魔法少女にあこがれて~バルバン襲来   作:ロト2

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今回のタイトルはトマトの漢字読みです。


第110話 赤茄子

五土農町

 

 

マゼンタ達は次にバルバンが作戦を行うと予想される町の一つに待ち伏せる為ヴァーツの取ってきたとあるテレビ番組のゲストとして五土農町に来ていた。

 

「本日の[密着!!地元の有名人]の特別ゲストはトレスマジアの皆様でーす!」

「「「よろしくお願いします!!」」」

 

  レポーターの紹介にマゼンタ達は笑顔で挨拶を返す。

 

「今日は五土農町で大規模施設を使って冬でも新鮮な野菜を作る事に成功した農業経営者高田 清(たかだ きよ)さんの農場を紹介させて貰います。高田さん今日は見学させて頂きありがとうございます!!」

「いえいえ、此方こそウチの農園を紹介して貰ってありがとうございます」

 

 そう言ってレポーターに紹介されたつなぎの作業服を着た老婆ー高田はにこやかに応対する。

 

「高田さんは一代でこの農園を地元有数の大農園に発展させたと聞き・・・」

 

 レポーターが高田の紹介を続ける中マゼンタ達はテレパシーで会話をする。

 

「(うわぁすごい大きい農場だよぉ!なめ茸も育ててるのかなぁ?)」

「(いやなめ茸は違うやろ)」

「(それにしてもこんな大きな農園なんて初めて見るわ。ギンガルカ達も見るのは初めて?)」

〈(そうね、ある程度大きな畑は三千年前にもあったけどこんな大きなガラスの家の中で育てるなんて発想は無かったわね)〉

〈(本当に農業もスゲー進歩したと思うぜ)〉

〈(だが生き物の命を繋ぐ為の食べ物を作ると言った本質は今も昔も変わらないと私は思うよ。この営みを守るのも私達の役目だな)〉

「(そうだねギンガホーン。バルバンが此処へ来なかったら良いんだけどね)」

「(少なくとも前みたいな爆弾人形みたいな被害はもう出させんわ)」

〈(その意気だぜサルファ!)〉 

 

「トレスマジアの皆さーんそろそろ中に入りますよー!」

「あ、ハーイ」

 

 マゼンタ達がそんな会話をテレパシーでしているとスタッフから声が掛かり撮影に戻っていった。

 

 

農園 ガラスハウス

 

 

「最近は何やら畑の野菜が突如枯れるといった現象が多発していると聞きますがここは大丈夫なのでしょうか?」

「あら、ウチの農園の事はある程度は調べていないんですか?」

「え、あ、すいません・・・・」

 

レポーターの質問に高田 清は少しキツい口調で返すとレポーターは思わず萎縮してしまう。

 

「(何かあの、おばあちぁんちょっと怖いな)」

「(サルファ)」

 

「心配いりません、ウチはハウスの大部分はプランターを使った栽培や水耕栽培をしているので今の所そう言った被害が出ていませんね」

「あの水耕栽培ってなんですか?」

「水耕栽培とは簡単に言えば土を使わずに水と液体肥料を使わずに育てる栽培法ね。これから入るイチゴハウスを見れば分かるわ」

 

 マゼンタの質問に高田 清は年寄りとは思えないほどにハキハキと喋りながらハウスの扉を開けると中には高いラックの様な台の上に液体肥料や水が流れているパイプの中に植えられているイチゴが並んでいた。

 

「わ、凄い!まるで近未来みたいですね!」

「ふふ、そう見えるわよね。それだけじゃ無くこうやって温度も植物に適した温度に設定してるから1年を通して皆様に美味しい野菜を提供しています」

 

そう言って高田 清はトレスマジアの方を向く。

 

「トレスマジアの皆様も良ければ今家の孫が手伝いに来ているので休憩の時に会ってくれませんか。孫がファンなので会ってくれればきっと喜ぶので」

 

  

 

 

 

 荒くれ無敵城

 

 

「ブドー、成果を上げると言った癖に結局モビーディグを捕らえられていないではないか」

 

 そう言いながらシェリンダは畳の上に座るブドーに侮蔑の視線を向けるとゼイハブに向き直る。

 

「船長!もはやブドーに捕獲作戦は任せられません。こうなればこの私がモビーディグの捕獲を」 

「待たれよシェリンダ殿」

 

 シェリンダはゼイハブに自分に捕獲作戦を任せるように進言するがそれに対し泰然自若な態度を崩さず待ったを掛ける。

 

「確かに拙者は前回の作戦で成果は出せなかった。だがもう一つの目的であるモビーディグの誘導は後数手で目的の場所へ誘導が完了致す。そして!」

 

カッカッカッカ!

