今回でいったんエデン条約編3章が終了します。
...この章だけでシン君、ヘイローが割れかけになって左腕左目が欠損したとかマジですか?
ということで、本編始まります!この章が終わってもこの小説はまだまだ続くので、ぜひお楽しみに。
「...お前には散々苦しめられたが、それも今終わる」
やれることはやった。だが、それでも及ばない。
「いい加減に理解すべきだ。すべては虚しく、この状況を打開するすべなどないということを」
腹部に衝撃を感じる、遅れて蹴られたと知覚する。
「姫を殺しかけ」
「全てを裏切り」
「その報いを受けろ...私は、お前を絶対に許さない」
「...私は、サオリを差し違えてでも止める」
覚悟を決めて立ち上がる。そう、もう私はこれしかないんだ。
「お前などにできるものか!」
「私たちの怒りに、憎しみに、恨みに!耐えられるとでも思っているのか!」
「私は...人殺しになる」
「アズサあっ!」
「たとえ、もうあの世界に戻れないとしても。
「先生、支援の準備並びに連邦生徒会の方への手回しは完了しました。あとは...」
「ああ、補習授業部の皆と、風紀委員、正実、シスターフッドの連絡の子達。全員いるね...ところで、なんでここにアビドスの皆がいるの?」
「私が呼んだんです。」
ヒフミが呼んだのか、しかし何のために...?
「アズサちゃんに教えてあげたいんです」
「私の本当の姿を」
ヒフミのバッグの中には「5」と書かれた紙袋がある。まさか。
「ってことで、おじさんたちも行くから、よろしくね〜」
「うん、わかった。それと...シン。私は今から少し行くべきところがある。指揮の代わりを任せてもいいかな?」
「...わかりました。ですが、僕の指揮能力もあまり頼りにしてはいけませんから、早めに。」
「もちろん」
この戦いを終わらせるため、そして私を生き延びさせてきたことに対する恩を返すため。私は行かないといけない。
「これを使うのは久しぶりですが...やりますかね」
フレームレスの眼鏡をかける。
「戦闘支援システムMk.ⅩⅪ、起動。」
物々しい音を立ててホログラムディスプレイが起動する。さすがは「箱」の試作品。
「皆さん、これより作戦計画・概要を説明します。」
全員の視線が集まる。
「まず、補習授業部の皆さん。あなたたちは白州アズサさんの援護をお願いします。次に対策委員会の皆さん、ヒフミさんを援護してください。皆さんの戦闘力は折り紙つきですから、前線でも十分に戦えると判断しました」
「しつもーん。何かおじさんたちがやらないといけない立ち回りとかは?」
アビドス高校の小鳥遊ホシノさん。唯一の三年生。警戒されていることを感じる。
「基本的に動きに関してはほぼ指定しません、戦いやすいように戦ってくださればそれで。」
「おっけーい」
「次にシスターフッドの皆さんと正実の皆さん。あなた方は共同で謎の敵...仮称"聖徒会"の対処へ向かってください。できる限りで一般市民の皆さんの非難を支援してください」
「「了解」」
「最後に風紀委員会、あなたがたは現在地より中心に突貫して道を開いてください。支援は私が行います」
「了解しましたが、支援とは...?」
「先生の指揮みたいなものです。ただ、あれよりは強くないのであまり頼りにしないでください」
「なるほど、理解しました」
「それでは...行動開始」
賽は投げられた、進むしかない。
「なぜそこまで足掻くんだ。何の意味がある?何を証明しようとしている?知っているだろう、すべては虚しいと。」
「言っただろう、それでも足掻くと決めたと...!」
「それに何の意味がある!」
やはりサオリは強い。私の戦法は全く通じなかった。
私ももうそろそろ終わるのか?
...背中を掴まれる感覚がする。
「ヒフ、ミ...?」
「増員ですね、数は4...いえ、後ろにそれ以上」
「あれは...」
なんで。ここにきちゃいけない。そんな言葉が頭をよぎって、喉で消えた。
「,,,なんだ、お前は」
「普通の、トリニティの生徒です。」
「ダメだ、ここはヒフミみたいな普通の生徒が来る場所じゃ...」
「はい、確かに私は普通の至って平凡な生徒です。」
「この前見せてくれたガスマスク姿も、あれが本当のアズサちゃんなんだって受け入れられました。」
「そんなアズサちゃんが、本当なら自分みたいな生徒と関わるわけがない、そういう世界に住んでいる...そう言いたいのもわかりました。」
「ヒフミ...?」
「でも!」
「アズサちゃんは一つ、大きな間違いをしています!」
「!?」
ヒフミは一体何をしようと。正直なところ全くわからない。
「今ここで、私の本当の姿をお見せします!」
「私の正体、それは...」
ヒフミは「5」と書かれた紙袋を頭に被った。何をやっているんだ?このタイミングでふざけてる場合じゃないことは理解していると思うが。
「覆面水着団のリーダー、ファウストです!」
「...え?」
理解できない、何が起こっているのか。
ヒフミ、一体何が目的なんだ...?
