プライベートでゴタゴタしたりしてたら執筆が滞ってしまい、その上本編外の0.5周年記念の話やら色々考えてたら、自分の中で決めてた月1投稿も途切れてしまいました。
とりあえず、1話分何とか書き上がったので投稿します。
ただ、本編内の時間はあまり進んでないです。もう少し進めようかとも思いましたが、次の話との兼ね合いでここで切りました。
今回、ヒフミが原作を知っていると少し違和感を感じる描写になってるかもしれません。理由は後書きにて書きますので、最後まで読んでいただけると幸いです。
それではどうぞ!
さて、『闇銀行』から『便利屋68』のメンバーが追いかけ始める少し前に遡る。
「やった、作戦成功!」
〔油断しないでセリ、じゃなかった『フィーア』ちゃん! 後ろから『闇銀行』のセキュリティが追ってきてるよ!〕
まんまと『集金確認書類』を強奪せしめた『ファウスト』ことヒフミと『アビドス』のメンバーは、大急ぎで『先生』達との合流場所となる『チェックポイント』を目指して走っていた。
その途中、目的のものが手に入った事に『フィーア』ことセリカが喜びの声を挙げていたが、オペレーターであるアヤネは追跡者の存在にいち早く気づいていたため、諌めるように注意した。
「えっ!?」
言われたセリカが慌てて振り返ると、そこには先程襲撃をかけた『闇銀行』のセキュリティ部隊である『銀行ガード』が、鬼気迫る表情でこちらを追いかけてきている姿があった。しかも、中にはこちらを追跡しながら何処かへ連絡するようにインカムに呼びかけているものもいて、それに気付いたホシノがいつものような気の抜けた声で皆に伝えていた。
「うへ〜、マジだね〜。しかもアレ、『マーケットガード』に連絡しようとしてない?」
「うわぁ、ヤバいですね☆ 急いで逃げないと、です!」
「ん、だね。じゃあ、ここからは予定通りで。」
アヤネからの通信とホシノの言葉に、振り返らずとも状況を把握したノノミは汗をかきながらも少し興奮気味に、シロコは相変わらずのクールビューティーを崩さず、やるべき事を確認しあった。
「はい! 皆さん、後で必ず無事に合流しましょう!」
「りょ~か〜い!」
「ん、了解。」
「は~い☆」
「オッケー! 皆、捕まんないでよ!」
そして、ヒフミの号令にそれぞれらしい答え方をして、すぐさま進路を個別に変更して散開する5人。それに気づいた『銀行ガード』は、
「っ、逃がすな! 追え! 何としても捕まえるんだ!」
と、こちらも慌てて追跡の手を分散させて、ヒフミ達の退路を断とうとするのであった。
▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽
「書類の奪取に成功。ファーストフェイズ終了だね。」
「えぇ。しかし、思ったより銀行側の対応も速いです。先にセキュリティ部隊を持ち出してきましたか。」
一方、こちらは少し離れた所から『先生』の持つ『シッテムの箱』とアヤネのドローンで、全体の動きを俯瞰しながらサポートする『先生』とリンデの姿があった。通信越しだがアヤネもきちんと参加しており、3人体制でサポートを進めていた。
今はアヤネが、各メンバーへ最適なルートを提示しながら、安全に全員を逃がす作業を並行しながら進めていることを報告していた。
〔現在、全メンバーにチェックポイントまでの最短かつ安全なルートを送っています。ですが、『ファウスト』さんの移動速度が少し遅いです。〕
「『ファウスト』、ヒフミの?」
そしてその中で『ファウスト』、ヒフミの移動速度が、他のメンバーに比べて遅れている事をアヤネは指摘した。それに先生が疑問符を浮かべていると、その理由を察したリンデが推測を立てて指摘した。
「・・・ぶっつけ本番であの格好をした弊害でしょうね。着慣れてないせいで、動きがところどころぎこちなくなってる気がします。」
『シッテムの箱』に表示された画面を見ながらそう指摘するリンデ。そこには、ドローンや周辺のカメラから集められた情報により、ヒフミの移動速度が他のメンバーに比べて少しだけ遅いことが数値としても示されていた。
ちなみに、キヴォトスに来た頃の『戦闘指揮補助システム』は、補助ドローンを用いた俯瞰視点と、システムとリンクしている生徒以外から得られた情報しか映っていなかったが、この『シッテムの箱』に内蔵されているシステムAI『
「あ~、確かにちょっと走りづらそうにしてるかも?」
