約一年ぶりの投稿になります。
みなさん、どうお過ごしでしょうか?
色々あって執筆時間がなかなか確保できず、ここまでズルズルと引っ張ってしまいました。申し訳ありません。
あと2話ほどで『銀行強盗編』は終わらせる予定です。
お付き合いの程、よろしくお願いします。
また、少し別件でアンケートを採らせて貰います。詳細は後書きにて。
それでは、どうぞ。
「うへ~、ただいまアヤネちゃ~ん。」
「ん、ただいまアヤネ。」
「ただいま戻りました~、アヤネちゃん♪」
「ただいまー、アヤネちゃん。」
「ただいま。戻ったよ、アヤネ。」
「お、お邪魔しま~す。」
「失礼します。」
「お帰りなさい、ホシノ先輩。ノノミ先輩。シロコ先輩。セリカちゃん。『先生』。それと、こうして実際に顔を合わせるのは初めてですね、ヒフミさん。リンデさん。『アビドス高等学校・アビドス廃校対策委員会』所属の1年生、『奥空アヤネ』です。今回は、私達の事情にお付き合いいただき、ありがとうございます。改めて、よろしくお願いします。」
『ブラックマーケット』から無事離脱した私達は、『先生』やホシノ達と共に、彼女達の母校兼活動拠点である『アビドス高等学校』に到着しました。
そして、彼女達の主な話し合いの場である会議室に辿り着くと、オペレーターのアヤネが出迎えてくれました。アヤネは帰ってきた『先生』やホシノ達にお帰りと言うと、私達にも改めての自己紹介と、今回の件で協力したことに対するお礼を言って、握手を求めて来ました。
打算や思惑があったとはいえ、こちらとしても、今回こうして『アビドス』のメンバーと協力出来たのは喜ばしい事でしたから、お礼を言いたいのはこちらも同じです。なので、これからもこの繋がった縁が続いてくれる事を願い、手を差し出しました。
「こちらこそ。改めまして、『トリニティ総合学園・高等部・3年・ティーパーティー首長補佐』の『十郷リンデ』です。今回協力した縁がこれからも続いてくれる事を、私も切に願っています。よろしくお願いしますね。」
「お、同じく。『トリニティ総合学園・高等部』の2年生、『阿路谷ヒフミ』です。よろしくお願いします。」
「っ、はい。」
私の差し出した手に一瞬驚くアヤネでしたが、すぐにこちらの意図を察してくれたようで、すぐに手を握ってくれました。
「うへ~、三人ともともそんなに畏まらなくてもいいよ~。もっと肩の力抜いてこ~?」
「いや何でよ! 今から大事なことやるんだから、抜いちゃダメでしょうが! というか、他校の人来てる前でサラッと早速ノノミ先輩に甘えないでホシノ先輩!」
「まぁまぁ、いいじゃないですか♪ 普段からの仲の良さをアピール出来ますし~。ね? セリカちゃんもどうですか? こっち側、空いてますよ? 」
「ノノミ先輩もノノミ先輩で、ホシノ先輩を甘やかさないで! あと私は抱きつかないから! は、恥ずかしいでしょうが!」
「ぐぅ~・・・。」
「寝るなぁ!」
そう言って、顔を赤くしながら二人を怒るセリカ。何だか今のセリカを見ていると、私に甘えるミカを叱ってる時のナギサと重なりますね。そう考えると、余所から見た私達もこういう風に映っているのかと思いましたが、あれはミカの精神安定の為にも必要な事ですから、私もやめる予定は今の所ありませんがね。―――閑話休題。
そんなこんなで、アヤネとも互いに自己紹介も済ませ、ノノミがアヤネに『ブラックマーケット』でのお土産を渡したりした後、当初の目的である『集金確認書類』の精査を始めたのですが――――――
「な、何よこれ!!」
「ん? ・・・っ、これは!」
―――精査を始めてから約一時間後。『集金確認書類』の一部を確認していたセリカが、そう叫びながら机を叩き、全員の視線が集まりました。すると、すぐ横にいたシロコがセリカの見ていた資料に目を向け、数瞬の後、驚愕に目を見開いて、震えるセリカの手から書類を引ったくって私達に見せてきました。
「皆、これ見て・・・!」
普段滅多に見せないだろうシロコの鬼気迫る表情に『アビドス』のメンバーが困惑しつつも、シロコの指差す書類の一部に目を向けると、そこには驚きの――『前世』持ちの私にとっては『既知の』――情報が記されていました。
「っ、そ、そんな・・・!?」
「・・・やってくれたね。」
「嘘、そんな・・・。」
「―――書類通りなら、『アビドス』で皆から『788万円』集金した後、そこから『500万円』を『カタカタヘルメット団』へ、『任務補助金』として提供した、ってこと?」
