毎日投稿一日目でございます!前回のトリアージ議論の続きからですが、不思議なことが起こります。
めちゃくちゃ眠いですが明日も登校頑張ります、それではどうぞ!
暗い。左が見えない。
「シンさんを先に救うべきです」
「先生は応急処置がなされていますが、シンさんは既に生きるか死ぬかの際」
「いえ、先生を先にするべきです。こちらの方は...恐らく、すでに助かりません」
「何を言ってるんですか!シンさんはまだ助かります!」
イチカ先輩、と...ゲヘナの救急医学部さんかな。
「この傷では治したとしても良くて植物状態です、わたしとしても助けられる命は助けたい。しかし、この状態ではすでに」
「そんなの治してみないとわからないじゃないですか!」
ああ、先生はやられたのか。いや、でもまだ助かるみたいだ。
「せん...ぱい」
「シンさん!?」
「その傷じゃ、意識を保つことすらままならないはず...!?」
あ、救急医学部の人がびっくりしてる。まあ死体みたいなものだししょうがないよね。
「先、生を...先生、を、優先...して、ください」
「話さないでください...まだあなたは助かるんです!!自らの生存の可能性を減らさないでください!」
「もし...もし、先生が、死んで...しまった、り、昏睡状態になったら...キヴォトス、は、きっと...破滅、します」
それに、ここで先生が死んでしまったら。
僕が今まで戦ってきた意味もない。僕は死んでいいようにふるまってきた。先生も悲しまないはずだし、誰も悲しまない。この世界において僕は異物だから。
「だからって、あなたが死ぬことは」
「僕は...もとより、死ぬ覚悟、でした。ここ...ゲホッ、まで生き延び...られた、こと自体。予想外...でした。」
口から暖かい何かが漏れる。多分血だろうな。
「お願い、します。先生を...たすけて、ください」
ああ、あたりが真っ黒になっていく。
ここまでかな。
「いま、まで。あり...が、とう...ござい、ました。」
色々思うことはあるけれど。
これで、僕の役目も終わったかな。
「シン、さん?」
反応はない。答えも帰ってこない。
「もう、寝るにはまだ早いっすよ?お昼寝なら中でしましょ、だから」
「だから...目を、開けてくださいよ」
分かってる。分かってるんだ。
もう、答えてくれることはないと。それでも。
「..あ、ああ」
今は、泣くことくらい許されるはず。
「あああああああ!!!!!」
慟哭する。なんで、なんであなたが。
「...失礼ですが、少しどいていただけますか?」
「...なんですか、ミネ団長」
「死んでいるか、生きているか。それを確認せねばなりません」
「...はい、これでいいですか」
思ったより従順な自分に驚く。
あるいは、この馬鹿げた可能性にかけているのかもしれない。
「...心臓は止まっています。ですが、肺は...なぜか、肺は動いています」
...信じられない。しかし。
カヒュッ、カヒュッといった息の音がかすかに聞こえている。
「まだ、シンさんは生きています...救護騎士団の施設では間に合いません。セナ部長、このトラックを貸していただけませんか?」
「...助かる見込みはあるのですか?」
「私が助けます。それに、何も一人分のみの治療用具があるわけではないでしょう?」
「先生とこの方の同時手術をしようということですか?」
「ええ、それが唯一の解決方法です」
信じられる。この人なら、シンさんを助けてくれる。
「私も、手伝います」
「お願いします、今は一人でも人手が欲しい。」
「私たちも手伝います!」
「救護が必要な場所に救護を、ですよね?」
「ありがとうございます、お二人とも。では...行きましょう」
シンさんを抱えて乗り込む。
必ず、助けますから。
「これより上原シンさんおよびシャーレの先生の救命緊急手術を開始します。」
先生の方は麻酔が施されている。シンさんの分の麻酔はない。
おそらく痛覚自体消滅している。その時、先生に麻酔を使用した方が有効である。そう結論づけられた。
「...かなり酷い。腕は壊死していますので切断します。ハナエ」
「わかりました...!」
大きな穴が空いていた左腕が切り落とされる。
世界はかくも儚いものか。
イチカさん、縫合しますので針と糸を」
「了解です」
胃を、心臓を、腸を、あらゆる器官を縫合していく。
残りの傷は脊髄のみ。