リンデの指摘を受けて、俯瞰視点だと外套で見えづらかったため、視点を変更して他のカメラから見てみると、指摘された通り動きに硬さがある事に気づいて走りづらそうにしてるとこぼす『先生』。このままだとヒフミが追いつかれてしまい、ナギサとの約束が果たせなくなる事に眉を顰めていたが、それを心配ないというように、リンデが何処からか予備の外套を取り出して纏いながら、こう言った。
「まあ、この事態も想定しての『これ』です。ここはお任せください。」
そう力強く言いながら、制服の上着をパパっと脱いで、白い長手袋を身に着けて外套を素早く纏うリンデ。そして、ヒフミに渡したものと対になるような、白地に紫のラインが入った仮面を取り出して、手に持ってヒラヒラと見せるように振ってみせた。
「行くんだね。」
「はい。」
作戦を事前に確認していた『先生』は、それがリンデの出撃の合図だと理解して、一瞬心配そうな視線を向けそうになった。だが『先生』として、何よりこの場にいる唯一の『大人』として。生徒達の、『子供』達の前で不安な顔は見せられないと思い直し、笑顔でリンデにこう言った。
「分かった。気をつけてね。」
「えぇ。ヒフミとともに、必ず無事に帰ります。ナギサとの約束もありますから。」
「っ、そうだね。ヒフミのこと、頼んだよ。」
『先生』の言葉に笑顔でそう返すリンデに、つられて笑顔になりつつリンデにヒフミの事を頼む『先生』。今の自分では、直接ヒフミを助ける事は出来ないため、それが出来るリンデに全てを託すというのは、この作戦を実行する前から決めていた事である。
ナギサとの『約束』の手前、思う所はある。が、彼女達が自分でやると決めた以上、そこへ口出しするのは野暮だろうという思いもあった。
「えぇ、お任せを。」
〔リンデさん、急いでください。そろそろ『ファウスト』さんが、セキュリティに補足されます。〕
「分かりました。では『先生』、また後ほど。アヤネ、ナビゲートお願いします。」
〔分かりました。〕
「いってらっしゃい。」
アヤネと『先生』の言葉に力強く頷くと、リンデは外套のフードを被った。そして仮面を着ける直前、再度『先生』へと向き直ると、リンデは一度お辞儀してから、リンデは仮面を身に着けた。そして、背中の翼を覆い隠すほどの外套を纏っているとは思えない程の身軽さで壁を駆け上がり、そのまま屋上へと身を躍らせて、まるで映画の怪盗のように建物の上を跳躍して駆けていった。
「いや、凄っ。あんな格好で機敏に動けるなんて。」
一部始終を見ていた『先生』は、リンデの身のこなしに唖然となっていた。一応、話自体は作戦の内容を話してもらった際に聞き及んではいたが、実際に目にするとここまで迫力のあるものなのかと驚愕していた。
〔あれはたぶん、ホシノ先輩でも難しそうですね。って『先生』、見惚れてる場合じゃありませんよ? そろそろ私達も動かないと遅れてしまいます。〕
そしてアヤネも、そんなリンデの動きをドローン越しではあるが一部確認できていたので、少し顔を引き攣らせていた。しかしすぐに自分達の役割を思い出して、『先生』に移動を促した。
それを聞いた『先生』はハッとなると、急いで荷物を纏め始めた。抱えてる荷物の中にはリンデとヒフミのものもあるため、普段に比べて少し重いと感じたが、それは「彼女達を無事に『日常』へ帰す」という『責任』の重さだと捉えて背負い直し、移動を始めるのだった。
「おっと、そうだったね。アヤネ、皆の分に加えて私もとなると大変だろうけど、ナビはお願いするね。」
〔はい、任せてください!〕
アヤネのナビに従いながら、『先生』は皆との合流地点へと急ぎ足で歩みを進める。自分のせいで、この作戦を台無しにする訳にはいかないし、何より皆が無事に戻ってこられるようにと、心の中で信じながら。
▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・。」
〔『ファウスト』さん、その道を右へ! その後突き当たりを左へ!〕
―――駆ける。駆ける。駆ける。
―――ただひたすらに。ただひたむきに。
―――耳からぼんやりと聞こえる声に従って。
―――『憧れ』の人から託されたものを纏いながら。
―――『憧れ』の人達からの願いを、無駄にしないようにと。
―――でも。
(くぅ・・・、この服装。思ってたより走りにくいです!)