『集金確認書類』が示していたのは、あくまで最悪の想像だった、『アビドス』の『借金』がそのまま自分達の対峙している『ヘルメット団』達へ流れているという事実でした。この事実にノノミとアヤネは悲痛に顔を歪め、『先生』やあのホシノでさえ眉間に皺を寄せていました。
そしてこうなれば、今現在『アビドス』が対峙しているものの裏に存在するものの正体は確定できます。
「じゃあ、今『アビドス』の皆さんを襲ってる『ヘルメット団』の裏にいるのは、『カイザーローン』、ってことですか?」
「そうなりますね。ある程度予想はしていましたが、やはりこうなっていましたか。それにこちらも。」
困惑するヒフミに、私は自分の見ていた書類のページをヒフミへと見せました。すると、そこに書いてある情報を見たヒフミは先程のセリカと同じくらいの驚きの声を上げました。
「―――え、えぇっ!?」
「・・・どったの、ヒフミちゃん? 『首長補佐』ちゃん?」
驚愕の声を上げたヒフミと、私に怪訝な表情を向けるホシノへ、先程まで書類を見ていた私が答えました。
「どうやら『カイザーローン』は『アビドス』だけでなく、我が『トリニティ』も含めた他学区でも同様の事例を起こしているようです。といっても、集金先の取引相手は相手は零細企業ですし、『ヘルメット団』や不良生徒達に回している額もこちらよりは少ないですが、それでも無視できる額ではありませんね。」
そう、どうやら回していたのは『カタカタヘルメット団』だけではなかったようで、先日『トリニティ』で暴れた『カンカンヘルメット団』の他、複数の『ヘルメット団』や不良生徒達へと同じような『任務補助金』を供与していたようです。
一応、『アビドス』の事に関しては、私自身『前世』の知識として大まかな情報は知り得ていたので、それ以外の情報が無いかと精査していたのですが・・・、正直に言うと、想定以上の情報量にこちらも思わず顔を蹙めてしまいました。
沈痛な空気が部屋中に流れる中、アヤネが理解できないというように1つの疑問をこぼしました。
「で、ですがどうしてこんな事を・・・? こんな事を繰り返せば、私達も含めた集金先が破産しかねません。もうそうなったら、貸し付けたお金の回収だって出来ないのに。まるで、理解できません・・・。」
「「アヤネ・・・。」」
「「アヤネちゃん・・・。」」
「そ、そうよ・・・! というか、何でうちのお金が1番使われてるのよ! その零細企業とかだって、『大人』ならもっとお金を持ってるはずでしょ?! なのに何で!?」
アヤネの疑問に便乗するように、セリカもまた声を荒げて叫びました。確かに、この時点で集まる情報では、彼女達の視点から『カイザー』の目的を推し量る事は難しいので、この疑問は当然のものです。私も『前世』の『知識』が無ければ、この段階では彼らの目的を推測する事は出来ても、裏の『真意』にまで気付けないと思いますし。
とはいえ、『知識』として知っているとしても、その『出所』はあくまで自分の中のみなので、ミカ達ほど信頼関係が築けていない『アビドス』のメンバーと『先生』に開示するには、情報の確度が足りてない以上、不適切でしょう。ここで疑念を持たれると後の関係に支障が出かねません。
しかし、「何も分からない」と言うのも違う気がすると感じた私は、今見えている情報から私達『トリニティ』も含めた、『アビドス』以外の他学区に焦点をあてて『推測』を述べることにしました。
「・・・この行動の真意は、『カイザー』を問い詰める以外は、何とも言えませんね。一応、こちらでも帰還後調べてみますが、これ以上の情報は殆ど出てこないと思います。ただ、我が『トリニティ』を含めた他学区での支出から、彼らの行動目的をある程度は推測できます。」
「他学区での、支出から?」
「それでいったい、何が・・・?」
「おそらくですが、『カイザー』はこの『アビドス』の学区内で、何か大がかりな事を仕出かそうとしてる可能性があります。それも、私達『トリニティ』も含めた、他の学区に邪魔をされたくない規模の。」
「ハァ? どういう事よ?」
私がそういうと、意図が読めないというようにセリカが怪訝な表情で疑問をもらし、ヒフミやアヤネ達もよくわからないといった感じの顔をしました。ホシノと『先生』だけは何か察したのか、あまり表情が変わっていませんでしたが、私はそれを気にする事無く話を続けました。
