到来
「私のミスでした」
やめてくれ、そんなことを言うのは。
「私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況。」
僕は、僕が招いてしまった結果なんだ
「結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて……。」
正しいのはあんただったんだよ、僕は正しくなかった
「私が信じられる人である、あなたになら、この捻れて歪んだ終着点とは、また別の結果を……。」
僕にはそんな力はないさ、だから戻ってきてくれ。もう一度僕らを率いてくれ
「そこに繋がる選択肢は……きっと見つかるはずです。」
...僕にできるのか?
「私は、信じています」
ようやく太陽が目を覚ました午前六時。路地裏で一人の少年が横たわっている。腰には鞘に入った刀とホルスターを、首からサンクトゥムタワー
「...か?こんなところで寝てちゃダメっすよ」
何やら誰かに声をかけられてるようだ。適当にごまかして立ち去ってもらおう。
「後、3分だけ...」
「起きてるっすね」
一瞬でばれた。どうしよう。ひとまず目を開けて立ち上がる。
「...ここは、どこですか?」
「トリニティ自治区の外れっす。それにしても珍しいっすね」
「連邦生徒会、それも連邦生徒会長に突如指名された、しかも誰も知らなかった男子の行政官が来るなんて」
「何故僕のことを?」
「連邦生徒会から捜索依頼が出されてるんすよ」
「成程、起こしていただきありがとうございます。では、ここらで...」
「ああ、それともう一つ。こちらを」
女子生徒は書類を見せる。
「連邦生徒会行政官、上原シンさん。連邦生徒会長からの命令で行政官を解任、トリニティ総合学園へ転入っす」
「...え?」
「それで私が探してたんすよ、あ。名乗り忘れてたっす、正義実現委員会2年生の仲正イチカっす」
「それはご丁寧にどうも、ひとまず状況が呑み込めないので連邦生徒会に確認しても?」
「構わないっすよ」
シンは電話を取り出す。見知った相手に電話をかける。
『はい、七神です』
「こんにちは、リン行政官。少しお聞きしたいことがありまして」
『編入のことですか?』
「なんでわかるんですか?」
『まあそんなことだろうとは思いました。連邦生徒会長からの通達ですし、どうやら以前からの決定だったようです』
「僕なんかやらかしましたか!?」
『物忘れで何回かやらかしてるでしょう』
「うっ、持病の仮病が」
『元気みたいですね、何よりです。では』
「ええ、お忙しいところ失礼しました」
「確認とれたっすか?」
「ええ、取れましたよ。仲正さんでしたっけ?」
「はい、イチカで大丈夫っすよ」
「申し訳ないのですがトリニティに案内してもらっても?こちらには来たばかりでして...」
「もちろんっすよ、行きましょ」
イチカに導かれるままにトリニティへ向け歩いていく。
「そういえば上原さんは何で刀なんか持ってるんすか?」
「ああ、僕は外の世界から来たので皆さんより力が弱くて、銃を扱えないんですよね。刀なら銃と違って扱いがまだ簡単なので」
「...外の世界?噂の先生と同じところってことっすか?」
「恐らくそうじゃないですかね?先生ってのがどんな人か知りませんけど」
「連邦生徒会長の発表では同じところ言って言ってたっす」
「そうですか...ま、とてつもなく非力で技量もないからこんなことしてるって感じですね」
「私はかっこいいと思うっすよ?刀で戦うなんて英雄みたいっす」
「英雄、ですか...僕にそんなのは似合わないと思いますが。ありがとうございます」
「いえいえ~。あ、着いたっすよ。ここがトリニティっす」
イチカが止まり指をさしたのは。
「...でっっか!?」
あまりに巨大な校舎、聖堂、古書館。
それらを満たすあまりに多くの人だった。
「トリニティ、でかすぎませんか...!?」
「そりゃゲヘナと肩を並べるレベルのマンモス校ですから。もともといくつかの高校が一つになってできたんすよ...さすがにこれは知ってるっすよね?」
「ええ、知識としては」
「まあそういうことっす。ひとまず、特例なので生徒会の人に会ってもらうっす」
「わかりました」
「失礼します、正義実現委員会2年仲正イチカ、お客様をお連れしました」
「どうぞお入りください」
「くれぐれも失礼のないように、ってやつっす。首を飛ばされないように頑張ってください」
「リンさんより怖いものなんてないですよ、頑張ってきます」
ドアを開き部屋へ入る。
「連邦生徒会より転入の命を受け参りました、1年上原シンと申します。この度は快く受け入れてくださり感謝しきれてもしきれません、ありがとうございます」
跪いて礼を述べる。
「生徒会の皆様の深い恩寵に感謝いたしますとともに、トリニティ総合学園への入学許可を願います」
「頭を上げて、どうか立ってください、そのように畏まられては落ち着いて話もできません」
絹のような優しい声で、しかし困惑したようにそういう人物が一人。
