人類が機械に負けた世界に転生したけど、記憶喪失の美少女アンドロイドを世話したらめちゃくちゃ懐いてきた   作:アスピラント

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お久しぶりです


機械の胎の戦い①

 数時間前――それはアンドロス将軍から機人を嫌うきっかけになった話を聞いた辺りまで遡る。

 

「――コーラス・アコンプリの……アリスタさんがキメラを?」

「ああ、俺だけが……あの場で指示を出すアリスタを見ていた」

 

 スジュラは信じられないというのが率直な感想だった。アリスタが所属しているコレクティヴは人間に友好的な思考回路を持っており、生まれつき備わったプログラムに反してまで人を殺すのはアルファ・マインドであっても実行出来ない。

 

 となれば――アリスタは誰かにプログラムを変更された事になる。

 

「俺も信じられなかった、勘違いじゃねえかってな。だけど……意識データを移植する機能について考えたら、アリスタが人を殺す思考回路を持つ事が出来るんだ」

 

 レクスは無言で立ち上がり、手元のタブレットを操作する。やがて、空間投影ディスプレイが起動し、そこに複雑なコードの羅列が浮かび上がった。

 

「ジェミナの電子頭脳には、正体不明のマルウェアが残っていた。意識データ変換を行うやつが」

「前に説明したやつか?」

 

 スジュラが問うとレクスはうなづく。

 

「そう。ただの侵入型ウイルスやデータ破壊系のものとは違う。これは明らかに高度な意図を持って作られている――これは機人じゃなく、人間が作った奴だ」

 

 レクスは指を滑らせ、投影データの一部を拡大した。そこには、複雑な神経模倣回路とデータ転送プロトコルが記されている。機人の意識データを他のボディに移植するために必要な工程が書かれてあるようなものだ。

 

「意識データを抽出し、異なる機人のボディへと変換・適応させる仕組みを持っている……という事はだ。機人だけじゃなく人間にも適応させられる技術を持つアイツらなら、逆も出来ないか?」

 

 スジュラの脳裏によぎったのは研究施設のログだ。

 ベガとアルタが最後に見たログには、人間の身体に機人の意識を埋め込む狂気の実験がある。少なくともかなり前から技術が確立しているのならば、今現在はもっと精度高く出来る筈だ。

 

「だからアリスタさんは、かつてアンドロス将軍の仲間に手をかけた。前回捕まった際に中身はもう、()()()()ではない誰かにされたから」

 

 

 重苦しい沈黙がスジュラ達を支配する。

 そんなタイミングでユアンが通信してきた。

 

《彼女が敵だとすれば、我々をあの地下施設まで導いたにも筋が通る。恐らくエリュシオンからアルタを連れて来るように命令されたんだろう》

「ユアン……」

《……してやられた、これに尽きるね》

 

 ユアンは珍しくしおらしかった。

 いつもは飄々としていて捉えどころがない彼だが、この時ばかりは責任をかなり感じている様子だった。

 

《だけどアリスタが確実に敵という確証はまだない、具体的なデータもある訳じゃない》

「……でもアタシらには時間がない、アルタを救わなきゃいけない」

《そう……だから確実に捕まえるためにも、工房はわざと誰もいないようにする》

 

 ユアンの作戦は引っ掛けだ。わざと警備を手薄にする事で、ジェミナの亡骸を引き取りに来たアリスタを捕える。ただ相手は機人のため、スジュラやタナクなど強い機人が担当する事になった。

 

「ユアンと言ったな、俺は何をすれば良い」

《アンドロス将軍はもしもに備えて、部下に声をかけて警備を固めてくれ。アリスタが裏切り者を動かして混乱を起こす可能性がある》

「……了解」

 

 若干不服そうだが、身内に裏切り者がいたアンドロスとしては何も言えなかった。

 

《今日の内には対処しておきたい、我々も義勇団に掛け合おう》

「……ああ」

 

 それからユアンはアンドロス将軍には厳戒態勢と同じように配備をするよう頼むと、スジュラとタナク、そしてレクスに別途で話があると言って別室へ移る。

 

 一体何を命令するつもりだと身構えていると、ユアンは真剣なトーンで言った。

 

