今回はアリウス内部へ潜入します。アリウス、やっぱり可哀想ですよね。
それでは、どうぞ!
「な、なんとか入れました...」
「...カタコンベ内部、旧アリウス自治区。」
「あっ、ここがカタコンベなのか...」
「...話聞いてた?」
あたりは薄暗く、光はほぼない。
こんなところに毎日いたら気が狂ってしまいそうだ。
「ここを上がれば休憩地点に着くはずだ...ヒヨリ、見てきてくれ」
「わかりました...だ、大丈夫です!上がっても!」
「行こう」
道は月明かりのある建物のようなものに通じていた。雨避け程度の天井しかない、しかし一方でその神秘性のようなものの残滓は存在している。廃教会そのもののような建物。
「予想通り警備が薄かったね。」
「ここが...アリウス分校?」
「ここは跡地。本当のアリウス分校はもっと先だし、その道中もかなりの戦力が配置されてるはずだよ」
「...ここは訓練場でした」
「訓練場?」
「元々は遺跡だったけど、内戦が終わってからは訓練場として使われてたの...人を殺す訓練をするためのね」
...内戦。嫌な響きだ。
血で血を洗う、苛烈なものだったのだろう。
「内戦...!?」
「そう、アリウス自治区が二つに分裂して起こった内戦。私たちと同年代の子はみんな知ってる...まあ、面白い話ではないし。進んで話したくはないかな」
「...アズサちゃんと最初に出会ったのもここでしたよね」
「ああ...懐かしいな。あいつが訓練の時に大人に反抗していたのを見かねて私が止め、引き取った」
「はいはい、思い出話は終わり。どうするの、ここから。大人がいるとはいえ...子供四人、どうやって戦うのさ、彼女と」
「しかも一人は戦力にならないときた...指揮はできるが、先生の三分の一補助できるかどうか」
重苦しい雰囲気が辺りを支配する。もう皆気づいてしまったのだ。「勝つことはほぼ不可能」と。
その静寂を破ったのは錠前サオリだった。
「あ、うっ...」
ドサッ!
サオリは力無く倒れた。
「リーダー!?」
「下がれ...触るぞ」
額を触ると、ものすごい暑さが直に伝わってきた。
「ものすごい熱だ...常人なら失神してもおかしくない、よくここまでこんなに動けたものだ...先生、薬はありますか」
「うん、解熱鎮痛でいいかな」
「はい、それと念の為アセリオという点滴があればそれが欲しいです」
「...点滴は、流石にないよ」
「どいて、私がやる...あんた、混乱しすぎ。」
ミサキは僕の体を強引に退けて薬をサオリに飲ませる。
「...みんなも疲れてるし、休憩したら?不寝番は私がやる」
「いえ、僕が」
「あんたはまだ完全に信用されてないってことを理解するべきだよ」
「...わかりました、お願いします」
「よろしくね、おやすみ」
「先生」
「どうか、この声が届いているなら。聞いてほしい」
「私はベアトリーチェにやられた...それは別に私はいいんだ。こういう運命だった、と。そう受け入れることにした...だが。ミカとシン、そして先生の身が一番私は不安なんだ」
「ミカには、ひどいことを言ってしまった..私は、誤ったんだ。だから、もうこれ以上誤りたくない」
「逃げてくれ、先生。君の命が、今度こそ消えてしまう前に...」
「...あ、起きました」
「夢でも見てたの?まあ、無理もないか。熟睡できるわけないし」
「二人は何してたの?」
「リーダーを見てました...もう熱は下がったみたいです」
「ならよかった...」
「いつまでも休んでるわけにはいかないから30分後には出発だけど。それまで何かすることある?」
「さっきの話の続き、聞かせて欲しいな」
「そ、それは...」
ヒヨリは言い淀む。やはり、彼女らにとって過去は重苦しく辛いもののようだ。
「...いいよ、私が知ってる限りで話す。まあ、面白い話では全くないから」
「最初の記憶は、内戦の終結を宣言するマダムだった。私たちはとても幼かったから、何一つそういうことは知らなかった。ただそうなんだ、としか。」
「そうしてマダムは自分が新たな生徒会長であり、支配者であり、主人であると言った。それらいろんなことを教えるようになったけど、一番は...全ては虚しい、どこまで行っても虚しいものであるという教えを言われた時だね」
「わ、私たちの苦痛はトリニティのせいで...ゲヘナはそもそも理解できない存在であると教わりました...彼女は、自分のことを全知全能であり、子供が尊敬し、畏怖し、跪くべき存在であるとも...お、大人の話なので...受け入れてました、それに。みんなこの教えに従わないと怒られるんです...ヒッ!?背、先生、怖い顔になってます!」
「だから言ったのに、面白い話じゃないって...」
...いけない、自分は今恐ろしい顔をしているんだろう。
戻さないと。
「...そういえば、アツコはなんで姫って呼ばれてるの?」
「え、えっと、お姫様だから...?」
「アツコはずっと昔からお姫様だったよ...自治領を昔統治していた生徒会長の血を引く家系らしい、だからロイヤルブラッドって呼ばれてた。ここの会長は世襲制だったらしく、本来なら彼女が会長だったんだけどね」
「それで、内戦が終わったタイミングで彼女が生贄に捧げられるって話を聞いた。最初はそれが彼女が高貴だからって思ったんだけど...リーダーは納得しなかったらしい。まあ、その時に命を助けて欲しいなら自分の命令に従え、とか言われたんだろうね」
「そして、リーダーは私たちを訓練した...あの地獄のような日々を耐えて、いつしか私たちはスクワッドになってた。」
「面白い話をしているな」
音もなくサオリが立ち上がる。
「...そういえば、シンは?」
「ここですよ」
見ると、天井にある梁にもたれかかっていた。どうやってあそこに登ったのだろう?
「...回復したようだな、錠前サオリ」
「ああ、助かった...先生、ありがとう」
「どういたしまして。」
「さて...どうする?ここから」
「決まっているだろう...バシリカに乗り込んで、姫を助ける」
ミサキは沈黙を保つ。彼女はやはり「無理」と考えているようだ。
「でもどうやって?彼女はすでに私たちの侵入を検知してる」
「それについては考えがある...」
「旧校舎へ向かうぞ」
ご閲読いただきありがとうございました!
アリウススクワッドとシン君はやはりまだ確執があるようですね。
まあ、それも次回で終わりかもしれません。
次回はミカだったりが出ます。更新は火曜日です。よろしくお願いします。
感想、評価、お気に入り登録いつもありがとうございます!これからもよろしくお願いします!