ボンブスの戦いの後、バルバンやエノルミータは動きを見せなくなりトレスマジアはしばしの休息を謳歌していた。・・・・・だが地下深くで新たな戦いの気配は刻一刻と近づいていた。
ブォオオオオオ!!
街中
「ふぅ・・・取りあえずこんな所かしら?」
〈沢山買ったわね小夜〉
久しぶりの休日に小夜はギンガルカと共に色々な店を巡り好きな和菓子を買い集めていた。
「そう言えばギンガルカと二人きりなるのは街の復興以来ね」
〈そうね、今日は珍しくはるかも薫子も別行動だし〉
「はるかは妹ちゃん達のお世話、薫子は真珠さんとネモさんとで喫茶店に行くそうよ・・・フフ」
〈?どうしたの小夜?〉
「いえ昨日の訓練の時、マゼンタに訓練後の治癒を受けてた私に嫉妬して割り込んだ事を思いだしてね。あの時のサルファの反応可愛らしかったわ」
〈嫉妬?何で薫子が嫉妬するの?〉
「フフ、ギンガルカは普段頼もしいけど、こう言う所は鈍いのね」
〈もう!どう言う意味よ小夜!〉
「アッハハ、ゴメンゴメン」
小夜はひとしきり笑った後近くのベンチに座ると足下の地面をタンタンと踏む。
「・・・・平和ね、今も地面の下に魔獣が居るなんて信じられない位だわ・・・こんな穏やかな日がずっと続けば良いのに」
〈・・・そうね小夜〉
そう穏やかに言いながらも内心の不安が隠せない小夜とギンガルカ。バルバンやエノルミータの戦いの合間や襲撃が止まっている今も地下に潜った魔獣を探していているが一向に見つける事が出来ずに居た。
「悔しいわ、今もこうしてる間にも魔獣は地球を汚染してるかもしれないんだから」
〈それはまだ大丈夫の筈よ、魔獣は傷を癒やす為に休眠してるから汚染はそこまで起こってないわ。でも魔獣が地下深くに居る所為で探知がし難いのも厄介ね。もう少し地表から出てくれた探知出来るのに・・・・ッ〉
「自分を責めないでギンガルカ、それを言ったらあの時魔獣を倒しきれなかった私にも責任があるわ。だからこの話はここまでよ」
〈小夜・・・〉
「どうにもならない事を悔いるより、これからどうしていくかを考えてた方が良いわ。・・・例えば魔獣が動き出した時にどう対処していくかを考えながら和菓子を食べるとかね。そうしないと精神的に辛いし、いざって時にもっと動けないと思うわ」
〈・・・フフ確かにそうね。私の方が年上なのに今日は小夜に教えて貰ったわね〉
「あら、私もいつも助けられてるギンガルカの力になる事が出来たみたいね」
「〈フフ!〉」
おどけた様に言う小夜にギンガルカは思わず笑い、小夜もそれに釣られて笑い合い和やかな雰囲気になった時、ドォン!という地響きが突然起きそれに続き辺りに地震が起こった。
「何!?」
〈コレはッ!〉
――――――――――――
「何やこの揺れは?」
真珠達との喫茶店での相談が終わり別れた後はるかから電話で遊びに来ないかと誘われウキウキした気分で歩いていたが突然起こった地震に戸惑った声を上げる。
〈薫子!この気配、魔獣だ!!〉
「何やて!?」
――――――――
「「「ねーちゃん!」」」
「皆!机の下に」
突然の地震にはるかは驚くが直ぐに落ち着いて妹達に机の下に隠れる様に言う。
〈(はるか!魔獣だ!遂に動き出した)〉
「(え!)」
荒くれ無敵城
ビーッ!ビーッ!ビーッ!
ゼイハブ達が居る部屋に置かれた探知機にランプが灯りやかましくブザーが鳴り響いた。
「反応が出たッス!!」
「場所は?」
ゼイハブの質問に探知機に座っていたヤートットは地図を取り出して指で指し示す。
「Eー4エリア、中間の深さッス!」
ヤートットは場所と居場所の深さを言うとビズネラは手早く深度を示す図に旗のマーカーを刺す。
「出番だバマース!!」
「オオオオ!」
バットバスが呼び出すと扉から巨大なハンマーを持ち、灰色の甲冑にハンマーの様な兜を被った魔人ーバマースが多数のヤートットと共に入ってきた。
「俺達は?」
「「「バットバス魔人部隊!!」」」
「目障りなのは?」
「「「トレスマジア!!」」」
「強えのは?」
「「「俺達だ!!」」」
ワアァァアアア・・・・・!!
