という事で、書き溜めてたものを1日1話ずつ、12時頃に投下していきたいと思います。
書き溜めが無くなった際は報告しますので、ゆっくり見ていただけると幸いです。
しばらくは原作開始前の平和(?)な日常をお送りしますので、どうかお付き合いください。
トップバッターは当然彼女です。それではどうぞ。
第一詩:『首長補佐』と『パテル分派首長』
―――パンプキンスープ騒動から約1週間後。
トリニティ総合学園『ティーパーティー』首長補佐、十郷リンデは現在、困った事態に直面していた。
「ミカ、いい加減機嫌を治してくれませんか? 私としても、このままというのは・・・。」
「つーん。」
「・・・自分で「つーん」、なんていうのは、ミカぐらいでしょうね。」
先日のパンプキンスープ騒動解決後から、リンデは無二の親友で彼女の属する『パテル分派』の首長でもある『聖園ミカ』に「私不機嫌です!」という態度を取られており、その機嫌を改善しようと四苦八苦しているのだ。普段であれば3日くらいで治るためここまで引き摺る事もないのだが、どうも何かリンデの理解が及ばない面で更に不機嫌になる事があったのか、未だに機嫌が治る気配が見えないでいた。
(・・・ブチ切れたナギサの前にミカを置いていっただけなら、今までも何度かやってますし、それはない筈。その後ヒフミと出会えたのは偶然ですし、あの状態のナギサを見せるわけにはいかないと仕方なく連れて行っただけですが・・・。えっ、まさかそれですか? えぇ〜・・・。)
と、ここでリンデは先日の騒動の際、偶然扉の前で会ったヒフミを外回りに連れて行った事を思い出し、それでミカが嫉妬しているのでは無いかと気づいて、自らの『一番星』の面倒くささにほんの少しだけ頭を抱えた。
実際、リンデの推測は合っており、ミカは無意識にリンデと出かけたヒフミに『嫉妬』していた。ただし、ミカ自身自覚があるわけではなく、「何となくいつも以上にムカムカする」、と自分の感情を持て余していたりするのだが。
(まぁ、理由に気づけた所で、ミカが話を聞いてくれなければ好転しないのですが。)
理由に気づけたはいいものの、ミカが現状こちらの話を聞いてくれそうにない雰囲気なのが、厄介さに拍車をかけている。何を言っても「ぷいっ」や「つーん」、「ふんっ」といった擬音をわざわざ声に出しながらそっぽを向くので、まともに取り合ってもらえずじまい。唯一、仕事の時だけは受け答えしてくれるのだが、だいたいが「うん、そこにおいてて。」で済ましてくるあたり徹底しており、最近その違和感を感じ始めた同じ分派の人間から心配3割、小言2割、嫌味5割の割合で話しかけられていて、そろそろミカの不機嫌を隠し通すのが難しくなってきていた。
余談だが、5割の人間には代わりに追加の仕事をくれてあげた。「嫌味を言うぐらい余裕があるなら、もっと仕事をこなせますよね?(暗黒微笑)」 という、リンデからのささやかな仕返しである。
(・・・はぁ、仕方ありません。こういった強引な手段は、あまり好ましくないのですが。好転する気配がない以上、少々手荒にいくしかありませんね。)
ティーパーティーの『首長補佐』として、ミカのメンタルケアも自分の仕事である*1。ましてや原因が自分にあるのなら、その汚名を返上するのは当然の事。であれば、取れる手段は全て試すべきだろうと考えたリンデは、ミカの前に出ると―――
「ミカ」
「ぷいっ」
「ごめんなさい、嫌なら突き飛ばしてもらって構いませんので。」
「えっ? きゃっ!?」
―――ミカの事を真正面から、思いきり抱きしめた。しかも背中の翼まで使って、ミカを文字通り包み込むように。いきなりのリンデのこの行動にミカも一瞬フリーズするも、徐々に状況を理解すると、顔を真っ赤にして慌てだした。
