偶然と奇跡の終着点へ   作:烈風一一

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こんばんは、烈風一一でございます。
今回はヒナが久しぶりに出てきますわ。ただ彼女はエデン条約に関しては正史しか覚えていません。悲しいね。
それでは本編どうぞ!


Le Fantôme de l'Opéra(オペラ座の怪人)

「...これは、やられましたね」

クロノスニュースのトップには「ゲヘナ風紀委員会生徒、トリニティ自治区で意識不明の重傷」と銘打たれたニュースが長々と報道されている。曰く、「これはゲヘナとの全面戦争を狙ったトリニティ過激派の犯行では」だの、「アリウスの残党が復讐のために行った」だの好き放題言ってくれている。

「どうするんだい、ナギサ。ゲヘナから風紀委員会が調査のため派遣されるかもしれないぞ」

「その場合は合同捜査をするしかないでしょう、今の私たちにそれを拒むまでの権力もありませんし、情勢がそれを許さない」

「...一波乱起きそうだな」

二人の心中を表すように、空には暗雲が立ち込めていた。

 

「...アコ、この記事は見たかしら」

少女はタブレットを手渡す。

「風紀委員の生徒がトリニティで重体...!?」

「私たちはこれに関して何か報告を受けた?」

「い、いえ!何も受けていません!」

「そう...行くわよ、アコ。1個中隊を連れていくから集めておいて」

「承知しました!」

かくして少女はトリニティ総合学園へ軍勢を引き連れ歩みを進める。

ゲヘナ最強の戦力、空崎ヒナ。

彼女の胸中にもまた、暗雲が立ち込めていた。

 

「大変です!」

ティーパーティの行政官が焦って駆け込んでくる。慌ただしい。全く、これ以上私の仕事を増やさないでほしい。

「どうしたのですか」

「ゲヘナ風紀委員会が一個中隊を引き連れてトリニティ自治区の捜査を要求しています!名目としては先日の事件の被害者がゲヘナ風紀委員会であることです!」

「...来ましたか、しかも戦力を引き連れて。また面倒な...」

「どうされますか!?」

「彼女らに捜査の許可を出してください、我々も学校をあげて協力すると。」

「承知しました!」

慌ただしく行政官は出ていく。

「...パテル分派をどうしましょうか」

また悩みの種が増えた。頭を抱える。最近こんなことばかりな気がする。

「あまり抱え込みすぎないことだ、ナギサ。君の悪い癖だ」

どこからともなく声の主は現れる。

「セイアさん...」

「私ももうある程度回復したし、ミカだって『聖園ミカという個人』としては協力できる。彼女だって君から頼られることは嬉しいはずさ」

「そうですね...ではセイアさん、風紀委員長と話してきていただけませんか?私はどうも噂が曲解されて伝わっているようで...向こうから警戒されているようなのです」

「...わかった」

 

「...あなたが百合園セイアね、私は空崎ヒナ。ゲヘナ風紀委員会の委員長をさせてもらっているわ」

「ああ、百合園セイアだ、どうぞよろしく。さて、早速だが本題に入ろう。まず先日のゲヘナ生徒の事件に関して、事件を防げなかったことをお詫び申し上げる」

座ったままセイアは頭を下げる。ヒナは驚愕した様子を見せる。

「頭を上げてちょうだい、そんなふうにされたら落ち着かなくて敵わないわ」

「わかった...そして、我々の持っている情報を全て共有しよう」

セイアはホッチキス留めされた資料をヒナに渡す。

「この謎の人物...仮面からユゴーと呼称しているが、これが今回の犯人と見られている。彼の目的はおそらくトリニティとゲヘナの全面衝突だろう。そして、この時間帯にゲヘナ生どころかトリニティ生一人すらいなかった。ユゴーはなんらかの手段でゲヘナ生を誘拐して犯行に及んだと見られている」

「...これの正体は?パテル分派やアリウス分校を私たちは疑っているのだけれど」

「可能性としては非常に低い。まずトリニティにこのような生徒はいないということ、トリニティの生徒には一人残らずヘイローがあるからね。またアリウスもスクワッド以外は全員がシスターフッドと救護騎士団が保護している。つまりだ...これは悪意のある第三者の行動、そう見た方がいいだろう」

「言いたいことは理解したわ、ありがとう。その上で、私も大体同じ意見。あなたの情報を信じるとすればね」

ヒナは一歳表情を変えずにそう言う。彼女もこのことを重大と見ているのか、険しい面持ちのままだ。

「となればだ。私たちはユゴーがどこからきてどこに消えたのか、これを解き明かさねばならない」

「同感よ。風紀委員会と正義実現委員会が共同で厳戒態勢を貼るのがいいんじゃないかしら」

「ただしそれには問題点がある。まずユゴーの犯行はおそらく夜間のみだ。そうまでしてしまったら過労で死人が出る。次にだが、ゲヘナの治安の問題がある。ゲヘナの治安はまだ改善していないのかい?」

「不甲斐ない話だけどそうよ」

「なるほど、ともなれば...1個小隊規模の夜間の番だけを創設してあとはロボットなどで代替しよう」

「わかった、よろしく」

ヒナは手を差し出す。セイアはそれに応える。

こうして、戦争の危機は回避された。

 

「なぜ先生に逃げるように勧告した」

「その方がこの世界の破壊が簡単になる」

「命令にないことをするな!」

衝撃を感じる。

「貴様は我々のいうとおりにのみ動け」

「命令の意味を考えてはならない」

「命令と違うことをしてはいけない」

...耐えろ、耐えるんだ。狂うな。

「承知、いたしました」

狂ってしまいそうだけど、狂うな。

僕の目的は、狂ってしまったら達成できないじゃないか。




ご清聴いただきありがとうございました!
上原シンの様子が変ですね。
ヒナとセイア、意外と相性いいと思うのは僕だけですか?そんなことを思いながら書きました。
いつも評価、感想、お気に入り登録ありがとうございます!今回もぜひお願いします!
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