今回から本編に入っていきます。少し時系列がずれましたが、そこは歴史の修正力のようなものでなんとかなっています。
今回少し長めの4,229文字となっておりますわ、よろしくお願いしますわ〜!
気になる点等あったら感想欄にいただければ回答あるいは反映します!
ではどうぞ!
「先生、お疲れ様です!ナギサ様との面会の予定、あっさり通りましたよ!」
そんな連絡が来たのは昨日の昼のこと。シャーレの先生は相手が指定した時間にトリニティ総合学園を訪れた。
「あ、先生!お疲れ様です!こちらですよ!」
手を振ってそう言うのは先の連絡をした本人、阿慈谷ヒフミ。
「お忙しいところありがとうございます!トリニティは広大ですので、私がナギサ様のところまで案内させていただきますね」
そう言って先生を先導する。
「ナギサ様は一見気難しいように見えますが、やさしい方なのできっと先生も楽しく話せますよ!」
ヒフミはナギサのことを語り始める。
こういうことをしてくれた、こういう点が素晴らしい、などナギサの良い点を列挙していく。
「それで、のどが痛いときにナギサ様がカモミールティーを...あっ、もうこんなところなんですね。」
二人はいつの間にかティーパーティーの扉の前にいた。あまりの大きさに先生はやや気圧されるが、気を取り直して扉のほうを向く。
「それでは私はここまでですね。先生、頑張ってください!」
「うん、ありがとね。ヒフミも授業頑張って!」
互いが笑顔を見せ別れる。そして大きな扉を引き中へ入る。
いなくなった生徒を見つける為に。この学校を、元に戻すために。
「ようこそお越しくださいました、シャーレの先生」
中へ入ると一番に透明感のある声が耳に入る。声の主はテーブルの上にティーカップを置く。
「初めまして、君がナギサかな?ヒフミから聞いたと思うけど、シャーレの先生です。よろしくね」
「桐藤ナギサです。この度は遠路はるばるお越しいただきありがとうございます。どうぞお掛けください」
「ありがとう。ところで、ティーパーティーは現在2人活動できる、と聞いていたのだけど...もう一人はどこに?」
「ミカさんは...先の事件で塞ぎ込んでしまいまして。ここにいないティーパーティー生徒の一人の百合園セイアさんが襲撃されたのです。その事件についてお話があってこちらに来られたのではないのでしょうか?」
ナギサは顔を暗くする。その意図は読み取れない。
「うん、そのことで私はここにきたよ。特に『上原シン』くんについてね」
「...っ」
ナギサは俯く。
「...ミカさんが部屋に篭っているのも彼が...亡くなったせいです」
「...亡くなった?」
先生は息を呑む。目の前のナギサの雰囲気が変わったことを感じ取る。
「彼は...元々、生真面目でした。正義実現委員会に所属していましたが、私たちのボディーガードのようなものでした。戦闘力も高くミカさんによく懐かれていて、二人で行動することも多かったです。揶揄されて「パテル分派の騎士」などとも渾名されていました。その日は現在のホストの百合園セイアさんを護衛していました」
「...そんな彼が、何故?」
「ヘイローがなかったんです」
先生は衝撃を受ける。ヘイローがない人物が自分以外にいたと言うことは今まで聞いたことも見たこともなかった。それに自ら前線で戦うとは、まさに死にに行くようなものだと理解していたからだ。
「...彼は銃弾を体に大量に受けてきました。しかし、彼は治癒力が凄まじく...一日もせず完治し、また出動して敵を倒し、銃弾を受け...この繰り返しでした。ですが、急所に銃弾を受ければ彼とて...まだ遺体は見つかっておりません。セイアさんのセーフハウスの前には大量の薬莢が転がっており...最後まで、勇猛果敢にセイアさんを守るために戦ったのでしょう。行方不明として扱われてはいますが...恐らくは。」
「そっか...御愁傷様でした」
「恐れ入ります...彼は正義実現委員会や救護騎士団等のリーダーたちとも関わりがあり、彼女らも混乱しています...正実は動かず、救護騎士団は団長が失踪。ティーパーティーも機能不全を起こしており...無様です...」
自らを責めるようにそう吐き捨てる。
「ナギサのせいじゃないよ」
先生はそう断言する。
「其れは大人が背負うべき責任だ。ナギサもまだ子どもなんだから、責任を負う必要はない」
「もし誰かが責任を負うべきなら...それは私さ。それに、彼はまだ見つかっていない。私は彼の生命力を信じるよ」
若干の後悔と決意を込めてそう言う。
「それに、私がここにきたのは連邦生徒会からの依頼でもあるんだ」
ナギサの顔に驚愕が少し表れる。
「...いきなり連邦生徒会が、なぜ?」
「彼は元々連邦生徒会に所属していたそうで、リンちゃん達も焦ってたんだよ...それこそ連邦生徒会の全てを使って探し出そうとするまでに」
「成程...わかりました。シャーレの権限があれば生徒を自由に動かすことも可能かと思います。正実をご自由に使ってやってください」
その時ティーパーティーの行政官が走って入って来る。
「大変です、ナギサ様!教材用催涙弾の倉庫が占拠されました!」
「なんですって...どこの勢力ですか!」
「そ、それが...一人の生徒によって、だそうです」
ナギサは硬直する。
「私が行くよ」
先生は立ち上がり、タブレットを持ち一歩前に進む。
「こういう時のために私がいるんだからね」
「さっさと出て来るっす...こんな暴動を起こして何のつもりっすか!こんなことに構ってられるほど暇じゃないんすよ!」
私は苛立っている。1秒でも多くシンさんの捜索に時間を割きたい。少しでも早くシンさんの仇を討ちたい。そんな気持ちが私の気を狂わせる。
