倉庫内
「くそ・・・くそ・・・蘭朶・・・」
倉庫内でみち子は悔しげな声を出しながら打ちひしがれ地面に拳を叩き付けていた。あの後ベーゼは仲間を連れナハトベースに戻っていきみち子は何も出来ずに見ている事しか出来なかった。そんなみち子の所へパンタノペスカが戻ってきた。
「シオ・・・みち子様そのお姿は!」
「ペスカ!貴様は無事だったのか・・・!」
「大変な事になりましたわ!蘭朶が」
「奴らに捕まったのだろう。つい先程までベーゼ共がそれを見せつけてきたわ・・・お前はよく捕まらなかったな?」
「はい、私はベーゼ様と戦っていたんですが途中でベーゼ様が真化し蘭朶を捕まえた為形勢不利になったので急いで撤退してましたの」
「つまり貴様は蘭朶を見捨ててノコノコ逃げ帰ってきたのか・・・!!」
「てへ♡」
パンタノペスカの報告を聞いてギリギリと睨め付けるとパンタノペスカは誤魔化す様にてへぺろをした。
ナハトベース 夜
ナハトベース内では両腕を縄で吊り下げて拘束している多田蘭朶の傍でキウィとこりすが戦勝祝いで麦茶を飲みながらバーベキューをしていた(親には友達の家に泊まると連絡済み)
「ワ~ハッハッハッ~今回は大勝利だったぜ~さっすがベーゼちゃんだよな~!」
「・・・・!」(モグモグ)
「あ~勝利の肉はウメえな~ほらほらお前も食いたいだろ~!」
腹を鳴らしてボンヤリとしている蘭朶に見せつける様にキウィとこりすが肉を食べていると蘭朶はこりすの方を見て物欲しそうな表情を見せる。
「ん”・・・う゛ぁ・・・ん・・・」
「・・・・・」(ジッ)
それを見て何を思ったのかこりすは蘭朶の口枷を引き千切った。
「あっ!何すんだよこりす?」
「・・・・」(ジッ)
「あ~?しょうがねぇな~ちょっとだけだぞ~」
ジッと見てくるこりすに折れてキウィが許可すると早速こりすは蘭朶にバーベキューの串を差し出すと貪る様に食べ始めた。
「あう・・・んぐ・・・ふ・・・はぶ・・・」
「・・・・・」
その様子をこりすはどこか楽しそうに眺めていた。
「んむ、んむ・・・おいしい・・・もっともっと、シオちゃん・・・じゃない・・・・舌噛み切って死のう」(ガリィ)
「忠誠心ヤバ~」
食べさせてくれた相手がイミタシオでないと知ると蘭朶は舌をかみ切ろうとする姿を見てキウィはどこか感心したような声を出す。
「ま~待てってお前~ちょっと聞きてぇ事が出来たんだけどさ~」
「聞きたい事・・・・?」
「さっきナハトベースの戦いの時さ~お前イミタシオの事すごく好きだって気持ちが伝わってスゲーって思ったけどさ~イミタシオはお前を魔法少女狩りしてたロードエノルメだろ~だから何でそんな奴をそんなに好きになれんだ~?」
「喋る訳ないでしょえへへ・・・何・・・なの?あなた達に・・・とってはどうでもいいことでしょ?」
蘭朶がそう言って答える事を拒否するがキウィはその答えに馬鹿にする様子も無く真面目な表情をする。
「・・・あのなぁ、人を好きなる理由どーでも良いわけねーじゃん。いいから話せってヒマだし~恋バナしようぜ恋バナ~」
「・・・・・」
――――――――――――
「蘭朶・・・!」
みち子は項垂れながら蘭朶と出会った事を思いだしていた。
(あの時マジアベーゼに敗れヴェナリータに捨て駒だと言われ裏切ったシスタにやられ廃棄場に捨てられた・・・・ッ!その時私は見つけた魔法少女狩りの際に奪ったトランスアイテム・・・私の恨みを晴らす為の新たな力!これを持って私は元の世界に戻った・・・)