 

 ブドーが懐から四枚の絵札を素早く取り出しそれらを投擲し床に突き刺していく。

 

「残る誘導と捕獲は我が配下最強の四将軍が行い必ずや捕らえてご覧にいれまする」

「・・・・良いだろう。捕獲作戦はまだしばらくテメエに任せてやる。だがブドー、その四将軍がお前の持ってる最後のチャンスの数だって事忘れるんじゃねぇぞ」

「承知の上で御座る。モビーディグ捕獲作戦其の七[モビーディグは食物の腐りを好む物なり]次なる作戦は食物を大量に腐らせその穢れによってモビーディグをおびき寄せる策なり。次にモビーディグが現れる場所は此処で、そしてこの作戦を行うのは我が四将軍の1人砲烈道なり」

 

 そう言ってブドーは床に刺さった歌舞伎役者の様な魔人が描かれた絵札を取りそれを見せつけると短冊にさらさらと俳句を書く。  

 

「食物を 砲で打ち抜き 腐らせる」

 

 

 

 

農場 休憩所

 

 

「うえ~冬なのに汗まみれだよぉ・・・」

「全くや、ハウスの中意外と暑かったな~」

「ちょっ2人とも。はしたないわよ!」

 

 番組前半の収録が一旦終わり農場の休憩室でマゼンタとサルファが服を引っ張って手で仰いでいるのをアズールが注意しているとそこへ1人の中学生の少女が覆いを被せた皿を持って休憩所に入ってくる。

 

「あのトレスマジアの皆さん、今日はウチの祖母の農園に来てくれてありがとうございます」

「「「!!」」」

 

 入ってきた少女を見てマゼンタ達は驚愕の表情を浮かべる。入ってきた少女ははるか達の学校の同級生の高田だったのだ。  

 

「え!高田さん!?」

「??はい高田ですけど、あの何でそんなに驚いて居るんですか?」

 

 マゼンタの驚いた声に高田は訝しげな表情を浮かべマゼンタは慌てて言い訳を考える。

 

「え、あ、それは、何だかあの経営者のおばあさんの面影があってビックリしたんだよぉ!」

「はぁ、そうですか・・・似ていますかおば、じゃなかった祖母に」

 

 マゼンタがしどろもどろにそう言い訳するのを高田は怪訝な顔を浮かべるも何処か嬉しそうになる。

 

「尊敬している祖母に似ていると言って頂いて光栄です。ウチの祖母は自分の代で農園を大きくしただけじゃなく、いつも凜としていて自分の意見をハッキリ言える人でそれに厳しくも優しい所もあって私も将来祖母みたいなしっかりした大人になろうと思って今日みたいな休みの日に電車に乗って手伝いに行ったり、しっかり自分の意見を言うようにしたりと日々努力しているんです!」

「そうなんだ。すごい人なんだね!」

「はい。すごい人なんです!!」

 

 どこか興奮した様子で祖母の事を語る高田とそれに同調するマゼンタの後ろでアズールとサルファはコソコソと話し合う。

 

「(何だか高田さん教室にいる時と大分印象が違うわね)」

「(せやな、てかもしかしてあの普段のキツい口調、高田のおばあちゃんを真似してやってたんか。真似してる部分キツい所だけやん)」

「(ちょっとサルファ)」

 

「そう言えば高田さん、その持ってるお皿は何なの?」

「あ、忘れてました。これ今撮影しているハウスとは別のハウスで収穫した野菜で作った我が農園自慢の商品なんです。是非皆様に飲んで貰いたくて持ってきました」

「わ!そうなんだありがとうだよぉ!」

「へぇそれはありがたいなぁ」

「丁度喉が渇いていたし良かったわ。どんな飲み物なの?」

「はい、冬でも美味しく食べられるように育てて加工した、トマトジュースです!!」

 

 そう言って高田が覆いを取るとそこには並々とコップに注がれたの赤いトマトジュースがあった。

 

「・・・・・!!?」

「アズール!!」

「顔が真っ青やで!!」

 

 皿に乗せられたトマトジュースを見てアズールは先程前浮かべていた笑顔が崩れ真っ青な顔になる。

 

「さぁ美味しいですよ。どうぞ飲んで下さい」

「あ、あぁ、貰うわ」

「あたしも貰うよぉ・・・」

「・・・・・」

 

 サルファとマゼンタがトマトジュースを取る中アズールは取る様子を見せずそれを見て高田は眉を顰める。

 

「アズールさん?飲まないんですか?」

「あ、いやその・・・」

 

コップを取らないアズールをフォローしようとマゼンタは慌てて2人の間に入る。

 

「た、高田さん、アズールは今、その、喉が渇いてなくて」

「え?さっきアズールさん本人が喉が渇いているって言ってませんでしたか?」

「え、えーとそれは・・・」

「祖母が折角皆さんの為に作ってくれたのに・・・・それともまさか、皆の模範たるべき魔法少女がトマトを好き嫌いしてるんですか?」

「そ、そんな事無いわ!」

 

高田のその言葉を聞きアズールは思わず否定し、それを聞いて高田はズイッとトマトジュースを差し出す。

 

「じゃあ飲んでも大丈夫ですよね」

「・・・分かったわ」

 

アズールは緊張した様子でトマトジュースを受け取ると目を瞑ってそれを一息に飲み、そのままの姿勢でぶっ倒れてしまった。

 

「「アズール!!」」

 

 

――――――――

 

 

五土農町 スーパー

 

 

ワアァアアア!?

