「シンと戦ったんだね、ミカ。」
「せ、先生、えっと...」
正直予想外だった。先生ならアリウスの方へ行くだろう、そういう奇妙な確信があったから。
「ごめんね、ミカ...私が、きちんと説明をしてあげないといけなかったのに」
「せ、先生!?どうして謝るのさ...悪いのは私でしょう!?」
「生徒の命がかかっているから、サオリたちの手伝いをしていたんだよ。シンも最初はアリウスを憎んでいたけれど...今は手伝ってくれてるんだ」
「だから...アツコを助けたら、一緒にトリニティへ帰ろう。」
...どうして?
そんなことしたって、何も変わらないのに。
「私はもう、退学が決まっていて、セイアちゃんだって...」
「私が手伝うよ。」
「僕も手伝います。烏滸がましいかもしれませんが...ミカ様がどんなお方かは、存じているつもりですので」
「...二人とも、何言ってるの?私の、何を知ってるって言うの?私は、魔女だよ。何か勘違いしてない?ちゃんと私を見てる?私の犯した罪を。」
「違います...それは、間違いなく。」
「ミカ様は、魔女なんかではありません...言うなれば、ただの悪い子です。」
「そうだね、だから。しっかり話を聞かせて欲しいな」
ああ、二人とも、どうして。
そのまま行ってくれればよかったのに。そうすれば、こんなに苦しい思いをしなくても。
「どうして私を苦しめるの?どうして、希望があるなんて信じさせるの...?」
「希望はなければ作り出せばいいんだよ。この先には無限の道が広がっているからね。」
「チャンスがないと言うなら私が作るよ。生徒が未来を諦める、なんてことあっちゃいけないからね。それは、大人である私が解決すべきことだから」
「よくも私のバシリカでそのような戯言を吐けますね。」
嫌な声が聞こえる。他人をひれ伏させ、圧するためのような声。
「ベアトリーチェ...!」
「興も冷めました。あなたたちはただ見逃されていたに過ぎない、と言うことをそろそろ認識していただきましょうか」
ホログラムには蔦のようなものが巻き付き、磔にされたアツコが見える。
「アツコ...!」
「そんな、太陽はまだ...!」
「私が日が昇るまで待つとでも?まさか、もう直ぐロイヤルブラッドのヘイローは破壊されるでしょう、ですが。特別に赦しを与えてやっても構いません...そこの上原シン、彼を生贄に捧げなさい。そうすればロイヤルブラッドを今直ぐにでも解放して差し上げましょう」
「「断る」」
「ほう...先生のみならずサオリ、あなたまでもですか」
「私はもう、誰かを犠牲に誰かを生かすなんてことはしたくないしできない。そうすれば、私はまた前と同じ、物言わぬただの剣になってしまうだろう」
「...生意気ですね」
周囲を聖徒会に囲まれる。その真ん中には、一際大きいミニガンを持った聖徒会も。
「さあ、ユスティナの聖女バルバラ。戯言ばかりの先生の口を塞ぎなさい!」
...私のやるべきことは、それだね。うん。
「...先生、シン君、そしてスクワッド。行きなよ」
「ですが...!」
「いいから行って!私は...今やるべきことをやりたいの」
「...必ず戻ってくるから!」
みんなは走り出す。うん、もういいね。
「はあああ...!」
柱を倒して先生たちのところへ行けないようにする。同時に、私の退路も塞がれる。
でも、これでいいんだ。
「あなたたちは通さないよ」
「姫...!」
「ここが、バシリカの至聖所...」
至聖所は薄暗く、怪しい光が満ちている。
「早く姫ちゃんを...!」
「お待ちしておりました、先生。私の敵対者。」
「ベアトリーチェ...!」
「遅かったですね...儀式はすでに進行しています。」
蔦はアツコの体を侵食して行っている。
しかし、何かがおかしい。
「私はロイヤルブラッドの神秘を奪い、キヴォトス外からの力を借りて崇高へと至る...そのつもりでした、が。」
「それを呼ばなくとも...これがありますので」
...僕の体から取り出したものをベアトリーチェは掲げる。まずい、それは。
「これは神秘と恐怖を吸収し、身体中に薄く巡らせ身体能力を向上させる、そのようなものでしたが...今やこのテクストは歪められました」
「...やめろ、それだけは」
「私はこの世界で最も高貴な神秘と最も下劣な恐怖を飲み込み、崇高へと至るのです...!」
「やめろ...!」
神秘の出力を上げる。ヘイロー外周の全体にヒビが入るが、気にしない。
「子供の癇癪には全くうんざりさせられます」
ベアトリーチェはまるで木のような怪物の姿へと変化する。
そして、僕の胴を最も簡単に押さえつけ、羽を捥いだ。
「あ゛う゛っ...ッぐッ、う…、ッくッ…」
ヘイローの一部が消失する。
ベアトリーチェは、羽を握りつぶす。光輪のようなものが白く変化していく。
「シン!」
「この...!」
立てない。力が入らない。
「さて、先生。私はこれより崇高へ至ります。ですが、あなたならこの価値を理解してくださると...そう信じていますよ。全ての生徒を審判でき、救えるあなたなら...!」
「私はそんな大した存在ではない。私は審判者ではないし、救済者でもない。私は...生徒のための先生だ」
「戯言を...!」
「なんとでも言うといい...ただ。お前に一つだけ言おう」
「黙れ」
ご閲読いただきありがとうございました。
ショーの終わりは近いですね。
先生は激怒しました。流石に目の前で生徒を二人殺そうとしているのですから、原作以上に怒ってますね。
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