定期だとは思いますが、これからも原作共々、この作品とリンデ達を応援してください!
さて、話は変わるのですが。
今なんか『メメントモリ』の方が色々とややこしい事になってますね。権利関係の事など難しい事はよく分かりませんが、せっかく2周年を迎えたばかりなのに、こんな事でサ終なんてならない事を祈るばかりです。
一方、前書きでも書きましたが、『ブルアカ』の方は今日19:00メンテ明けからアイドルイベントです!
勿論、筆者はガチャを引きにいきます。狙いは当然サクラコ様!以前にも言ったかもしれませんが、筆者通常サクラコ様を持ってません。なのでここで引いて、もうちょっとキャラが掴めるようになりたいと思ってます。吉報をお待ち下さい。
感想・評価、ここすき、誤字・脱字報告お待ちしてます。 いつも通り、返せる分は返信しますので、よろしくお願いします。
それではまた次回!
見たい話は?
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ミカ&サクラコとのお出かけ
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リンデとハスミ+αと鉄パイプ
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『シスターフッド』との絡み
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『事務方』との日常
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リンデとサクラコのお悩み相談
-
リンデのヒトカラ
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本編はよ