指定民間艦娘艤装整備店舗 千寿時計電機   作:茶碗からこぼれた米粒

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最終話は吹雪視点です。


SMILE AND ENDING

 

白雪ちゃんと喧嘩してしまった。

 

オマケに白雪ちゃんの愛用していた『12.7cm連装砲A型』を壊してしまった。

 

「吹雪ちゃんなんかっ大っ嫌い‼︎」

 

耳に残る言葉、実際に残った連装砲は私の心を重くするには十分過ぎた。

 

工廠の明石さんを頼る。

「無理」と突き放される。

 

友達の夕張ちゃんを頼る。

「ごめん」と断られる。

 

ダメ元の提督。

「分からん」と一蹴。

 

絶望した私に最後の望みを与えたのは提督の言葉だった。

 

『何か今日から施行された法律で民間で艤装を修理出来るようになったらしい。友人の店が検査に合格したみたいだから行ってみれば?』

 

私は藁にも縋る気持ちでその人を頼る事にした。

 

 

 

 

ピンポーン♪

 

『へいへーい』

 

曇りガラスの扉が開けられ男の人が出てくる。

 

『へーい、千寿時計電機でー・・・す?』

 

男の人は少し汚れた作業服を着ていて、そのあちこちに工具を提げていた。

 

『あっあの!此処で艤装の修理をしてくれるって、聞いて・・・来たんですけど・・・。』

 

何やかんやあって応接間に私は通された。

 

そして、連装砲を直してほしいと告げた。

 

男の人は終始難しい顔をして連装砲を見ていた。

 

私は、私はただひたすらに断られるのが怖かった。

 

だからか、気づいた時には事情を話し始めてしまっていた。

 

 

『実はこの連装砲は私のじゃないんです。』

 

『しらゆk・・・私の友達のもので・・・前に南西諸島へ出撃した時にその娘は私のミスで大破しちゃって・・・。』

 

『・・・誰のせいかで揉めて喧嘩しちゃって・・・その時に連装砲も壊れちゃって・・・。』

 

『わっ私!あの娘と仲直りしたいんです!・・・・・でも私は人に頼んでばかりで・・・・・しかも・・・断られちゃうし・・・・・・・わたしは・・・・・わたしは、・・・・・・ぐすっ・・・。』

 

 

感情が抑えきれなかった。

 

気付いた時には泣いていた。

 

情けない。私は何て情けないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・・・・・・はあ・・・。』

 

 

小さなため息。肩をビクッと震わしてしまう。

 

しかし、放たれた言葉は優しかった。

 

『ほら、涙拭きな。初対面のおっさんに涙なんて見せるもんじゃないよ。』

 

肌色の傷だらけの指がティッシュを差し出す。

 

『全く情けないね。・・・でも、偉いよ。君。」』

 

その人の目は優しかった。

 

『仲直りしようと思ったんだろ?それでいろんな人に頼んで・・・それであきらめてもよかったのに・・・・千寿時計電機ウチを見つけてくれた。すごい行動力じゃねえか。』

 

が、同時に長門さんや川内さんの様な、敵を前にした時の興奮も孕んでいた。

 

『世の中じゃたくさんの人がそれぞれの特技で支え合って生きてる・・・・だから遠慮せず俺に頼ってくれ。』

 

優しく、だけど何者よりも力強く、彼は言い切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「任せろよ。俺は技術屋(プロ)なんだぜ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、果たして彼は鎮守府にやって来た。衛兵さんにへこへことお辞儀しながら。

 

あまりにも早すぎる。やっぱり修理できなかったのではないか。

 

「やっぱり無理でした」と言われるのが怖かった。

 

前の二人もそうだったから。

 

信頼するのが怖くなっていた。

 

 

 

「どーも。千寿時計電機でーす。引き渡しと代金を受け取りに参りました。」

「あ、はい・・・・・・・・あの・・・その・・・聞きずらいんですけど・・・その・・・。」

 

面と向かって聞けるはずがない。失敗したかどうかなんて。

 

 

しかし、結果は違った。

 

「こちら修理完了したものになりまーす。」

 

