第3話 鏡の中のネロアリス1
荒くれ無敵城
「さて、おめえら前回の襲撃で分かった事だが、この星は地球ではあるがどうやらギンガマンと戦った地球じゃねぇみたいだ。そしてギンガマンも星獣も居ない代わりにトレスマジアとか言う小便臭えガキ共が地球を守っているらしい」
「だったら船長そんなガキ共とっととぶっ殺しちまおうぜ」
「まぁ慌てるなバッドバス、敵はトレスマジアだけじゃねぇエノルミータとか言うふざけた真似をしたガキ共も居るんだ。そいつらの目的は分からねぇが俺達の敵なのは間違いねぇしそいつらの横槍も注意もしなきゃならねぇ、勿論ぶっ殺しはするがその前にやる事がある。」
「やる事?そいつは一体何ですかい船長?」
サンバッシュの質問に対しゼイハブは部屋に集まった4軍団長をぐるりと見回すと口を開いた。
「船だ。俺達は復活したが何故かダイタニクスだけが復活してねぇ、このままじゃ俺達は船のねぇ間抜けな海賊だ。急いでダイタニクスの代わりの魔獣なり船を見つけなきゃならねぇ、おめえら、何か案はねぇか?」
「だったら簡単だ船長、この星の軍艦って奴を奪っちまえばいい!」
「バカか、サンバッシュこの星の船なんか脆弱過ぎて使えねぇよ」
「何だと!脳筋野郎!!」
「それよりも船長この星の資材を全部奪って新しいメカ魔獣を作っちまえばいい、ビズネラが居るんだ不可能じゃねぇ!」
「否、それでは時間が掛かりすぎる。この世界には魔法という物がある。ならばトレスマジアなりエノルミータからそれを奪いその力を持ってして新たな魔獣を生み出すべきかと」
「ハッ、あんた達揃いも揃って悠長な事ね。そんな事しなくても私の魔術儀式があれば魔獣を生み出すなんて訳無いわ」
「何ぃ!」
「テメエ喧嘩売ってんのか!」
「貴様!!」
「やめろお前ら!!」
一触即発になる幹部達にゼイハブはそれを一喝して黙らせる。
「お前ら、三千年前も前回もギンガマンに負けたのにまた懲りずに足の引っ張り合いをする気か?今回も行動隊長制で行く、くれぐれも他の奴の足の引っ張り合いや妨害はするんじゃねぞ」
ゼイハブはそう言い4枚のトランプを取り出し幹部達にそれを投げた。受け取った幹部達は直ぐにカードの絵柄を確認しその中で勝ち誇った声を上げたのはイリエスだった。
「ふふ、どうやら今回は私が一番手の様ね」
「よし、最初の行動隊長はテメエだイリエス、他の奴らは待機だ。くれぐれも掟破りはするんじゃねぇぞ」
ゼイハブにそう言われイリエス以外の軍団長達は渋々と部屋を出て行き残ったイリエスにゼイハブは視線を向けた。
「さてイリエス、あれだけ大口叩いたんだ。ちゃんと作戦は考えているんだろうな?」
「勿論です船長、おいでゲルトゲルト!」
イリエスがそう叫ぶと部屋の鏡の中から髑髏の仮面を付けた騎士が現れた。
「お呼びですか?マザーイリエス」
「ゲルトゲルトお前には78人の人間を生贄に新たな魔獣を作る儀式をやって貰うわよ。出来るわね?」
「お任せを」
そう言い平服するゲルトゲルトを見てイリエスは満足そうに頷く。
「よしイリエス、早速作戦に取り掛かれ!」
「はい船長、成功した暁には報酬の金貨お忘れ無く」
そう言ってイリエスはゲルトゲルトと共に部屋を出て行き後にはゼイハブとシェリンダのみが残った。
「いいんですか船長?アイツは一度掟破りをしてブドーの妨害をしていますよ 」
「だからこそだ。最初に行動隊長に任命しておけば他の奴の妨害しないだろうし、それにトレスマジアにエノルミータの実力を知るいい当て馬になるだろうよ」
そう言ってゼイハブは酷薄に嗤いながらイリエスが出て行ったドアを見ていた。
町中
町中の通りを2人の親子が歩いて行く。
「フフ、こうしてこりすと買い物に出かけるのは久しぶりね」
「・・・・!」(コクリ)
そう言ってこりすと同じ髪色をしたこりすの母が手を繋いでるこりすに微笑み掛けこりすはプレゼントの箱を片手に嬉しそうに頷いた。
「お、あれこりすじゃん」
「あ・・・本当だ。隣に居るのはお母さんかな?」
「何してんだろ?おーいこりすー」
「キウィちゃん邪魔しちゃ悪いよ・・・ん?」
その様子を向かい側の通りに居た、うてなとキウィが見つけ、きうぃが声を掛けようとするとうてながそれを止めようとしてふと、こりす親子の近くのショーウィンドウに何かが映った。それが何なのか訝しんでいるとそのショーウィンドウから怪人ーゲルトゲルトーが飛び出してきた。
「きゃああああ!?」
「ギーシギシギシ、お前らいい生贄になるな鏡封じ!」
そう言ってゲルトゲルトは髑髏が書かれた盾を構え、それに対してこりすの母はこりすを庇う様に抱き上げるが左右に展開した盾に内蔵された鏡が光ったかと思ったら鏡の中に2人とも取り込まれてしまった。
「こりすちゃん!?」
「こりす!!」