――――――――
「あたしはあの雨の日、ボロボロになったみっちゃんを見つける事が出来た。あたしは気絶したみっちゃんを隠れ家に運んで治療したの・・・・」
――――――――――――
(最初の頃は私は蘭朶の事は信用出来なかった・・・当たり前だ。ヴェナリータに切り捨てられ手駒だと思っていたシスタの裏切りに合えば誰が信用出来るというのだッ!・・・だが蘭朶はそれでも私を甲斐甲斐しく介護をしてくれた・・・そして魔法少女狩りをし傷つけた筈の私を好きだと言ってくれた。・・・・いや裸でアイスピックを持ってきた時はマジでビビったし私の気持ちを知りたいから傷つけて欲しいと言われて訳が分からなかったが・・・蘭朶の行かないでと言う言葉に何故か私は本当の名前を教えてしまっていた・・・何でだろうな)
――――――――――――
「・・・だからみっちゃんはあたしの大切な人」
「・・・・」
蘭朶の話を聞き終えたキウィはしばらく黙っていたがやがてブワッと泣き始め蘭朶に抱きついた。
「純愛じゃん・・・!!まじ分かんぜ~ランランの気持ち~!」
「え?」
「好きなったら止まんね~よな~!!」
「うん・・・そうなの・・・えへへ」
「おいこりす!ランランにもっと肉やろうぜ~!!」
「・・・・」(モグモグ)
「ランランってあたし・・・?」
「・・・・・・・」
蘭朶の話を聞いて意気投合したキウィはこりすに頼み更にバーベキューの串を取り蘭朶共に食べていきその様子をうてなは部屋の外で聞いていた。
次の日 街中
バマースを倒した次の日、はるか達はモビーディグを追跡する為にモビーディグを気配を探ろうと街中を歩き回っていた。
「(どう、ギンガホーン?気配はありそうかなぁ?)」
〈(駄目だな・・・どうやらまた深い所に潜った様で気配が分かりにくい・・・)〉
〈(俺も掴めねぇ)〉
〈(私もよ・・・何か動きがあれば探知出来るんだけど・・・)〉
「(そうか・・・モビーディグが動き出した事で何か変わってる事は起きてるんか?)」
〈(・・・少しずつではあるが出てきているな。あの植え込みを見てみてくれ)〉
ギンガホークに言われ3人は近くの植え込みに近づきよく見てみると葉っぱが紫色に変色し枯れていた。
「何・・・これ?」
〈(これは魔獣が分泌した穢れを植物が吸った結果よ・・・魔獣が移動すればするほどこの穢れが広がりやがて生き物が住めない星になってしまうのよ・・・)〉
「「・・・・・・」」
小夜の質問にギンガルカか答えその答えを聞き小夜と薫子は思わず穢れが広がり荒廃した世界を想像しゾッとした思いを抱く中、はるかが急にしゃがみ込み変色した葉を両手で包み込む様にした。
「「はるか?」」
「・・・これが穢れって言うならあたしの浄化のアースでッ!!」
はるかはそう強い口調で言いながら両手に浄化のアースを込めると変色した葉はみるみる元の色を取り戻した。
「よし・・・!」
「すごい枯れかけていた葉が・・・」
「浄化のアースはすごい事は知ってたけど枯れかけていた葉も癒やしたんか・・・!」
〈(いや・・・浄化のアースだけでは枯れた葉を元に戻す事は出来ない、これははるかの花のアースと魔力も合わさったから出来た事だ・・・)〉
「フフン、あたしだって日々努力してるんだよぉ!」
小夜、薫子、ギンガホーンが驚く中、はるかは照れながらも誇らしそうな表情をする。
〈(すごいなはるか・・・だが君の力が凄くてもモビーディグは強大な魔獣だ。奴が汚染を広げれば君の一人力で一々浄化しても)〉
