繁殖行為。実に興味深い   作:記憶破損

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魔族の愛は魔法なのか

 

 魔王軍の進軍が激しさを増してきた時の事だ。彼女が死んで90年経った時、墓参りに戻ろうとしていたら出会ってしまった。

 

 

 

 

 魔族の間では魔力量が絶対の基準となる。己より魔力量が多ければ強い、支配者であり主。人間のように利害関係、感情という意思によって集まるのではない。そこにあるのは絶対的な力による支配のみ。こういった考えを出せる様になったのは、人間の感情を調べていく上での知識が役に立った。他の魔族にとって理解できないことを学ぶ事に意味はないと答えるだろう。私にとっては大事という気持ちを持った、それだけだ。

 

「あら、いい魔力を持ってる人間ね」

 

 首が無い元人間を後方にこちらを嘲笑う魔族がそこにいた。魔力量も下手な魔族なんて足元にも及ばない圧倒的な差を見せびらかす。

 

「七崩賢の一人、アウラ」

 

 魔王軍と会いたくないから嫌々ながら魔力制御をしながら隠れていたのだが、人海戦術を使っている同族、しかも魔王軍の幹部に会ってしまうのは面倒だった。私は魔族だが彼女との知識で、魔力量で従うのは自分にとって不利益だと理解した。だから魔王軍の収集に応じずに旅をしていた。

 

 私を囲む様に首無し兵が動く中、気になった事を聞いた。

 

「何でこんなところにいるの?」

 

「このまま進めば何があるか知ってるでしょ?」

 

 私達がいる場所は近くの町までの道外れ。進軍していたアウラと偶然鉢合わせしてしまったようだ。

 

「見逃してくれない?」

 

「嫌よ。見逃す理由があるかしら?」

 

『服従させる魔法』

 

 アウラの手に天秤が現れる。魔族の魔法は強力だ。下手な人間の魔法使いより圧倒的に。

 

「私は魔族だ。見逃してほしい」

 

「な、角を隠して!貴方、魔族としてのプライドがないの!」 

 

 魔力も隠しているが、それには気づいていないようだ。ならば丁度いい。

 

「まあいいわ、魔力も大したことないし服従させてしまえば」

 

『性感度を上昇させる魔法』

 

「ッ魔法っ・・・なに、ハッタリ?つくづく魔族として恥ね、貴方。もういいわ、使い捨てにしてあげる」

 

 感度を上昇させる魔法。元々は人間同士の相性、性行為と愛を考えている時に開発した魔法。繁殖行為を促進させるために快楽を増大させる事を目的に使用するが、人間に使用する事を自ら止め禁断の魔法とした。

 

 人間にかける前に自分にかけてみた。魔族は人間の姿を模倣している、人間同様の身体構造ではないが、人間が感じる感覚を自らが体験すれば感情の理解に繋がると思ったからだ。

 

 

 

「ふぇ?あ・・が、ん!っんアァァーーー!?」

 

 

 私に天秤を向けようとした瞬間、アウラは天秤を落とし、蹲る。周りの首無し兵も倒れ始め魔法が解除されたようだ。今のアウラは衣服を着ているだけで、人間の恥部全般から感じたことのない快楽を得ているだろう。少しの圧でも感じる様にかけたのだ、基本快楽を経験したことのない魔族にとって抗えない体験のはずだ。

 

「条件を付けた、相手を害する思考になったら発動する」

 

 性感度は人間同士が繁殖行為をする上で必要になる要素の一つだ。私の考えでは感情と相互関係にあるはずだ。そう思い開発したはいいが、快楽のみを求めて愛を捨てる場合があると彼女から聞いた。例として彼女を襲った野盗がそれに当てはまると言われ、あの男は愛を捨てる事を理解していたのかと、対応を間違ったと思った。

 

 歯を食いしばり、鼻水と涎を出しながらこちらを見上げるアウラ。魔法を解けと考えているのだろう。

 

「ッ…はぁはぁ…私が悪かぁつ!?んあーーー!?」

 

「一時的に考えを止めても無駄だ。同族だからわかるぞ」

 

 合理的に今は殺さないと考え、解除後に殺そうと考えた。解除後を考えた時点で私の魔法は再度発動した。

 

 魔王軍と関わっていない同族なら会話をしていてもいいが、魔王軍と関わると人間の間で私の事が知られてしまう。敵対的になった人間と関係を築くのは難しい、この場を早く離れた方がいいのだ。

 

