混沌とした戦況で新たに現れた魔法少女によって戦場は一時的に止まりそれぞれの勢力が新たな勢力に視線を向けていた。
「ヴァーツ見ているんだろう。アレはお前の差し金か?」
採石場の崖上に佇む魔法少女を見ながらヴェナリータは隠れているヴァーツに詰問する様声を掛ける。
「い・・・いやボクは知らな・・・ん?彼女は・・・」
隠れていたヴァーツは戸惑いながら否定しているとふと崖上に立っている包帯を巻いている魔法少女の1人に目が向く。
「何者だ貴様等?」
ヴェナリータの問いかけに崖の上の魔法少女達はポーズを決めて名乗り出す。
「私達はシオちゃんズ!エノルミータ壊滅を目的に集まった魔法少女なのッ♡ヴェナちゃん覚悟してね☆悪い子にはお仕置きが必要なのっ♡」
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「シオちゃんズだと・・・?何だか分からねーが今の内にシェリンダの回収をして撤退しねーと・・・」
シオちゃんズの登場に呆然としていたサンバッシュ我に返ると暴走ベーゼの取り込みから解除されたシェリンダを慌てて肩に担ぐとシオちゃんズに注目が集まっている隙に撤退をしていった。
「シオちゃん、シオちゃんアイツ逃げていくけど追わなくて良いの?」
その様子を包帯を巻いた魔法少女ーベルゼルガが見つけ軍服の魔法少女ーイミタシオに追わないのかと聞く。
「ん~別にいいの。私が優先して潰したいのはエノルミータだし、それにアイツら良い物を落としていってくれたから今回は特別に見逃してあげるの~☆」
「え、シオちゃん優しい」
「それ程でも無いの~」
ベルゼルガとそんな会話をしながら崖を降りていくとリグローが爆散した場所に行くと残っていた腕輪を拾い上げてポンポンと投げて弄ぶ。
「さ~て次はトレスマジアに挨拶に行かないとなの☆」
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〈・・・夜!小夜!〉
「・・・ん」
「良かった~目が覚めたの~水神小夜ちゃん♡」
ギンガルカの言葉を聞き小夜が目を覚ますと目の前に片面の仮面を着けた灰色の髪の幼女とその幼女に抱きつく薄いピンク髪の長髪の少女と少し離れた所に立っている眼鏡を掛け緑色の長い髪を一本の三つ編みに纏めた少女が立っていた。
「あなた・・・達は・・・?」
「トランスマジア」
カッ!
小夜の疑問に答える様に少女達は目の前で変身して見せた。
「なっ!!」
「新しい魔法少女・・・ってことらしいわ」
「彼女達が助けてくれたみたい・・・」
「薫子、はるか!」
小夜の後ろから声が聞こえると振り向くと疲労困憊の様子でへたり込んでいる薫子とはるかの姿がいた。
「そうなの私はイミタシオの忌田(いみた)シオン♡」
「パンタノペスカ、桃森百花(もももりもも)ですわ」
「ベルゼルガ・・・多田蘭朶(ただらんだ)・・・」
自己紹介を終えるとシオンはズイッと小夜に顔を近づける。
「危ない所だったの~もう少しであなた達マジアベーゼに取り込まれていたの☆私の攻撃でベーゼの暴走は止まったけど、エノルミータは全員ヴェナに回収されちゃったしバルバンもいつの間にか逃げちゃって残念なの~」
「でもアズール様達とベーゼ様の戦い、そしてバルバンの幹部シェリンダ様の攻撃を防いだマゼンタ様の勇姿とっても良かったですわ!まさか生で見られるとは思いませんでしたの!!」
「も~パンちゃんお話の邪魔しちゃダメなの!」
「まぁ!私ったら」
イミタシオ達がそんな会話をしているとへたり込んでいたサルファが声を掛ける。
「アンタら、あのベーゼを止めるほどの強さあるんなら今までどこにおったんや?いや力のある魔法少女はウチら以外残ってない筈やろ・・・」
〈どういう意味だよサルファ?〉
「そっか、ギンガホーク達は詳しくは知らんかったな・・・アンタ等と会う前にロード団 って言う一派が魔法少女狩りって言うのをやられて魔法少女が殆どやられてしもうたねん」
〈そんな事が・・・〉
「はい、もう力ある魔法少女はトレスマジア以外は残っていなかった筈だったんですが・・・ベルゼルガ、彼女は以前ボクがスカウトした魔法少女です」
「そうなのぉ?」
「はい・・・名前も変わって真化も会得しているようですが・・・」