「分かってるよぉギンガホーン。あたしも自分1人で全部浄化できるとは思ってないし、きっと取りこぼしちゃう物もあると思う・・・魔獣だって小夜ちゃんや薫子ちゃん、ギンガホーンやギンガルカ、ギンガホークの皆の力を合わせなきゃきっと倒せない・・・でも目の前で星を困らせる穢れを放置するのもあたしの思う魔法少女とも星を守る戦士とも違う気がするの。だからあたしは自分の手の届く所でも助けていける魔法少女兼星の戦士になるのを此処に改めて誓うのぉ!」
「「〈〈〈・・・・・〉〉〉」」
はるかの宣言を聞き小夜達はしばらくキョトンとしていたがやがて小さく吹き出した。
「ふふ・・・はるかって以外と欲張りね」
〈(えぇ、でもとっても良い欲張り屋さんね)〉
〈(全く、はるからしいな!)〉
「同感や・・・でもだからこそ手伝ってやりたいと思うねん・・・」
〈(そうだな、はるかの言う通り目の前で困っている者を助け、悪を倒す。それが出来ずして星の戦士も魔法少女も名乗れないな)〉
「エヘヘ・・・あ、でも困った時は皆の力を貸してくれたら嬉しいです・・・」
「「〈〈当たり前(や)(よ)だ〉〉」」
「えへへ、ありがとう・・・・あれ?何だか周りが?」
はるかの言葉に皆が当然の様に即答するとはるかは照れた様に笑っていると急に周りがザワザワしだしはるか達が何事かと思いふと空を見上げるとそこには巨大な映像が浮かんでおりその画面にはどこか悪そうな顔をしたマジアベーゼが映っていた。
「「「・・・は?」」」
【グッフッフッ!凡百な群衆共よご機嫌よぉ・・・!!わたしはエノルミータ総帥マジアベーゼ様だぁ・・・・!この映像は魔法少女組織シオちゃんズへ向けて放送されているぅ・・・!聞こえているかぁイミタシオ、ヒャ~ハッハッハッ~!!我らに逆らう愚かなシオちゃんズ、その1人がこの魔法少女ベルゼルガだぁ!!】
――――――――――
「蘭朶!マジアベーゼ貴様ァ・・・!!」
隠れ家のマンションの一室で捕らわれたベルゼルガの映像を見て思わずみち子は窓から乗り出してしまう。
――――――――
【よく聞けぇイミタシオォ・・・!これは見せしめだぁ・・・!我々はこれより・・・ベルゼルガの公開処刑を行うぞぉ!ヒャ~ハッハッハッ~!!】
「何やアレ・・・」
「ベーゼってば変なキャラになってる・・・」
「2人とも!唖然としている場合じゃないわよ!」
今までのベーゼとは違うテンションにはるかと薫子はドン引きするが小夜が慌てて叱咤する。
【魔法少女ベルゼルガの公開処刑・・・これはすなわち魔法少女が悪の組織に完全屈服し、敗北する事を意味するのだぁ!!処刑は本日正午の駅前だぁ!!震えて待つが言いわぁ・・・!!ハァーハッハッハッ!!】
ベーゼがそう笑いながら映像と共に消えていった。
〈(・・・で、どうするんだい?イミタシオ達は君達に酷い事をした奴らだが・・・言うまでもないようだね)〉
ギンガホーンの問いかけにマゼンタは当然と言う風に頷く。
「勿論ベルゼルガを助けるよぉ!此処で助けなかったら魔法少女兼星の戦士としても失格だよぉ!」
「私も勿論助けるわ。同じ魔法少女だもの」
「ま、エノルミータ出てくるんならウチらの出番やしな・・・そういうギンガホーン達はどうするんや?」
〈(フッ、そんな事言うまでも無いだろう)〉
〈(えぇ)〉
〈(オウ!)〉
荒くれ無敵城
「おい、まだモビーディグの居場所は分からねぇのか?」