「ちょ、ちょっとリンデちゃん!?何してるの?!」
「ごめんなさい。私のせいで、あなたに余計なストレスをかけてしまいました。本当に、申し訳ありません。」
「い、いやいや! それは分かったけど!? 何で急に抱きしめてきたの!?」
「? 話を聞いてもらおうにもミカが顔を背けてしまうので、まずは話を聞いてもらえるよう、ミカの怒りが落ち着いてくれればいいなと思いまして。謝罪も兼ねての行動だったのですが。」
「いや何で『分からない』って顔されてるの私?! それ私がする側じゃんね!?」
リンデの突然の奇行に慌てるも、不思議そうな顔をするリンデに普段とは逆にツッコむ側に回らされるミカ。ちなみにこの間も抱擁は継続しており、周りからは白い大きな翼の中でトリニティ生が何かモゴモゴ騒いでいるという珍妙な絵面が完成していた。控えめに言ってカオスである。
そんな空気の中でも、二人の喧騒は続く。
「と、とにかく! 気持ちは分かったから、離してってば!」
「いえ、ミカが落ち着くまではこうさせて下さい。先ほども言いましたが、嫌なら突き飛ばしてもらって構わないので。」
「い、嫌とは言ってないじゃんね! というか、こっちの方が落ち着かないから!」
「・・・やはり、まだ怒ってるのですか? ならば―――
「あ~、分かった!分かったから!! リンデちゃんの思いは十分伝わったから!!・・・はぁ~、もう何でこんな時に限って天然発揮しちゃうかな〜?」
「―――?」
最後に顔を埋めてモゴモゴと小声で呟くミカの声にまたも首を傾げるも、その後は特に騒がずリンデの腕と翼の中で微動だにしなくなったミカ。それをようやく落ち着いてくれたと思ったリンデは、綺麗な桃色の髪を指で梳くように撫でた。すると、それに少しだけ驚いてビクンと肩が反応したミカだったが、やがて気持ち良さそうな表情を隠すように、顔を胸に埋めた。
「・・・落ち着きましたか?」
「うん。って、半分以上リンデちゃんのせいだからね?」
「? まぁ半分どころか、10割私のせいですね。そのせいで、ミカの機嫌を損ねてしまいました。ごめんなさい。」
「・・・そういう事じゃないんだけどな〜。リンデちゃんのニブチン。」
「ミカ?」
「・・・何でもないよ。その、私もごめんね。何ていうか、いつもよりムカムカしちゃっててさ。リンデちゃんと話してても、何か余計にイライラしちゃって。途中から何となく意固地になってたし。」
「ミカ・・・。」
「だから、さ。この話はこれで終わりにしよう。ね?」
「・・・はい。繰り返しになりますが、ごめんなさいミカ。私のせいで。」
「も〜、だから終わりだって言ったのに。それ以上謝ったらホントに怒るよ?」
「・・・分かりました。」
ミカの機嫌が治ったのを確認して、再度謝罪しようとしたリンデだったが、ミカが埋めていた顔を上げてぷくーっと頬を膨らませて下からジト目で見てきたため、途中で止めた。代わりにまた頭を撫で始めると、ミカが「撫でれば誤魔化せると思ってない?」と小言を言うも、ミカもミカで気持ちいいのかそのままされるがままに撫でられていた。なお、この間抱擁するように閉じた翼はそのままのため、相変わらず視線を集めているのだが、二人の世界に入ってしまっているリンデとミカは気づいていなかった。
「・・・うん、もう十分。そろそろ行こっか。」
「そうですね。って、あら?」
「?リンデちゃん、どうしたの? ・・・あれ、何かすごく見られてない?」