《さて……アンドロス将軍、および義勇団には言えないが……実はこの街に向かってアルカディスト達が侵攻してきている》

「何……」

《ほぼ全軍に近いが……戦力的にサングラール王国にいる軍と義勇団を壊滅させる事は出来ない。()()()ワタシは彼らには伝えない》

「……その理由を聞いていいか?」

 

 スジュラとタナクは()()()らしいと思った。

 

《事前に対策でもされて余計な動きをされたら、アリスタが予期せぬ動きを取るかもしれない。本当に不意を突かれた場面を見せて……アリスタが亡骸を取りに来るようにさせたい》

「……戦闘で人が沢山死ぬかもしれなくても、敢えて言わないと?」

《彼らに時間を使えば使うほど、死ぬ人の数は増える。犠牲無しで勝つのは難しい》

 

 ユアンは大局を見据えて動いていた。

 その際に犠牲者が出たとしても、最終的に負けるよりかは勝つ方がいい。そういう奴だとスジュラもタナクも、付き合いが長いレクスも充分知っていた。

 

「……援護ぐらいはいいだろ、メンバーの配置はアタシが決めていいか?」

《勿論》

「……ユアン、アタシはお前を信じているが……犠牲を厭わないやり方を取る時のお前は苦手だ」

 

 もっといい手があるなら、スジュラはそれに飛びつく自信があった。でも自分ではユアンよりもいい手を導き出す事は出来ない。アルファ・マインドであるユアンはきっと、今口にしたこと以上のことを考えている。

 

《仕方ないさ、機人なんだから。どう取り繕っても……ワタシ達は人とは違う》

「……」

《頼りにしているよ、皆》

 

 

 

         *   *   *

 

 

「――ふふふ、いやぁ……バレていたとは。機人の力は侮れませんねぇ」

「……あくまでも推測だ、大したことはしていない」

 

 アリスタは歪な笑みを浮かべながら言った。

 タナクはアリスタの中身がナハトアだという確証はなかったが、彼女の口ぶりからして当たっていそうだった。

 

「アルファ・マインドの身体を使って機械を操るつもりだろうが、そうはいかない」

 

 タナクはトマホークを取り出す。

 彼女のコレクティヴは戦闘に秀でた機人はいない。アルファ・マインドらしく、並の機人とは異なる機能を持ち合わせているだろうが、問題ないとタナクは踏んでいた。

 

「狂信者は今日ここで潰える、永遠に」

「……出来るといいですね」

 

 不敵な笑みがどうにも癪に障るが、タナクは己の心を落ち着かせて構える。

 

「ふふふ」

 

 対してアリスタ=ナハトアの口元が吊り上がる。

 その笑みに、タナクは肌を逆撫でされるような苛立ちを覚える。

 だが心を沈めて構え直す。相手はただの機人ではない。アルファ・マインドの能力を考えれば、その厄介さは尋常じゃない。

 

()()()()

 

 アリスタの目が光り、信号を放つ。

 その瞬間に辺りから咆哮が聞こえ始める。

 

「呼んでいるな……」

 

 タナクの目が鋭く光る。

 アルファ・マインドの能力――それは自分と同じコレクティヴの機械や生体兵器に干渉し、意のままに操る事だ。アリスタの意識を乗っ取ったナハトアが行う「召喚」は、想像を超える惨事をもたらすと危惧したタナクは、さっさと彼女を始末すべく動き出す。

 

「フッ!!」

 

 タナクが地を蹴った。

 鋭い踏み込みとともに、トマホークの刃が稲妻のように閃く。アリスタの頭部を狙った一撃――しかし、その刹那。

 

「――!」

 

 床を突き破り、巨大な影が躍り出た。

 ぬらりと滑るように現れたのは、金属と肉が融合した異形の怪物。胴体は長大な蛇、鱗の代わりに鋼鉄の装甲片が絡みつき、節々からは赤熱する蒸気を吹き出している。

 

 蛇のようなキメラだった。

 

「チッ!」

 

 トマホークの刃は怪物の首をかすめたが、分厚い外殻に弾かれ火花が散る。キメラはその巨体をうねらせ、尾でタナクの身体を横薙ぎに払った。

 

「ぐっ……!」

 