「見てください、この恐ろしさ!アズサちゃんと並んだって、全然見劣りしないほど不気味でしょう!人によっては、私の方が怖くて恐ろしいという人もいるはずです!」
「ひ、ヒフミ...?」
もはやスクワッドですら困惑している。
「一体、何を...」
「だからっ!」
「私たちは全く違う世界にいる、なんてことはありません!」
「同じです、同じなんです!隣にだっていられます!だから...一緒にいられない、いる世界が違うなんて言わないでください...!」
「拒絶されても、すぐ近くに行って見せます!私は...!私はアズサちゃんのそばにいます!」
「こうやってすぐ触れられる場所へ!」
「ヒフミ...ありがとう。でも、私のためにそんな嘘を言ってくれたところで」
「誰が嘘だって!?」
誰か知らない人の声がする。さまざまな袋?を被った人たちがヒフミの前へ。
...誰なんだ、この人たち。
「いや〜、なんだか大事なところみたいだね?」
「あの覆面、まさか...!」
知っているのか、ハナコ。
「目には目を、歯には歯を。無慈悲に、孤高に、我が道の如く魔境を行く...」
「ん、それが私たちのモットー」
「普段はアイドルとして活動しているんですが、夜になると悪人を倒す副業をしてるんです〜♧」
「別にそれ私たちのモットーじゃないから!あと変な設定付け足さないで!」
「覆面水着団のリーダーであるファウストさんのご命令で集合しました!」
まさか、ヒフミがさっき言っていたことはすべて本当...!?
「え、えっ!?」
「存在していたんですね...」
「あいつらは...」
「わからない、詳細なデータはなし。」
「ふ、覆面水着団...噂に過ぎないと思っていましたが、実在したんですね...」
敵味方共に混乱している。ヒフミ、こんなすごい組織のリーダーだったのか...?
「リーダー、あいつらヘラヘラしてるけど注意した方が良さそう。少なくとも舐めてかかると痛い目に遭う」
「なーにうちのリーダー泣かせようとしちゃってるのさ。知らないよ?うちのファウストさんは怒ると怖いんだから」
「何せファウストちゃんは、最終的にあのカイザーコーポレーションを倒したようなものなのですよ♧」
「ブラックマーケットの銀行だってその気になれば襲える。朝飯前みたいに」
次から次へと武勇伝が湧き出てくる。ヒフミ、一体何者なんだ...?
「ファウスト!ファウスト!」
ヒフミの顔がどんどん赤くなっていく。
「ああっ、ファウストちゃんが袋を取ってしまいました!」
「あ〜、流石に恥ずかしかったのかな?」
「せ、せっかく乗ってあげたのに...」
「ありがとうございます、対策委員会の皆さん...!」
「ひひひひ...」
「正義実現委員会、行きますよ。シンの作戦の通り行きます!」
「"聖徒会"の対処が目的だ...いくぞ」
「シスターフッド、助けに参りました...!」
「ああ、ヒナタさん、マリーさん。よろしくお願いしますね」
中央へ向かい軍靴の音が進撃する。
「この間はよくも...!」
「...委員長は?」
「...」
『戦闘開始です!イオリさんを中心に進撃してください!』
ノックの音がする。今更誰だろう。
まあいい。念の為開けておこう。
「...せ、先生」
さまざまな感情が頭の中で渦巻く。
「無事だったのね...よかった。」
「どうやってここを...いや、先生だから今更か。」
喉から絞り出せたのは、その二つだけだった。
「ヒナ...」
「私は、もう...ごめん、先生。私はもう無理。私はもうダメなの...だから、がっかりさせて悪いのだけれど」
「今はもう帰って欲しい...私はもう、引退したものと思ってもらって。」
「...ヒナ。私はここであなたを急かしにきたわけじゃない。むしろあなたにお礼を言いにきたんだ」
「...え?」
予想だにしなかった一言。でも、私にはそれを言われる資格は...
