この小説を書いてて、1番筆が進むのが、ミカリンデにナギちゃんが突っ込んでるシーンです。ホント、ナギちゃんが1番書いててイジり甲斐があり過ぎて、書いててマジで楽しい(☆▽☆)
ミカナギの凸凹漫才は本当に良い清涼剤。
今作ではそれに加えてリンデも基本ミカ側から発言するので、胃痛と怒りのボルテージが加速&加速。でもこうやってバカやれてる間は、平和だということです。だいぶ日常してます。
という訳で本編です。どうぞ。
四人によるお茶会は、順調に進んでいた。『ティーパーティー』内の各派閥の詳細な状況確認に、リンデが独自にパイプを持つ『シスターフッド』『正義実現委員会』『救護騎士団』といった、『ティーパーティー』以外の主だった派閥の現状を聞いたり、あとは予算関係の話も少し交わされた。時々ミカが集中しきれず茶々を入れる一幕もあったが、ナギサの注意とリンデの説得で何とか保たせていた。
そうして、時間が幾ばくか過ぎた頃。
「―――では、この案件については以上ですね。」
「あぁ。・・・む、すまない。そろそろ時間だ。悪いが先に帰らせてもらうよ。」
「あら、もうそんな時間ですか。では、今日の会議はここでお開きにしましょうか。お疲れ様でした。」
「あぁ、お疲れ。」
「お疲れ〜。やっと終わったよ。リンデちゃ〜ん、私もう限界〜。」
「はいはい、よく頑張りましたねミカ。」
『お茶会』も兼ねた『ティーパーティー』の会議は、セイアの一言で終わりを迎えた。すると、難しい話ばかりで途中から脱落気味だったミカが、二人が来る前と同じようにリンデにもたれかかった。すると、ナギサが呆れたように溜め息を1つ吐いて小言を言い始めた。
「ハァ〜・・・、ミカさん。会議前に節度を持って、と伝えたはずですが。」
「え〜?」
「まぁまぁ、いいじゃないですかナギサ。私は気にしてませんよ。」
「そうだそうだー。リンデちゃんがいいって言ってるんだから、別にいいじゃんね?」
「調子に乗らないでください、ミカさん! それとリンデさん! そうやってすぐミカさんを甘やかさないでください。あなたが甘やかすから、いつまで経ってもミカさんが『トリニティ』の淑女らしさを身に着けないんですよ?」
「母親ですか、あなたは。それと、ミカのことでしたら別に甘やかしてはいませんよ。オンオフの切り替えはしっかりしてますから。ね?」
「ね〜!」
「ハァ〜、全く。ああ言えばこう言うんですからあなた達は。」
小言もどこ吹く風といった感じのリンデとミカに、ガックリと項垂れるナギサ。そんなナギサに同情しつつも、ふと帰り支度をしていた手を止めてセイアが尋ねた。
「相変わらず、いらぬ苦労をしてるね。そういえば、以前から気になっていたが、君たち幼馴染はいつもこうなのかい?」
「セイアさん・・・。はい。ミカさんと私の方が付き合いは長いはずなんですけど、リンデさんと出会ってから、ミカさんはずっとこうでして。何度も注意してるのですが、結局治らずじまいですし。リンデさんはリンデさんで、そんなミカさんを甘やかしてやみませんし。そろそろ私達も最高学年で、『ティーパーティー』のトップとしてトリニティ生の模範たる存在にならなければならないんですから、いい加減そういった外から見られて恥ずかしい行為を続けるのは、いかがなものかと思うんです。」
溜め息とともにナギサが愚痴る。ナギサとしては、近い将来最高学年になる自分達には、その立場にふさわしい立ち居振る舞いというものがあると考えている。その為、いつまで経っても変わらないミカにもリンデにも、友人として心から心配して注意しているのだが、二人とも(方向性は違えど)そんな事は気にすること無く我が道を行くタイプの二人な為か、成果は今のところ無いに等しいのが現状である。
そんなナギサの様子に、先程のリンデの評価があながち間違いではないのではとセイアは一瞬考えたが、直感的に藪蛇になると感じてやめた。代わりに、ナギサの一助になればと少しだけ助言を送ることにした。
「・・・君の言うことも分からないではない。実際、ミカは自由奔放で無軌道極まりないし、リンデもミカほどではないにせよ、やはり自由人な所はある。とてもではないが、伝統を重んじる『トリニティ』の『ティーパーティー』としては、品格は相応しいとは言い難いだろう。」