「...脊髄が分断されている。なら、なぜ動けたのでしょうか...?」
その時、灰色に近い白がシンさんの身体の中でひかる。
「...何が起こっているのです?」
脊髄の分断された部分が光り、そして。
「...修復、された?」
シンさんの脊髄は元通りに。
「縫合を開始します!」
「何が起こってるんすか...?」
「団長!心拍回復しました!」
もうわけがわからない。ただ。
助かってくれるならなんでもいい。
救護騎士団のベッドの上でシンさんが横たわっている。
呼吸もする、心拍もする。
ただ、意識がないだけ。
「よかった、本当に。」
そんなことを呟いたりしてみるものの、返事はない。
「...っ」
いつもいつもボロボロになって帰ってくる。健康でいたのは指で数えられるほどだった。
「...お願いですから、もうちょっと自分を大事にしてください。」
ただただ、虚しい。
「先生の手術終わりました。現在は容態も安定しています。」
「何よりです。」
「...意識を失われて、結果を待つだけ。いつ終わるかもわからない、辛いものですね」
「全くです。心から同意します」
「もう少しこの人たちには、残される側のことも考えていただきたいものです」
「本当ですよ...」
乾いた笑いが出てくる。全く、この人たちという人は。
私たちは待つしかないのだろう、二人の復活を。
「アズサちゃん...どこに、どこにいるんですか...」
指定された場所へ来たものの、アズサちゃんはどこにもいない。
「アズサちゃん...答えて、ください...」
「...ヒフミ。」
「アズサちゃん、どこに行っていたんですか...!今学園は、大騒ぎで...」
「ああ、知ってる。この憎悪を、誰かが止めないといけないんだ」
「どういうこと、なんですか...なんで、そんな悲しそうな顔を」
「来ないで!」
明確な拒絶の意思、強い決意を感じ取れる。
「ど、どうして...」
「ここから先は、平凡で普通の女の子が行くような場所じゃない。」
「私の、何がダメだったんですか...」
アズサちゃんはいつもとは違う、怖い顔をしている。
「...ヒフミ。これから私は、サオリのヘイローを壊す。人殺しの私は、もう友達じゃいられないだろう?」
「ま、待ってください...まだ、先生がきっと」
「先生は撃たれて意識不明。ハナコも、コハルも、ヒフミもみんな笑えなくなったのは私の責任なんだ。」
「それは、アズサちゃんのせいじゃ...!」
「私はこれから、人を殺す。それが当然であり、当たり前の世界で生きてきた人間がやるべき仕事なんだよ」
「待って、ください...」
人を、殺す?
アズサちゃんが?
「ヒフミ。私を見つけてくれてありがとう。私を友達と思ってくれてありがとう。私を"アズサちゃん"と呼んでくれてありがとう。可愛いぬいぐるみをくれてありがとう。」
なんで、そんなことを言うんですか。
まるで、二度と会えないみたいに。
「海へ連れて行ってくれてありがとう。楽しい思い出をありがとう。可愛いものが、美しいものが、綺麗なものがまだまだあると教えてくれてありがとう。補習授業部で学ぶことは、本当に楽しかった...たくさんのことをあんなに素敵な日々を過ごしながら学べて、本当に良かった。」
なんで、そんな笑顔で。
「死んでも、忘れない。少しでも補習授業部の生徒でいられて良かった...ありがとう、ヒフミ。さよなら」
アズサちゃんは、私が最も言って欲しくない4文字を言ってしまった。
「待ってください...まだ、先生が、皆んなが...どうにか、してくれるはずです...」
「それに、まだ何も終わってないじゃないですか」
「まだ第三次学力試験も終わってませんし、みんなで海にも....ペロロ様の冒険ビデオだって、まだ」
「行かないでください...行っちゃ、ダメです...待ってくださいアズサちゃん...」
「アズサちゃんっ!」
私ができたことといえば、その場にへたり込むことだけだった。
アズサちゃんの行方を、知る術はない。
ご閲読いただきありがとうございました!
普通の人間だったら脊椎はくっつかないのにね。なんでだろう。
結局二人とも助かりました。でも片方は次戦ったら死を迎える可能性がありますね。
神くんは左腕が使えなくなりました。あーあ、もう戦えないね。
次回は明日投稿予定です!ギリギリですが頑張ります。
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