「また催涙弾っすか...ガスマスクを!」
『砲撃の準備できました!』
後方で砲撃の準備をしていた後輩たちから連絡が入る。
「やっちゃってくださいっす!」
早く終わらせたい。それだけが私の気持ちを逸らせる。そんな時、男性の声が聞こえる。
「これは...思ったより大変なことになっているね」
「シンさ-」
待っていた。ついに帰ってきてくれた。そう確信して振り向いた先には大人がいた。
「やあ、初めまして。私はシャーレの先生です、よろしくね」
「チッ」
思わず舌打ちが出る。幸いにも目の前の大人に伝わるほどの音量ではなかったようだ。
「正義実現委員会の仲正イチカっす。何しにきたんすか、死にたいんすか?」
少々苛立ちを隠せず強く当たってしまう。気をつけねば。
「この争いを終わらせにきたよ。君たちの指揮をしても大丈夫かな?」
「...指揮?まあいいっすけど...死なれたら困るんで、安全なところでやってくださいね」
「ありがとう、じゃあよろしくね!」
先生はタブレットを操作する。頭の中がスッキリしたような、そんな感じと相手の情報がまるでヘッドマウントディスプレイをつけたかのように浮き上がる。
「イチカ、後輩に砲撃支援を!位置はあそこ!」
目の前で縁が強調表示される。
「了解っす...砲撃支援頼むっす!」
後輩に電話をかける。元気な返事が返ってきたことを確認した。
数秒後、見事なまでに正確な砲撃が立てこもり犯-転入生、白洲アズサを襲う。
「総員突入!催涙ガスに気をつけて!」
後輩たちが一気に突入する。爆発音が鳴り響く。
「クレイモア...!?」
「こっちはブービートラップが...きゃああああ!?」
「落ち着いて!足元を良く見て、糸があったら銃剣で破壊して!」
被害を出しながらも進む。
そして、ついに。
「...チェックメイトっすよ、白洲アズサさん」
私は銃を突きつける。
「...ここまでか。煮るなり焼くなり好きにしろ、だが私は簡単には口を割らないぞ...お前らの腕と私の口、どっちが先に割れるか見ものだ」
「あー...いや、そんなことしないっすから。ただちょっと取り調べはさせてもらうっすよ。腕、出してください」
アズサさんはおとなしく腕を出す。手錠をはめる。
「午後14時31分、白洲アズサさん。暴力行為及び暴動の罪で現行犯逮捕っす」
「先生、お疲れ様でした」
会談の席に戻った先生にナギサはそういう。幾分か落ち着きを取り戻したようで、紅茶を一杯飲んでから
「さて...私の方からも、一点お話ししたいことがあります」
そう言う。
「愛が足りない子らを救ってあげてくださいませんか?」
「...それは、どういう意味?」
先生は片手で茶菓子を摘む。
「この学校で、残念ながら成績が振るわずこのままだと落第してしまう子らがいるのです」
「...と、いうのは建前です。シンさんを殺し、剰えセイアさんまで手にかけた輩...その見当はついています。怪しい生徒たちを収監し、トリニティの裏切り者を見つける...それが今回あなたにお願いする仕事です。生徒四人のうち怪しい3人と監視役の1人。この4人で構成する"補修授業部"の顧問になっていただけませんか?」
「...残念だけど、私はそのやり方には賛同できない。補修授業部の顧問にはなるけれど」
先生は不快感を滲ませる。
「私は、私のやり方で対処させてもらうよ」
「...ねえサオリ、そろそろシンくんに合わせてもらってもいいんじゃない?」
どこか仄暗い場所。アリウス分校の一角で二人は話す。
「...確認を取ってみよう」
「ほんと...!?」
「ああ、ある程度の回復はしているからな...」
サオリは奥の方へ向かう。
「マダム、聖園ミカが我らが神への面会を希望しています」
「上原シン、で大丈夫です、サオリ。いいでしょう、ですが余計なことを口走らせないように」
「感謝します。」
ベアトリーチェは指を鳴らす。十字架にかけられたシンが地下から出現する。
「あまり長居させないことです。」
十字架の拘束がはずれ崩れ落ちる。力は宿っていない。
「はい、マダム。」
「待たせた、面会許可が降りた。」
サオリはシンを伴い出てくる。
「お久しゅう御座います、ミカ様」
「シン君...!」
ミカはシンに抱きつく。
「もう大丈夫、トリニティに帰ろう...2度と酷い目に遭わせないから」
「ミカ様、それはできません...僕は僕の使命を、全うせねばなりません」
そう語るシンの目にはハイライトも、自分の意思もない。
「僕は知りました。野蛮なゲヘナどもの本性を。エデン条約など阻止せねばなりません....そのために、しばしアリウス分校への滞在を許していただきたく思います」
「うーん...また会えるよね?」
「ええ、必ず」
「分かった。待ってるね!」
「...ところで、なんでシン君にヘイローが?」
「治療中に急に発現したと聞いております。なぜかはわかりませんが...これでミカ様のお役に更に立てるかと」
「よかった...!これからもまたよろしくね、シン君!」
「かしこまりました、ミカ様」
ご閲読ありがとうございました!
トリニティに暗雲が立ち込めてきました、ここからどう本編に持っていくのでしょうか...作者なのに大雑把なプロットしかないというアホみたいなことをしているせいで自分でもわかりません。
いつもお気に入り登録等いただきありがとうございます!とても励みになっております。
次回は土曜日投稿予定です!頑張ります。
P.S.:UAが5000を突破しました!皆様がいつも閲読していただいているおかげです、本当に感謝しております!
これからも「偶然と奇跡の終着点へ」および烈風一一をよろしくお願いいたします!