ミカがもう十分だとリンデから離れようとしたので、リンデとも抱擁状態を解除した。すると、それまではミカの事以外眼中に無かった為に気づかなかった周りから集まっていた視線にようやく気づき、ミカもそれに気づいて周りを見渡していた。そして数瞬の後、理由に気づいたミカは少し顔を赤らめながら半目でリンデの方に視線を向けた。
「・・・リ〜ン〜デ〜ちゃ〜ん?」
「あ、アハハ。少し、大胆過ぎたようです。ごめんなさい。」
「もう〜。こんな注目のされたくないのに・・・。あ~あ、せっかく治った気分がまた戻っちゃいそうだなぁ。」
そう言ってがっくりしたかと思えば、少し悪戯っぽい笑みを浮かべてリンデの方へ再度視線を向けるミカ。その笑みの意味をリンデは理解すると、しょうがないなと苦笑しながら口を開いた。
「何がお望みですか、ミカ?」
「この前、ハスミちゃん達が話してた気になるお店があってさ。この後、時間空いてるよね?」
「自腹で奢らせていただきますね。」
「わぁお、即決☆ ていうか、それぐらい経費で落としていいよ? 私がリンデちゃんと食べたいだけだからさ。」
「職権乱用は感心しませんよ?」
「大丈夫だって! ナギちゃん達にバレなきゃ問題無し無し☆」
「ハァ・・・、会計には一応相談してみますが。期待しないでくださいね。」
呆れた声で返しながらも、ミカの提案を受け入れるリンデ。一応、脳内では経費を落とす際の書類作成用のマニュアルを頭の中で引き出しながら、会計担当とどう交渉するかのシュミレートを行っているのだが、それを既に察していたミカはさっきとは違う柔和な笑顔でリンデを見て言った。
「それでもやってくれるリンデちゃんの事、私好きだよ?」
「っ、もうミカ!」
ミカに好きだと言われた途端、赤面してしまうリンデ。すると、さっきとは攻守が逆転したように、ミカはリンデをからかい始めた。
「アハハッ☆ やっぱりリンデちゃんはそっちの方が『らしい』よ☆ 普段の落ち着いたリンデちゃんも好きだけど、私の事が好き、って気持ちが隠しきれてないリンデちゃんの方が、さ。」
「っ〜〜〜/// 本当に、本当にあなたって人は・・・!」
「もう〜、そんなに照れなくていいってば。ほら、早く行こ! せっかく2人っきりなんだからさ!」
「えっ? ちょ、ちょっとミカ! 離してください!」
「や〜だね! 私だってさっき恥ずかしい思いしたんだから、リンデちゃんも同じ気持ちを味わえばいいじゃんね☆」
赤面したリンデの腕をひっ掴んで、走り出すミカ。ミカの突然の行動に慌てるも、これがさっきの抱擁に対するミカからのささやかな仕返しだと気づくと、恥ずかしさよりも愛おしさが先に込み上げてしまい、それをミカに気づかれないよう、そっぽを向くリンデなのであった。
余談だが、ハスミおすすめのお店―――当然の如くスイーツ店―――にて、二人で別々のものを注文して食べさせ合いをしてお互い赤面したり、今度はナギサ達と来たいねと笑顔で語り合った。ちなみにスイーツ代は経費で落ちたが、代わりにミカと2人きりで食べに行った事を羨ましがられたのを複雑な気持ちで受け止めていたリンデだった。
主人公の服装について
基本スタイルはミカナギと同じようなティーパーティーの服装。どちらかといえばミカ寄り。
流石に原作エルフリンデの格好だと色々とね(;^ω^)
(気になる人はエルフリンデで検索してみてください)
また、槍は設定に書いた通り任意で出したり消したり出来ます。
かわりに、周りに浮遊していた輪っかや球体については、今作ではないという事にしといてください。
昨日久々にホーム画面で見て、あったのを忘れてたのに気づきまして。後出しですが、よろしくお願いします。
感想・評価、ここすき、誤字・脱字報告お待ちしてます。 いつも通り、返せる分は返信しますので、よろしくお願いします。
それではまた次回!