魔法少女にあこがれて~バルバン襲来   作:ロト2

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第7話 アズールの決意2

保健室

 

「うぅ・・・うてなちゃん~」

 

 気絶したキウィを3人で保健室まで運び、ベッドに寝かせる頃にはキウィの意識は戻っていたが今度は先程拒絶された事で涙を流して寝込んでいた。

 

「重症だね・・・」

「重症ね・・・・」

「重症やな・・・」

 

 3人はそんな様子のキウィにやや同情した視線を向けていた。

 

「キウィちゃん、うてなちゃんと昨日何か喧嘩したの?」

「そんな訳あるか!昨日はちゃんと普通に話してくれてたよ・・・」

「じゃあ、今日急に冷たくなったの?」

「そーだよ、ナンデだよ~うてなちゃん~」

「昨日うてなちゃんに変わった所は無かったの?」

「帰りで別れるまではいつも通りだったよ、何であんな急に・・・」 

「そらやっぱり、付き纏いすぎて、うてなはんの堪忍袋の緒が切れたんやろ」

「うるせー!何だよ、堪忍袋って、もう話しかけんなバーカバーカ!!」

 

 そう言うとキウィは頭から布団を被りそっぽを向いてしまった。その様子を見ていたはるかと薫子は顔を見合わせて頷くと小夜を連れて保健室を出て行った。

 

「(どう思う?)」

「(うてなはんの堪忍袋の緒が切れた訳じゃ無いなら、バルバンかエノルミータの仕業やろうな)」

「(う~ん、エノルミータならこんな事せずに私達に直接恥ずかしい事してくる気がするけど)」

「(・・・それもそうかもしれんけど、それで納得できるのも何か嫌やな・・・けどバルバンやとしたら昨日の魔人は倒してるからバルバンの可能性は低いやろ)」

「(それなんだけど、昨日の魔人の倒され方どこか変だったんだよ)」

「(変?)」

「(あの時放ったマジカルストライク、刺さったにしてはどこか軽い感じがしたし、私は氷の力なんて使えないのにあの魔人は氷の粒になって風に流されていって何だか態とやられた振りをしている様に見えたんだよ)」

「(俄には信じられんけど、はるかのこの手の勘は当たるからな・・・じゃあ、あの魔人が倒されてないと仮定してどう対処していくん?)」

  

「(多分、前の時みたいに儀式をする為に人間を襲うはずだから今夜にでもパトロールをしてあの魔人を探して儀式を阻止しようと思うの)」

「(それが最善やな、小夜もそれでいいな?)」

「(・・・ごめんなさい、そのパトロール私は参加できないわ)」

「「((えっ!?))」」

 

 小夜がパトロールの参加を断った事にはるかと薫子は驚いた表情を浮かべた。

 

「(さ、小夜ちゃんどうして?)」

「(マジアベーゼや魔人に負けた私が同行しても足手纏いにしかならない、いえそれ以前にもう私に魔法少女をやる資格なんて「ふざけんな!!」!?」

 

 小夜の言葉を聞き薫子はテレパシーをするのを忘れて小夜の襟元を掴み壁に叩き付けた。

 

「ちょっ!?薫子ちゃんダメだよ!」

「足手纏いにしかならない?やる資格が無い?甘えんな!何一回の負けで腐ってんねん。 ウチらのやっている事はそんな簡単にやめれる程度の物なんか!・・・もっとウチら頼ってや、協力させてや、仲間やろ・・・ 」

「薫子・・・」

 

 段々と絞り出す様な声になり襟元を掴んでいた手を力なく降ろして薫子はそのまま走り去っていた。

 

「あ、待って薫子ちゃん!」

 

 周りの生徒がザワザワと遠巻きに見ている中、はるかは薫子を追って走って行き、後には小夜だけが残された。

 

「私は・・・「(小夜ちゃん)」!?」

 

 呆然とする小夜に薫子を追っていたはるかからテレパシーが届く。

 

「(その、私悩んでる小夜ちゃんにどんな事を言えばいいか分からないけど、小夜ちゃんには魔法少女をやる資格はちゃんとあると思うの、それこそ最初に会ったあの時から小夜ちゃんはずっと立派な魔法少女の心を持ってたもん、だから信じてるてよ小夜ちゃん)」

「(はるか・・・)」

 

 

 

夕方 通学路

 

 あの後、結局薫子とはるかと話せず放課後となり小夜は1人で帰り道を歩いていた。

 

「(魔法少女の心・・・)」

 

 小夜は昼間学校ではるかに言われた事を思い出しているとふと前を見ると2人の親子がいるのが見え、どこか様子が変だった。 

 

「おかーさん、急にどうしたのー?」

「うるさいわね、ベタベタ付き纏わないでくれる」

 