 重すぎる衝撃に、タナクの身体は数メートルも吹き飛ばされる。背中が壁に叩きつけられ、機体が軋む。

 

 だが立ち止まる暇などない。

 

「――まだだッ!!」

 

 彼女は即座に体勢を立て直し、再び前へ駆ける。だが蛇のキメラは口を大きく開いた。喉奥で紅い光が脈動する。

 

「……っ! 火炎放射か!」

 

 次の瞬間、灼熱の炎が奔流となって吐き出された。

 轟音とともに広間を覆う火炎は、空気を歪ませ、石造りの壁を一瞬で焦がす。

 

 タナクは咄嗟に横へ跳び、床を転がって炎の直撃を避ける。髪先が焼け焦げ、熱風で肌が裂けるような痛みに襲われるが、構っている暇はない。

 

「フフフ……どうしました? まだ始まったばかりですよ」

 

 アリスタの声が重なった。

 彼女の両眼は、もはや機人の冷徹な光ではなく、ナハトアの狂気に満ちた光を宿していた。

 

「お前……!」

 

 タナクは歯噛みする。

 キメラは再びうねり、今度は尾を地面に叩きつけて衝撃波を生む。床石が砕け、破片が四散する。タナクはその隙間を縫うように飛び込み、トマホークを振るった。

 

「オラァッ!!」

 

 刃はキメラの首筋を深く抉り、体液と機械油の混ざった液が噴き出した。だが蛇は怯むどころか、逆に口を開きタナクに喰らいつこうと迫る。

 

「くっ……!」

 

 直撃は避けたが、牙が肩を掠め、鋭い痛みが走った。血が滲み、装甲が裂ける。

 

「まだ……負けん!」

 

 タナクは痛みに構わず、再び刃を突き立てる。しかしその時――。

 

 アリスタが右手を掲げ、奇妙な信号音を発した。

 電子的な高周波が響き、空気そのものが震える。

 

「――来なさい、我が兵たちよ」

 

 その声に応じるように、周囲の通路や天井から複数の気配が迫る。金属を軋ませる音、獣の咆哮、蠢く影――。

 

 次々と現れたのは、蛇だけではなかった。

 四肢を持つ獅子のようなキメラ、昆虫の翅を持つ異形、鋼鉄の脚で地を踏み割る巨獣――。

 

「……数を呼びやがったか」

 

 タナクは舌打ちする。

 火炎の熱、硝煙の匂い、獣の吐息が入り混じり、広間は地獄と化した。

 

「何と素晴らしい……! これを使えるようになれば、我々の悲願も叶う!」

 

 アリスタの声音は陶酔していた。

 

「この身体に人の意識を宿せば、憎き機械共を一掃出来る。人類は黄金時代を再び取り戻す……!」

 

 彼女の視線の先には、機械の胎(ミトラ)がある機械のピラミッドがある。あそこに侵入を許せば――詰みだ。

 

「待てッ!!」

 

 タナクは怒号を上げ、再び走り出す。

 だが眼前の蛇が再度炎を吐き、立ち塞がる。

 赤熱した空気の壁。押し寄せる狂信者の影。

 そして悠然と、アリスタ=ナハトアはキメラの群れを従えて門へと歩み始めるのだった。

 

 

          *   *   *

 

 

「――んぐ……」

 

 瓦礫の落ちる音で目を覚ました瞬間、ティムルの身体は反射的に跳ね起きていた。

 鼻を刺す焦げ臭さ。立ち込める煤煙。鉄と硝煙と血の匂いが混じり合い、空気そのものが毒のように重い。

 

 彼女が閉じ込められていた牢屋の格子は、既に半壊していた。外からの爆撃によって、石造りの壁は無惨に崩れ落ち、夜空の黒煙の下、赤々と炎が揺らめいている。

 

「……チッ、アルカディストのバカ共め、当たったらどうしてくれんだ……」

 

 拳を握りしめ、ティムルは噛み締める。

 こんな形で自由を得たことに屈辱を覚えながらも、今は生き延びる方が先だ。アセンション・システムは拘束を受けて以来、まともに起動できない。戦士としての力を十全に発揮できぬままでは、この戦場に身を置き続けるのは無謀だ。

 