「テメエ等、ビズネラの作戦を説明をする!脳みそを叩き起こせ!!」
ヤートットの歓声が止むとバットバスが声を張り上げ、ビズネラは作戦ボードに地図を配置する。
「現在動き出したモビーディグはEー4エリアのここに居ます。この場所に急成長エキスを搭載した地中貫通機を使います」
そう言ってビズネラはボードに新たに上に急成長エキスを満載したタンクを搭載した地中貫通機の図を貼る。
「地中貫通機に急成長エキスを搭載する事で穴を掘りモビーディグの元まで到達したら急成長エキスを散布する仕組みになっています。これにより地球魔獣の時の様に一々穴を開けてエキスを流し込む必要がなくなりました」
「お前の仕事は簡単だ!モビーディグの居る場所にこのエキス入り貫通機を打ち込め!そうすりゃ直ぐにモビーディグはデカくなる!!」
「任せろ!指先1つで成功させてやる!」
バットバスの言葉にバマースは力強く返す。
「よーし行ってこい!作戦失敗した奴は?」
「「「テメエで頭を食い千切れ!!」」」
ナハトベース
「うてな、ちょっといいかい?」
「何ですかヴェナさん?」
ナハトベースでヴェナリータに呼び止められうてなは怪訝な表情を浮かべる。
「実は廃棄場で捨てられていた魔法少女狩りで集めたトランスアイテム、調べて見たら2つほど無くなってるんだ」
「ッ!!それは本当ですか?」
「あぁ、イミタシオの正体を探る上で手掛かりになると思うけど何か参考になるかい?」
「えぇ・・・おかげさまである程度目星が付きました。後はもう少し確証が欲しい所ですが・・・」
うてながそう呟いた時、空中に映像が映り込みそこにはイミタシオが笑顔を浮かべていた。
【やっほ~☆エノルミータの皆見てる~?今日はお前達に面白い物を見せてあげるの~】
「イミタシオ!!どうやってナハトベースに映像を!?」
【そんなのどうでもいいでしょ。そんな事よりホラ見て見るの☆】
うてなの疑問に答えずイミタシオがゴソゴソと映像を移動させるとそこには鎖と手枷を嵌められてグッタリしているロコムジカとルベルブルーメの姿があった。
「ロコちゃん!ルベルちゃん!ッアナタ魔法少女なのに何という真似を!!」
【だから何?私はねお前等に屈辱を与えられればそれで良いの。特にコイツらは念入りに屈辱を与えてやらないとね・・・助けたかったら早く来る事なの☆ナハトベースに居るお前等は知らないだろうけど今街は激しい揺れが起きてるから早く助けないとコイツらが居る場所が潰れてコイツらがペチャンコになっちゃうよ♡】
そうイミタシオが笑いながら言い映像が途切れた。
「・・・ヴェナさん場所の特定は?」
「出来てるよ」
「ならば行きましょう。キウィちゃん、アリスちゃん」
「オッケ~ロコルベを助けに行かねーとな~」
「・・・・」(コクン)
「うん・・・そしてイミタシオに分からせなきゃ。魔法少女が人質取るなんて絶対許されないんだから」
「キレ所コワ~」
「うてな」
そう言いながらナハトベースを出ようとするうてなをヴェナリータが声を掛ける。
「認識阻害が正体がバレれば機能しなくなる。イミタシオの変身が解ければもう認識阻害が効かなくなる。君は魔法少女の正体バレをしたくない派だと記憶してるが」
「ええ、ですが今回はそんな事を言っている場合じゃありません。イミタシオの正体は今日必ず暴きます」
うてながそう返してナハトベースを扉を開けると
「おっと、ここは通させませんわよ~」
「モグモグ・・・」
外には大量の女性型のゴーレムを従えたパンタノペスカと骨付き肉を食べているベルゼルガが待ち構えていた。
「パンタノペスカ!ベルゼルガ!?ットランスマジア!!」
「お前の相手はあたし、マジアベーゼ」
それを見たうてな達は驚きつつも咄嗟に変身し、その瞬間ベルゼルガがベーゼに斬りかかるが大鎌の攻撃をレオパルト・セクメトがクローを使いベーゼを守る。
「アタシの目の前でベーゼちゃんをヤらせるわけねーだろ~~~!」
「お前邪魔・・・!お前の相手は後!」
