繁殖行為。実に興味深い   作:記憶破損

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自慰行為が愛に繋がるはずがない

 

 これは旅人と出会った時の事だ。彼女が死んで…70~80年ぐらいだったはずだ。七崩賢の一人と会う少し前だからそのはずだ。

 

 

 

 

 生物は子孫を残す。その為に性行為をする。中には単体で完結する生物がいるらしいが、基本としてオスとメスが必要だ。一人だけで子孫を残せないなら、番となる片方を探すのが生物として正しい姿だと知識として理解していた。

 

 はぁ…はぁっフウフウーー!…

 

 それは旅の途中で焚火に気が付いたのが始まりだった。辺りは暗くなり、焚火の火が暗闇を照らしている最中、一人の青年ぐらいの赤髪の戦士が一心不乱に片手を自らの陰部に当てていた。息を荒くしていく人物の吐息が激しくなっていく。

 

「こんにちは。いい夜ね」

 

「フぉ!?ア・・・」

 

 その戦士は自慰行為をしていた。私が後ろから声をかけた瞬間に出たようだ。前方の草むらに白色の液体がほとばしる。

 

 まるでギギギと古い扉を開くようにゆっくり首を曲げてくる男。私は改めて挨拶をした。人間と会った時は基本として挨拶をすることがいい感情を与えるらしい。村にいた時は彼女に手を握られながら挨拶していたのを思い出して、笑顔を作った。

 

「こ、こんにちは・・・」

 

 どこか小声で話す男性は、目を泳がせながら口をヒクヒクと痙攣するように返してきた。この反応は負い目を感じた人間がする行動だ。悪い事をした人間が、自分の事を駄目だと思ってる時にする仕草だ。その場合に取る行動は、褒めると互いに良い関係になると彼女から教わった。そして笑ってその行為を褒める。相手の負い目となる特徴をわかりやすく伝え、大丈夫と思ってもらう事が人間は安心する感覚になるらしい。

 

「体格は大きいのに陰茎は小さいんですね。伴侶となる相手を想像しながら、愛を得られない自慰行為に時間を費やすなんて凄い事です。私には理解できませんから羨ましい感情です」

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいぃぃーー!!」

 

「何で謝るんですか?」

 

 男性は顔を地面に付け私に謝っている。私は何かを間違ったらしい。だが好都合な展開だ。この状態の男性は、女性のお願いに対し大抵言いなりになる。村にいた時も顔の腫れた男性が、嫁となる女性に連れられて歩いていたのを覚えている。

 

「教えてほしい事があるんですが」

 

「は、はい!」

 

「何で自制行為をしてたんですか?」

 

「・・・」

 

 …男性は少しの間、黙った後に口を開いた。

 

「た、溜まっていたから…です」

 

「性欲が強くなったら女性と行為をすればいいじゃない」

 

「え、えと…その…」

 

「いないの?愛し合う相手が」

 

「いや、いたけど…フラれたというか、ハハハ…」

 

 少し俯いた状態で口や目が下を向いていく。

 

「変ね。その歳で強い男性なら愛し合う女性なんているでしょ?さっきから警戒を解かないし、武器に触れられる位置を常に維持できるぐらいの腕もあるのに」

 

「…君、やっぱり魔族だよね」

 

「そうよ。帽子で隠してたけどいつ気づいたの?」

 

「ははは…こんな真夜中に明らかに僕より年下そうな可愛い子が、一人で出て来るなんて普通じゃないからかな」

 

「でも最初は警戒してなかったけど?」

 

「お願いします、忘れて下さい」

 

 魔族と名乗ってから彼は隠そうとせず、太くて大きい、所謂グレートソードを構えて相対した。相応に重い剣を軽々と持ち上げ、技量もあるであろうと窺える。

 

「武器は大きいのに、貴方の陰茎は小さい。だから愛し合う相手から逃げられた?」

 

 ぐはァ!!

 

 大げさに傷ついた演技をする男性。警戒は解いてない。

 

「私が大きくしてあげましょうか?」

 

「…フェえ!?・・・・・い、いや、駄目だよ!!もっと自分の体を大事に」

 

『性器を調整する魔法』

 

「っしまッ!?」

 

 

 オホーー!!!?

 

 

 男性も女性も繁殖行為を行う際に互いの陰部を見る。その時に思っていた、期待していた結果にならない場合は繫殖行為を止める時があるらしい。村にいた多くの男性と行為をしたという老女に聞いた。曰く愛を感じないと、別の者に聞いたら性行為は愛の一部と聞いていたが、その老女は繫殖行為そのものが愛であるという。人間の価値観も様々だが、感情が見えないというのは理解する一番の障害だと感じた記憶だ。

 

「大きければ子宮まで届く確率も上がる。愛し合う行為を止める障害はなくなる。これで貴方の武器と同じぐらい役立つでしょ?」 

 

 

 

 

 

 

 

 勇者ヒンメルの死から28年

 

 紅鏡竜と呼ばれる一般攻撃魔法すら弾く鱗を纏い、その爪は岩すら両断する鋭さを持ち、その口からは灼熱の炎で焼き払う。紅の竜、その恐ろしさ、強さは誰しもが理解していた。だがそんな竜ですら警戒する存在が今、目の前に迫っていた。

 

 その者は小さい、己のように強靭な肉体ではないはずだ。その者は弱い、己のように何でも切り裂き焼き払う力も無いはずだ。たった一度、その一度の攻撃で己の爪は砕かれた。空を飛んだ、その者は翼がないから空を飛べないはずだ。だがついて来る。最後に見たのはその者の…。

 

 

 

 大きな斧だ。普通の人間なら両手で持つのも難しい、ましてや振り回すのも無理だろう。そんな大斧を振ります赤髪の少年は小さい男だ。どんな事でも恐ろしいと震え、自分という存在はそこら辺に落ちてる値も付かない男と思っている。

 

 

【男の値打ちは武器のデカさで決まる】

 

 

 幼い頃から親から親へ伝えられてきた呪いの言葉。武器は己を表す。そんな曖昧な気持ちで武器を持ち、使っているから小さいのか。兄と比べられ、親から戦士として落ちこぼれと言われ続けた。

 

 

「ねえ、透けて見える?」

 

「あまり面白い魔法ではありませんね」

 

 

 とある魔法使いの少女が服が透けて見える魔法を使用していた。エルフに視線を向け、知っていたが一部のふくよかな部分は流し目で終わらせた。

 

「え、なに」

 

 彼は臆病だ。兄のように勇敢に立ち向かい、父のように戦士となりえない。だけど、こんな自分に期待してくれた者達の前では大きい男でありたいと思っている。

 

 

 

 でっか...

 

 

 

 

 

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