ドラゴンボールZ IF未来から来た戦士 あーし、ブルマとヤムチャの娘なんだけど? 【本編完結済み】 作:ゆーこー
精神と時の部屋に入って初日、ベジータさんは早速独りで修行を始めてしまった。
「ベジータさぁん、マジで独りでやるつもり?」
「言ったはずだ。貴様では相手にならんからな」
「ふぅん、じゃあ相手になればいいんだ?」
「ふん、地球人がこの俺の相手になれるとは思えんがな」
「ならまずは一発、試してみる?」
「ちっ、言っても分からんようなら身体に教えてやるしないか。もし貴様が一発でも俺に入れることが出来たら修行の相手にしてやる」
あーしとベジータさんは100m程距離を取った場所で構えた。ベジータさんは気を高めて超サイヤ人へと変身する。あーしも気の圧力を高め始める。
「界王拳4倍! てやぁぁ!」
ベジータさんがあーしの居た地点に気弾を放つが右に大きな曲線を描きながら回避し、左手で気弾を放ち牽制しながら一瞬界王拳を解除してその場で方向転換を行い、ベジータさん目掛けて一直線に向かう。
「界王拳4倍! 狼牙風風拳改!」
あーしの攻撃が全て正面から抑え込まれてる! 一瞬の爆発力に賭けるしかないじゃん!
「界王拳5倍だぁ! ぐほぇ!?」
両手とも一撃目で受け止められて反撃の蹴りがあーしの左横腹にクリーンヒットする。
「それが貴様の全力か? ならばこの俺に一撃食らわせることは絶対にあり得んぞ」
「く、くぅ...」
あーしの様子を見てベジータさんは超サイヤ人を解除した。
「なっ、まだ勝負は終わってねぇんだけど!」
「これ以上やっても時間の無駄だ」
「...界王拳6倍だぁ!」
「バカが!」
再び超サイヤ人になったベジータさんに攻撃を回避されて頭に重いパンチを喰らってあーしはダウンした。
「...一週間だ」
「へ?」
「一週間に一度だけ相手をしてやる。それで一撃でも喰らわせたら、そのときは修行してやる」
「マジ? っし、見てなさいよ」
あーしは一週間でまず自力を上げるトレーニングをしてみた。その週、全く歯が立たなかった。
翌週、界王拳を使いながら少しでも小回りが効くように研究と実践を繰り返した。しかしまだまだ精度が上がらず勝てなかった。
そこから追加で二週間、同じことを少しずつレベルを上げながら実施した。
その週の戦いは、ベジータさんが放つ連続エネルギー弾を前に回避しきれずに敗れた。でも初めてベジータさんから技らしい技を引き出せたことがあーしの自信に繋がった。
そこからは界王拳の精度を高める修行を行いながら繰気弾の洗練も行った。こちらも技術を磨けば磨き込む程に武器としての威力が分かりやすく増してくる技なので、成長が実感しやすい。気が荒ぶりまくる界王拳、繊細な気のコントロールで縦横無尽に攻撃できる繰気弾、それを同時に行いながら両手を扱えるように徹底的に身体に馴染ませた。それともうひとつ、ノウハウだけは聞いてた技の練習もベジータさんに見つからないようにこっそりと行った。
───そして、ここに入って二ヶ月目。八回目のベジータさんとの戦いの日がやってきた。
「今日こそは一発、いや二発でも三発でも当ててやるわよ!」
「ふん、威勢だけはいつもいい女だぜ。さあ、来やがれ!」
超サイヤ人になったベジータさんにあーしはまず遠距離での戦闘を仕掛ける。
「双繰気弾!」
二つの繰気弾はここに入ったときとは比にならないスピードでベジータさんに向かって高速で接近する。ベジータさんは後方に下がりながら繰気弾を回避しようとするが、すれ違う寸前に直角にベジータさんの方向に繰気弾を曲げた。あと一歩で直撃の距離だったがベジータさんが加速してそれを回避、それを追撃するために繰気弾を曲げ直しす。
「ちっ! ギャリック砲!」
ベジータさんは操作するあーしを狙って攻撃をする。あーしは五倍界王拳でそれを避けながら、繰気弾を操作して挟み撃ちを狙う。
「そんな幼稚な作戦が、この俺に通用すると思うなぁ!」
ベジータさんは繰気弾とあーしに挟まれそうになるとあーしの方に躊躇無く肉薄して、あーしの胸元を掴んで繰気弾の方に投げ飛ばした。もちろん繰気弾は操作してあーしとの追突は避けたのだが、それを狙われていたように投げ飛ばされたあーしに回り込んで来たベジータさんの攻撃で地面に叩き落とされた。
「こんなものか?」
「まだまだ! とっておきを御披露目よ!」
あーしは自分の身体からいくつもの残像を出してベジータさんを取り囲んだ。
「多重残像拳!」
「何がとっておきかと思えば、下らん技だ。スカウターに頼ってる連中ならともかく、この俺には通じんぞ!」
ベジータさんは躊躇無く中指を立てた姿のあーしに殴りかかる。
「なっ、なに!?」
それは残像!