 瓦礫を踏み越え、焼け焦げた木材を避けながら外へ出る。夜空を裂く光の筋が、彼女の頬を一瞬ごとに照らしては消えていく。爆炎が天へと昇り、城下の建物が次々と瓦解していく。サングラール王国の街――その繁栄の象徴だった王都が、まるで紙細工のように崩れていく光景に、胸がすく思いになった。

 

「さっさとずらかるか」

 

 アセンションがない今、迂闊な戦闘は不可能だと自覚しているティムルはこの場から逃げ出す事にした。

 

 城門の方角を目指そうとしたその時――。

 

「どこへ行くの?」

 

 背後から、あまりにも自然すぎる声が落ちてきた。

 反射的に振り向いた刹那、鋭い衝撃が脇腹を打ち抜いた。

 

「――ッ!?」

 

 意識が揺らぐより早く、彼女の身体は宙を舞い、荒々しく地面に叩きつけられた。肺の中の空気が強制的に押し出され、咳き込みながらも必死に腕を突っ張って起き上がろうとする。

 

 だがその動きを無造作に押さえつける手があった。冷たくも確かな力を帯びた腕が、彼女の肩を押し潰すように地面へ固定する。

 

「ぐっ……! お前……誰だ……ッ」

 

 歯を食いしばり、唸るように問いかける。

 その瞬間、夜の闇を切り裂いた爆炎の閃光が二人を照らし出した。

 

 光に照らされ、ティムルの視界に映ったのは――紫陽花を思わせる淡い青紫の髪、滑らかな線を持つ中性的な顔立ちの機人だった。その瞳は、楽しげに細められ、妖しげな微笑を浮かべている。

 

 ユアンがそこにいた。

 

「ダメじゃないか。勝手に出ていっちゃ」

 

 軽やかな声だがその声音の奥底には、ぞっとするほど冷ややかな響きが潜んでいた。

 

「ワタシはね、君にまだまだやってもらいたいことがあるんだよ」

「お前……どけッ!!」

 

 唇を噛み締め、拘束を振りほどこうとする。しかしユアンの腕は見た目以上に強靭で、微動だにしない。爪先を地面に押しつけてもがくが、逆に圧力を強められ、肺が潰れるかと思うほどの重圧に呻きが漏れた。

 

「はは……そう急がないでよ」

 

 ユアンの顔が近づき、息が触れるほどに迫る。その眼差しは人を見ているのではなく、玩具を覗き込む子供のような無邪気さであり、同時に悪魔の残酷さでもあった。

 

「君はね、とても大切なピースなんだ。ボードから勝手に抜けられちゃ困る」

 

 ティムルの心臓が早鐘のように打つ。だが恐怖を表に出すものかと睨み返す。

 

「……何を……企んでいる……」

 

 その問いに、ユアンは小さく肩を揺らして笑った。

 そして拘束したまま、視線を遥か遠くへと移す。

 

 炎の向こう、夜空を切り裂くようにそびえるのは、機械の胎――ミトラが埋め込まれた巨大な構造体。その頂きは赤黒い煙の中でも鮮烈に輝き、まるで呼吸するように脈動していた。

 

「まぁ、まずは彼らを止めてから、だけどね」

 

 ユアンの声は穏やかで、けれど耳の奥を冷たく痺れさせる響きを持っていた。

 

 ティムルはその言葉の意味を測りかねながらも確信する。

 初めて自分の自由がまた別の牢に閉じ込められたのだと。

 

 

           *   *   *

 

 機械の胎――ミトラ。

 1000年以上を経てもなお、稼働を続ける巨大な構造体だ。その内部は、青白い光に満たされていた。無数の導線と金属の梁が入り組み、まるで生き物の血管のように脈動を繰り返している。天井は見上げても果てがなく、奥底からは低い唸りが響き渡る。それは機械の心臓の鼓動にほかならなかった。

 

 アリスタ=ナハトアはその中心に立っていた。

 彼女の周囲を囲うように、蛇や獅子、昆虫の翅を持つ異形のキメラが幾重にも陣を組んでいる。鋼鉄と肉が混ざり合った怪物たちは、すでにこの聖域を侵すあらゆる存在を排除する準備を整えていた。

 

