やがて煙が晴れるとそこにはボロボロにはなっているが生きているゲルトゲルトが居た。
「グ、ウウ・・・!」
「あ、アイツ生きてるしぶといなー」
「そうだ、イリエス魔人族はしぶといのだ・・・バルバエキス!!」
そう叫ぶと懐から目玉模様の着いた革水筒を取り出すと一気に飲み始めた。
「え?」
「何?」
「アイツ、何飲んで・・・るん・・・や・・・」
バルバンの魔人はバルバエキスを飲む事で巨大化する。だがそれは自らの命を縮める正に最後の手段なのだ!
『ウォォォオ!!』
「嘘やろ、巨大化しおった!?」
「お、おっきすぎるよ!」
「不味いわ、アイツが今ここで暴れたら廃工場に居る人達が!」
「ちょっとあなた!何巨大化してるんですか!魔法少女の必殺技を受けたら潔く倒れるのが礼儀でしょーが!!」
「お前は何に対して怒ってんねん!?」
『うるさい!!』
場違いな怒りを見せるマジアベーゼにサルファは突っ込みを入れるが、そんな事は知るかと言わんばかりにゲルトゲルトはベーゼ達と踏み潰そうと足を振り下ろした。
「「「「「うわぁぁぁー!?」」」」」「・・・・!」
6人は慌てて避けるがゲルトゲルト更に剣を振り上げ追撃しようとしていた。
「うわわわ!このままじゃ後ろの廃工場にも当たっちゃう!!」
「サルファ、防御魔法!!」
「分かっとる!」
サルファはそう答えながら自分と廃工場を覆うほどの結界を張り防ぐがそれに対してゲルトゲルトは何度も剣を叩き付け壊そうとする。
『いつまで持つかな!』
「マズイマズイマズイよ!このままじゃ結界が壊れちゃう」
「ベーゼちゃん落ち着いて、おいトレスマジア、お前らも対抗して巨大化しろよー!」
「アホか!そんな事出来るか!」
「ハァー!?お前、魔法少女の癖に巨大化も出来ないかよー!」
「だったらアンタが巨大化しいや!」
「あん?出来るわけ無いだろアホだろお前」
「嫌やわぁ、自分は出来ない癖に他人にはやれ言う他力本願なみっともない人間は、見てて見苦しいわ」
「ンだと喧嘩売ってんのかコラー!」
「二人とも喧嘩してる場合じゃないよぉ!?」
レオパルトとサルファがいがみ合っているのをマゼンタは涙目で止めている間にも結界に罅が入っていく。
『このまま叩き潰してやる!』
「ヤロー・・・その前に砲撃喰らわせてやる」
「やめい、そんな砲撃じゃぁ顔面とかの急所に当てん限りダメージなんて望み薄や」
「じゃあどーすんだよ」
「・・・・」
サルファとレオパルトが言い争う中ネロアリスは、母親が気を失っている背後の廃工場をチラリと見ると覚悟を決めた様な表情をして自分が乗っているぬいぐるみに魔力を込め始めた。
「・・・・!!」
「アリスちゃん?」
『止めだぁ!!ぬう!?』
ゲルトゲルトが結界ごと6人を叩き切ろうとした時、結界を破り、巨大化したぬいぐるみがゲルトゲルトの剣を受け止めた。
「ワー巨大怪獣ガモウ一体出テキター」
「マゼンタ!?しっかりして!」
「せや、呆け取る場合ちゃうで!」
「おー、スゲーなアリス」
「!!アリスちゃん、そいつをそのまま人のいない所まで押し出して!」
「・・・・!」(コクン)
ベーゼの指示を聞きネロアリスはゲルトゲルトを人のいない山側へ押し出して移動していき、他の5人はそれを追って飛び立って行った。
『このぉ!!』
「・・・・!!」
人のいない山側に移動させられたゲルトゲルトは剣を振るってぬいぐるみを攻撃し、ぬいぐるみは体に幾つかの傷を付かされるがネロアリスは、それに怯まずぬいぐるみでゲルトゲルトを殴りつけゲルトゲルトはたまらず距離を取る。
『おのれ!これでも喰らえ鏡縛り!』
そう叫び、技を放とうと剣を振るった瞬間、ゲルトゲルトの顔面にマゼンタ達が攻撃を仕掛け剣を握っている手にレオパルトとベーゼの合体技の爆弾虫が当たり剣を取り落としてしまった。
『ガアァァ!?』
「又何か厄介な技を出そうとしましたね」
「撃たせねーよ」
「これ以上好き勝手させないよぉ!!」
「幾ら大きくても効かないわけ訳では無いでしょ」
「的がデカイんや!」
ゲルトゲルトは慌てて剣を拾おうとするがその隙を突きネロアリスのぬいぐるみが一気に接近し両手に魔力を集中させると怒濤のラッシュをゲルトゲルトに放った。ゲルトゲルトは山に叩き付けられ、それでも立ち上がり剣を振るおうとするが体のあちこちから電流が走り膝を着いた。