「もし仮に『対策委員会』をどうにかすれば解決する問題だとすると、我々への妨害工作ともとれるこの支出は、はっきり言って無駄な支出でしかありません。『利益』を重視する『企業』、ましてやあれだけの大企業が、そのような無駄な出費を許容するとも考えられませんし、実際、その妨害が機能している以上、この推測は間違っているとは思えません。そして、それに対して我が『トリニティ』も、『正義実現委員会』や私の所属する『ティーパーティー』の『パテル分派』、そして『トリニティ自警団』の3つの部活が対応してますが、モグラたたきのように叩いても叩いても出てくるので、他学区に向けるリソースが少し減少傾向にあります。」
「この前、リンデさんやミカ様も対応してましたよね。ショッピングモールを占拠するようなとんでもない事態になってました。」
私が具体的な現状を話すと、横にいたヒフミが、この前私とミカ、『正実』のメンバーで鎮圧した『カンカンヘルメット団』の件を補足で話してくれました。それを聞いた『アビドス』のメンバーの殆どは驚いていましたが、先ほど表情を変えていなかったホシノが、気だるげに私の話の意図を端的に纏めてくれました。
「出してるお金が少ないけど、犯罪の規模が大きい、って訳か。なるほどね~、これが銀行強盗する前に『首長補佐』ちゃんが言ってたヤツか。」
「えぇ。ですから、何か元を断てる情報を得るために、『ブラックマーケット』を巡っていたのですが、まさかここまでとは・・・。正直、今からこれを『首長』達に伝えると考えると、気が重いです。」
「リンデさん・・・。」
ホシノの言葉に頷きつつ、私は額に手を当てて頭を振りました。これを聞いたミカやナギサがどう思うか、そしてこれからの方針をどうするか、今から考えるだけでも頭が痛いです。隣のヒフミが心配そうに私の名前を呼んでるのが聞こえてきたので、とりあえず目線をヒフミに向けて笑顔を浮かべるよう努力はしましたが、ヒフミの反応を見るにあまり上手く笑えていなかったみたいです。
そこで一旦場の空気が一旦静まると、『先生』が今分かっている事を纏めてくれました。
「とりあえず分かったことを纏めると、今『アビドス』を襲撃してきてる娘達の裏には『カイザーローン』がいる、ってこと。そして『カイザー』は、この『アビドス』の学区内で何かしようとしていて、それを邪魔されたくないから、他の学区でも同じように『ヘルメット団』達に襲撃させてる、ってことでいいかな。」
「はい。現状この『集金確認書類』から読み取れる情報としては、これが限界かと。そしてこちらとしても、指示された情報を得る事が出来ましたから、申し訳ありませんが協力できるのはここまでです。」
『先生』が情報を纏めてくれた所で、必要な情報を手に入れたと判断できた私は、少し申し訳なさを感じながらも、当初の約束通り今回の件に関する協力関係の終了を告げました。
それを聞いた『先生』は、少し名残惜しそうな表情をしながらも、おそらくナギサと交わした『約束』の事を思い出したのか、仕方ないという風に頷いてくれました。
「そう、だね。」
「うへ~。ま~、そういう約束だったもんね~。しょうがないか。」
ホシノも、そんな『先生』に続くように、今の彼女らしいだらーっとした覇気の無い声で納得すると、他の『アビドス』のメンバー達もそれに続くように頷いてくれました。
彼女達の反応を一通り確認できたところで、私は席を立とうとしたのですが、ふと隣を見ると、ヒフミが少し悩んだ表情でこちらを見ていて、目が合うと少し迷いながらも、おずおずと口を開きました。
「・・・あの、リンデさん。」
「ん? どうしましたヒフミ?」
「『アビドス』の皆さんの事、借金も含めて、何とか助けることって、出来ないんですか?」
ヒフミの言葉に、私はほんの一瞬だけ、チクリと胸が痛みました。そうですよね、『原作』ではわざわざ『アビドス』の借金の件を『ティーパーティー』に相談できないか掛け合おうとしてたような優しい娘です。結局あの時はホシノの一言でやめたような感じでしたが、今ここに、まさにその『ティーパーティー』に所属していて、かつ準重要ポストの『首長補佐』の私がいるなら、こういう風に尋ねてくるのは理解できます。
正直なところ、私とて助けられるなら助けたいとは思います。こんなに良い娘達が、何故これ程過酷な負債を背負わなければならないのか。そんな風に考えると、思わずヒフミの思いに感化されそうになります。
しかし、今はまだダメなのです。これから『トリニティ』で起こる事、これから先の『アビドス』の『未来』、何よりミカやナギサ達の『未来』と『幸せ』の為にも、 ここでヒフミの思いに応えるわけにはいきません。それに、ヒフミがこう言ってくる事自体は想定していました。なので私は、胸の痛みからそっと目を背け、ヒフミの言葉に否と首を横に振りました。