「何が何だか・・・今は情報が多くて捌ききれないけど同じ魔法少女なら協力できるって事ですよね、そうですよねイミタシオさん」
「ん~それは無理☆だってあなた達真化星獣モードっていう強い力があるのに弱すぎるもの」
「「「なっ!?」」」
笑顔で辛辣な事を言うイミタシオに3人は唖然とした。
「力も使いこなせないアナタ達じゃあエノルミータは潰せないの☆エノルミータを潰すのは私達がやってあげるからアナタ達は魔法少女を辞めて貰ってもいーよ♡」
「なんやと・・・・ッ!」
〈テメェ!サルファ達をバカにするんじゃねぇ!〉
「へぇ・・・」
ギンガホークの怒りにイミタシオは動揺した様子を見せず逆に興味深そうに薫子の手に握られている変身アイテムに目を向ける。
「その変身アイテムから聞こえてくる声、成る程アナタが噂の星獣って生き物なの・・・だったら丁度良いの☆ねぇギンガホーク、サルファのパートナー辞めて私のパートナーにならないの?」
〈何ぃ!?〉
「あ、ギンガホーンもギンガルカも良かったら私達シオちゃんズの誰かのパートナーになろうなの♡」
〈〈・・・・ッ〉〉
「な、何言ってるのぉ!?ギンガホーン達はわたし達の大事な仲間だよぉ!!」
イミタシオの一方的な勧誘に思わず温厚なはるかも怒った様に叫ぶ。
「今だに真化出来ない奴は黙ってるの☆どうかな?私達ならトレスマジアより力もあるしアナタ達の力を使いこなせるの~パートナーになってくれるならエノルミータを潰すついでにバルバンも潰してあげるの☆悪い取引じゃないと思うけどな~☆」
〈断る・・・〉
イミタシオは笑顔でそう言うがギンガホーンはハッキリとした言葉で拒否した。
〈私達は力があるからはるか達のパートナーになった訳では無い。はるか達にこの星を愛し慈しみ守ろうとする意思を感じたからこそ力を貸してパートナーになったのだ。キミにはそれを全く感じられない・・・キミから感じるのは復讐心という私欲だけだ!そんなキミのパートナーになるなど願い下げだ〉
ギンガホーンの言葉を聞きイミタシオはピクリと片眉を動かし静かに青筋を立てる。
〈私も同感よ、私達の事を力としか見てないアナタよりちゃんと私達の事を見ている小夜達の方がよっぽど良いわ!!〉
〈そもそも俺達が簡単に鞍替えする尻軽だと思ってるのが大間違いだ!俺達は薫子達の事が好きだからパートナーやってんだ!力なんか関係あるかよ!!〉
「・・・どいつもこいつも想像以上のバカなの☆こんな簡単な事が分からないなら力尽くで分からせてあげよーか?」
「トランスマジア!」
イミタシオがそう言いながら大剣を顕現させてくると素早く小夜はボロボロの衣装になりながら変身し薫子達を守る様に前に出る。
「剣を・・・収めなさい!これ以上・・・はるか達や星獣達への暴言や暴力は許さないわ!!」
「笑わせるの、真化はおろか星獣モードとやらにもなれないでそんなボロボロの衣装で私と戦う気なの?」
「舐めないで星獣モードになれなくてもアナタなんかに〈アズール上!〉ッ!?」
イミタシオとアズールが一触即発で睨み合う中ギンガルカの言葉を聞きアズールはステッキを上に向けると同時にベルゼルガが襲いかかりそれを防ぐ。
「あれ?反応はやいね?」
「でもお腹ががら空きなの☆」
その一瞬の隙を逃さずイミタシオはアズールに接近し大剣の柄でアズールの腹を強打しアズールを崩れ落とさせた。
「カハッ・・・・ッ!?」
「「アズール!!」」
崩れ落ちたアズールに駆け寄ろうとするが力尽きた様に途中で転び倒れてしまう。
「パンタノペスカ」
「はい。ごめんあそばせアズール様」
イミタシオの言葉を受けパンタノペスカが巨大な本の付いたハンマーの様な杖で地面を叩くと土が泥の様にアズールの手足に纏わり付くとアズールの尻を大きく突き出す様な姿にして拘束した。
「こ、これは!?」
「あは♡良い姿になったね☆」
イミタシオがそう言いながら笑っているとスススとベルゼルガが近づいてくる。
「ゴメンね、シオちゃん・・・・上手く取り押さえられなかった・・・」
「いいの、いいの☆ベルゼルガは注意を引きつけてくれたからよくやってくれたの~♡」
「え、嬉しい・・・」
イミタシオはベルゼルガを一通り撫でると拘束されているアズールに近づきお尻の方を向く様に馬乗りになる。
「そんな拘束も解けないで私なんか・・・何かな?」
「くっこのぉ・・・!!」
「そんな力の差も分からない悪い子は!」(パァン!)
