荒くれ無敵城
いつもの部屋にはシェリンダを除いたゼイハブ、サンバッシュ、ビズネラの3人が集まっていた。
「サンバッシュ、俺もそろそろ我慢の限界だ。これ以上時間掛けるんならテメエの後任の新しい行動隊長を決めなきゃならねぇ・・・言いたい事分かるよな?」
「も、もちろんだ船長」
ゼイハブの言葉にサンバッシュはタラリと冷や汗を流しながらも気丈に返事をする。
「ついさっきビズネラに注文した装備が完成した!その装備と俺が温存した切り札を使って今度こそ魔獣の卵を孵化させて見せます!」
「切り札?・・・あぁ、そういやまだオメエの所にはまだ一人いたな」
「その通りだ船長!いよいよこの時の為に温存したコイツの出番だ。Come on ネイカー!!」
サンバッシュの声に応える様に扉からレイピアを持ち背中にハチの羽根を生やして両腕にハチの尻尾の様な小手を装備したハチ人間の様な魔人が入ってきた
「待ちくたびれたぜリーダー!」
「見ててくれ船長!この俺の最後にして完璧な作戦を!ビズネラ!!」
「ハイ、サンバッシュ殿此方になります」
ビズネラはそう言いながらサンバッシュ魔人団のマークが付いた金縁に黒色のラウンドシールドとアンテナを取り出した。
「このシールドはトレスマジアの攻撃を防ぐだけでなく、トレスマジアが魔力の籠もった攻撃をしてきた場合その魔力を吸収し、このアンテナに送り込みし魔獣の卵に与える事が出来ます。ただしアンテナはなるべく卵近くに設置しないと効果がありませんのでご注意を。代金は金貨200枚になります」
「出世払いだ付けとけ!!」
サンバッシュはそう言い捨てるとビズネラから盾を奪い取る。
「あぁ・・・」
「期待してるぞサンバッシュ」
「任せてくれ船長!行くぞネイカー」
ゼイハブにそう返すとサンバッシュはネイカーを引き連れ出撃し、それを見たビズネラはため息を一つ吐くと部屋から出て行った。
バットバスの私室
「ただいま戻りましたバットバス様」
そう言ってビズネラがバットバスの私室に入ると部屋には床一面に酒瓶が転がり、バットバスが椅子に座りながらワインをラッパ飲みしている姿があり、ビズネラは内心、又随分呑んでいるなと思った。
「ん~?ビズネラか、たくっよぉ!幾ら船長の命令だからってなんで俺がサンバッシュの野郎の為に部下貸さなきゃなんねぇんだよ!んなことしても結局手柄はサンバッシュの物じゃねーか!!」
そう言ってバットバスは苛正しげに瓶をテーブルに叩き付ける。
「まぁまぁバットバス様、魔獣を手に入れる事は我らバルバンに取っては最大の目標です。船長はその為の最善手を選んだだけですよ・・・それに上手く行けば次はバットバス様に手柄を立てるチャンスが来ますよ」
ビズネラの言葉にバットバスはピクリと反応し顔をビズネラに向ける。
「あん?どう言う意味だビズネラ?」
「はい、実はサンバッシュ殿に渡したあの盾、実は欠点がありまして想定以上のエネルギーを吸収したら吸収しきれないエネルギーが逆流して装備者にダメージを与えてしまうんです」
「何だと?それをサンバッシュに教えなかったのかよ?」
「聞かれませんでしたので・・・それにサンバッシュ殿は最近金払いが悪い上に商品に文句言われたり締め上げられたりしましたし、この位の仕返ししても構わないでしょう」
バットバスの問いにビズネラは悪びれずシレッと答えるとバットバスは愉快そうに笑い出した。
「ウハハハ!ビズネラ、オメエとんでもねぇ欠陥商品売りつけたなオイ!」
「欠陥商品とは人聞きが悪い。トレスマジアが想定以上の攻撃をしなければあの盾は何の問題はありませんよ。どの道成功しても失敗してももう手下が残っていないサンバッシュ殿が行動隊長を続けられるとは思えません。そうなれば次の行動隊長はバットバス様になる可能性は大いにあるかと」
「ククク、ビズネラぁ・・・お前も相当なワルだなぁ」
「イエイエ、バットバス様ほどでは」
ハーハッハッハと笑い合う2人だったが突如轟音と同時に城が揺れるほどの震動が襲ってきた。
ドォン!!
