偶然と奇跡の終着点へ   作:烈風一一

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こんにちは、烈風一一で御座います。
クロコが来ましたね。私は引けました。臨戦ホシノはまだです。
今回は3章です。地獄です。
覚悟はできましたか?
では、どうぞ!


忘れられた破滅の風

『...先生。上原シンの居場所がわかった。連邦生徒会がすでに動いてる。』

ミレニアムのヴェリタス-自称"超天才病弱美少女ハッカー"が立ち上げたアンチセミナー的側面がある非公認部活-の副部長は私にそう連絡してきた。どうやら連邦生徒会のサーバーに仕込んだ本人曰く「警護ソフト」に検知がされたらしい...

「うん、教えてくれてありがとう。でも...その警護ソフトとやら、どう考えてもバックドアだよね?」

『気にしないで...そんなことより、トリニティ自治区のかなり外れにいるみたいだね。』

「わかった...すぐ向かう!」

急がないと、また手遅れになる前に。

 

「...よし。移動しよう。最後の晩餐とでも洒落込むか」

廃墟から出る。帽子を深く被る。

そして、出た瞬間。黒い服を着た人たちに見つかる。

「...見つけたっすよ、シンさん」

見つかった。逃げないと。そう思いイチカさんがいない方向へ走るが、向こうも正実に封鎖された。

「今度こそ帰りますよ...心配したんすからね?私も、ハスミ先輩も、ツルギ先輩も、マシロも、コハルも。みんな心配してます」

「僕にはやらないといけないことがありますし、それに。なんでみなさんは罪人の心配をしてるんです?」

「罪人って...シンさんは罪人なんかじゃ!」

「罪人ですよ!エデン条約を破壊しようとして、ミカ様を唆して!むしろなんで皆さんが僕を指名手配しないかわからないくらいですよ!」

刀を取り出し腕の付け根に差し込む。ヘイローが点く。

「...明日、古聖堂には絶対に近づいてはいけません」

上昇気流を吹かせて脱出する。

僕はいくつ関係を破壊すれば済むのだろうか。

 

「逃すな!」

いつもの演技も忘れそう叫んでしまう。

「絶対に絶対に連れて帰る...そのためならなんでもしますから...」

「皆、頼むっすよ」

 

「...しつこい!」

ヘイローはすでに消えている。走りにも限界がある。

「...あそこにもここにも正実。本当にもう、嫌になる。いい人たちなんだけど...ねえ」

こそこそと逃げ回って暮らすのにもそろそろ飽きてきた。

「...他の自治区へ行ってしまおう。古聖堂の近くにいつでも行けるように...ゲヘナが適切か」

走る。銃声の聞こえる方向へ。

噂が正しければ、ゲヘナは秩序と倫理が崩壊しているらしい。そのような場所に身を置いて裁かれるのも悪くはない。

「...急ごう。」

 

爆発音と銃撃音が絶え間なく響き渡る。どうやらゲヘナ自治区への移動に成功したようだ。

「...ここならなんとかなるだろう」

大量にある廃墟の中の一つに身を隠す。

「...」

そして、倒れる。

ああ、僕は思っていたより疲れていたようだ。

そんなことを思って意識を虚空へ沈める。

 

「...ええ、先生。わかったわ...とはいえ、こっちも不良生徒の対処で厳しいから、あまり期待しないで」

先生から頼られた。その事実がすでに限界を迎えた私の体を浮つかせる。

しかし、現に風紀委員会は手一杯。

さて、どうすべきか。

月を眺めながらアコのコーヒーを啜る。

あれ、こんなに美味しかったっけ。アコも腕をあげたのね。

 

「...倒れていたのか。いや、こんなところで倒れている場合じゃない。」

起き上がり時間を確認する。月が斜めになっている。午前4時。

「...行くか。」

腕を抉る。そして風を使い飛ぶ。

「...ゲヘナの天災とも呼ぶべきこの状況に感謝する日が来るとは。よく見える...火のおかげで」

トリニティとゲヘナの境界はよく見える。それは混沌と平音の違い。

「...会場までは離れてる、急ごう」

道端に横たわったバイクにまたがる。かなりの間放置されていたようだ。

「...運転はできるだろ。」

ボタンを押してエンジンをかける。

「...よし、行くか。」

そうして走り去っていく、

もう、全てを振り切った。

 