「分かってるよ船長、おい早く探り当てろ!」
「ヤ、ヤートット・・・!」
ゼイハブにせっつかれ、バットバスが命令を出すと探知機に座っているヤートットは色々と機材を弄り始めるとやがてランプが灯ってブザーが鳴った。
「出ました!Gー2エリア、駅前付近、ちょい深めッス!!」
ヤートットが前とは別の地図を取り出して指さすと早速ビズネラは深度図のちょい深めの所に旗を刺した。
「よーし出「報告、報告ッスー!」なんだぁ?」
バットバスが早速魔人を呼ぼうとした時扉から慌てた様子でヤートットが駆け込んできた。
「街中の上空にマジアベーゼの映像が映り何か魔法少女のベルゼルガを駅前で処刑するって宣言してたッスーー!!」
「何ぃ!?駅前だとぉ!」
「・・・・ッ!!」
ヤートットの報告を聞きゼイハブが驚いた声を上げシェリンダがピクリと眉を動かした。
「アイツら寄りにもよってそこに居座りやがるとは邪魔くせぇ奴らだ・・・!」
「そうですね。こうも大々的に宣言されたら間違いないくベルゼルガの仲間のシオちゃんズだけでなくトレスマジアも介入して来るでしょう・・・そうなれば急成長作戦の成功率が低くなるかと・・・」
「心配すんなって船長、ビズネラ!だったらコイツが適任だ。来いゴビース!!」
バットバスが自信満々に呼び出すと扉から白黒のチェス柄の騎士鎧を纏った細身の魔人ーゴビースがヤートット達と共に入ってきた。
「俺達は?」
「「「バットバス魔人部隊!!」」」
「頭足りない?」
「「「エノルミータ!!」」」
「クールなのは?」
「「「俺達だ!!」」」
イエエエエエ!!
入ってきたのがゴビース1人なのを見てシェリンダは眉をひそめた。
「ん?ゴビース1人だけか?相手は間違いなく大人数だぞ?他の魔人は出さないのか」
「へへ、ゴビースの能力がありゃもうトレスマジアもエノルミータも問題ねーよ。まぁ援護にデキウス位を行かそうとも思ったけどよ・・・あの老いぼれ何でか復活してねーんだよ役立たず!」
バットバスがそう言って苛ただしげに床を蹴るとシェリンダは何かを企む様にニヤリと笑った。
「だったらバットバス、私も今回の作戦に同行させろ。マジアベーゼを倒すついでに援護してやる」
「えぇ!?・・・いや俺は構わないけどよぉ、船長が許可するか・・・」
バットバスがチラリとゼイハブを見るとゼイハブは顔を顰めていた。
「・・・正直言って許可出来ねーな。前の暴走の一件もあるし万が一ウチの操舵手がやられちまったら目も当てられねーよ」
「船長!!マジアベーゼは私を侮辱した相手です!このまま奴に舐められたままでは私の面子が丸潰れです!奴を倒さねば私・・・引いては宇宙海賊バルバンの名に傷が付いてしまいます!船長はそれで良いのですか?」
出撃を渋るゼイハブに対しシェリンダがゼイハブに詰め寄り面子の問題を言い出撃許可を迫った。
「・・・分かった。そこまで言うなら行ってこい。あの力はちゃんと使いこなせるんだろうな?」
「勿論です船長。いいなバットバス、ビズネラ?」
「あ、あぁ分かったよ・・・」
「では、シェリンダ様にはエノルミータの相手を任せ、ゴビース殿にはトレスマジアとシオちゃんズを倒し安全を確保したら急成長エキス入り地中貫通機を打ち込んで貰いましょう」
「任せろ、奴らの今までの戦闘データは全て頭にインプットしてある」
「よーし、行ってこい!作戦失敗した奴は?」
「「「テメエで頭を食い千切れ!!」」」
(マジアベーゼ、覚悟するがいい・・・!!)