いよいよベアトリーチェ戦が近づいてきました。この物語の行きつく先はどこになるのか、ご期待ください。
それでは、どうぞ。
「旧校舎!?長いこと放置されていて、もう崩落寸前ですよ!?」
「旧校舎...そこにいったい何があるというの?」
「アツコから聞いた話だが...旧校舎建設の際にバシリカと旧校舎をつなぐ通路が作られた、そうだ。それも、聖徒会が」
「聖徒会がアリウス分校の建設に関わっていたの!?」
「声が大きい...その昔、アリウス分派の脱出を支援したりしたのも聖徒会、らしいよ。アリウスに最も反対した彼女らが、アリウス自治区建設を積極的に支援した。しかも、姫の話が本当ならマダムが見落としている可能性も大きい。安全に侵入できる」
...聖徒会はなぜアリウスを支援したのだろうか。彼女らは本質的に憎みあっていたはず、なのに。
まるで他人の目を隠すようにアリウス自治区を建設した。今まで存在すら疑われていたほどに精巧に隠されていた。
いったい、なんで。
「しかしながら、回廊の場所はまだ分かっていない。まずは探すことから始めねば」
「普段ならそんな話信じないけど...今は先生もいるし。探してみようか」
スクワッドはマスクをつける。そういえば、ヒヨリはマスクがないな...なんでだろう。
「旧校舎までは遠くない、静かに、そして目立たないように移動するぞ」
あの後、結局追手のアリウス生徒を全員倒して情報を聞き出した。
スクワッドはもう裏切者と判断されており、抹殺対象であると。でも。
「...うん。いくらそうなったからって、私はもう止まれない。それに、スクワッドを許すこともできなさそうだからね」
周りを見ると、アリウスの集団が見回りをしている。
「...だ、誰だお前は!?どうやってここに来た!?」
「...そうだ、ねえ。アリウスのバシリカってどっち?」
「総員攻撃、撃て、撃て!」
「あーもう、いったいなあ。夜中に騒いだらダメって教わらなかったの?」
ミカは一瞬でアリウスの生徒を殴り飛ばした。
「さて...もう一回聞くね。バシリカは、どこ?」
「た、たすけ」
彼女はそれきり喋らなくなった。
「クリア...ここまでは安全」
「こっちも敵影はありません!」
「妙だ...人影がなさすぎる。ここはもともと静かだったが、ここまでではなかったはずだ」
「よくよく考えれば、少し前からよくわからないものが増え続けていたような...巡航ミサイルや謎の武器、それにミメシスなんてものもおかしいじゃないですか。なのに、それを何の疑いもなく受け入れてましたよね...」
『いつからアリウスは、巡航ミサイルなんて代物を...?』
アズサがいつかそう言っていたのをサオリは思い出す。
確かに妙だな、とも。
「ちょっと待って、だれか来る。隠れて」
急いで物陰に隠れる。コオオオオオ...といった音が聞こえる。
「あれは...ミメシス?エデン条約が取り消された以上、使えないはずでは...」
「...考えてみれば、私たちが条約の会場を襲撃したのは、ミメシスを確保するためだった。」
「そうですよね、それで姫ちゃんはあの木の人形の言うとおりに...」
「そうしてそのあとアズサと上原シン、そしてゲヘナとトリニティを壊滅させるのが私たちの任務だった...まあ、そのあとシャーレに敗北したんだけどね」
「私たちが追われていたのもそれが理由。失敗したから...任務にね」
「...だが、マダムはミメシスの能力を奪取していた...?」
...やはり何かあるようだ。
「ウォォォォォォン-」
「あれは...?」
「私たちが戦略兵器として使った『アンプロジウス』、その悲鳴。先生が倒してるはずだから...ミメシスで間違いないようだね」
「ということは...私たちの本来の任務は、姫を古聖堂へ連れていき、条約に調印させるだけ...?」
「...じゃあ、彼女にとってトリニティとゲヘナの占領任務はどうでもいいことだった...?」
「そしたら、私たちの任務は...」
「一体、何の意味があったのか」
この世のものとは思えない靴の音が鳴る。
「ほ、包囲されています!?」
「チッ...罠か」
「私たちがここに来るのもわかってたってわけ、か。」
「ええ、もちろんわかっていましたとも。あなた方の目的地やそこにいたる経路、そして身体の状況まで。」
...身体の状況?