「止まれ!検問だ、学生証を見せろ!」

ゲヘナ風紀委員会が検問を行なっている。

「...非常事態ですので」

そのまま突破してしまえ。これでいい。

「...!あれが手配書に書いてあった上原シンだ!追え!追え!」

風紀委員が全力で追ってくる。

「こういう時に銃は役立つんですね...!」

速度を上げる。

しかしバイクのタイヤに弾が当たる。

「くそ...持ってくれよ...!」

速度を無理に上げると同時に裏道へ突っ込む。

何度も何度も曲がりくねった道を通り、そしてついに振り切ることに成功した。だが。

「...バイクはダメになった。おまけに現在地は不明。携帯の電波も届かない。このまま行くしかないか。」

とりあえず6時になってしまった。あと4時間ほど。

まだヘイローは出ている。タルナーダで上昇。

「...うん。あっちか。隠れながら行こう...」

そうして歩いていく。

もう、猶予はない。

 

「...目撃の報告はあるけど、逃した、と、」

「申し訳ございません!」

風紀委院がとんでもない勢いで謝罪する。そんな勢いでされても困るのだが...

「わかった、しょうがないわ...捜索は停止よ、仮眠をとったのちトリニティへ行くわよ」

 

...ついた。ついてしまった。

9:55。トリニティ総合学園古聖堂。

「私は今、通功の古聖堂の前におりますが...」

クロノスの連中がいい加減なことを言っている。

先生は古聖堂の中へ入る。

さあ、気にするな。仕事を始めよう。

まず、腹に刀を突き立てる。

「...やるしかない、腹を括れ!」

激しい痛みを感じる。立てなくなるほどの。

立て、タテ、たて。

そして、風を裂く音を探す。

「...あった。」

上空、トリニティ自治区ないから発射したようだ。カタコンベからだろうか。ふざけたことを。

「...やるしかない、」

すでに一部生徒のどよめきが聞こえる。ナギサ様とゲヘナのリーダー...羽沼マコトが握手を交わすため出てくる。

「...タルナーダ!」

古聖堂の上へ飛び移る。そして、飛んでくるミサイルを視認する。

「...破っ!」

手を上へ向ける。自分を中心に上昇気流を発生させる。

ミサイルはわずかに速度を緩めたに過ぎない。

「...足りないと言うのか!なら!」

反転、その四文字を喉から叩き出そうとする。

「シンさん!」

ナギサ様の声が聞こえる。

「お腹に刀が...今助けますから!」

部下の人にこっちへ来させようとする。ミサイルへはまだ気づいていないのか。

「逃げてください!できるだけ多くの人を連れて!特に先生とナギサ様、マコト議長を!」

腑抜けている場合ではない。喉から、叩き出せ!

「...反転!!」

その声が出た瞬間、視界が高くなる。10cmほど。視界から色がなくなる。そして風の威力が段違いになる。

今頃各員の携帯に通知が来ている頃だろうか。

「...ハイパータルナーダ!」

全てを吹き飛ばすほどの風が吹く。身体中が痛い。

しかし、ミサイルはブースターをまだ隠し持っていたようで。

「おさえきれない...!」

だんだんとヘイローにヒビが入り、そして。

ぱりん。

外側の一部が割れたまま浮遊する。

「おおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

なんで。どうして、こうなったんでしょう。

見つけると誓ったシンさんは今、私たちを守ろうとしている。自らの体を、ヘイローを傷つけてまで。

おそらくあの力は禁忌なんだろう。

「...砲兵隊、照準をあのミサイルへ!」

なら、私のやるべきことは。安全圏から見ていることではなく、彼の望みを果たすことだろう。

しかし。

「現在祝砲のための空砲しか持ってきていません...!」

そう言った刹那、爆発音と衝撃、熱風が押し寄せる。

シンさんは無事だろうか、それ以外のことを考えられないまま私は意識を手放した。

 

「頼む...頼む頼む頼む!」

この世界の崩壊を防ぐには先生の生存が必須。ここで一歩間違えたら先生は死ぬ。

つまり、俺はここで先生を生かすため、そして今までお世話になった皆さんへの恩返しのため。

なんとしても防がないといけない。

しかし。

「あ...ああああああああああああああああ!」

左腕に焼けるような痛み。見ると、20mmほどの穴が左腕に空いている。

痛みのあまり腕を下げる。風が消える。

「上がれ上がれ上がれ上がれ上がれ上がれ上がれ上がれ上がれ上がれ!」

しかし、腕は上がらない、垂れ下がったまま。

そして、着弾。

情けなく意識を手放してしまう。

「ナギサ様...ミカ様...会長...ごめんなさい...」




ご閲読ありがとうございました!
風でミサイルを打ち返せるわけないのに。でも、正気じゃない彼にはそんな判断はつきません、悲しいね。
次回からエデン条約の最初の地獄が始まります。シン君は体も心もやられます。楽しみですね。
よければ感想、評価、お気に入り登録等お願いします!いつも励みになっております。
次回は土曜投稿予定です!頑張ります。
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