「そう言うなって~お前にはちょっと聞きたい事あるんだよネッ!」
そう言ってレオパルト・セクメトはクローを振り上げてベルゼルガを吹き飛ばすとそれを追う様に空中に飛び上がっていった。
「あらあら、本当はベルゼルガがベーゼ様と戦う予定だったのですがまぁ良いでしょう。ベーゼ様とはこの前の借りを返させて貰いますわ」
そう言ってパンタノペスカがハンマーの柄を地面で叩くとゴーレム達が戦闘態勢に入る。
「パンタノペスカ・・・丁度良いです。アナタには聞きたい事がありました」
「?私に質問なら手短にお願いしますわ」
パンタノペスカは怪訝な表情を浮かべながらも聞く姿勢を見せベーゼは聞きたい事を聞く。
「パンタノペスカ、アナタはイリエス魔人族の事をどれ位知っていますか?」
「イリエス、魔人族?何ですのソレ?ひょっとしてバルバンの事を言ってますの?」
ベーゼの質問に対しパンタノペスカは本当に分からないと言った表情を浮かべた。
「そうですか・・・分からないならそれで構いません。お陰でイミタシオの正体に確信が持てました。行くよアリスちゃん、早くパンタノペスカもベルゼルガも倒してロコちゃん達を助けにいきましょう!」
「・・・・!!」(グッ!)
ベーゼはパンタノペスカの言葉を聞くと満足そうに頷くとぬいぐるみに乗るネロアリスと共に戦闘態勢に入る。
「・・・何だかよく分かりませんがイミタシオ様の正体を知ったというなら益々通す訳にはいきませんわね。私足止めは得意ですのよ。イミタシオ様の元へは簡単には行かせませんわ♡」
パンタノペスカがそう言ってハンマーをベーゼ達に向かって指すとゴーレム達が一斉に殺到した。
「アリスちゃん!」
「・・・・!」(コクン)
ベーゼがネロアリスに声を掛けるとネロアリスが分かった様に頷き多数のぬいぐるみや人形を召喚し、ベーゼも支配の鞭でハサミや蝋燭等を魔物化させゴーレムにぶつけていく。
(ココで無駄な時間を使う訳には行きません。この状態で物量差でパンタノペスカを倒してレオちゃんの救援に向かって協力して倒せればベストですが、それが無理ならぶっつけ本番になりますが・・・)
ベーゼは内心そう考えながら首元の変身に手を当てた。
街中
キャアアアア!!バルバンーー!!
「急げ!モビーディグが移動する前に急成長エキスをぶち込むんだ!」
「「「ヤートット!!」」」
バマース達はモビーディグに急成長エキスを撃ち込もうとガシャガシャと走っているとそれを遮る様にマゼンタ達が現れた。
「そこまでだよぉ!悪事は絶対許さないトレスマジア参上!!」
〈魔獣の気配を追っていたがやはり現れたかバルバン!〉
「トレスマジア!それは此方の台詞だ。俺達のモビーディグ急成長作戦の邪魔は許さんぞ!!」
「モビーディグ?もしかしてあのクジラの様な魔獣の事を言ってるの?」
「ハッ、バルバンの癖に洒落た名前付けおって。その作戦名からしてそのモビーディグとやらをデカくさせる気やろうがそんなのさせる訳無いやろ!」
〈そうだぜ!その作戦も阻止してモビーディグって魔獣は俺達が倒してやるぜ!!〉
〈そうよ!この星は魔獣やバルバンなんかに滅ぼさせないわ〉
「ほざけ!ハァーー!!」
バマースは胸部を開きそこに内蔵されている多数の機銃でマゼンタ達を攻撃するがそれに対してマゼンタ達は星獣モ-ドになると攻撃を防ぎながらバマース達に突っ込んでいく。
〈行くぞ皆!エノルミータが介入してこない内に倒すんだ!〉
「「「了解(や)(だよぉ)!!」」」
こうして同じ時間、別々の場所で悪の組織と魔法少女のそれぞれの戦いの火蓋が切って落とされた!!
原作3巻の小夜のキャラクタープロフィールを見返していたら小夜の好きな食べ物に和菓子と書いてあったので、今回の原作9巻の薫子の相談で書かれていなかった小夜の休日を勝手に想像して書かせて貰いました。
この作品の65話では小夜の好きな食べ物を知らずに芋羊羹味のアイスを選んでしまいましたが結果的に正解みたいで驚いています。