(水色の羽織と二股の尻尾、シキミが噂で聞いた通りの人物がそこにいた。妹に協力してもらうため、シキミは話しかける。)
「身共は勘解由小路シキミ、ユカリの姉ですわ。あなたは桐生キキョウさんで合っていますか?」
彼女は、訝しげな顔で私を見て、答えた。
「そうだけど、ユカリの姉さんが百花繚乱になんの用事?」
「・・・最近、百花繚乱が解散令を出しているという話を聞きましたわ。」
百花繚乱の先輩達について話すユカリの顔を思い浮かべながら続ける。
「ユカリにとって、百花繚乱はかけがえの無い場所ですの、無くなったら悲しみますわ。」
それに、ユカリが居たら勘解由小路家の跡取りになることはできない。
「だから、あなたに協力していただきたいのですわ。」
ユカリの話を思い出す。
「ユカリは、あなたの事を理性的で論理的、その上合理的な方だと言っていました。ユカリの居場所を守るために、どうかそのお力を貸してくださいまし!」
話を最後まで聞いた後、キキョウさんは口を開いた。
「・・・ユカリは、解散令の話を聞けばすぐに飛んで来るだろうと思っていたけど、そのお姉さんが来るとは想像できなかったな。」
彼女は困ったような顔をしていた。
「ここまで来てもらったけど、百花繚乱の存続の為に力を貸すことはできない。」
・・・?
「それは、どうしてですの?」
ユカリの話していたキキョウさんなら、力を貸してくれる筈だ。
「百花繚乱の解散令を出したのは、私だから。」
!それは・・・
「百花繚乱は現在、委員長、副委員長の不在でまともに機能していないこと、」
「空が赤く染まったときに、百花繚乱も抵抗戦や助命活動を行ったものの成果をほとんどあげられていないこと、」
「主にこの二つの理由から百花繚乱は必要ないと言う部員が多く居たため、百花繚乱の解散令を出した。」
「解散令を出した理由は以上。悪いけど、あんたを助ける事はできない。」
確かに論理的だ。でも、
「それでは、ユカリが居場所を失ってしまいますわ。」
私が勘解由小路家の跡取りになることも無い。
「ユカリには、家があるでしょう。」
勘解由小路家で育って居ない者にしか通用しないが、もっともな考えだ。
「ダメですわ。あの家は、ユカリの居場所には成れませんわ。」
だが、あの家で笑うユカリは、想像できない。
「・・・ユカリは、よくあんたのことを話してた。優しくて、苦しいときは側に居てくれるって。」
?!ユカリが、私のことを話していたとは。
「あんたが居れば、家もユカリの居場所になるんじゃないの。」
・・・・・・考えるまでも無い、あの家にいるならユカリは笑えない。
「ダメですわ。私が居ても、あの家でユカリは笑えませんわ。」
そう答えると、キキョウさんの態度が変わった。
「それは、あんたが勘解由小路家の跡取りになりたいから、ユカリのことが邪魔だから言ってるの?」
やはり、あの家で育った者にしか伝わらないようだ。
「いいえ、ただ、ユカリは勘解由小路家で幸せになることはできませんわ。」
間違いないことだ。
少しして、キキョウさんが話し始めた。
「ユカリは、百花繚乱で幸せになれない。」
!?!?何を言って・・・
「ユカリは、よくあなた方の事を話していましたわ。・・・あなた方が居れば、それで幸せになれますわよね?」
考えた後、キキョウが答えた。
「ダメね。私と、レンゲと、ナグサ先輩、全員居てもユカリは傷付くだけ。」
何を・・・何を言っているんだ。
「それは、あなたが、ユカリは百花繚乱にお嬢様のお遊び程度の気分で入っていると思ったから、ユカリの事を鬱陶しいと思ったから、言っていますの?」
あなた方が幸せにしないなら
「いいえ、ただ、ユカリは百花繚乱で幸せになることはできない。」
あなた方が幸せにできないなら!誰がユカリを幸せにできるんだ!!
「ユカリは!勘解由小路家では!幸せに!なれませんわ!」
実は、シキミにできるだけ使わせないようにしている言葉があります。