今回はアリウス中心回です。物語も大きく進行していくことになりますので、ぜひご期待ください!それでは、どうぞ!
「...はい、了解しました。」
姫と別れた後。私は昔同胞だった生徒に銃を向けられていた。
やはり...マダムが約束を守るわけがなかった。
...いや、何を?
しかし...
「リーダー、何呆けてるの!逃げるよ!」
ミサキが手を引く。
「す、すまない...」
「しっかりしてよリーダー!あなたが今しっかりしないでどうするのさ!」
「ああ...」
「ミサキさん、ちょっと、早いです...!」
「死にたいならゆっくり歩くといいよ!」
もう何をすべきかわからない。しかし。
今は、私は。
残った家族たちを守らねばならない。
「...ありがとう、ミサキ。」
私は銃を握り、反撃を開始した。
...今日は一段と雨が強いな。
雨が傘を打つ音が大きい。
視界も暗く、見えるのは横を通り過ぎる車のライトだけ。
...しかも、その車の量も確実に減っている。
本当にこんなところに人は来るのか?悪戯じゃないのだろうか。
このモモトークが普及しきった時代に電子メール、しかも差出人不明の。
明らかに怪しい、が...
...誰か、いる。
私は、その生徒を知っている。
「...サオリ」
銃を取り出す音がする。
一度は難を逃れたけど、結局これが私の運命だったんだろうか。
「...」
サオリは取り出した拳銃とアサルトライフルを投げ捨てる。
「先生...」
サオリはそのまま体を下げて、手のひらと頭を地面につける。
「アツコが、アツコが連れて行かれた...他の仲間も、襲撃を受けて散り散りに...生死も、不明だ」
「もう何日もアリウス分校から逃げてきたが...このままでは、アツコは死んでしまう...」
「明日の、夜明けとともに...彼女は、死んでしまうんだ。私の言葉など、信じられないかもしれないが...」
「先生、これ忘れてました...よ...」
...後ろからも、生徒の声がする。
どうやらトリニティに忘れ物をしてしまったみたいだ。わざわざ持ってきてくれたみたい。
...だけど、なんでよりによってこのタイミング、この生徒なのだろう。
「錠前、サオリ...なんで、お前がここに」
「上原シン...」
「いや...理由はもういい。先生に危害を加えようとした、違うか」
「違う、私は...先生に、助けを...」
「シン。今のサオリは前のサオリとは違うよ。だから...その刀を下ろしてくれないかな」
「...怪しい動きをしたら斬りますから」
なんとか刀を下ろしてもらえた...片腕だけで刀を持ってでも斬りかかろうとする、恐ろしいほどの殺意。
「サオリ、続けていいよ」
「ああ...アツコは、最初から生贄になるために育てられたんだ。彼女曰くアツコの血筋は特殊で...血が必要らしい、だが。」
「ゲヘナとトリニティを破壊することに成功したら彼女の命を助けてやってもいいと、それが私たちがエデン条約を襲撃した理由だ...」
「だが、私は失敗した。アリウススクワッドは...任務を達成できなかった...」
「今の私は落伍者だ。トリニティにもゲヘナにも、同胞たるアリウスにも...助けを求めることはできない」
「だから、頼れるのはもう、先生、あなたしか...」
「頼む...どんな指示でも従う、私の命で保証する。ヘイローを破壊する爆弾も持ってもらって構わない...私の生殺与奪を握ってくれても」
「私を信用できないと感じたら使ってくれ...だから、頼む」
...ここまで生徒を追い込むことができるのか。
私が感じたのは、怒りだった。
アリウス分校というのはかくも恐ろしいものなのか。そして、支配する大人はどれほど非道なのか。
「...それで許されると思っているのか」
シンの声が響く。激烈な怒りを...それも、サオリに対して感じているようだ。
「...思っては、いない。」
「ならなぜ今更このような図々しい真似を!先生の命を奪うということがどういうことを意味するか、知らなかったわけじゃないだろう!」
「...マダムに盲目的に忠誠を誓ってしまっていた。『Vanitas vanitatum et omnia vanitas』、これが世界の真理でありこれを信じ込むことこそ姫を救う方法だと...そう、信じていたんだ」
「...救出が終わった後は、どうするつもりだ」
「先生の指示に従うつもりだ。」
...以前のサオリとは、やっぱり違う。
今のサオリなら。
「...ひとまず、サオリ。立ってくれるかな」
「...し、しかし」
「私は、サオリと対等に話がしたいな」
「...わかった」
サオリは立ち上がる。
マスクを外した姿は初めてみるが、体全体が傷ついているのがひどく印象に残った。
「ひとまず、さっきの話にあった『彼女』について教えてもらえるかな」
「『彼女』はアリウス自治区の代表であり主人だ。私たちは『彼女』と呼んでいたが...他の生徒や私たちも、前はマダムと呼んでいた、」
「私も姿はそこまで多く見たことはない...秘密主義者で、私たちに多くを語ることはなかった。長身の白いドレスを纏った赤い肌の女性だ...名を、ベアトリーチェと言う」
シンの体が強張る。
「...僕を洗脳したのも、そいつです」
「連れ去られたアツコがどこにいるかはわかる?」
「自治区のバシリカ、至聖所におそらくいるだろう。今日の明朝から儀式を行うと聞いた...姫に残された時間は、少ないかもしれない」
「...」
...決めた。私は。
彼女の希望を叶えよう。それが大人としての仕事でもあるし、何より、私が彼女を助けてあげたい。
「...わかった。行こうか」
「先生、正気ですか!?」
「本当か!?」
「生徒のお願いは断れないからね」
「それだけの、理由で...?」
「うん。それが私のスタンスだし、大人としての義務だよ」
「...それが、大人としての。」
シンは一通り悩むそぶりを見せた後、決断を下したようだ。
「...あんたらに大切な人を亡くされて胸糞悪い思いをするのも嫌だしな。協力してやるよ」
「...いいのか、私は。お前の左腕を奪ったんだぞ...?」
「いいって言ってるでしょ。それとも...?」
「いや...ありがとう、心から感謝する」
ご閲読いただきありがとう御座いました!
サオリ、なんだかんだ言ってやっぱり可哀想だし天然な子ですよね。
シン君、殺意が高すぎて右手だけで斬りかかろうとしてましたね。怖い。
ミカとセイアのくだりとかは次回やるつもりです、ミカはゲームの数倍曇ります。
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次回は火曜日投稿予定です!頑張ります。