指定民間艦娘艤装整備店舗 千寿時計電機 作:茶碗からこぼれた米粒
「まぁ、なんにせよ見てみないと分からないな。」
泣いてしまった吹雪ちゃんを慰める事数分。
吹雪ちゃんに断わって連装砲を分解してみることにした。
「まずどう開けんだこれ。」
「あ、えっと弾薬を入れる時はここをスライドさせて・・・。」
吹雪ちゃんの手によって連装砲の側面が開かれる。覗き込むと数発弾丸(流石にダミーらしい)が入ってるのが見えた。
どうやら蓋と板バネが連動していて、蓋をスライドして閉じると弾丸が固定される仕掛けらしい。
「ん?でもこれどうやって照準つけるんだ?」
「へ?」
「いや照門も付いてないしそもそも砲身上下させる機構も無いしさ。」
すると吹雪ちゃんはなんでも無い様子で、
「ああ、そこら辺は妖精さんがやってくれるんですよ。」
「へえ妖精が・・・・・・・・・・・今何つった?」
「だから妖精さんが・・・。」
「妖精?」
「妖精。」
「ようせい。」
「ほら、こういう風に・・・。」
吹雪ちゃんは何も弄ってないのに砲身が上下している。
「細かい照準とかは妖精さんが付けてくれるんですよ。ただ、壊れちゃった所は直すことも動かす事も出来ないみたいですけど。」
妖精さんの調子自体は良いみたいなんで本当に原因が分からないんですと吹雪ちゃんが付け加える。
・・・空いた口が閉まらなくなった。
アゴ外れたりしないだろうね。
「ようせい、ようせい、ようせい、ようせい・・・。」
吹雪ちゃんは任務があるとか無いとかで帰ったため、取り敢えず連装砲を預かった。
「ようせい、妖精かぁ・・・。」
早速訳のわからぬ事象にぶち当たってしまった。やっぱり断っとけば良かったか。
しかしやると言った以上やらなけばならないだろう。
作業机に連装砲を置き、椅子に座る。
「・・・妖精とか言うファンタジーにぶち当たった以上、科学的側面からのアプローチは無理だな。」
ファンタジーである以上、その法則性は未知である。科学の常識に当てはめながら考えていくのはまず無理だ。
「・・・そもそもの思考の方向性をかえてみるか?」
技術者や科学者として、理論立てしながら解明するのではなく
殆ど推測になる為、不安定でしかないが現状こんなやり方しかあるまい。
「現状この連装砲とか言うオーパーツについてわかっている事を整理しよう。」
・実際の砲が元となっているが、中身は別物
・基本的に使用者が操作するが、一部は妖精の謎パワーで動く。
・妖精は砲の一部を操作出来るが、故障部は修理できないし動かせない。
・取り敢えず妖精は健全らしい
「上二つの情報はどうでもいいし手がつけられない情報だ。だが、三つ目は違う。」
三つ目の情報から逆説的に考えられる事は、
「妖精が動かせる部位は健全って事か。」
つまり、上下させていた砲身は健全。弾丸が固定されていた為装填関係の装置にも問題はないだろう。吹雪ちゃんは普通に引き金引いてたし、そこら辺にも違和感は無いのだろう。
残る部位で射撃に必要なのは・・・
「撃針か・・・?」
弾丸の尻に仕込まれている雷管を叩き、点火する装置。名前の通り針であり、バネで打ち出す事が多い。
「結構絞り込めてきたな。」
取り敢えず
クルクルッ
パカッ
実に呆気なく上部の蓋が外れ、中身が露わになる。因みに弾は吹雪ちゃんが回収してった。よく考えたら普通に銃刀法違反で草。
「撃針はどうやって外すんだ?」
よく見ると砲身の尾部、撃針とバネが一体になっている所にそれらを固定するネジが有った。
これも外すとようやくバネと撃針が取れた。
「バネには以上なしと・・・ん!?」
撃針が折れていた。バキッと根本から。しかもタチが悪い事に外から見ても分かりにくいとこで折れており、バネが作動しても撃針が変なとこに挟まって動かないと言うオマケ付きである。
「こりゃ分からんよなぁ・・・ってオイオイオイ。」
撃針を外して分かったが、引き金を引いた時にバネのロックを解除する金具も折れていた。
「あー・・・金具は新造するか?図面ないのが辛いけど寸法測ってやるしか無いよなぁ。撃針はどうすっかな。」
工具箱をガチャガチャ漁る。っとコレは?
「タングステンの・・・釘か。」
確か近所の鍛冶屋が試供品にくれた奴だ。ぶっちゃけ持て余していたが、材質も硬いし寸法もピッタリなので代わりにコイツを研磨して溶接しよう。
金具は旋盤&フライス盤で削り出すか。
「さあさあさあやる事分かったし、必要なもんもあるな。」
最後に必要なのは・・・
「ど根性・・・ってか。」
あと徹夜する覚悟。