聞き間違いかと思った。思わず彼の顔を見つめる。

 

すると彼は少し困った様子で、

 

「え?何かやばかった?」

 

「ええッ・・・やばいとかじゃなくて・・・その・・・てっきり失敗したものだと思い込んでて・・・・・・・・・。」

 

 

彼はキョトンとした顔で立ち尽くしていたが、すぐに承知がいった様で、

「ああ、まだ信頼してくれてなかったのね・・・おじさん悲しいわ・・・。まあ最初はそんなもんさ。取り敢えず連装砲試射してきたら?」

 

「・・・あっ・・はい!」

 

言われるがままに射撃演習場に滑り込む。

 

弾薬を装填し、的へと構える。

 

 

 

ズドガンッ!!

 

 

 

砲口が火を噴くと同時にガクンと反動が肩に伝わる。

 

「す、すごい・・・!」

 

命中。しかしそれだけじゃない。

撃った時の違和感が無いのだ。

撃針と弾が完全に噛み合っていて反動のブレがない。

だからか命中精度も上がっている気がする。

 

その事を彼に伝えると、

 

「そうかい。」

 

とこともなさげに言い、続けて言った。

 

「喜んでもらってなりより何よりです。またのご利用をお待ちしております・・・ここまではテンプレだ。早く渡してやんな。時が解決する仲もあれば時が経つと崩壊する仲もある。・・・じゃあの。」

 

スタスタと営門へ向けて歩いてゆく。

 

私はその背中へ向けて出せる限りの声で言った。

 

 

「ありがとうございました‼︎」

 

 

敬礼。

 

 

彼は軽く右手を上げて答える。

 

時刻は午後2時。

 

 

私が白雪ちゃんと仲直りしたのはわずか30分後の事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  翌日 早朝

 

 東京都 某区

 

 千寿時計電機

 

「あぁぁぁぁ↑よく寝たぁ。・・・ったく昨日今日と安っぽい正義見せちまったなぁ。28にだってのに恥ずかしいぜ。」

 

数日振りにまともな睡眠を取った俺は、寝巻きのまま郵便受けを確認した。

 

すると、いつもの地域新聞は入って居らず代わりに白い封筒が入っていた。あとでかい茶封筒。

 

「新聞ねーじゃねぇか。あの寝坊助配達員め。新聞屋辞めちまえ。・・・ってか、なんじゃこりゃ・・・・住所は・・・鎮守府・・・の・・・・吹雪ちゃん?!」

 

まさかまさかのお礼状である。

中の手紙にはあの後友達とちゃんと仲直りした事、工廠の人が修理した連装砲に興味を示していた事、後はただただ感謝が綴られていた。

 

 

「いや〜。こう言うのが来るとこっちもやりがいがあるってもんだぜ。」

 

 

 

 

 である。

この茶封筒は何じゃろかと言う話である。

こう、何かつい最近こんな封筒を見て、触った気がするのだ。

 

「もう嫌な予感しかしねー。でも開けない訳にはいかんよなぁ。」

 

ビリビリっと封を切る。

出てきたのは冊子。と言っても小学校の時の国語の教科書くらいの厚さがある。

 

その表紙にはやたらとポップな文字で、

 

『艦娘艤装の手引き!〜初心者でも安心のカラーイラスト付き〜』

 

ぱらりぱらりとめくると、昨日まで苦労して辿り着いた妖精に関する概論がズラリ。

なるほど、カラー図説と噛み砕いた言葉で初心者にも分かりやすい良い本である。

 

 

ズバシィィンッ‼︎と力一杯に本をアスファルトへ叩きつけ、出せる限りの声で叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「もっと早く配達せんかいクソボケがァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





最終話とは言いましたが何かランキングに載ってたので作者の気まぐれで続くかも。

次に修理にやってくる艦種は?

  • 戦艦
  • 重巡洋艦
  • 軽巡洋艦
  • 駆逐艦
  • 正規空母
  • 軽空母
  • 水上機母艦
  • 海防艦
  • その他
  • 提督
  • 瑞雲大好き師匠系航空戦艦
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