 私が去ろうと背中を向けると後ろから何か言っていたが、私は振り返ることなく歩みを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 魔王軍の進行は激しさを増すばかり。勇者が魔王討伐に向かっていると聞いているが、魔王軍と最前線で戦う者達にとっては今をどうにかしてくれと願うばかりだった。魔族の魔法は強力で人間が太刀打ちできる者は少ない、要の魔法使いも太刀打ちできる全体数が少なく防戦一方だった。

 

「敵魔族の情報はまだか!」

 

「偵察兵からはまだ…」

 

 魔族の進行から守る防壁を盾に今か今かと、反撃の狼煙を上げる準備をしている人間達がいた。多くの仲間が魔族に殺され、仇討ちもできずただ殺されるのを待っているなどできない。そんな思いを持ちながら、血反吐を吐いてでも生き残っていた。

 

「偵察兵帰還!敵は衣服を身に付けていません!」

 

「そうか、ならば敵魔族は脱衣舞のアウラだ!よし、ならば彼女達が援軍に来てくれるぞ!反撃の時は来た!!」

 

 戦場において魔族の情報は貴重だ。まず相対した者が生き残れる可能性が低いのだ。だがその中でも生き残れる可能性が高い魔族を挙げるなら一人しかいない。

 

 

 

「可愛い子はいるかしら」

 

「早く、私もう我慢できないわ!」

 

 

 露出度の高い服を身にまとう女性が二人。今も黒煙が舞う戦場に足を運んでいた。大陸魔法協会からの協力者である。

 

 

「まっ…待っていました。今、戦場は魔族との」

 

「知ってるわ、相手はあの脱衣舞でしょ?だから来たのよ!」

 

「お、おお…心強いお言葉です」

 

「うふふ、私の箱に早く」

 

 作戦など眼中にない二人の魔法使いを尻目に作戦指揮官はただ任せた。

 

 魔族には変族をぶつけろ

 

 長い間、戦場にいれば自然と身に付くことだから。

 

 

 

「決めた!貴方が私の箱よ!」

 

 

 彼女達が戦場に到着すると、裸体を晒しながら攻撃を繰り返す魔族の群れと相対する。

 

『魔力を吸収する魔法』

 

「グぎ!?ウゴォあーー!?…」

 

「あら、一発昇天は早いんじゃない?膣の悪い子ね」

 

 傍から見たら二人の女性は魅力的に映る美しさを持っている。顔は整って、胸は張りがあり、尻は丁度良い。だがしかし、ただ一点、女性には無い異物が生えていた。

 

「こっちも駄目よ」

 

 もう一人の女性もその異物に女形の魔族を突き刺し終え、魔族を塵へと変えていく。

 

 圧倒的な暴力…先ほどまで苦しめられていた魔族たちが股に落ちた。その光景に慣れていない者にとってまるで夢のような光景に直視できない。

 

「…うふふ、来たわ!」

 

 

 彼女達に集まって来る、首無し兵士。その奥に見えるのは、全身を覆う程の分厚い布に覆われた魔族が一人。体を震わせながら、布に手をかける。

 

 

「出た!アウラ脱ぎよ!」

 

 

 見るからに分厚く、脱ぐ動作に手間取るであろう衣服が一瞬で舞い上がる。その中から現れるのは、髪のセットに時間をかけているであろうピンク髪の魔族が一人。

 

 

【脱衣舞のアウラ】

 

 

 当初はしていなかったようだが、あの魔族は己の肉体を晒し、人間側の意表を突く。奴の部下は全員裸体を晒しているのが特徴である。人海戦術を得意とし、殺した相手を自分の兵にしてしまう力があるらしい。戦場に現れるのは最後であり、死んだ者達を兵にした後に現れる為、操っている魔法を視た者はいない。

 

 そして何より

 

「ッ…ん!はぁはぁッ」

 

 その姿を晒した後、妖艶な姿で相手を誘うのだ。自ら脱いだというのに、胸や陰部を隠し、顔を赤らめ、まるで生まれたての小鹿の如く震えだす。その姿に魅入られ死んでいった者は数知れず。

 

 

 フォォォ!!

 

 

 戦場の熱は更なる高ぶりを見せていくだけだった。ただ一点、その熱を感じず、冷たい瞳で眺める魔族が一人いる。

 

「なるほどのう、同族の魔法を受けたか。複雑な術式じゃのう」

 

 魔族は己の目的の為に動く存在だ。

 

 

 

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