繁殖行為。実に興味深い   作:記憶破損

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下ネタなし


魔族らしくなくなったらしい

 

 これは北部高原、魔族との戦闘が激しい地域に出向いた時の話だ。彼女が死んで160年経ち、多くの人間を観察した上で命がけの状態が続く人間は繁殖行為が増加するとわかった為だ。

 

 

 

 

 

 

 北部高原に出向く際、関所を通る必要がある。空を飛ぶ選択もあったが、日々戦闘が続く地域なだけあり厳重なチェックをしている。空を飛んだら誰かしらの魔法使いに叩き落されるだろう。魔族だけじゃなく魔物もいる為であろうが面倒である。

 

「駄目だ。君だけでは通すことはできない。気持ちはわかるよ、家族に会いたいのは…だからこそ、今は我慢するんだ」

 

「お父さんとお母さんがまだいるの。私だけ連れて来られて」

 

「…すまない」

 

 私は関所を通れなくて困っていた。魔法で角を隠し、魔力も隠し、身分も隠してるのに通れない。お金に関しては、山賊や野盗を狩って手に入れている。下手な商人より持っているので、お金で通れないか試しても駄目だった。

 

「その子は…」

 

 そんな時、それなりの魔力を持っている魔法使いの女性が関所に訪れた。魔力を探られてもわからないはずだが、念のため逃げれるように意識した。

 

「彼女の親が北部から戻って来ていないようで」

 

「そう…こんな可愛い子を残して」  

 

 女性は私に顔を合わせ、抱きしめてきた。この状態の人間は可哀そう、同情する、自分にできる事はないかといった言葉を繋げていく。幼い容姿をしている私は人間に油断を誘い、こちらの願いを通せることは多い。

 

「おがあ゛ざん゛ー!会いだいよ!」

 

「ッごめんね、ごめんね…ノルム商会の団体が来るはずよね、ビーア地方までなら私が一緒にいられるけど」

 

「ですが、魔物の襲撃を備えるのに…その子は」

 

「あの、私は魔法使いです!邪魔をしませんから中に入れて下さい!」

 

「…やっぱりね。妙に魔力の流れが緩やかだから魔力制限をしているでしょ?」

 

 警戒している様子はなかったが、この女性は私を観察していたようだ。

 

「うん。お前は立派な魔法使いになるんだって」

 

「そうなのね…いいわ、私が護衛を兼ねるから中に入れてあげて」

 

 関所の門番は貴方がそういうのならと、やっと通してくれた。この魔法使いはそれなりに有名なのだろう。

 

「ありがとう」

 

「ええ、行きましょう」

 

 私の頭を撫で、手を繋がれた。途中で別れる時を見計らうのに手間だと感じる。かといって途中で殺せないので面倒な相手である。

 

「貴方は何歳?」

 

「12歳です」

 

「その歳で魔法使いなんて凄いわね」

 

 私の見た目は人間の子供で12~⒕程度に見える。彼女に教わった事だ、合っているのだろう。魔族にとっての判断基準は魔力量のみだから、今一人間の判断基準というものがわからない。

 

「…よく撫でますね」

 

「嫌だったかしら」

 

「別に」

 

「よかった。良ければだけど、抱きしめていいかしら」

 

「どうぞ」

 

 先ほどからこの女性、私に対し接近し過ぎな気がする。

 

 スー…はぁ…スー…はぁ…良い匂いね、どこかハチミツの匂いがするわ

 

「私は臭いですか?」

 

「いいえ、いい匂いよ?」

 

「そうですか」

 

 何だこの女。私の臭いを嗅いでいる。魔力を見ていたのもそうだが、実力も相応にあるだろう。魔族は独特な臭いがあるのか?私の正体に気づいたのか?だとすれば逃げなくてはならない。

 

「お姉さんも良い匂いですね」

 

「ありがとう」

 

 この女の胸に埋もれるように私は抱きしめられている。前が見えない。私はいつの間にか、この女に持ち上げられて連れて行かれている。

 

「このまま抱きしめていたいわ」

 

 いつまで抱きしめているのだろうか。私の匂いを嗅ぐ動作を止める気配がなく、私の耳元まで嗅ぎだした時…女は語りかけてきた。

 

「本当に…残念ね」

 

「ッ」

 

「貴方から死臭がしないのよ、それに魔族特有の角も見当たらないの…私の勘違いかしら?でもね勘が、貴方は魔族だって教えてくれるの、どうしてかしらね?」

 

 殺すべきだ。この女は危険だ。だが、抱きしめられた状態では相手の方が攻撃が速い。こんな至近距離での攻防、そして戦闘に慣れている者特有の感覚を突然感じた。

 

「何を言ってるの?私は人間よ」

 

「かもしれないわね…だから質問するわ」

 

 こいつ、抱きしめる手を緩めない。それどころか、痛くはないが筋肉の圧を感じる。私が人を殺す魔法を放とうと腕を動かせば、私の首をへし折ってきそうだ。

 

「一人の老人が倒れていました。貴方ならどう対応する?」

 

「…助ける?」

 

「どうやって?」

 

「魔法、それが駄目なら誰か呼ぶとか」

 

「何で助けようと思ったの?」

 

 困った質問だ。わからない。これに答えられない場合は攻撃される。

 

「…知りたいと思ったから」

 

「知りたい?」

 

「何で倒れたのか」

 

「…知ってどうするの?」

 

「原因がわかれば、倒れた理由がわかるから」

 

「う~ん…」

 

 女は少し考えたような声を出し…私を離した。

 

「今は信じましょう。その探求心が真実だといいけれど」

 

「…信じてるって言っても、警戒してる」

 

「うふふ。魔族は嘘つきだから。でも何でか、貴方の言葉は変な感覚だったの」

 

「意味がわからない」

 

「私もよ。行きなさい…少しだけ目を離してあげる」

 

 女は後ろを向き、私を視界に入れなかった。魔力探知は怠っていないが、この状態なら私の方が攻撃は速く出せるだろう。だからこそ、私は全力で逃げた。攻撃するべきだと思った。けど目的の為、攻撃はしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「…う~ん、やっぱり魔族じゃなかったのかしら?でも魔族に反応してたけど」

 

 あえて隙を晒した。あの状態から反撃できるか半々、ある意味分の悪い賭けだった。魔族であれば思考もせずに攻撃する場面だが、彼女はしなかった。

 

 魔族は駆除すべき害獣だ。人語を喋るだけのゴミだ。私達の一族は魔族を生涯を捧げ駆逐する。その使命を胸に刻んで生きてきた。

 

「小さく可愛い子だったのに…もう少し抱いてから聞けばよかった」

 

 魔族と人間はわかりあえない。そんな事は知っている。でも何でか、あの子は魔族かどうか判断ができなかった。

 

「あら、忘れ物」

 

 熊の被り物が地面に落ちていた。彼女が落としていったのだろう、拾う余裕も持ってなかったのか。

 

「…これを被ったところを見たかったな~」

 

 

 

 

 

 

 

 大魔法使いゼーリエが苦手とする女がいる。事あるごとに頭を撫で、可愛いなど自らが似合わない事柄を呟き続けるのだ。そして何より嫌なのが…。

 

「これを…被ってくれませんか?」

 

 熊の被り物を付けようとすることだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 昨日、システム障害で一時的ログインできなくなった時があり、丁度作品を複数書いていましたが全部保存できておらず消えてました。やる気復活するまで書くの休みます。ごめんね。


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