繁殖行為。実に興味深い   作:記憶破損

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アウラ自重しろ

 

 脱衣舞と呼ばれ出したアウラは、自らにかけられた魔法を解くために足掻いていた。快感が強まる場所に触れない最適な方法を模索し服を脱ぐやり方に辿り着いた事、魔法を解析する努力も続け自らも『性感度を上昇させる魔法』を覚えた事。

 

「何で解けないのよ!っっしまッんあーー!?」

 

「…快楽も愛なのか?いや、この場合は妥当な末路が正しいのか?いやこれも…」

 

「馬鹿にしっンあっーー!!」

 

 だが解けない。この魔法を解析していくと、魔族だからわからない術式に辿り着く。それは今も魔法が発動するトリガーとなっている感情に作用する部分、【相手に害を与えたら発動する】を解析したが理解できなかったのだ。害を与えるとは、直接的、物理的に被害を与える事だけなら理解できただろう、目に見えて実害としてこれは駄目な事なのだと認識できるのだから。しかし、この魔法にかけられた害の部分は心理的な害も含んで条件に組み込まれていた。我々魔族が理解できる物もあるが、つまり、人間の感情でどう思うか、どう感じたかを知識としてわからなければ解析できない部分が条件として魔法に組み込まれていた。厄介な事に肝心の魔法部分の術式と絡み合うようにだ。

 

 この魔法をかけたあの魔族は頭がおかしい。そう思った事は何度もあった、同時に快楽としてのたうち回った。だってそうだろう、魔族と人間は敵対している。そもそも捕食対象がどう思うがどうでもいい事なのだ、何でそんな無駄な事を理解し魔法として作成したのかこれがわからない。

 

「声を下げてくれ、アウラ。」

 

「ッはぁはぁ・・・ふぅ…なんっん!で、この魔法ゥ!をかけた魔族をんぎッっ!」

 

「その魔族には関わるな。かけられた魔法は自力で解くんだ」

 

 全知のシュラハト。魔王軍において、魔王様の腹心であり魔力量も上の大魔族。その者が招集をかければ、よほどの事がない限り従う必要がある。魔族の本能として、上位の魔族には従うと刻まれているからだ。従わなければ殺されると理解しているからもあるが。しかし、その本能に従っている限り魔法は解けないだろうとシュラハトは理解しているが教えない。だって全知だから。

 

「はぁはぁ…この魔法にはわからない部分があるのよ」

 

「人間の感情だろう。それと、少し近い離れてくれ」

 

 顔を歪めながら部屋の奥側に歩いていくアウラ。だが仕方ない、何故なら性感度を上昇させる魔法は…感染する。それは病気のように近づけばすぐ発症する訳ではないが、接触期間が長ければ長いほど効果だけが移るのだ。シュラハトはそれを魔法を受けた翌日の内に同じ七崩賢に伝え、皆がアウラに近づかない。マハトだけ気にせず近づき、快楽にのたうち回っていたアウラに感想を聞いている。

 

 

 絶対許さない

 

 

 その感情だけがアウラの内に燃え広がっていった。

 

 

 

 

 

 

 

「なぜ解く必要がある」

 

 開幕に返ってきた言葉はこれだった。

 

 それは求めていた希望、奇跡。黄金郷のマハトが普段は見せないような顔で自らの一部に目を向けた時、少し考えたような仕草で礼を言われた。同時にこの憎い魔法を解析して理解した大魔族を紹介された。最初から紹介しろと、のたうち回ったがマハトは気にしなかった。

 

「これで愛がわかるかもしれない」と意味がわからない言葉を発していたが、どうでもいい。この魔法さえ無くなればと思っていたのに…。

 

「どうして、かしら」

 

「人を欺くのが魔族の本質であろう?裸体を晒し、人間の隙をつく事が増えた事で殺す機会もまた増えた。何も問題ないのぉ」

 

 ふざけるな!と一瞬の快感が全身に走るが、流石に慣れがある。発動する感情のコントロールはある程度済ます事はできるようになった。

 

「…この魔法があると、私の魔法を発動する事自体が難しくなるのよ」

 

『服従の天秤』

 

 その天秤に乗った比重がこちらに傾けば問答無用で命令できる絶対的な力。しかし、その魔法自体を相手に向ければ自分がまともに思考できない程の感覚が支配する。服を脱いで肌に触れる摩擦を減らし何とかといったところ。最近では戦闘になっても最前線に着く頃には終盤となり一部の魔法使い共を除けば人間を殺した数で言えば、部下の方が上なのではないか。その部下も今では、服従の天秤を通して操っていた者達にも魔法から伝染したせいで動きが悪くなり常時裸体を晒す事になっている。何よりも…脱衣舞である。ふざけるな!

 

『性感度を低下させる魔法』

 

「ちょ、その魔法よ!」

 

 目の前の大魔族、クヴァールは何気ない動作で自らにかけた魔法を見てアウラは解くとは別に求めていた魔法を見て興奮した。

 

「無駄な事であろう。お前は人間の感情を調べた訳ではないからのぉ」

 

「貴方は調べたって言うの?」

 

 クヴァールは顎に手を当て懐かしむ様に答えた。

 

「人を殺す魔法を開発する過程の話だ。人を観察し、何の魔法を使うか、どのように防ぐか、その過程よ」

 

 これ以上教える気もないと、去っていく魔族に声をかけたが止まらず。それより見た魔法を再現する方が先だと思考を切り替えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方が人間の快楽を知った魔族ね!ねえ、教えて。今、どんな気持ち?」

 

