偶然と奇跡の終着点へ   作:烈風一一

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こんにちは、烈風一一で御座います。
今回は合宿でみんなが勉強する会です。ストーリーの都合上、かなり端折ったり時間列が崩れたりしてしまっています、お許しください。
では、どうぞ!


私のやり方

「皆さん、おはようございます!今日から勉強の日々が始まります!第二次試験で全員合格を目指し頑張りましょう!」

「私も全力でサポートさせてもらうよ、よろしくね」

ヒフミは意気込む。ふんす!という声が聞こえてくるようだ。

「試験に備え、先生に模試を作っていただきました!皆さんは今日から一日一つ、これを解いてもらいます!料理は先生が腕によりをかけて作っていただける、とのことなので皆さん頑張りましょうね!」

「え!?私そんなこと言ったっけ!?」

「作ってくれますよね...?」

先生は生徒には逆らえない。忘れていた。

「わかった、素人に毛が生えた程度の腕前ではあるけど頑張るね」

「毛が生える!?えっちなのはダメ!先生も死刑!死刑よ!!」

「あはは...じゃあ、今日も頑張っていきましょう!」

そう言って四人は勉強を始める。ある程度"理解しているよう"であるハナコは他の二人に優先的に勉強を教える。

「ここは余弦定理を使って解くんです、辺ACとABを二乗してそれから二をかけたAC、ABにこれをかけてそれを引けば計算できますよ」

「なるほど...となれば、この答えは」

アズサは計算を進める。

「私も..負けてられない」

コハルは参考書を読みながら問題を解き進める。

「...先生、あのことは知っていますか?」

ヒフミが近づき、小声でそう語りかける。

「あの事って?」

「退学、と言えばわかりますか?」

「!?」

先生は驚く。ヒフミがそのことを知っているなどとは夢にも思わなかった。

「...うん、知ってるよ。でも私はそのことに与する気はないよ。私は私なりのやり方で対処する、そう決めたから」

「...よかったです!このこと、どうするべきですかね...同じ学校の生徒同士なのにいがみ合う必要はないはずだと思うんです」

ヒフミは思案する。

「大丈夫、ヒフミは優しいね。そのことは私に任せて、どうにか解決してみせるよ」

「ありがとうございます...!先生のおかげで少し心が明るくなりました」

「うん、よかった!」

 

「さて、皆!ご飯の時間だよ!」

先生はお盆の上に炒飯を載せて持ってくる。

「わーい!ごはんよ!」

コハルは無邪気に騒ぐ。

「先生、炒飯作れたのですね。少し意外でした。噂によれば毎日レーションのようなもので済ませていると」

「私だって大人だから料理くらいできるよ。炒飯は最近山海経の子に教えてもらったんだ」

先生は親指を立てはにかむ。

「これが炒飯というものか...食欲がそそられる見た目、初めて見た」

「あれ、アズサちゃんは炒飯見たことないんですか?」

頭の上に?マークを上げたようなアズサにヒフミは疑問を持つ。トリニティならまだしも外なら見る機会はそれなりにあるはず。

「ああ、トリニティでもあまり見ないだろう?」

「確かにあまり見ませんけど、山海経のほうで修業された人が偶に店を出してて、それで食べてるんです!」

「なるほど...いつか行ってみたいものだ」

「ぜひ行きましょう!」

きらきらと効果音が鳴りそうな瞳でアズサを見る。

「ああ、すべて終わったら行こう」

アズサは心の中で「もっとも、それは叶わないかもしれないが」と付け足す。

一抹の虚しさを伴わせながら。

 

「「「「ごちそうさまでしたー!」」」」

「はい、お粗末様でした!食器は私が片付けておくから持ってきてね」

「はーい!」

生徒たちは続々とお盆と皿を持ってくる。

「先生、美味しかった。良かったらまた作って」

「ああ、もちろん!」

 

「さて!皆さん。おなかも膨れたことですし、模擬試験の時間です!」

「午前の勉強の成果を生かして、しっかり頑張ってね」

先生はテスト用紙を配る。

「では...始め!」

先生はタイマーをかける。

「ここは出たような...どうだっけ...」

「あら、これは...♡」

「...」

皆さん、頑張って。ヒフミは心の中でそう念じる。

 

「止め!解答用紙への記入をやめて、筆記用具を置いてください。」

四人は筆記用具を机の上に置く。

「回収したのち採点するから、それまでは自由に過ごしてもらって構わないよ。一応復習プリントも作ってきたから、良ければ使ってね」

先生は解答用紙を回収する。解答用紙の代わりに復習プリントを置く。

「起立!気を付け!礼!」

「「「「ありがとうございました」」」」

ヒフミは号令をかける。四人はそれに続いて挨拶をする。

 

「お待たせ!結果を発表するよ」

先生は解答を裏返して配る。

ヒフミ 63点(合格)

アズサ 43点(不合格)

コハル 25点(不合格)

ハナコ 4点(不合格)

「あらまあ。」

「え、嘘...」

「...そうか。」

ハナコを除く二人は落ち込んだ様子を見せる。

「みなさん!これが私たちの現状です...第二次学力試験で合格をつかみ取るには、ここから全員が六十点以上をとれるようにせねばなりません!そこで、まずは...コハルちゃんとアズサちゃんの勉強を、私とハナコちゃんが見ます!」