こりすが消えた事に2人は驚いた声を上げるがゲルトゲルトはそれを気にせず逃げ惑う周りの人間を次々と鏡の中に取り込んでいく。
「大量、大量これなら儀式も直ぐだな「待ちなさい!」ん?」
ゲルトゲルトが声をした方を振り向くとそこにトレスマジアが空から降り立った。
「トレスマジア見参!貴方ですね次々と人を消していた怪人は」
「如何にも、俺はイリエス魔人族ゲルトゲルト、怪人では無い魔人と呼べ」
「どっちでもいいわそんな事、そんな事よりあんた今言った儀式ってどういう意味や?」
「ギーシギシギシ!誰が教えるか馬鹿め、貴様らも生贄になれヤートット!!」
ゲルトゲルトがそう叫ぶと周りからヤートットが次々と現れる。
「だったら貴方を倒して聞き出して見せます」
「そんな雑魚で止められると思うなや!」
「これ以上の悪事はさせないわ!」
「うてなちゃん、今の内に」
「う、うん」
トレスマジアとバルバンが戦闘を始めると同時にうてなとキウィは路地裏へ隠れていった。
「やぁー!」
「はぁ!」
「「「ヤトットー!?」」」
マゼンタが槍を振り回し縦横無尽に周りにヤートットを吹き飛ばしていき、マゼンタの背後をアズールが守りヤートット達に攻撃の隙を与えず切り捨てていく。
「何をしている!銃で撃って動きを止めろ!!」
ゲルトゲルトがそう叫ぶと何人かのヤートットがラッパ銃を構えて狙いを付け銃弾を次々と発射するがサルファがそれを防御魔法を張り2人に届かない様に防いでいく。
「ちぃ、貴様らも鏡に閉じ込めてくれる鏡封じ!」
ゲルトゲルトが盾を展開して中の鏡から光を発射するが、3人は素早く鏡の射線上から離れ、逆にヤートットが鏡に封じ込められる事になった。
「そんな見え見えの攻撃に当たると思うてるん?」
「グッ・・・」
「他の戦闘員は倒しました。後はあなただけです」
「消した人々を返して貰うわよ」
「(クッ欲をかきすぎた。これ以上戦っても意味が無い。ここは撤退するか)」
ゲルトゲルトはそう判断してショーウィンドウのガラスに入ろうとした瞬間全てのショーウィンドウのガラスが銃撃を受け壊れてしまった。
「!?」
「よぉ何逃げようとしてんだ?ドクロヤロー」
ゲルトゲルトが声のした方を向くと銃を構えたレオパルトとマジアベーゼが立っていた。
「エノルミータ!?何でここに?」
「このタイミングで又面倒くさい奴らが来てくれたな」
「何が目的なの?」
トレスマジアの3人が警戒する中マジアベーゼは視線をトレスマジアに向けた。
「こんにちはトレスマジアの皆さん、本当なら皆さんとの戦いを楽しみたい所ですが今日は別の用事で此方に参りました」
「別の用事?」
ベーゼの言葉に首を傾げるマゼンタを余所にベーゼは今度はゲルトゲルトに視線を向けた。
「ゲルトゲルトさんと言いましたね、単刀直入に言います。今すぐ鏡に捕らえた人達を解放して貰えませんか?そうすれば痛い目を見ずに済みますよ」
「何?そんな事をして貴様に何の得がある?」
「質問は受け付けません、あなたはハイかイイエのどちらかを答えればいいんです」
「ギーシギシギシお断りだ。大切な生贄をそう簡単に解放すると思うか」
「そうですか・・・・では痛い目を見て貰いましょう」
ベーゼはそう言ってレオパルトに合図を出しそれを受けたレオパルトは巨大なガトリング砲を召喚し、それを発射した。
「オラオラオラ!喰らいやがれドクロヤロー!!」
「ぬぉぉ!?何て無茶苦茶な奴だ!」
ゲルトゲルトは必死にガトリング砲の砲撃を走って避けていく、その様子をベーゼは目を細めて見ていく。
「どうしたんですか?その盾で防がないんですか?それとも万が一壊れたら困るんですか?」
「・・・・・」
「どうやら困る様ですね、だったら・・・」
そう言って支配の鞭を周りの砕けたガラスやアスファルトに振るいそれによって小型の魔物を大量に作りそれをゲルトゲルトに向かわせた。
ゲルトゲルトは走りながら剣を振るい叩き落としていくが如何せん数も多く銃撃も受けているので全て落としきれず攻撃が掠っていき、遂には足が止まってしまう。
「貰った!」
レオパルトはそれを狙い撃とうとした時、突如雷が走りガトリング砲を破壊した。レオパルトが驚いて居るとゲルトゲルトの前にイリエスが現れた。
「ゲルトゲルト、何を遊んでいるの?手伝ってやるから早くお前の役割を果たしな」
「も、申し訳ありませんマザーイリエス」
ゲルトゲルトを叱責しながらイリエスは呪文を唱え直ぐに2人の姿は消えていった。
「逃げられたか・・・・!」
それを見てベーゼは悔しそうに唇を噛んだ。
今回は鏡を使う魔人だったのでルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」に掛けてこの様なタイトルになりました。