今回は内容について、あえて何も書きません。
一つ言えることは、地獄に片足を突っ込みました。
では、どうぞ!
「...後で来てくれ」
ナツさんが誰にも聞こえないようにそう言う。何があったんだろうか。心配だ。
「わかりました」
一応そう答えておく。
「どーしたのさ、ナツ。もしかして隠し事でもしてるの?」
「どうだろうね。表は裏と紙一重であり、逆も然りさ。」
「またよくわからないこと言ってる...まあいいわ」
あのことに関しては何も悟られていないようだ。良かった。
「にしても、ここの店は素晴らしいね...何度でも来たくなる」
ナツさんのお皿を見るとショートケーキがなくなっている。
「あんたもう完食したの!?」
「さすがショートケーキの魔人...」
「君たちは失礼という言葉を知らないのかい?」
「まあまあ、そういう皆ももう結構減ってない?」
アイリさんは他の二人の皿を見る。8割がたケーキが消えている。
「し、しょうがないじゃない...おいしいんだし」
「...うん、少し席を外すよ。シンを借りていく」
ナツさんが店の外を指さす。
「...ほほー?いいじゃない、行ってらっしゃい」
カズサさんが不敵な笑みを浮かべる。絶対そういうのじゃないんだけどなあ...
「さて、単刀直入に聞こう。君は何を隠している?」
ばれていた。どう取り繕おう。
「...あなただけですよ、どうしてわかったんです?隠し事をしてるって」
「ただの勘さ...それに、そわそわしてただろ?まるで誰かから逃げているかのように。そしてたまに遠いところを見ていた。何か隠し事をしてないほうがおかしいと思ってね」
「...隠し事自体はしていますよ。ですが、それはあまりに重大なことです。誰かに話すわけにはいきません」
「ならなおさら人を頼るべきだ。君には仲間がいる」
仲間。仲間仲間仲間仲間仲間。
皆最後にはいなくなった。みんな死んだ。
二人裏切った。いや、二人と一つのAI。
「最後に頼れるのは己自身です」
「...私は一つ君に言いたいことがある。それは、できない事ばかり自分の体に背負ってもただ辛いだけ、ということだ。」
「それでも...それでも己以外頼るわけには」
ナツさんは目を細める。
「君は何を背負っている?何に縛られている?」
「僕が背負っているのは...罪業だけです」
「...そうかい。今の君に何を言っても聞き入れてはくれないだろうけど、一応。私たちにできることがあれば何でも言ってくれ」
ああ、この人は根からいい人なのだろう。己などにはもったいないくらい。
「...ありがとうございます。そして...今までお世話になりました。皆さんにもよろしくお伝えください。これ、代金です。こんな形で別れることになってしまい、そして今まで迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした」
「...君が何をしようとしているかは私には察しがつかない。が、君の背負っているものを下ろしたくなったら、また私たちのところに来るといい」
「...ええ。では、
今僕は何と言った?"また"?
まあ、気にすることではあるまい...作戦を続けよう。
「...見つからない」
駅のベンチで座ってミルクコーヒーを飲む。とても甘い。
彼はティーパーティーにも、正実にも頼られ、信用されていた。そんな彼が何も考えずに行動しているとは思えない。
その時、電話が鳴る。
「...知らない番号だ。もしもし」
「先生」
シンの声だ。良かった、彼は生きている。
「シン!?どこにいるの!?」
「明後日の調印式に行ってはならない。誰もだ。」
「え...?」
ツー、ツー、ツー。
電話が切られる。
「もしもし、もしもし!」
電話にどれだけ声をかけても、虚しく通話終了の音が流れ続けるだけ。
「アロナ、今の電話を逆探知して!」
『むにゃ...あ、先生!わ、わかりました!少々お待ちください!』
アロナは私の電話から逆探知を始める。
『...公衆電話からみたいです。』
「場所は!?」
『トリニティ自治区の...ショッピングモールの中みたいです』
「分かった、行こう!それと、正実の皆にも近くに行ってもらうようお願いして!」
『わかりました!』
「...よし、行くか。まずは手ごろな廃墟を見つけなければ」
そうして公衆電話を出る。すると、何やら入口のほうが騒がしくなる。
「すみません、正義実現委員会です。このあたりで男子生徒を見ませんでしたか?」
もう逆探知を済ませたのか。早い。
あのオーパーツの力だろうか。
「...逃げよう」
走って屋上へ。そして、屋上から飛び降りる。これは賭けだ。
ヘイローが出現しなかったら僕は死ぬ。でも、それだけ。
「...タルナーダ!」
左手を上のほうにむける。体が吹っ飛ぶほどの強烈な風を吹かせ、脱出。
どうやら、賭けはうまくいったようだ。
「こちら第一部隊、突風が...!」
「第二部隊、それらしき人物が屋上へ駆けあがるのを見たとのこと!」
「やはりいましたか...突風の吹いた方向は?」
「西に向かって吹いていました!」
「西...そちらへ全部隊を!急いで!」
やっと見つけたのです。私が何とかしないと。
「...見つかったんすね?」
「ええ...やっと、です」
「私も出るっす」
「ええ...頼みますよ」
私は明日の都合でどうしても離れられない。イチカの分の業務まで背負うことになるかもしれないが、先輩として当然のこと。
後輩を救わねばならないのだから。
「...ここまで来れば。」
先程のショッピングモールから離れた路地裏に来ていた。
連邦生徒会時代のスマートフォンを立ち上げる。そして、連邦生徒会の専用ソフトも。どうやら連邦生徒会内で作成したもののようで。
「...会長、ごめんなさい。」
あの電車の中でもらった会長のアカウントでログインする。
「トリニティ総合学園およびゲヘナ学園全生徒に向け明日の10:00にメッセージを送信。内容は今すぐトリニティの敷地内から離れること。」
通知サービスに必要な情報を入力していく。そして、明日のミサイル着弾予測時刻にしっかりと送信されるように。
「...あとは、力の操作を。」
刀を抜く。
「...こんなところで怖気付くな、会長から受け継いだ..世界を救え!己を犠牲にすることを厭うな!」
腹に刀を突き立てる。ヘイローが起動するが、耐え難い痛みを感じる。
イタイ、痛い、いたい。
デモ耐えろ。耐えろ。
「...タルナーダ」
手を向けた方に風が。そして。
「...反転」
視界が上がる。視界から色が失われる。
「...うん。痛みに耐えることが条件か。」
成功した。なんとか。
これで、世界を守れる。
「サーバーにアクセスが...連邦生徒会長!?」
驚いた。連邦生徒会のサーバーの警護システムを試していたら、こんなことになるなんて。
「...でも、IPアドレスが違う。ネットワークを変えたなら頷けるけど...これ、携帯だよね。しかも...みたことがある。このアドレスを、私は知っている。」
端末内検索をかける。一人の人物の名前が出てくる。
「上原シン...先生が人尋ねのところに出してた名前、か。」
ご閲読ありがとうございました。
主に過去を明かしたりする回でした。彼は自らの居場所さえも捨ててしまいました。
もう、彼には何も残っていません。
次回、エデン条約編三章、突入。
次回は火曜あたりに投稿する予定です!よろしくお願いします。