偶然と奇跡の終着点へ   作:烈風一一

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Innuendo:当て付け、暗示、ほのめかし、当てこすり、風刺の意。


Innuendo

「そもそもシン君、なんでアリウスについちゃったかなあ...あんなに酷い目に遭って、本気でアリウスとの和解なんて信じてるの?」

「正直なところ僕も信じているかはわかりません、ですが。彼女らには少なくとも、僕みたいに苦しく辛い日々を送ってほしくないのです」

「辛い日々を送るって...当然じゃん。あんなことをした奴らが辛い思いをしないでいいわけないよ」

「彼女らはまだ子供です、当然過ちを犯すものです...ミカ様も、僕も。」

今のミカ様はおそらく何を言っても止まってはくれないだろう。だから。

「僕はミカ様を、信じています。過ちを犯してしまっても、そのような物語は書き直せばいいんです。」

「私はもう書き直すことは許されない、だからアリウススクワッドを全員殺してあいつらに罪を償わせないといけないんだよ」

「...ミカ様。あなたに刃向かう罪を、どうかお許しください」

「シン君に気付かせてあげる、あいつらが罪を償うには死ぬしかないってことを」

戦うしか、ないみたいだ。

久しぶりに刃を抜く。

片手で使うにはいささか重すぎるし、不安定な持ち方しかできない。

でも、止めなければならない。

「あははっ、まさかそれで戦うつもり?絶対勝てないに決まってるじゃん。今下がってくれないと、シン君でも私殺しちゃうかもよ?」

「でも、それはあきらめる理由にはなりません...参ります」

一歩踏み込む。今の僕にはヘイローがない。神秘も恐怖もどうやって出せるかわかったもんじゃない。

それでも。止めないと。

致命的な過ちを犯してしまう前に。

「...ふーん。じゃあ、かなり痛い目に遭ってもらうよ」

ミカ様は僕の銃とミカ様の銃、二丁を撃ち始める。弾が僕の足を確実に撃ち抜いていく。

「く...」

「もうやめなよ、立てないくらい痛いはずでしょ?なんでそれなのに私のほうに向かってくるの?」

「ミカ様を止める為です...!」

「...やめてって言ったつもりなんだけど、わかんないかなあ!?」

「やめません!」

「シン君のわからずや...私の気持ち、無理やりにでも理解してもらうからね!」

とは言ったものの、もう足から多量に出血している。

奇跡でも、起きなければ、あるいは、僕の風が吹けば。

「...僕は、奇跡を信じます」

手を前に出す。何の意味もない行為、でも。

僕は、奇跡を信じると、そう決めた。

髪がなびく。その程度の弱さだったけど。

「シン君、ヘイローが...」

確かに、僕の風は吹いたんだ。

 

「...三人とも、無事だよね」

「ああ、私たちは無事だが...おそらく、上原シンは。向こうでは銃撃戦が始まっている、あの体では長くは持たないだろう...」

「...助けに行くんだよね、先生」

「もちろん、行こうか...二人も、アツコも。絶対助けるよ」

 

「...あと一回戦ったら、死ぬって。そうミネ団長から言われてるんだよね?」

「はい。」

「それでも、戦うの?」

「僕の命如きでミカ様が過ちを犯すことを防げるのであれば。」

「そう...じゃあ、戦うしかないね。」

覚悟は決まった。命を落とそうと、ミカ様を止めて見せる。

「参ります...!」

ミカ様はSMGを撃ち始める。今の僕なら、そこまでのダメージにはならないはず。

「はあああああああ!」

飛び上がって刀を振り上げ、降ろす。

「それで攻撃のつもりなのかな?」

最も容易く弾かれた。

「はい、これで終わり」

おそらく手加減されていたであろう蹴りが腹を襲う。

数十メートルほど吹っ飛ばされる。

「まだ...まだあ...!」

「...しつこいよ。私だってあなたを傷つけたくはないし、むしろ私と一緒にいて欲しい。それだけなんだけどね」

「タルナーダ...!」

竜巻が手をついた場所から出現し、ミカ様の方へ。

何かにヒビが入る音がする。

「シン君、もうやめてよ...本当に、死んじゃうよ」

「やめません!僕はミカ様が過ちを犯してしまうことの方がずっと嫌です!」

ミカ様に竜巻が直撃する。軽く押されかけるが、難なく振り切られてしまう。

でも、目的は果たした。

「あっ...!」

僕の銃を僕の手に戻って来させることこそ目的だったから。

「...止まってください。アリウスを憎んでも、それはずっと続く恨みの連鎖の一部になってしまいます」

「...もう、私は止まれないんだよ!あいつらに罪を償わせて、私とシン君と同じ目にあってもらうまで...!」

ミカ様と僕は走り出す。そうして。

「「はああああああ!」」

僕の刀とミカ様の拳がぶつかる。

全く刃が入らない。

「...傍がお留守だよ」

強烈な蹴りを入れられる。壁にめり込むほど吹っ飛び、意識が飛びそうになる。

「私はやっぱり、アリウスを許せない。だから、シン君はここでみてて、私が仇を取ってあげるから」

「そこまで!」

先生が走ってくる。僕はなんとかその隙を縫って壁から這い出す。

頭からも腹からも血が出てきた、でも。すぐにこの程度治るだろう。

「え、先生...アリウスの方に行ったはずじゃ」

「生徒を守るのが大人の役目だよ...生徒の喧嘩を仲裁するのも、ね。」




ご閲読いただきありがとうございました!
なんとか神秘が使えましたね。でも、もう長くないかもしれません。
もう一回戦えば死ぬ、というのは本当です。ただ、しっかりシリーズは最終編まで続くのでご安心を。
次回は土曜投稿予定です!頑張ります。
いつもお気に入り登録、感想、評価ありがとうございます!モチベになるのでよければぜひお願いします。
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