 そう言って母親は女の子を突き飛ばした。

 

「大丈夫?何て事をするんですか!」

 

 小夜は慌てて女の子に駆け寄り母親に咎める様な声を出すが母親は鼻を鳴らすとさっさと何処かへ行ってしまった。小夜はハンカチを取り出して女の子が突き飛ばされた際に着いた砂埃を払っているとその子がかつて小夜が魔法少女になる前にエノルミータの魔物から守った女の子だと気づいた。

 

「あなた、前に会った・・・」

「おねーちゃん、おかーさんが昨日の夜から変なの私何か悪い事したのかな・・・」

「(昨日の夜から・・・うてなさんも昨日は何も無かったのに今日は急に冷たくなっている、やっぱりはるかの言った通りあの魔人は生きているかも知れない)」

 

女の子の話を聞きそう確信した小夜は女の子に目線を合わせ優しい声で言った。

 

「大丈夫よ、お母さんはきっと悪い魔法に掛けられているだけよ。トレスマジアがきっと悪い魔法を掛けた悪い人を倒してお母さんを元に戻してくれるわ」

「本当!?」

「ええ、だからトレスマジアを信じて家で待っていられる?」

「うん!ありがとうおねーちゃん!」

 

 女の子は元気を取り戻すと小夜に手を振りながら帰っていき、小夜も手を振り返しながら見送った。

 

「(そうだ、私が魔法少女になったのは、あの子の様な罪の無い人達を守る為に魔法少女になったんだ。力があっても無くても関係ない、私は皆を守る魔法少女マジアアズールなんだ!はるか、あなたが言った心とはそう言う事よね・・・そしてマジアベーゼあなたの言った魔法少女の矜持と言うのは決して屈せず全てを受け止め、守る心の事だったのね!)」

 

 そう思う小夜の顔は今までとは違う決意に満ちた凜々しい表情をしていた。

 

 

 

夜 廃墟モール

 

「時は満ちた、おいでおいで・・・私の元へ・・・そして心を吸い尽くした矢を私に差し出すのよ」

 

 生贄の数が揃い矢が心を吸い尽くしたのを確認すると廃墟モール内でヒエラヒエラは儀式を始めるべく不気味に囁き、矢で射貫いた人間を廃墟モールに集結させるべく操り始めた。

 

 

 

同時刻 キウィのマンション

 

「うてなちゃん~」

「キウィちゃん~ご飯出来たよ~」

「後で食べるー!・・・うぅぅう」

 

 キウィが自室のベッドでうてなに冷たくされた事を引きずりながら泣いていると何も無い空間からヴェナリータが現れた。

 

「やあ、キウィ。君に伝えておきたい事があるんだけど」

「何か用?ヴェナちゃん。アタシ今傷心中なんだから後にしろよー」

「そういう訳にもいかないんだよ、実はうてなが何かに操られる様に外に出て行って郊外の廃墟モールに」

 

 ヴェナリータが言い切る前にキウィは猛ダッシュで扉を開けあっという間に外に出て行ってしまった。

 

「話しは最後まで聞いて欲しいんだけど、まぁいいや一応場所は教えたから後は何とかなるだろう。うてなには、まだまだやって貰う事があるからね、こんな所で失うわけにはいかないんだ」

 

 

住宅街 上空

 

「うーん見つからないよぉ、サルファそっちはどう?」

「こっちも見つからんなぁ、もしかしたら別の場所に移動したんかもな」

「そっかぁ・・・」

「・・・なぁマゼンタ、アズールほんまに来てくれるかな?」

「大丈夫だよ、きっと来てくれるよ」

 

 マゼンタがそう言って視線を向けるとアズールが向かってくるのが見えた。

 

「2人とも!!」

「「アズール!!」」

「ごめんなさい2人とも今更だけど私もパトロールに加えて欲しいの」

「うん!もちろんだよぉ」

「少しはマシな顔になったな・・・その、昼間の事やけど」

「大丈夫、分かってるわ。私の為を思って怒ってくれたって、サルファの思い確かに受け止めたわ」

「そっか・・・それなら良かったわ」

「よーし、それじゃあ3人であの魔人を頑張って探そー!ってあれ?」

「どうしたの?マゼンタ」

「2人ともあそこに人が沢山歩いてるよ」

   

 マゼンタがそう言って指さした先にはどこかフラフラした様子で歩いて行く人達が見えた。

 

 

郊外 廃墟モール付近

 

「ここか、うてなちゃんが向かったって言ってた所は、何か色んな奴らもモールに入って行ってるな」

 

 ヴェナリータからの情報で廃墟モール付近に来たキウィは近くの木に隠れて様子を窺っていたがその間にも色々な人が廃墟モールに入っていくのが見えた。

 