 出会って早々、こちらが人間に屈したように言葉を発する魔族にイラつきを覚えたが冷静になる。興奮すればするほどあの感覚が襲う可能性が高くなるのだ。

 

「名ぐらい名乗ったらどうなのかしら」

 

「私はソリテール。人類を研究しているの、貴方に魔法をかけた魔族を探しているのだけど知らない?」

 

「知ってたら殺!っんッ!?」

 

「ねえ、今、気持ちよかった?女性は男性より性に関する気管が多いのよ。ここよね?あと」

 

「んあ!つ、つまむなっーー!い、いまは」

 

「いい顔ね!人間の男性は女性の快楽に溺れた顔に弱いそうよ。やっぱり種族としての本能のようね、種を残せる準備をした雌がいれば第一に性欲がわいてくる。面白い性質よね」

 

 アウラの胸などを揉みながら解説する魔族。何とか止めさせようとするが力が入らず口だけになってしまう。

 

「ーーんっ!私にも移ってきたみたいね。うふふ、後で調べましょう。もう理解したから」

 

『性感度を低下させる魔法』

 

 アウラは思考がまとまらない感覚の中で、求めていた魔法を使われた。その視線に気づいた魔族は困ったように答えた。

 

「ごめんなさい。貴方の場合、根本の魔法をどうにかしないと常時魔法をかけ続ける必要がでるはずよ、一つの魔法を相殺しながら魔法を使うのはオススメしないわ」

 

「てをとめッーー!?」

 

「あ、イったのね!強い快楽を得て外部からの刺激で絶頂した魔族は現在においてアウラだけと思うわ!これは凄い事よ、ねえ知ってる?人間って服装一つで性的興奮をするのよ?直接的な繁殖に関わる事柄じゃないのに薄着、時には少し胸を見せるだけで動きが止まるの。単純に裸を見せるだけでも効果はあるけど、今のアウラの顔で恥ずかしいように見せるともっと効果があると思う。今度一緒に実験しに行きましょうよ!」

 

「…」

 

「知ってるわ、放心ね!魔族でもなるなんて凄いわ!新しい友達と出会って、新しい発見を知って、新しい目標ができる!いい出会いってこういう事を言うのよね!」

 

 

 絶対許さない

 

 

 アウラの中で更に憎しみが広がった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それはどこかの森の中。全身を覆い隠すほどの布を纏う怪しい魔族がいた。頭上に伸びる立派な角が魔族だと主張している。

 

 魔法を解くには人間の感情を知る必要がある。

 

 何と難しいのだろうか。他の魔族に聞いても、知らないか、知っている者達も教えられない事柄だと、結局自らが調べるしかない。人間を捕まえて聞くにしても、捕まえるのは部下でいいとして、害を受けた人間の感情…こう感じた、こう思ったと聞いていく作業は実に単純で意味がわからない時間だ。そもそも、魔法を解く為とはいえ人間を前にして大魔族である自分が質問を投げかけていく行為が屈辱でしかない。

 

 …ソリテールに捕まり数年間、人間の男女の前で様々なイかされ感想を聞かされた。恐怖と困惑、興奮と何故か安堵した様子で気安くなる者…様々な感情の動きを学んだ。確かに役に立った知識もあった、快楽が走り、顔が歪んだ状態で胸周辺の衣服をずらし、こっちにきて、少し遊ぼうなど?何の意味があるか不明だが、鼻息を熱くする者達が多くいた。同時に攻撃する意思も低下していた。性的に迫る魔族が他にいない為だと思うが、有効な手だとしても必要ない限り使いたくはない。これは自らの大魔族としてプライドの話だ

 

「そうよ、私は大魔族だ!」

 

 人間に媚びを売る声も、性的興奮させるやり方も、全てはこの魔法を解く為に仕方なく行っているのだ。

 

「いたぞ!魔族だ!」

 

「よくも兄弟を!」

 

 今日の獲物が来た。魔王軍として動かない時は、暇つぶしも兼ねて部下に周辺の村を襲わせ、人を数年攫っている。そこに罪悪感なんてない、だって魔族だから。相手が苦しむ、嘆く事なんて理解できないから。

 

 自らの分厚い布に手をかける。それはもう慣れた手つき、今では一瞬で脱ぐことができる僅かな時間。

 

 

 

 茂みからこちらを覗く、ピンク髪の存在に思考が奪われた

 

 

 

 え…貴方は!…

 

 

 

『性欲を増大させる魔法』

 

 

 





本来消えた奴を思い出して書いた。元はマハトのヴァイゼでの日常もセットで前回と合わせて書いていた話だったが、単体作品となったのは仕方ない。投稿は一度やめるとクセになるので書くのは止めんよ。


以下 ヴァイゼのラスト(Cパート)


 黄金に染まるヴァイゼを眺めるのは、積み重ねてきた思いを塗りつぶす罪悪感を感じる一つの答えになるのだろう。友であるグリュックも、最後の一服を楽しんでいる。共に過ごしてきた悪友として、俺達は確かに友になっていたのだ。


「楽しかったよ。マハト」


「ええ。私もです。グリュック様」


『万物を黄金に変える魔法』

 全てを金に塗りつぶす己の魔法。不可逆であり、絶対。それに包むとは永遠に形は変わらない。だが思う、自分が感情を理解すればきっと。

「ああ…」

 グリュックの姿が黄金に包まれる。この行為は悪なのだ。この行為は許されない事なのだ。言葉で理解した、だが感情として理解できなかった。だって何も感じなかったのだから。だが…それは…




 勃起した




 黄金卿に亀裂が入った瞬間だった
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