慣れない服装のせいか。それともこれを託してくれた『あの人』からの信頼からくるプレッシャーのせいか。
私の身体は、胸に抱いている想いに反して、だんだん動きが鈍くなってきていました。
頭の中では、『理性』が理由は間違いなく前者だと答えていました。確かにこの格好に着替えたのは今日が初で、動きの慣らしやそういったものも特にしていません。それにリンデさんがある程度合うようにとサイズ違いのものを用意してくれていましたが、ちゃんとフィッティングした訳ではないので微妙に少しブカブカですし、今着てる外套が少し大きいせいで、さっきから足を引っ掛けそうになっているというのもありました。
でも『感情』が、私の『心』が、それだけではないだろうと訴えてきていました。
『憧れ』の人から託された『ファウスト』という名の『重み』。それに対して自分の弱い『普通』な面が、徐々にその『重み』に負けそうになってきているのだと。
『銀行強盗』の間は、傍に『アビドス』の皆さんがいて。
そして、あの時のリンデさんみたいに堂々とした振る舞いをすればいいと言い聞かせていたので、『普通』な私の弱気な面なんて全部引っ込んじゃって、あの時見たリンデさん扮する『ファウスト』のような立ち居振る舞いを意識する事が出来ました。
ですが今は、耳から安全なルートを示してくれるアヤネちゃんの声が途切れ途切れに聞こえるとはいえ、独りで走ってて。鬼気迫る勢いで追いかけてくる『闇銀行』のセキュリティ部隊に加え、その後ろから追従してきている『マーケットガード』からこちらに向けられる圧が恐ろしくて。
でも、その圧に屈して捕まってしまったら最後、私は『憧れ』の人達に望まない選択をさせてしまう事が、何より怖くて。
それらからくる恐怖心が、『普通』な私の弱気な部分を刺激して、徐々に足を重くしているように感じていました。
(それでも、ここで捕まるわけには・・・!)
〔っ、『ファウスト』さん! 先程『あの人』がそちらへ向けて移動を始めました! もう少しだけ粘ってください!〕
「っ!?」
弱気な自分に、それでもと心のなかで叫んで奮い立たせながら、足を止めることなく走り続けます。そんな中、アヤネちゃんから誰かがこちらへ向かっているという言葉が聞こえてきました。その後にも何か言っていたようでしたが、逃げる事に思考を割くので精一杯だった私はそれを聞き逃し、逆にここにきてさらに増援が来たのかと勘違いして―――
「っ、あっ、キャアッ!?」
―――瞬間、それに気を取られた所で、外套に足を引っ掛けて転んでしまいました。
「イタタ・・・。」
〔っ。『ファウスト』さん?! 大丈夫ですか?〕
転んだ痛みに呻く中、アヤネちゃんから心配の声が通信機越しに聞こえてきました。でも、それ以上の違和感を感じた私は思わず顔に手を当てると、その違和感の正体に気づきました。
「っ、あれ? ・・・あっ、仮面が!?」
そう、リンデさんから託された大事な『ファウスト』の仮面が、転んだ拍子に外れてしまっていたんです。慌てて辺りを見渡すと、マスクはすぐ近くにありました。それを急いで拾おうとしましたが、その間に後ろから来ていたセキュリティ部隊と『マーケットガード』がこちらを捕捉した事に一瞬気が回りませんでした。
〔『ファウスト』さん、早く! セキュリティ部隊が〕
「動きを止めた! 今だ、全員撃ちまくれ!」
「っ、あ・・・。」
アヤネちゃんから警告が来ましたが、それよりも早く、後ろから発砲音が聞こえてきた私は、思わず呆然としてしまいました。
―――視界がスローモーションになる。
―――セキュリティ部隊の放つ弾丸が、ゆっくりと私へ向かって飛んできます。
―――通信の向こうから、アヤネちゃんの声が聞こえます。早口で何か言ってますが、何を言っているのかは分かりませんでした。
―――ここまで、なのかな?
だんだんと時間が時を止め、視界から色が消えていく中。そんな諦めの気持ちが、だんだんと私の『心』を蝕み始めました。
音も感覚も無くなり始め、目尻に溜まりだした熱い『何か』からも熱が失せて――。
「やっぱり、無理だったんだよ。『普通』な私には。」
「『あの人』と同じように、出来るわけないよ。」
「『憧れ』は結局、『憧れ』でしかなかったんだよ。」
―――なんて声まで、耳元で聞こえ始めて。
(・・・・・・ごめんなさい。ナギサ様、ミカ様―――)
『心』がだんだん、諦めの色に染まって。私の全てが、絶望の闇で凍りついていく感覚を覚えながら。
(――――リンデさん・・・!)