「んにゃろー、うてなちゃんが変になった原因はアソコにあるのか。ぶっ潰してやる!トランス「ねぇ」うぉわぁ誰だ!?」

 

 変身しようとして後ろから誰かから声を掛けられ慌てて変身アイテムを隠して後ろを振り向くとそこに小さな女の子がいた。

 

「あん?何だよちびっ子、こんな所で何してんだ?」

「おかーさんが外に出てって慌てて追いかけてたの、おねーちゃんは何してるの?」

「え?アタシはうて、大事な人が操られてあの建物入っていくのが見えたから取り返しに来たんだよ」

「そーなんだ」

 

 そんな事を話していると廃墟モールに向かう人達を追っていたトレスマジアが2人を見つけ空から降りてきた。

 

「そこの人、何をしてってあれ?」

「(阿良河さんにあの子。何でこんな所に)」

「ゲッ、トレスマジア」

「人の顔見てゲッとはなんやゲッとは」

「まぁまぁサルファ、あのそれでお二人は、えーと」

「阿良河キウィだよ」

「わたしはさよ子だよ」

「阿良河ちゃんにさよ子ちゃんだね、2人はどうしてこんな所に居たの?」

「・・・アタシの大事な人とコイツの母親があの廃墟モールに入って行ったらしいからこれから助けに行くんだよ」

「そんな!?危ないよ」

「そうよ、恐らく彼処にはバルバンの魔人が居るわ一般人には危険よ」

「うちらが助けに行くから隠れて待っときい」

 

 キウィの目的を聞きマゼンタ達は驚いた表情を浮かべ慌ててキウィを止めようと説得しようとするがキウィは聞く耳を持たない。 

 

「うるせー!大事な人助けるのに人の手なんか借りれるか!私がどうなろーがうてなちゃんは私が助けんだよ」

「ッ!」

 

 パァンとキウィのそのセリフを聞きアズールは目をつり上げ思わずキウィの頬を叩いていた。

 

「な、何すんだよ・・・」

「ふざけないでよ、あなたの様な力の無い一般人がバルバンのアジトに考えも無しに侵入したら何も出来ずに殺されるのが関の山よ。そうなったらあなたの大事な人だけじゃ無く家族や友達も悲しませるって分からないの?」

「・・・・」

 

 アズールに言われキウィの脳裏にうてなやこりすや母親の姿が浮かび、バツが悪そうに顔を逸らした。その様子を見てアズールは目尻を下げキウィの両肩に手を置き諭す様に言った。

 

「信じて、あなたの大事な人やこの子のお母さんは必ず私達が助けるから、あなたはこの子と一緒に安全な所に隠れて待っていて」

「・・・分かった」

 

 キウィはコクンと頷くとさよ子を連れて離れて行き、それを確認するとマゼンタ達は廃墟モールへ走って行く。

 

「格好良かったよアズール!」

「せやな、昼間の時とは大違いや」

「も、もう、その事は忘れてよ2人とも」

 

 3人はそんな会話をしながら廃墟モールに突入すると、中から侵入者を迎え撃つべくヤートット達が襲いかかってきた。  

 

「バルバンの戦闘員!」

「どうやら本当にバルバンの仕業みたいやった様やな」

「2人とも蹴散らすわよ!!」

 

 そう言って3人はそれぞれの武器を召喚し、ヤートット達に立ち向かっていった。

 

「「「ヤートットォ!」」」

「クッ」

 

 複数のヤートットがマゼンタに対しカトラスを振り下ろし、マゼンタはそれを槍の柄を横にして受け止めるがジリジリを押しつぶす様に押し込まれていく。

 

「「マゼンタ!?」」

「大丈夫・・・やあぁぁ!!」

「「「ヤトー!?」」」

 

 マゼンタはそう言って足に力を込めカトラスごと槍を持ち上げる様に押し込み、そのままヤートット達を壁に叩き付けた。

 

「流石ねマゼンタ・・・フッ!!」

「ヤトッ!?」

 

 そう言ってアズールは突きを放ったヤートットの腕を掴みそのまま一本背負いの要領で床に放り投げた。

 

「おーおー、やるやんけアズールもッ!」

「ハゥ!」

 

 サルファは正面から襲ってきたヤートットの股間を蹴り上げ、怯んだ所を他のヤートットを巻き込む様に殴り飛ばした。

 

「よし、戦闘員は粗方片付けたわね、急ぎましょう2人とも!!」

「うん!アズール」

「あの2人の為にも頑張らんとな」

 

 そう言うと3人は廃墟モールの更に奥を目指して走って行った。




女の子の名前は分からなかったので適当に付けさせて貰いました。
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