「な、何だ!?」
「コレは一体・・・!?」
――――――――――
「何だ!一体何が起こった!?」
いつもの部屋に居たゼイハブも突然の震動に驚いた様子を見せていると扉から慌てた様子でヤートットが報告しに来た。
「大変、大変ッスー!医務室に居たシェリンダ様が医務室ぶっ壊してどっかに行ったッスー!!」
「何ぃ!?」
ヤートットの報告を聞きゼイハブは驚愕の表情を浮かべる。
「シェリンダの奴、一体何処に・・・・まさか!!」
はるかの家
夏休みも残り僅かになりはるか達は残った夏休みの宿題を終わらせようとはるかの家に集まっていた。
「う~~~終わらないよぉ・・・ギンガホーン答え教えてぇ・・・」
〈はるか、それは君の為にはならないな。答え教えてあげたいのは山々だが宿題も勉強も他人に答えを教えて貰うのでは無く自分で考えて答えを知っていく物だ。そうしていって君の力になるんだ・・・まぁ私に出来るのはヒントを教える程度だよ〉
「なんやけち臭い奴やなギンガホーン、ちょっと位答え教えてもエエやろ」
〈薫子、それをしてはるかの為になると本気で思っているのかい?〉
ギンガホーンの鋭い言葉に薫子はバツが悪そうに顔を逸らす。
「・・・・チッ、普段過保護な癖にこう言う時はやたら厳しいなコイツ・・・」
〈生憎私は過保護になった覚えは無いな。私は、はるかの力になりたいと言う思いは持っているが何でもかんでも甘やかしては、はるかが立派な戦士になれない事は分かっている。だからこそ私は時に心を鬼にしてはるかに接しているんだ〉
「う~考えすぎて頭が回らないよぉ~頭に糖分入れたいからドーナツ食べて良い?」
〈・・・仕方ないな、一個だけだよ〉
「オイ、心を鬼にするんやなかったんかい!?」
微妙に甘いギンガホーンの対応に薫子は思わずツッコミ、それを小夜は呆れた様子で見ていた。
「2人ともあんまり騒いでるとなつなちゃん達に気づかれるわよ」
「〈うっ・・・〉」
「ほら、はるかもそのドーナツを食べたら頑張りましょう。頑張れば今日中に終わるわよ」
「は~い」(モグモグ)
小夜にそう言われながらはるかがドーナツを食べていると突如部屋が激しく揺れる地震が襲ってきた。
「「!!」」
〈これは!?〉
〈何!地震!?〉
〈かなりデケーぞ!!〉
「あわわ、机の下に隠れないとぉ!」
はるか達が突然の地震に驚いて居るとヴァーツからのテレパシーが届く。
「(皆さん大変です!バルバンが現れました!!)」
数分前 街中
キャアアアア!!
街に現れたネイカーは周りの人々が悲鳴を上げて逃げるのも気にせず何かを探す様に街を歩いて行く。
「ふーむここら辺が成長が早そうだな・・・激震針!カーッ!」
ネイカーは地面を見つめてそう呟くと口から複数の針を吐き出し地面に突き刺していく。針は地面に刺さるとズブズブと自動で沈んでいきやがて針が刺さった場所の土が盛り上がり瘤の様になった。
「よしよし、後はコイツをこうして!」
ネイカーがそう言いながら瘤にレイピアを突き刺すと街全体を揺るがす地震が起こった。
「狙い通り、そりゃそりゃ!ヤートットお前等もやれ!」
「「「ヤートット!!」」」
ネイカーの命を受けヤートット達もカトラスで瘤を殴り地震を引き起こしていく。
「オラオラ!どんどん揺れろ街がぶっ壊れるまでな「そこまでだよぉ!!」ぬ!」
ネイカー達がどんどん地震を強くしていこうとするとネイカー達の前にトレスマジアが現れた。
「トレスマジア今更来てももう遅いぜ!」
「バルバン、この地震はお前等の仕業か!」
「その通りだ、この地下には地震のツボってのが幾つもあるんだ。それを俺の針で刺激したのよ、それをこうすれば・・・フンッ!」
ネイカーがそう言ってレイピアで瘤を突き刺すと激しい地震が再び起こる。
「うわ!?コイツ!」
「これ以上被害は出させないよぉ!」
「黙れ!ヤートットやれ!!」
「「「ヤートット!!」」」
ネイカーはヤートットにトレスマジアの迎撃を命じヤートットが襲いかかってくる。
〈マゼンタ!〉
「うん!唸れ!星獣モード」
それに対しマゼンタ達は星獣モ-ドに変身し武器を構えて迎え撃とうとする。
「速攻で片付けて地震を止めるわよ!」
「これ以上皆を不安がらせる訳には行かないよぉ」
「邪魔すんな雑魚共ー!」
――――――――
「これは丁度良いタイミングと言うべき何でしょうかね・・・」
同じ頃、うてなの家で集まり夏休みの宿題をしていたうてな達も地震の揺れを感じそこからヴェナリータの連絡を受けてゲートを経由してトレスマジアとネイカー達が戦っている場所近くまで転移していた。
「それでどうするのべーぜちゃん?」
「アンタの事だからこのまま観戦するの?」
「それも選択肢の一つとしてアリかもしれませんが・・・」
ロコムジカの言葉にベーゼは一部肯定しつつ、瘤を刺激して地震を起こしているネイカーを見る。
「流石にあの地震を起こしている魔人をほったらかしにしていてはお母さん達が崩れる建物に巻き込まれかねません。ここはわたし達もあの魔人を倒しますよ!」
そう言って戦いに乱入しようとしたベーゼ達の前に別のヤートットの一団が立ち塞がってきた。
「うわ!?コイツら、アタシらを近づけさせないつもりか!」
「ザコが邪魔してんじゃね~とっとと片付けてやるよ~!」
「・・・・ッ!!」(キッ!!)
「アンタ達がロコ達を止められると思わない事ね!」
「押し通らせて貰います!」
そう言うとベーゼ達はヤートットに向かって突撃していった。
魔獣の卵付近
「よーしこんなモンで良いだろう」
魔獣の卵の近くでサンバッシュは受信装置になるアンテナをしっかり刺したのを確認すると探知機を確認する。
「良々、ネイカーは上手くトレスマジアをおびき寄せられた様だな。エノルミータもヤートットが妨害して邪魔出来ない様になっているな・・・だったら後は俺次第だな」
サンバッシュはそう言いながら盾を背負い直すとバイクに跨がるとエンジンを吹かせバイクを走らせる。
「見せてやるぜこれが俺の最後にして完璧な作戦だ!!」