ここから先の未来を見たくないと、私は強く目を閉じて―――
―――独りだけの静寂に、風を切る音が聞こえて、次の瞬間、強烈な衝撃と、爆発音が鳴り響きました。
「っ、キャアッ!?」
「な、何だ!?」
爆発音と共に衝撃と大量の土煙が舞い上がり、私は思わず外套で顔を隠しました。その際、急元に戻ったかのように、セキュリティ部隊の驚いた声も聞こえてきました。という事は、この土煙はあちらの砲撃とかじゃない? じゃあ、いったい誰が―――
〔な、何とか間に合いましたね。〕
「間一髪、ですがね。」
「・・・あっ。」
―――そんな疑問を、私の弱気や不安、絶望ごと全て吹き飛ばすように。
聞き慣れていない、でも確かに聞いたことのある凛とした声が、目の前から聞こえました。
見上げればそこには、今の私が纏っているものと瓜二つの外套を着た、大きな背中がありました。
「・・・・・・。」
その背中の顔の部分だけがこちらを振り返ると、土煙の届いていない部分からさす太陽の光の逆光越しに微笑んでいるように見えました。
―――あぁ、ズルいですよ。やっぱり。
もうどうしようもない、って。そうやって諦めかけてる時に限って、そんな風に格好良く現れて、どうにかしてしまうんですから。
ミカ様やカナギちゃん、『事務方』の皆さんがあなたに向けてる気持ち。今なら少し、分かる気がします。そんなあなたに、私も憧れたから。
あなたのように、誰かを照らせる『太陽』のようになりたい、と。
まだ今はダメダメで、今だって簡単に諦めそうになってる、『普通』で『弱気』な私ですが。
いつかは。
必ず、いつかは。
追いついて、みせますから。
逆光越しに微笑む『
舞い降りる『
リンデのとった行動はまた次回。
ヒフミ視点に移ってからのヒフミが妙に弱気な点についてですが、これは原作との違いとして、今作のヒフミは『銀行強盗』に「巻き込まれた」のではなく、憧れの先輩達から「任された」というものがあります。
前者の時はただ巻き込まれたという言い訳で理論武装出来ましたが、今作ではそもそも『銀行強盗』に加担する行為を信じて任せてもらっているため、ヒフミに知らず知らずのうちにプレッシャーが伸し掛っている形です。
それが孤独な逃走劇に移行した際に表出し始め、転倒してリンデから託された仮面も外れて、強がりで押さえつける事も出来なくなった、というのが一連の経緯です。
元々ヒフミは、友人の事となると過激な行動をとったり、『ペロロ』様が絡むととんでもない行動に走る面はありますが、それ以外は本人も言う通り『普通』の学生だと思っています。
今回の場合、もし仮に『ペロロ』様関係のバフ(達成報酬etc.)が絡んでいたら、もっと機敏に動いたりパルクールかましたりといった超機動を取れていたかもしれません。それだけ彼女の中で『ペロロ』様は相当デカいものだと思います。
ただ、残念ながら今回憧れの先輩から任されたというのが、バフどころかデバフになってしまった、という感じですね。皆さんも経験ありませんか? 大きな仕事を先輩から任せてもらえた時、フォローしてもらえると分かってても重圧を感じてしまう感覚。あれと同じだと思ってもらえれば。
とはいえ、今回の一件を無事乗り越えれば、ヒフミの大事な経験の一つになって成長を促すものになると思います。ようはまだ成長過程なので、これからも温かく見守ってもらえれば幸いです。
お気に入り登録者数518人、UA約51350突破しました!
ありがとうございます!
投稿滞ってる間に500の大台を超えた時は思わず「やった!」と喜んでしまいました。
そっちの記念回も何か書けたらいいなとは思っているのですが、本編を早く進めたい気持ちもあるので、0.5周年記念回も合わせて一旦保留にします。
これからも応援の程、よろしくお願いします!
感想・評価、ここすき、誤字・脱字報告お待ちしてます。 いつも通り、返せる分は返信しますので、よろしくお願いします。
それではまた次回!
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