そう言ってイミタシオは大きく手を振りかぶりアズールのお尻を強く叩いた。
「あぁ!!」
「悪い子は(パァン!)お尻(パァン!)ペンペン(パァン!)なの!!(パァン!)」
〈や、辞めなさい!!〉
「だったら(パァン!)止めて(パァン!)みろなの(パァン!)パートナー(パァン!)なんでしょう?(パァン!)アハァ♡」
「あ、あ、あ、あ、あ」
〈ク、ウゥゥゥ・・・〉
ギンガルカの制止の言葉に止めてみろとイミタシオは嘲笑を向け、戦いで力を使い果たしたギンガルカは止める事が出来ず悔しげに唸る事しか出来ず、はるか達も動揺だった。
「これで分かったかな~?自分達がどれだけ無力か、その惨めさ思い知ると良いの☆」(ガスゥ!)
「うあぁ!?」
止めとばかりにイミタシオはアズールのお尻を蹴り満足そうに嗤っているといつの間にか傍にベルゼルガが近寄っていた。
「シオちゃん、シオちゃん、何か・・・うれしそう・・・ね、そんなにそんな奴の相手たのしいの?星獣の力ほしいの?」
「んーん☆別にこんな奴らも星獣の力もどーでも良いの☆もう満足したしそろそろ帰ろっか!じゃーねトレスマジア、エノルミータと後ついでバルバンの相手はシオちゃんズは任せるの☆」
そう言うとシオちゃんズは星形のゲートを作るとそれを通り帰って行きゲートが消えると後には、はるか、薫子、ヴァーツと変身が解けた小夜だけが残った。
「くっ・・・勝手に現れて勝手な事ばかり言って・・・!」
〈小夜・・・〉
「このままじゃ終われないわギンガルカ!私達はもっと強くなってみせるわ・・・・ッ!!」
荒くれ無敵城
「成る程、成る程なぁ・・・」
いつもの部屋で帰還したサンバッシュの報告を聞きゼイハブはフックで右手を叩きながらサンバッシュの前を行ったり来たりし、サンバッシュはダラダラと脂汗を流していた。気絶しているシェリンダは医務室に運び込まれ今は医務室のベッドで眠っておりこの場にはいなかった。
「・・・まぁ、シェリンダの件に関しては俺が許可を出した事だし、テメエにお守りを頼んだ訳でもねぇから、この件に関しちゃテメエの罪は問わねーよ」
ゼイハブのその言葉を聞きサンバッシュはホッとしたように息を吐いた。
「あ、ありがとうございます船長「だがっ!」ッ!?」
サンバッシュが安心したのもつかの間ゼイハブは自分のカトラスを引き抜くとそのままサンバッシュに突きつける。
「こんだけ犠牲払って戦果0とはどういう事だサンバッシュ?えぇ!!」
「いぃ!?ま、待ってくれ船長、戦果は0じゃねぇ。新しく現れたシオちゃんズって奴らは魔法少女だ!トレスマジア以外にも魔力を奪える候補が増えたんだ!この情報も戦果になる筈です!」
「・・・・良いだろう」
サンバッシュの必死の言い訳を聞きゼイハブは一先ずサンバッシュに突きつけていたカトラスを降ろした。
「一先ずはテメェのその報告を信じて処刑は今は辞めてやるよ。だが忘れるなよサンバッシュ!テメエの首にはまだ絞首刑用のロープが掛かってる事をな!!」
「も、勿論です船長!そう遠くない内に必ず魔獣の卵は孵化させますぜ」
「フンッ!」
震えながらそう言うサンバッシュにまだ怒りが収まらない様子で苛立ちながらブンッとカトラスを振るった。
エノルミータサイドは原作エピソード36のままなのでカットさせて貰います。
次のサンバッシュの作戦と魔人は次回になります。