『ウォォォー!?こんな奴らに・・・・無念』
そう叫びゲルトゲルトが倒れると大爆発が起き山の一部を抉り取る程の爆風が襲った。
サルファは前面に結界を張り、自分とマゼンタとアズールを爆風から守り、ベーゼとレオパルト、ネロアリスはぬいぐるみの後ろに隠れ爆風を防いだ。
「オー、ウルトラマムの怪獣みてーな爆発だなぁ」
「そんな事言ってる場合じゃ無いよ!え?これ私達の所為?マズいよレオちゃん、アリスちゃんはここは一旦逃げよう!ごめんなさいー!!」
「・・・・」(コクン)
そう言ってマジアベーゼはレオパルトとぬいぐるみを元の大きさに戻したネロアリスを連れて影の中に撤退していった。
「あ、待たんかいコラー!」
「山が抉れちゃった・・・これ直せるのかなぁ・・・」
「コレばっかりはヴァーツに聞くしか無いわね・・・ひとまず山の事は後回しにしましょう。 今は廃工場に居る人達を起こさないと」
廃工場に戻り、倒れていた人達の状態を確認し弱っている人に回復魔法を掛けながら起こしていくと外はもうすっかり夕方になっていた。
「ありがとうトレスマジア!」
「ありがとうございます!捕らわれた時はどうなるかと・・・」
「ありがとうございます、貴女達が居なかったらこりすがどうなっていたか!」
工場の敷地では助けられた人達がトレスマジアを囲みに次々とお礼と感謝を伝えていた。
「いえいえ、そんな大した事はしていないですよ(本当にマジアベーゼが居なかったら私達は儀式を止められなかったし・・・)」
「そうです私達の力なんて微々たる物です(実際、マジアベーゼの後を追わなければ敵のアジトは分からなかったし、巨大化した敵もネロアリスが倒した様な物だったし・・・)」
「悪い奴と戦うのがトレスマジアの役目ですから(悔しいわ・・・その悪い奴のエノルミータに助けられる形になってしもうて・・・もっと、もっと強くならんとっ!)」
マゼンタ、アズール、サルファは謙虚に人々に対応しながらも内心は、自分の力不足を悔やみながら対応していた。そんなトレスマジアの葛藤を露知らず、廃工場の外からその様子をうてなとキウィがこっそり隠れながら見ていた。
「良かった、トレスマジアが来る前にこりすちゃんを廃工場に戻せて」
「ちぇー私達が居なきゃ、敵のアジトも分からなかったし、巨大化した敵も倒せなかったのに、何でアイツらばっかりチヤホヤされるんだよ-」
「ま、まぁまぁキウィちゃん、私達だけだったらあのイリエスって幹部に足止めされて儀式は止められなかったし、それに悪の組織が町の人に感謝されるのも変な話だし、こりすちゃんが助けられただけでも十分だよ」
「むー、分かった。うてなちゃんがそう言うなら、もうこれ以上文句言わないし、別に今は有象無象に感謝されるより、うてなちゃんが喜んでくれるならそれで良いしー!」
「あははは・・・」
そう言ってうてなに抱きつき頬ずりをするキウィにうてなは、乾いた笑いを浮かべながらされるがままになっていた。
「あれ?それって」
しばらくうてなに頬ずりをしていたキウィだがふと、うてなが持っている物に気がつき声をあげた。
「それってこりすが今日の戦いで使ってたぬいぐるみじゃん」
「うん、今日の買い物でお母さんに買って貰ったらしいよ。大分切られてボロボロになってたから修理してあげようと思って」
「おー優しいーうてなちゃん、じゃあ私も手伝うよ。もっと格好良く改造してあげようか?」
「それはやめてあげよう・・・」
「ちぇー、そういえばさ、その人形なんか変身した私やうてなちゃんに似てない?この帽子とか羽とか」
そうキウィに言われ改めて見ると確かに猫のぬいぐるみに付いてる、軍帽や羽は何処かレオパルトやマジアベーゼを連想する物だった。それを確認するとうてなは嬉しそうに微笑んだ。
「あ、本当だ・・・もしかしたら私達に似てたから買ったのかもね」
「嬉しい事してくれるじゃん、こりす~」
うてなとキウィはもう一度廃工場の敷地を覗き込み、そこで母親に抱きしめられながら嬉しそうに笑っているこりすを笑顔で見ていた。
まほあこ原作でも巨大化してたし行けるかなーと思い書きました。後悔はしてない。