「先生を助けたことなら、気にしなくていい...。あれは私の当然やるべきことで、むしろ私は」
「違うよ」
先生は断言する。ずるいわ。そんなこと言われると。
「私はいつも頑張ってくれてありがとう。そして、もう頑張り過ぎなくてもいいって...そう言いたかったんだ」
「ヒナはいつも頑張ってた。だから、私にあとは任せてゆっくり休んで。」
「ま、待って。なんとかって...」
「...でも、私は。私は、小鳥遊ホシノのようにはなれない...」
「...ホシノ?」
彼女みたいになれたらどんなによかっただろう、どんなに幸せだったろう。
「私は、彼女みたいに強い人じゃない。」
「彼女は大事な人...アビドス最後の生徒会長の遺体を見つけた。その時彼女はものすごく悲しかったはずなのに、苦しんだはずなのに。それだけの苦しみを味わっておきながら、彼女はまだアビドスで戦っている」
「私はそんなに強くなれない、私はもう...」
ああ、もういいだろう。言ってしまっても。
「私だって頑張った!」
「いつも頑張って、どうにかしようとして...わかってもらえなくても、それでも私は...」
「...先生は、ずるい。あんな時にあんなこと言われたら...私だって、小鳥遊ホシノや補習授業部みたいに...」
「先生に構ってほしかった、褒められたかった!」
ああ、言ってしまった。心の奥底に秘めていた全てを。
「あ、ご、ごめん、今のは、その...」
「ヒナ、本当にごめん!ヒナも今度補習授業しよう!点数が良かったらたくさん褒めてあげるから!」
「....え、いや、私は元々成績いいから...」
「じゃ、じゃあ水着パーティーしよう!」
「えっと、それも別に...ふふっ」
全く、この大人は。
「...ところで先生、私に頼みたいことがあるんじゃないの?」
「でも、ヒナは引退したって考えると」
「それは言ってみただけよ。少しみんなに甘えたくなった、それだけの話。行きましょ、先生。」
「ヒナ委員長...!」
「みんな、遅れてごめん。作戦計画概要はすでに聞いてるわ、行きましょう」
「いえ...はいっ!」
「包囲、されてしまいましたねえ...」
「これはちょっと厳しいんじゃない?」
「知ったことか、無限に増殖し続ける聖徒会の前では全てが無意味だ」
「むしろいい機会ではないか。この世界の真実を、全て無駄であることを知らせてやれるのだからな」
頷く。
「アズサちゃん、私は今怒ってます。すっごく怒ってます。でも、それ以上に無事でいてくれて良かったと。そう思ってます。それに」
「よくよく考えてみれば、この怒りはアズサちゃんのせいではありません。なので、私は今怒っていません」
「ヒフミ...」
「ですが、あの方々に関してはまだ怒っています。殺意だとか憎しみだとか、そういうのがこの世界の真実だなんて...それを強要し、全ては虚しいだのなんだの言ってましたが...」
「それでも、私は...!」
雨が止む。
「アズサちゃんが人殺しになるなんて、そんな暗くて憂鬱なお話、私は嫌なんです」
「それが真実だって、この世界の本質だって言われても、私は好きじゃないんです!」
「私には、好きなものがあります!」
「平凡で、大した個性もない私ですが...自分が好きなものに関しては、一歩も譲れません!」
「友情で苦難を乗り越え、努力がきちんと報われて、辛いことは慰めて、お友達と慰め合って...!苦しいことがあっても...誰もが最後は笑顔になれるような!」
「そんなハッピーエンドが私は好きなんです!」
あたりに光が集まってくる。
「誰がなんと言おうとも、何度だって言い続けて見せます!私たちの描くお話は、私たちが決めるんです!」
「終わりになんてさせません、まだまだ続けていくんです!私たちの物語」
「私たちの」
「私たちの、青春の物語を!」
そして、少女たちの決意を支えるように、空が青く澄んだ。
ご閲読いただきありがとうございました!
今回で3章が終わると言ったな、あれは嘘だ。
多分次かのその次かに終わると思います!
ヒフミ、やっぱりいい子ですね。これを書くにあたってストーリーを読み返しながら書いたのですが、ヒフミが光属性すぎました。
シン君の指揮要素は多分次に出ますね。頑張ります。
次回の更新はおそらく火曜日です!乞うご期待。
感想、お気に入り登録、評価いつもありがとうございます!モチベーションとなっておりますので、よければぜひお願いいたします。
P.S.:投稿遅れてごめんなさい...!
twitter始めました。@Jetstream_11と入れれば出てくるはずです。よろしくお願いします。