「そう、ですね。」
「だが。」
「セイアさん?」
「・・・そうだね。1つ言える事があるなら、彼女達はむしろ、そのままである事の方が、かえって良いのかもしれないと思うのだよ。ほら。」
そう言って指を指すと、二人の会話が聞こえていないのか、会議が終わって完全に二人だけの世界に入っているミカとリンデの姿があった。リンデに甘えるようにスリスリするミカを見て、また苦言を呈しそうになったナギサだったが、それをセイアは手で制した。
その間に、ふと思い出したかのようにミカがリンデにこの後の事を提案していた。
「ねぇねぇリンデちゃん、この後暇? 暇だよね? 一緒に帰らない?」
「ん〜、何もなければぜひそうしたいのですが、この後部屋の片付けに明日の予定の確認を軽くしておきたいので、少し待ってもらう事になりますよ?」
「え〜、待つのは別にいいけど、片付けとか明日で良くない? それに予定の確認とか、どうせいつも通りじゃん。」
ミカはリンデの言葉に少し不満を漏らす。今日の仕事は終わり、すっかりオフモードのミカにとって、片付けや予定の確認など煩わしい事は全て後回しにしたいという考えからだったが、リンデはそんなミカの内心を慮りつつも、『首長補佐』としての立場から優しく諭すように言葉をかけた。
「ダメです。補佐としてこういった小事も熟さなければ、所詮は身内贔屓のお飾りといった誹りを受けかねません。そうなれば、ここに憂いなくいることが出来ませんし、ミカ達にも迷惑がかかります。私はミカ達と過ごす、この日常を何より大切にしたいのです。どうか聞き分けてくれませんか?」
「・・・そこまで言われたら、我儘言えないじゃんね。ズルいよ。」
「ミカ・・・。」
一瞬、悲しそう顔を逸らした顔をしたミカに、目を伏せるリンデ。すると、さっきまでの表情が嘘のように笑顔になったミカが、リンデの顔を下から覗き込むようにして口を開いた。
「・・・なんてね☆ じゃあナギちゃんとゆっくり校門前で待ってるから、早く終わらせてね。で、一緒に帰ろ♪ 久々にナギちゃんも一緒にさ!」
「っ、はい!」
ミカの笑顔に、リンデも笑顔で答える。二人の様子は、傍から見る分には仲の良い姉妹のようで―――例えるなら『シスコンだが真面目な姉』と『シスコンで甘えたがりな妹』のような―――、少しだけ羨ましく感じるナギサであったが、同時にセイアが自身の帰宅を押してまでこれを見せた理由が分からず、彼女の方に顔を向けた。それに対して、セイアも帰宅準備を進めながらナギサに言葉で応えた。
「君には複雑かもしれないが、あぁやってリンデがミカのバランサーを努めてくれている。締める時は締め、緩める時は緩める。そうして彼女のストレスを少しでも抜きつつ、かつ私達との仲裁も熟している。ミカに意識が向きすぎるきらいがあるのは玉に瑕だが、そのお陰でミカも『ティーパーティー』としての職務を全うしてる。少しくらいは、大目に見ても良いのではないか?」
「・・・なるほど。ですが、この前といい、私に対してだけ悪戯を仕掛けるのは、正直どうかと思いますが。」
「あれもまぁ、ミカにとっては君に対する1種の甘えのようなものだろう。それに、リンデにとっては君達二人のガス抜きも兼ねているのだろう。」
「えっ? ミカさんはともかく、私のガス抜き、ですか?」
「そうだ。君達幼馴染が普段、『ティーパーティー』の『首長』として本音で話せる機会が少ない分、その事で少しでもストレスを感じてほしくないと、以前ポロリと零していたよ。彼女も大概、君と同じでいらぬ気を回すタイプだ。ミカの事が第一ではあるのだろうが、君の事を蔑ろにしている訳ではないということは分かってやってくれないか。ナギサ?」
セイアの言葉に、少しだけ戸惑うナギサ。『桐藤』の家の者として、普段から常に己を厳しく律して生活しているナギサにとって、こういった『立場』としての関係はいずれ必要なものとして受け入れて、ストレスになっているとは全く考えていなかった。が、確かにミカやリンデと以前のように気軽に話せる関係ではなくなった事を寂しくは思っている自分も少なからず覚えがあり、されどそれを表に出す事は無かったため、知らず知らず内に抱え込んでしまって無自覚なストレスとなっていたようだ。リンデはそれに気づいて、ミカの提案に乗っかる形でガス抜きをさせていたのだと。