 アリスタの口元が吊り上がる。

 薄く笑みを浮かべながら、眼前にそびえる巨大な構造体――機械の胎のコアを見上げた。球状の結晶のような装置は淡く光を放ち、その表面には無数のパターンが浮かび上がっては消えていく。生きているかのように、絶え間なく情報を流し続けるその様は、まさに「機械を産む機械」の中枢そのものであった。

 

「……これが……人類の領域を蝕む元凶たる機械! 幾千年にわたり、我らの文明を押し潰し続けた忌まわしき胎……か」

 

 彼女の声は震えていた。だがそれは恐怖からではない。

 昂ぶり、興奮、陶酔――。人類の敵の心臓を目の前にした興奮に、ナハトアは打ち震えていたのだ。

 

「素晴らしい……敵ながら神聖さを感じる。だが貴様らの聖域は、我らのものとなるのです。かつて貴様らが我々の住処を奪ったように……!」

 

 アリスタは目を細めた。

 機械が人類を駆逐してから、何十世紀もの時が過ぎた。その間に人は、かつての誇りを失い、機械に媚びる者、共存を語る者ばかりが増えていった。だが自分は――アルカディストは違う。

 

「今日から状況は変わる。人類は機械を凌駕し、再び支配者として立ち上がるのです」

 

 その言葉を口にした瞬間、アリスタの両手から無数のコードが伸び出した。

 それらは彼女の肉体から生えているようであり、機械の補助器具のようでもあった。赤黒い繊維状のケーブルが空中を這い、コアの表面へと突き刺さっていく。

 

 接触の瞬間、空間全体に軋むような音が広がった。コアの光が明滅し、内部の機構が抵抗を示すかのように震える。だがナハトアは構わず、さらなるコードを伸ばして接続を拡大する。

 

「私は御使の使命を果たします。機械を殺し、地球を人類の下に返すのです……!」

 

 仰々しく宣言するその声は、金属の反響によって幾重にも増幅され、広大な構造体の中を震わせた。

 キメラたちが一斉に咆哮を上げ、主の言葉に呼応する。

 

 ――その瞬間だった。

 

 背後から猛烈な殺気が突き刺さる。

 

「……ッ!? 邪魔者か……!」

 

 アリスタの感覚が警鐘を鳴らすより早く、鋼鉄の床を抉りながら何かが一直線に迫ってきた。

 

「私を守りなさい!」

 

 アリスタの命に応じ、蛇型のキメラが飛び出す。だが――。

 

 閃光が一閃。

 その巨体が真っ二つに両断された。

 

 続いて獅子の姿を模したキメラが咆哮を上げるが、次の瞬間には頭部を撃ち抜かれていた。高出力のブラスターが連射され、異形たちが次々と焼き払われていく。

 

「……!」

 

 驚愕するアリスタの眼前に、影が迫る。

 無数のコードが突き出されるが、それらは全てブラスターの閃光によって焼き切られた。

 

「ぐッ――!?」

 

 次の瞬間、凄まじい衝撃が顔面を直撃する。

 鋼鉄の仮面がひしゃげ、アリスタの身体が吹き飛んだ。床を転がり、火花を散らしながら転がり落ちる。

 

「ぐッ……う……!」

 

 必死に体を支えようとするアリスタの視界に、乱入者の姿が映った。

 高台の機械梁に軽やかに降り立ち、白く輝くエネルギーの剣を構える人影――。

 

 その剣からは、ただの兵器とは思えぬ清冽な輝きが放たれていた。

 それを握る者の姿を見た瞬間、アリスタの瞳が大きく見開かれる。

 

「……貴様……!」

 

 侵入者は答えず、ただ冷ややかな眼差しで睨み返す。

 長い銀髪を後ろへ流し、凛とした顔立ちを持つ女戦士。戦場に降り立った白き刃――ベガ。

 

 彼女は剣を突きつけ、静かに口を開いた。

 

「ボクが相手だ」

 

 鋭い声音は、青白い光と金属音の響きの中で一際鮮烈だった。

 その瞬間、機械の胎の中枢に新たな戦いの火蓋が切って落とされた。




長らく更新してなくてすみません!
また更新していきます!

また当作品はカクヨムにも載せてます!
ですがハーメルン優先でやっていく予定です。

https://kakuyomu.jp/works/16818622172420217604

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