 

 スーパーの中で客が逃げ回る中、両端に樽の様な物が付いた手杵を持ち背中に蟹の甲羅を背負った歌舞伎役者の様な魔人ー砲烈道は食品コーナーにたどり着くと手杵を肩に乗せ砲筒の様に構える。

 

「喰らえ魔人炸裂弾改!!」

 

 砲烈道がそう言うと手杵の樽部分から銃弾が次々発射され食べ物に当たっていくと食べ物がみるみる腐っていく。

 

「あいや、まだこの程度の腐りではモビーディグは来ぬか。ならばさらに多くの食べ物がある場所に向かわねば」

 

砲烈道はそう言うとスーパーから出て次の食べ物のある場所を探しに行った。

 

 

農園 休憩所

 

 

「どうしたの?何か凄い音がしたけど?」

 

 アズールが倒れた音を聞き高田の祖母の清が休憩所を覗くとそこには倒れたアズールを介抱するマゼンタとサルファの姿があった。

 

「これは・・・一体どうしたんです?」

「それがアズールがトマトジュース飲んで気絶してしもうて・・・」

「ギンガルカ、アズールは大丈夫なのぉ?」

〈ちょっと待って〉

 

 ギンガルカはそう言いながら倒れたアズールの変身アイテムから自分の姿を顕現させ、それを見て高田が驚いた声を出す。

 

「わ、魚みたいなのが出てきた!アズールの使い魔?」

〈魚じゃないわよオルカよ!・・・大丈夫軽く気絶してるだけだわ。あなた何て事するの!アズールはトマトが苦手なのにそれを無理矢理飲ませるなんて!!〉

「え?アズールはトマトが苦手なんですか?だったら少しガッカリです。皆の模範の魔法少女がトマトを嫌いなんて」

〈あなたねぇ!!〉

 

 高田が謝らず少し失望した様な目でアズールを見てギンガルカが怒った声を上げるがその前に清の叱る声が響く。

 

「真莉愛!人に無理矢理苦手な物を飲ませたのに何ですかその態度は!!」

「う、だ、だってアズールが折角おばあちぁんの作ったトマトジュースを飲んでくれなかったし、それに好き嫌いしたら良くないっておばあちぁん言ってたでしょ」

 

「だったらアンタは苦手な食べ物無いって言うんか」

 

 清に怒られてもまだ謝らない真莉愛にサルファは怒りを抑えた声で聞く。

 

「そんなに模範、模範言うんやったらアンタは好き嫌いない模範的な子なんやろうな」

「ッ当たり前です。アズールが飲めないトマトジュースだってこの通り!」

 

 真莉愛はそう言って残っていたトマトジュースを取ってそれを一息に飲み干した。

 

「真莉愛!そう言う事を言ってるんじゃ無いの!アズールさんに酷い事を言った事を謝りなさいと「大変です皆さん!」ヴァーツさん?」

 

 清が叱ろうとした時、マネージャーとして同行していたヴァーツが慌てて入ってきて清は訝しげな表情を浮かべる。

 

「この町にバルバンが出て来ました!食べ物がある場所を襲いながらこっちに向かっているみたいです!」

「「!!」」

 

 ヴァーツのその言葉を聞きマゼンタとサルファはアイコンタクトを取って頷くと清と真莉愛の方を向く。

 

「清さん、真莉愛さん。バルバンならあたし達が対処します。アズールはまだ気絶しているのでここで寝かせて貰って良いですか?」

「え、えぇそれは構わないわ」

「ありがとうございます。ギンガルカアズールが起きたら状況を伝えてくれる」

〈えぇ任されたわ〉

「お二人さんは農園の人達連れて安全な所へ避難してくれませんか」

「何でですか?トレスマジアの二人が出るなら避難の必要なんてモガ」

 

 サルファの言葉に反発する真莉愛の口を塞ぐと清は神妙に頷いた。

 

「分かりました。どうか無事に帰ってきて下さいね」

「はい、もちろんです。ヴァーちゃんバルバンがどこから向かってくるか分かる?」

「それでしたらこの使い魔の後を辿って下さい」

「分かったよぉ!行こうサルファ」

「了解や」

 

  清の言葉に頷くとマゼンタとサルファは休憩所を出て飛んで行った使い魔の後を追って飛び上がっていった。 

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