「あっはは!シン君、緊張しすぎじゃんね☆」
元気に、そしてからかうような声が一つ。
「ミカ、初対面の人を揶揄うのはやめたまえ」
形容しがたい、しかし落ち着いた声が一つ。
「失礼いたします」
顔を上げる。
部屋の中はバルコニーのようになっており、長いテーブルの上に茶菓子や紅茶が所狭しと置かれている。
「ティーパーティーの桐藤ナギサです、ナギサで構いません。よろしくお願いします」
亜麻色の髪の毛と瞳、高めの身長ときれいな羽が特徴的な女性が一人。
「わあ~!本当に来てくれたんだね!聖園ミカだよ、よろしくね~☆」
優しいピンク色の髪と銀河を体現したかのようなヘイロー、着飾った羽が特徴的な女性が一人。
「百合園セイアだ、現ホストをやらせてもらっている。よろしく頼むよ」
狐のような耳に背中を大きく出した服装、肩にシマエナガを載せていることが特徴的な女性が一人。
「まあ掛けたまえ、君がここに来たのには理由があるんだ」
「はっ、失礼いたします」
立ち上がり席に腰掛ける。
「ナギサ、説明を任せてもいいかい?君が発案したことだからうまく説明できる自信がないんだ」
「わかりました、それでは説明させていただきます。まずですが、『エデン条約』に関してはご存じですか?」
「ええ、ゲヘナとトリニティ間での和平条約ですよね?学園間での抗争は全て『エデン条約機構』なる実力組織が調停あるいは実力で制圧すると、というものであると伺っております」
「その通りです。この条約は連邦生徒会長を中心として締結される一歩手前まで漕ぎつけたのです、ですが会長の失踪で完全に瓦解してしまい...おまけに、ゲヘナを憎んでいる生徒も多数おり、このままであれば私たちティーパーティーが襲撃されてもおかしくはない状況です。故に、連邦生徒会に在籍しており、かつ武力も高い人物をこちらに派遣してくださることを要請したのです」
「ナギサ様が今回のことを計画したのですね」
「ええ、事前に何も説明せず申し訳ありません。ですがこちらにもやむにやまれぬ事情があったのです」
「その理由に関しては承知致しました。では、僕は護衛のために呼ばれたということですか?」
「それもありますし、連邦生徒会との橋渡し役にもなっていただきたいのです」
「分かりました、では...部活は自由に決めても?」
「ええ、構いまs「できればティーパーティーに入ってほしいな☆」...ミーカーさーんー!」
ナギサの言葉にミカが割り込む。ナギサはどこからともなくロールケーキを取り出す。
「承知いたしました。では、ティーパーティーに入らせていただきます。担当の方はどこにいらっしゃるのですか?」
「ロールケーキをぶち込みますよ!」
「ティーパーティーは私たちのことさ、トリニティでは少し部活の呼び名が特徴的なんだ...まあ、決まりで入れるわけにはいかないんだ」
「そうなのですね...では、どこに入ればいいでしょうか?」
言い争っているミカとナギサを傍目にセイアは言う。
「正義実現委員会、君を連れてきた人が所属している部活さ。そこで君には特別な任務を出してもらう予定にしていたんだがね...ミカは聞いていなかったようだ」
「正義実現委員会ですね、了解しました。ではそちらに入ることとさせていただきます」
「ああ、頼んだよ...ミカ、ナギサ。そろそろやめないか」
「お見苦しいところをお見せしました」
ナギサは一瞬で席に戻り紅茶を飲む。
「無理があるだろう」
「んむむむむ」
「まあ、ひとまず話はこれで終わりだ。あとは談笑とでも行こうじゃないか」
「まみむむめいむみゃんむ」
「ミカ、いったん飲み込みたまえ」
「ところでシンさんはどこから?」
「...覚えていないんですよね」
「あら、そうなのですね。それはおつらいでしょう...ですが、ここでは優しい方ばかりなのできっといい生活を送れますよ」
「ありがとうございます、ナギサ様。」
「もー!シン君表情も態度も硬すぎ!もっと気さくに行こうよ!」
「ミカ様、お気遣いありがとうございます。ですが自分ではどうしようもなく...」
「もしかして緊張してる?それなら安心して!私はそんなお堅いことよりフランクな感じがいいな☆」
「わかりました、少し緊張を解きます」
「うんうん!いいね!」
「シン君は強いの~?」
「近接戦闘においてはそれなりに」
「へえ、じゃあ」
「ミカさん、まさか戦ったりしませんよね?」
「私と勝負しよ☆」
ご閲読いただきありがとうございました!遅筆ではありますがここから少なくとも最終編までは書いていこうと思います!
以下主人公、シン君について
年齢:17
所属:連邦生徒会→トリニティ総合学園1年
特徴(現在明示できるところまで)
・目上の人に狂信的に、無頓着に従う
・黒い髪、黒い目
・ヘイロー無し
・刀所持
・連邦生徒会の制服着用
良ければ評価、コメント等よろしくお願いいたします!
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