どういうことだ?それならなぜ、彼女は錠前サオリが倒れたときに攻撃を仕掛けてこなかった?
「上原シン、もちろんあなたも例外ではありません。あなたの身体の状況は知っています、次戦うと死ぬそうですね」
「...なぜ知っている」
「私があなたに力を恵んで差し上げたのですから、その程度知っていて当然です。貴方は実にいい役割を果たしてくださった...色彩活性化剤のいい実験台となってくださいました」
「...色彩活性化剤?」
「おや、先生。貴方はまだご存じではなかったですか。私が彼に施したのは彼の体内にある力を活性化させ、体を操るものなのです。無論精神状況に左右されてしまいますが...身体の状況くらいその力を使えば把握することなど容易」
「...外道が」
それを吐き捨てたのは誰だったか。まあ、いい。
「あんたとしてはさぞ残念だろう。あんたの子飼いの猟犬たちに反乱を起こされ、モルモットは使い物にならない。あんたの目的としては僕とスクワッドを殺し合わせて互いに消耗させ、相討ちにさせること。僕を操るために僕の精神状態を悪化させるため周りを扇動したり、追い込んだりした。予想外だったのは僕があんたの支配から脱したこと。違うか?」
「...うるさい餓鬼ですね。まあ、いいです。私の興味は、先生。貴方に現在向けられています。」
「...私に?」
「ええ。初めまして、先生。私はベアトリーチェ、アリウス分校の支配者にして、ゲマトリア内で現状唯一の成功者です。私がどうしてアリウス分校を支配したか興味があるな「そんなことに興味はない」...そうですか。残念ですが、そんなことは問題ではない」
ベアトリーチェは大きく口を歪めて、まるで世界の支配者が演説を始めるかのように構える。
「大人のやり方はあなたもご存じでしょう?子供たちの憎悪、対立、哀しみ、苦しみ。その他の負の感情をあおり、統制し、対立させ、真実を歪め、互いを永遠に他人とさせ、支配する。そうやって私はここを支配してきました...楽園は届かないから楽園足りうる。その中で大人は子供を捕食する定めなのです。」
「ですから、先生。ロイヤルブラッドを見逃していただけませんか?あなたは私が何をなしうるか-」
「断る...そんなものに興味はない。」
先生のまとう雰囲気が変わる。普段絶対に生徒には見せない顔。
「そうですか...やはりこうなるのですね。結局私たちは別々の真実を信じているようです。貴方の信じている真実は、まさにエデン条約。みんなで協力し合って悪を退ける世界...ええ。まさにあなたは私の敵対者で間違いない。」
「ですが、大人だからこそしっかり教える必要があるのでは?『その楽園こそ、原罪が始まった場所である』と。真の楽園こそ憎悪、怒り、嫌悪、苦痛、悔恨...そういったものであふれかえっている、と。」
「ベアトリーチェ。」
「あなたは、私と生徒を。教えることを。学ぶことを侮辱した。私は大人として、あなたを許すことはできない。」
「それは宣戦布告と受け取っても?そうだというのなら...よろしい、バシリカでお待ちしております、最も。到達できればの話ですがね」
醜い高笑いだけが後には残った。
ご閲読いただきありがとうございました。
地味にシン君の真実を開示する回でした。
ベアトリーチェが入れたのは色彩活性化剤なのですよね。つまり...?
次回は土曜日投稿予定です、頑張ります。
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