「ヒフミ、残念ですがこれ以上『アビドス』の内政に関わるのは、『過干渉』になってしまいます。向こうから求められたならともかく、そうでないのならそれは『余計なお節介』ですし、何より自治区としての領分を侵犯する行い、と見られかねません。そのような行いを、桐藤首長が許すとは到底思えませんしね。」
「うっ。そう、ですよね・・・。」
私の言葉に、ヒフミが悲しそうに目を伏せました。その姿を見てると胸の痛みが少し強くなりましたが、それは自分が受け止めるべき罪なのだと律して、努めて表に出さないようにしました。
すると、そんな私達のやり取りを見ていたホシノ達『アビドス』のメンバー達が、ヒフミに気にするなというように声をかけ始めました。
「気にしないで良いよ~、ヒフミちゃん。何だかんだで、今までおじさん達でやってこれたし、『先生』もいるからさ。」
「ん、大丈夫。あとは私達の問題。だから、任せて。」
「ホシノさん。シロコさん・・・。」
「そうよ、やられっぱなしの好き放題なんて、これ以上させてたまるもんですか! やってやりましょうよ、皆!」
「フフッ、ですね~☆」
「はい! あとの事は、任せてください! 必ず問題を解決して、アビドスの『復興』も成し遂げて見せますから!」
「セリカちゃん。ノノミさん。アヤネちゃん・・・。すみません、力になれなくて。」
ホシノ達の言葉に、まだ少し申し訳無さそうな表情を隠しきれず、謝ヒフミ。そんなヒフミに対して、今度はセリカが少し慌てながらも強気に言葉を返してきました。
「べ、別に謝らなくていいわよ。元々私達の問題だし。それにアンタ達にだって、その、やる事あるんでしょ? だったら、こっちの事は気にしなくて良いから。」
「セリカちゃん・・・。はい!」
セリカの言葉でようやく納得することが出来たのか、ヒフミは今度こそ笑顔で頷きました。結果的に最後はホシノ達に頼る事になってしまいましたが、ヒフミが納得してくれたことに、私は安堵を抱きました。
「おぉ~、大きく出たね~。これならおじさんは休んでても」
「良い訳ないでしょ! 何この空気で他人任せにしようとしてるのよ!」
「うへ~。」
一方、セリカの発言に気を良くしたのか、ホシノが気怠げに休もうとしていましたが、『前世』でよく見た光景のようにセリカがツッコんで「うへ~」としていました。変わらないその光景に色々と思うところが無いこともありませんが、私はそれらを一旦胸の奥に沈め、静かに笑みを浮かべて見ていました。
「よし、じゃあ解散かな。見送りはいる?」
「お任せします。」
そうして、『先生』から解散の意を告げられ、見送りに関して尋ねられた私はお任せすることにしましたが、そこでふと『先生』に伝えようと思っていたことがあったのを思い出しました。まぁ、正確には『先生』から、私の『幼馴染み』の一人に言伝をお願いしたいだけなのですが。
おそらく、これから必ず『彼女』と接触する機会が存在するはずなので、こちらが息災だという事を伝えたいというのが1つ。もう一つは、そのおまけですね。出来ることなら直接顔を合わせたいですが、お互いの立場上、それも容易ではないですから。
私は『先生』の方へ振り向くと、「後出しで申し訳ないですが」と前置きした後、『前世』の某動画サイトで幾度となく聞いた、『あのセリフ』を投げかけました。
「『先生』。少し、お時間をいただけますか?」
リンデに言わせたかったセリフその①。
去年はミカの「ちょっとお話しよ?」に随分と元気を貰いましたのでw
さて、アンケートについてですが、前書きと後書きについて、です。
投稿が滞っていた時に戴いた感想の中に、前書きと後書きが長いと言う意見がございました。
自分も時折「ちょっと長いか?」と思いつつも、今まで書いてきたスタイルを崩したくなかったのでそのままにしていました。が、主人公ことリンデの感情解説やキャラの性格、人間関係を書くと感傷に浸る事を阻害するという事もあるようで、少し悩んでいます。
なので、少しアンケートを採りたいと思います。
期限は投稿から一ヶ月で、アンケートの結果次第では今までの前書き後書きも大半の内容をバッサリカットするかもしれません。ご了承ください。
感想・評価、ここすき、誤字・脱字報告お待ちしてます。 いつも通り、返せる分は返信しますので、よろしくお願いします。
それではまた次回!
前書き後書きは?
-
いる
-
あってもいい
-
今後無しで
-
全部無くして