準備はしっかりとしましょう。1年に一度の、素晴らしい日ですよ。
今日は百鬼夜行燈籠祭の日で、私は儀式のために朝早くから準備を始めていた。
「・・・順調ですわね。」
思えば長い準備だった。勘解由小路家の養子である私は、巫女の代理人として、家の跡取りの代理人としてしか燈籠祭に関わる事が出来なかった。
だが、このまま儀式を行えば、百鬼夜行に限らず多くの人が私を勘解由小路家の巫女と認識することになる。そうなれば、家の者も私を跡取りにするしかない。
「身共が儀式を始めるまでにユカリが来なければいいのだけど。」
それが唯一の懸念点だ。まさかユカリが自分から儀式を行いに来ることはないだろう。だが家の者が無理やりにでも儀式をユカリにさせる可能性がある。まぁ、ここと百花繚乱の建物は離れているし大丈夫か。
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「シキミさん、お客様がお見えになりました。」
儀式が始まるまで時間も少ないのに、誰が来たというのか。帰ってもらおう。
「もう儀式まで時間がありませんの。話す時間は取れませんわ。」
「ですが、シキミさんの妹だと言っていて・・・」
「・・・・・・・・・お帰り願って。」
そんなはずはない、ユカリは今忙しい筈だ、キキョウさんの説得に成功して、さあ百花繚乱を立て直そう!と百鬼夜行中をパトロールでもしているはずだ、何よりユカリは自分の事を勘解由小路シキミの妹と言わないはず、私を姉とは呼ばないはずだ、もし私の事を姉と呼んだならそれは、
「おねえさま」
知ってるでしょうユカリ、私は妹が嫌いなの。
「・・・身共は、あなたの姉では」
ありませんわ、そう言う前に■■■が私に抱きついて言った。
「おねえさま・・・身共にはもうここしかありませんの・・・」
昨夜よりずっと弱い力なのに、体が動かない。
「おねえさま、」
それ以上言わないで
「身共に・・・」
あなたを嫌いにさせないで、ユカリ
「勘解由小路ユカリに、儀式の巫女を務めさせてください。」
あぁ、大嫌いだ、■■■なんて。
■■■はいつも私の邪魔になる。私より弱くて、すぐに傷ついて、一人で居られなくて、なのに血筋だけは確かにあるから、■■■が私の妹で居る限り、私が百鬼夜行燈籠祭で儀式をすることはできなくて、勘解由小路家の跡取りになることもできない。だから、大嫌い。妹が邪魔で邪魔で仕方なくて、憎い。
きっと、ユカリに向かって何かを言うのはこれが最後になる。さよなら、私のかわいいユカリ、愛してた。
「・・・分かっていましたわ、どう呼ばせても、あなたが身共の妹であることは変わらないことくらい・・・だから、今は■■■の顔も見たくない。」
私に抱きついている■■■を無理やり振り払って、控え室を出る。儀式用の装束もそのままに走り出した、どこか遠く、■■■の居ない所へ行きたかった。
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走る、走る、走る、今は何も考えたくない。儀式のことも、燈籠祭のことも、妹のことも、悲しそうなユカリのことも。
考えるな、考えるな、考えるな、考えたら嫌いになる。私に抱きつくあの子を、夜道を怖がるあの子を、一人になりたくないあの子を。
嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ、大嫌いだ。私から夢を奪う妹なんて、大嫌いだ。そうだ、
何かに、いや、誰かにぶつかった。
”いったた、大丈夫かい?・・・あれ?シキミ?”
ぶつかったのは、シャーレの先生だった。
ぶっちゃけると主人公の事は分からなくて当然なんです。
彼女は矛盾を無理やりに成立させている。
理解出来る方がおかしいんです、彼女の事は。