今回と次回でこの空間は終わります。本当は今回終わらせる予定だったのですが、思いの外色々構想が湧いてきたので1回増やしました。
全ての物語はレールのように。
では、どうぞ。
「楽しいなあ...ねえ、こんな楽しかったの久しぶり。ありがとうね、シン君」
「僕はただミカ様にいろんなことを体験させていただいているだけですよ。ミカ様のご尽力なしにはこのような素晴らしい一日を過ごすことは決してできませんでした。改めて御礼申し上げます」
「いやいや、シン君がいてくれたからだよ!お礼なら自分に言って?」
ミカ様はそう言いながら窓の外を向く。
「...ねえ、シン君。私...決めた。私、シン君と一緒にどこか別のところで暮らしたい。ここにいたら、ずっと昔に囚われてしまいそうだから。」
ぽつり、と独白のようにそう話し出す。
「でも、このままトリニティを立ち去るのも逃げるみたいで嫌なんだ。だから...最後に、みんなのお墓の前で慰霊してから立ち去ろうと思うんだ...どうかな、ごめんね。シン君はトリニティに関係ないのに...」
「...ぜひやりましょう、僕もこことは不思議と無関係ではない気がしていますし」
本心だった。連邦生徒会から今まででたことも出た記憶もない僕だったけど...そうしなければいけない気がした。
「そうと決まれば、早速準備しましょうか...慰霊、どうやってします?」
「いいの...?」
「はい、ミカ様にもお世話になりましたし。無関係では決してないはずです」
「ありがとう...!じゃあ、あかりを灯してあげようと思うんだ...それと、お花も用意しないとね」
そうして、具体的な計画が完成した。
「じゃあひとまず、たくさんの花と蝋燭、それとライターがあればいいんですね?」
「そうだね、手分けしてやろう!ろうそくはシスターフッドの建物にあったと思うから私が探すね、シン君はお花を探してくれれば嬉しいな」
「わかりました、必ずや」
そうして僕とミカ様はそれぞれ必要なものを探しに出かけた。
「...花、かあ」
正直トリニティの商店街にあるような気もする...が、あそこはぐちゃぐちゃになっていただろう。
「...自力で探そうかな。少しずつ集めていけばいいや」
とりあえずお店を見つけては中に入る。そういうことを繰り返す。
「ごめんなさい、お花があればいただきます」
こんなこと今更言っても仕方ないだろう。だけど、そう言わずにはいられなかった。
「...なし、か」
またあてもなく歩き始める。いつか、きっとたくさんのお花が見つかるはずだ。
そうしていると、ある看板が目につく。
「...葬儀社、か。かなり古くてボロボロだけど、そりゃそうか....」
ここキヴォトスにおいて人が死ぬなんてことはそうそうない。ヘイローが砕けるほどのダメージを喰らったということに他ならないからである。他には病気とか熱中症、凍死、溺死とか。だけれどそこまで多くはないはず。そもそもここは銃弾飛び交うキヴォトスということを忘れてはならない。
「...だけれど、みてみる価値はありそう」
そう思って葬儀社の中に入ってみる。
「中は思ったより綺麗...直前まで誰かが住んでいたんだろうか」
「今も住んでるよ」
誰かの声がする。まさか人がいるとは思わなかったので思わず飛び退いてしまう。
「ああ、そんなに驚かないで。ただの葬儀社のオーナー兼従業員だから」
「...本当に生きてるんですか?」
言ってしまった後で失礼だと気付いた。しかし、それをいう前に店主は答えた。
「正直わかんないね。人の死と積極的に関わる仕事だったから、死と生の境の区別がつかなくなっちゃってんだ。まあ、それで。坊主、なんの用だい」
「お花を探しています、亡くなられた方に手向けるための」
「そうかい、そいつはウチを訪ねて正解だったな...好きなだけ持ってっていい、死ぬほど余ってる」
店主は奥の扉の方を指差す。
「え、いいんですか...?」
「ああ、亡くなられた方も花もそっちの方が嬉しいだろう。それにな...なんでかはわからんけど、終わりが近い気がするんだ」
「終わり...ですか」
「それが何の終わりかは俺にもわからん。だが...それが来る前に行動した方がいい、車を貸してやる。全部持ってけ!」
ありがたい話だ。まさかこんなことが起こるとは、奇跡みたいだ。
「それとな...坊主、伝えたいことは伝えないといけんぞ」
「...ありがとうございます」
ろうそく...シスターフッドの胡散臭い子が持ってたのをみたことがある。サクラコとか言ったっけ。
「全く、整理整頓くらいしておいて欲しかったなあ。まあ私の言えたことじゃないけどね:」
そうして建物を踏み入っていくと簡単にろうそくは見つかった。箱入りだしおっきなライターも入ってるしで、ありがたい限りだ。
「簡単だったね、これだったら蝋燭の方をシン君にお願いしたらよかったかな?」
そう言っていると、一枚の紙が落ちてくる。
「なんだろう...?」
そこには『死に瀕した際の神秘の放出とそれによる人間形成』と書いてあった。
「これは...!?」
ここに書かれていることが本当だとしたら...彼に知られちゃいけないや、私が持っておこう。
「わあ、たくさん持ってきてくれたんだね?ありがとう!」
「葬儀屋さんが分けてくださいましたので。それでは...やりましょうか」
「そうだね...はじめよっか」
お墓に一つ一つ花と蝋燭を置いて、火を灯していく。書類で見たことのある名前も、そうでない名前もたくさんあった。
ミカ様は涙を堪えながら置いている。
「...どうか、ご冥福を」
そういうことしか、僕はできなかった。
やがて、全てのお墓に花と蝋燭を置き終えた。
「...じゃあ、言うね。」
ミカ様はそうおっしゃると、息を吸って涙を呑み、話し始めた。
「あなたたちとはたくさんの思い出がありました。時に私は魔女と糾弾されることもありました。しかし、それ以上に私を信頼してくれる友達もたくさんいました、私はあなたたちに心から感謝しています。本当はまだまだ一緒にいたかったけれど...どうか、安らかにお眠りください。」
ただ、ひたすらに祈った。彼女らが安らかに眠れるように。
ご閲読いただきありがとうございました!
次回、ついにこの空間最終話です!この空間の話が終わったらまたメイン時空の話に戻ります!
次回は日曜に投稿しようと思っております!頑張ります!
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