「私ですか...?4点をとったんですよ...?」

ハナコは訝しむ、と同時に何か察する。

「その、申し訳ないのですが、ハナコちゃんの一年次の成績を見てしまいまして...すごく成績が良かったし、何なら三年時の学習まで飛び級できるほど、と書いてあったので、お願いしたいなって」

「...なるほど、そういうことですか。私でよければお力になりますよ?」

やはりそういうことですか、と思う。

「ありがとうございます!先生がまだまだも死を作ってくださっているので、明日からも頑張りましょう!」

 

「先生、今少しお時間ございますか?」

ハナコがノックして入ってくる。

「うん、いいよ。」

「ありがとうございます、では早速...ナギサさんの話です」

いつになくまじめな表情でハナコは話し始める。

「どうして君がそれを!?」

「しーっ、皆さんが起きてしまいますよ..さっき話していたのが聞こえてきたんです。まさかナギサさんがそんなことをしているなんて」

「それに関しては問題ない」

コハルとアズサが入ってくる。

「君たちまで,,,!?」

「すまない、先生。盗み聞きなどするつもりはなかったのだが聞こえてきてしまった」

「ナギサ様が何をしたの!?」

落ち着きはらうアズサとは対照的にコハルは混乱している。

「分かった、君たち三人にも説明する...この補習授業部の設立目的は『裏切者』を見つけて粛清すること。エデン条約のためナギサが疑わしい人たちをまとめて入れたんだ。だから、誰か一人でも不合格がいたら、全員退学となるんだよ」

「...私は転校生だからか」

「私は...奇行と1年生の時の私ですか」

「あ、奇行って実感あったのね...」

コハルは静かに驚く。

「...となると、私はどこが疑わしかったの?」

「おそらく正義実現委員会への牽制ですね。成績が悪かったからちょうどいいのかと」

「...」

何も言い返せない。

「でも、60点を全員で取ればそれでうまくいくんでしょ?」

「おそらくナギサさんのことです。あらゆる手を使って阻止するでしょうね...私たちも対策を講じねばなりません、そして。私は謝らねばならないことがあります」

「点数のこと、だよね?」

「...お見通しでしたか。あの点数はわざとです。私はトリニティで...色々あって、失望したんです。この学園に、表面上はニコニコしながら殺し合いよりも醜いことをしている生徒たちに。ですが...それは、皆さんの足を引っ張る理由にはなりませんね。これは私の我儘です...本当にごめんなさい」

ハナコは遠いところを見たあと謝罪する。

「...私はハナコのしていることは悪いとは思わない。それもまた抵抗だからな、だが...前に進むのはもっと良い。」

「アズサちゃん...ありがとうございます」

 

それから四人は猛勉強を重ねた。

途中でシスターフッドのマリーがIEDに引っかかったりする珍事が起こったが、問題なく進んだ。そして、ある日。

「わー!ここに水が入ってるのなんて久しぶりに見た!これから泳いだりするのかな?」

「お待たせ、ミカ。どう言うご用事かな?」

「んー...特に用事とかはないんだけどね。アイスブレイクでもどうかな?って。私たち一応初対面でしょ?」

ミカは距離を近づける。

「ナギちゃんもずいぶん入れ込んでるみたいだね?こんな施設まで貸し出しちゃって...みんなでプールパーティーとかしてるの?」

先生は沈黙を貫く。あのナギサの友人、しかも幼馴染なのだ。何か情報を聞き出そうとしてる可能性がある。

「さすがの私もそこまで警戒されると傷ついちゃうなあ...まあ、長い前置きが好きじゃないなら本題に入るよ...シン君と裏切り者は見つかった?」

先生は動揺する。シンは捜索に手をつけられていないし、心を閉ざしていたはずの彼女に裏切り者のことがわかるはずがない。

「わー!すっごい驚いてる...知らないって思った?知ってるよ?シン君のことに手をつけてないのも、補習授業部で成績を上げるために奮闘してることも」

「...なんで君がそれを?」

「あ、安心してよ!ナギちゃんは何も知らないから。今日はね...シン君の捜索、もう良いって伝えに来たの」

先生は絶句する。一番友好的で良好な関係を築いていたはずのミカからこんな言葉を言われるとは思いもしなかった。

「...理由を聞いても?」

「もう...受け入れたんだ。シン君はいないってこと。私はあれを夢だと思うことにしたんだよ。」

「...そっか。だけど」

先生は大人のカードを握る。

「私は私なりの方法で対処させてもらうよ。補習授業部も、まだ見ぬ私の生徒にも。」




ご閲読いただきありがとうございました!
次回からオリジナル展開に突入していくつもりではあります!
ミカはもう壊れてます。大切な人を失い、自分から数週間離れていたらこの時のミカは耐えられるわけないじゃんね。
次回は火曜投稿予定です!いつも評価やお気に入り登録等ありがとうございます、よければ今回も評価、お気に入り登録、感想などよろしくお願いいたします!
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