残像の隠れていた繰気弾がベジータさんの顎を思い切りアッパーしそうになるが、ギリギリのところでこれも回避。追撃に姿を現したあーしの拳も受け止められてしまった。
「ふん、俺としたことがこんな子供騙しに...」
あの時あーし本人は気を完全に消していた。残像拳で視力による本物の把握は不可能。
そうなればベジータさんは気を探知してそこを攻撃するしかないのだが、感じ取れる気は繰気弾のものだけ。必然的にそこを攻めるという読みまでは当たっていたのだが、まさかそんな奇襲でも回避されるとは計算が違った。
「マジつえぇわベジータさん」
「ふん、もう降参か?」
「絶対しねぇから、もうひとつの奥の手見せてやるわよ!」
あーしは腕をクロスして繰気弾を出す手の形に変える。
片手から三つずつ。合計六つの気弾を出現させる。
「界王拳六倍! 受けてみなさい、新必殺の...
あーしは繰気弾を放つと共に狼牙風風拳改で接近戦も仕掛ける。さすがのベジータさんも両手を使わなければ繰気弾とあーしの六倍界王拳のラッシュは防げず、その攻防の最中でいやでも繰気弾を手の甲で弾き返さなければならない場面が現れた。
ドカン! 手の甲で弾こうとした繰気弾が普通の気弾とはまた違う爆発という形でベジータさんの顔面を覆う。
「貰ったぁ!」
「調子に乗るなよぉ!」
あーしの攻撃を両手で受け止めて、またひとつの繰気弾が接近してきたので今度は蹴り返そうとした。今度は爆発もせずに、脚で捉えたと思った気弾が接触したはずのタイミングでパッと姿が消える。空を切らされた脚に一瞬のロスが生まれ、そのすぐ後ろから接近してきた繰気弾の迎撃に間に合わなくなり右足に繰気弾が直撃する。直撃した。完全に今のは一発噛ませたのだ。
「ぬぉ!?」
「やった!」
ベジータさんは戦いを止めた。
「...ちっ。まさかこの俺が本当に地球人の女に一発喰らわされるとはな」
「ほんとは腹にでも一発入れてやりたかったんだけどね」
「まさか、繰気弾を三種類に分けるとはな」
そう、通常の繰気弾と触れたら爆発するタイプ、触れると感触もなく消えてしまう残像の繰気弾、この三つを二個ずつ織り混ぜて相手を惑わす。それが六幻繰気弾ってわけ。
「約束通り明日からは一緒に修行してくれるんでしょ? まさか、サイヤ人の王子様が一度決めた約束を破ったりしないわよね?」
「当たり前だ、だが俺についてこれなくても手加減はせんからな。どう泣きわめこうが知らんからな」
ベジータさんはそう言って食事に行った。だがその姿は普段より楽しそうな雰囲気を醸し出していた。
そこから残りの十ヶ月はまさに死に物狂いの修行だった。ドンドン自力を上げていくベジータさんに引き離されないようにこちらも必死に鍛え上げ、泥のように眠っては
ベジータさんに負けないくらいご飯を掻きこんで身体を作る。そしてまた限界ギリギリまで身体を苛め抜く。
やはりサイヤ人というのはスゴい。戦闘民族を自称するだけあり身体の仕上がるスピードが全然違う。それでも何とかついていけたのは、ベジータさんが然り気無くあーしに気を遣ってくれるところがあったからだった。
最初はそうでもなかったけど、いつの間にか戦闘中にダメなところを教えてくれて指導するようになったり、あーしがガチで動けなくなったときには修行を中止してくれた。
「間も無く一年か、おいテディ。貴様との戦いでは見せてやらなかったが俺は超サイヤ人の更に上の力を手に入れた。ここを出る前に一度見せてやる」
知らなかった。あーしとの戦いはいつの間にかベジータさんなりに加減をしている状態になっていたのだ。
ベジータさんが一気に気を高めて超サイヤ人になり、そこから更に力を込めていく。
「これが、超ベジータだ」
筋肉は適度に膨れ上がり、髪も前より逆立っている。気の総量も以前とは比べ物にならない程に上がっていた。
「すごいベジータさん! これなら人造人間なんて目じゃないよ!」
「ふん、人造人間程度今の貴様でも倒せるだろう」
「え、マジ?」
「気付いていなかったのか? まあ、俺がずっと相手では気付かないのも無理はないか。今の貴様はここに入る前の俺とほぼ互角かそれ以上に成長しやがった。全く、地球人ごときが伝説の超サイヤ人と肩を並べているんだぞ。内心少し腹立たしかったぜ」
「マジか...ずっと今のベジータさんと比較してたから界王拳込みとはいえそこまで成長してると気付かなかった」
「テディ、貴様は地球人かもしれん。だが、貴様はそこらのサイヤ人よりよっぽど優れていやがる。サイヤ人の王子であるこの俺が認めてやる」
「ベジータさん...」
「ふん、そろそろ出るぞテディ。後が詰まっていると言われたらたまらんからな」
「わっ、待ってよ! もぉ~!」
ベジータさんはこの一年であーしを認めてくれた。それがなんていうかもう、めっちゃあーしは嬉しかったしそれをあのベジータさんが割りとストレートに言ってくれたって事実がマジで推せた。でもこれだけは言わせてほしい。
ベジータさんってもう王子じゃなくて王様じゃね??
テディについて⑥
この一年でベジータへの好感度が爆上げ!未来悟飯の次くらいに位置取った。