思えば、悪戯の報復としてミカにロールケーキをぶち込んだりした後、何となくスッキリした気分になる自分がいたが、あれは無自覚なストレスを発散させたお陰だったのかと気づくと、何だが気恥ずかしさと申し訳無さが込み上げてきて、しかしそれでも、他にやりようはなかったのかと複雑な気持ちになり、顔を俯かせてしまうのだった。
そんなナギサの様子を、片付けを始めたリンデから離れたミカが訝しんでセイアに尋ねた。
「あれ? セイアちゃん、ナギちゃんどうしたの?」
「君達、というよりリンデの気遣いに対して、少し気恥ずかしくなったようだ。」
「ふ〜ん。でも、私もリンデちゃんも割と好き勝手やってるから、気遣いとかとは縁遠い気がするんだけど。リンデちゃんなんかむしろ、ナギちゃんには色々迷惑かけちゃってる、って、たまに気にしてるみたいだし。」
「君は気にしてないのかい?」
「勿論! だって、ナギちゃんなら私がなにかやっても、最終的に許してくれる、って信じてるからさ。」
能天気にあっけらかんと、笑顔でそう宣うミカ。『未来予知』で後の未来を知っているセイアとしては、このミカの発言が後にミカ自身を苦しめる事になると知っているため、苦言を呈そうかと思ったが、『お茶会』前にリンデに注意された事もあって、少し言葉を変えることにした。
「・・・君のそういう、ある意味能天気な所は美徳だと思うよ。うん。」
「ん〜? 私またバカにされた?」
「? 褒めたつもりだったのだが。」
「それで褒めてる、って言うなら、相当感性が捻くれてるよセイアちゃん。それでよくモガッ!?」
「は~い、ちょっと落ち着きましょうかミカ。すみません、セイア。私の幼馴染達がお引き止めしてしまったようで。」
「モガッ、モガガッ!」
セイアの一言でカチンと来たミカが致命的な言葉を言う前に、後ろから一旦片付けの手を止めたリンデが割り込んでミカの口を塞いだ。そして、腕の中でもがくミカを抑えながらリンデが謝罪すると、セイアはそれを気にしていないといった風に言葉を返した。
「いや、気にしなくて良い。ナギサは私が声をかけた側だし、ミカに至っては私が彼女の機微に合わせた言葉を言えなかったのが問題だ。それに、ミカが言おうとしただろうことも、おおよそ予想はつく。君が気にする事ではないよ。」
「えぇ、そうでしょうね。ですが私は気にしますし、ミカも後で落ち込むでしょう。それは私の望む所ではないので。」
「そうかい。では、お優しい『首長補佐』の言葉に甘えて、もう退散するとしよう。」
「そうして下さい。では、また明日。」
「あぁ。また明日。」
そう言葉を交わしてセイアは今度こそ『パテル分派』の首長室を出て帰宅への道へついた。
そして、あとに残されたリンデは、腕の中から何とか逃れたミカを何とか宥め、落ち着いたナギサと出ていくのを見届けてから、残りの片付けと予定の確認を行った。
セイアは無自覚にミカを煽ってしまう概念、あると思います。
たぶんセイア側は煽ってるつもりはないけど、ミカが基本直情型でセイアの発言の一々が癪に障るのが原因じゃないかなと。
これがナギちゃんや今作のリンデならまだ素直に受け取れるけど、ミカ相手だと単純に相性の問題で売り言葉に買い言葉となるのだと思います。その結果が原作。
ミカは決してセイアの事が大嫌いと言う訳ではない。ただ、発言が一々小難しかったり、遠回し過ぎて難解になってたり、微妙に棘を感じる時があったりして、そういったところが癇に障って。だから一回軽く痛い目を見てもらおうとした結果、原作ではあんな事になってしまったのかなと。
普通嫌いな相手なら、ミカの性格の場合寧ろ清々したとなりそうなのに、後々まで目茶苦茶引き摺ってるところを見ると、結局のところ素直になれなかったのだと思います。どれだけ嫌いな面があっても、自分の事を家柄や役割を通してではなく、ちゃんと1人の『聖園ミカ』として見てくれる人に対してこそ、ミカは心を許してくれるのかなと。それがミカの魅力の一つだと感じてます。
今作では、これからもそんなミカの魅力を見せていけたら良いなと思っています。ご期待ください。
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それではまた次回!