上空
「さてさてどうしましょうかね・・・」
はるか上空に到着したベーゼは眼下で戦っているバルバンとトレスマジアを見ながらそう呟いた。
「ベーゼちゃん、いつも見たいに介入しないの~?」
「わたしも最初はそう考えましたけど、今はあの戦いの方が興味深い。まるで伝説の一場面の様です・・・」
「お~ベーゼちゃん何か楽しそう~」
そう言うベーゼの眼下では真化星獣モードと壊力坊が戦っていた。
――――――――
「ずぇりゃぁああ!」
「フッ」
壊力坊の薙刀の振り下ろしにアズール飛び上がる事で回避し近くのポストの上に着地する。
「遅いわね壊力坊。欠伸が出るわよ」
「おのれぇ・・・・だったらこれだ」
壊力坊は背中の籠から大太刀を取り出すとそれを抜刀して突進する。
「おりゃああ!!」
「ハァ!」
壊力坊は大太刀でポストを叩き壊すがアズールはその前に跳びそれを回避する。
「逃がすか!どらぁ!」
「何の!」
壊力坊の振り下ろした大太刀を真化アズールは羽衣を広げそれを防ぐ。
「ぬ、ぐ!」
「無駄よこの羽衣はそう簡単には斬れないわよ」
「やるやんアズール。これは加勢はいらんかなッ!」
「ヤトト!ギブギブ!」
真化サルファはそう言いながらヤートットにヘッドロックを掛けヤートットはたまらずにタップする。
〈油断するなサルファ〉
「ギンガホーンの言う通りだよサルファ!皆で力を合わせて確実に倒さなきゃえい!」
「ヤートット!?」
そう言いながら真化マゼンタは獣撃槍でヤートットを持ち上げ放り投げるとそのまま倒れた所に追撃で肘打ちを掛ける。
「くぉのお!」
「セイ!」
「グホ!?」
マゼンタとサルファがヤートットと戦闘を続ける中、壊力坊は何とか羽衣を裁ち切ろうと力を込めるがその隙を突き壊力坊の横腹に蹴りを喰らわせ壊力坊を吹っ飛ばした。
「貴様ァ!これでも喰らえ!」
壊力坊は今度は大槌を取り出すと吹っ飛ばされた先にあったドラム缶を大槌で次々叩き飛ばした。
〈アズールあれは!〉
「分かっているわ。アレの中身をまき散らせる訳には行かないわ雪花の「させるか!」
アズールが飛ばされて来たドラム缶を凍らせて砕こうとするが壊力坊はその前に口から光線を吐きドラム缶を破壊し中身をまき散らせる。
「ブッ、目、目が・・・」
〈アズール!?〉
「貰った!」
まともに廃液を被ったアズールは思わず目に入った液を拭おうとしてしまいそこを狙い壊力坊が大槌を振り上げて攻撃する。
「せりゃぁ!」
〈アズール!〉
振り落とした大槌が当たる瞬間ギンガルカが実体化して壁になりアズールの代わりに攻撃を受け吹き飛ばされる。
「「〈〈ギンガルカ!!〉〉」」
吹き飛ばされたギンガルカを見てマゼンタ達は慌てて駆け寄り、サルファは壊力坊を牽制する様に構える中マゼンタはアズールとギンガルカに治癒魔法を掛ける。
「ギンガルカ、何て無茶を・・・」
〈フフ、私もアズールみたいに皆を守れようになりたいって思っちゃって・・・私もアズールみたいになれたかな・・・?〉
「ギンガルカ・・・気持ちは嬉しいけどあなたが傷ついたら私が悲しいわ。それに私だったらあんな攻撃平気よ。いえむしろどれ位の物か受けてみたかったわ!(ハァハァ・・・)」
〈アズール・・・・あなたは本当に皆を守る戦士の鑑よ!〉
「いや、後半のセリフ・・・」
何処か興奮した様にギンガルカを気遣うアズールに感動してるギンガルカにサルファがツッコみを入れる中壊力坊は次の攻撃を行おうとしていた。
「おい、次の缶は無いのか?」
「も、もう無いッス」
「ヌウゥゥゥ・・・モビーディグも現れんしまだ量が足りんか。一旦退くぞ!カァー!!」
壊力坊は再び口から光線を吐きマゼンタ達の周りを爆煙で覆うと生き残ったヤートット達を連れ素早く撤退していった。
「しまったよぉ!早く追わないと〈待てマゼンタ〉ギンガホーン?」
逃げた壊力坊を探そうと飛び上がろうとした時ギンガホーンが制止をかけ思わず止まってしまい不思議そうな顔をする。
〈バルバンの追跡は確かに重要だ。だが君には久しぶりに会えた友と会う約束があるのだろう?捜索は私とギンガルカとギンガホークがやっておくからマゼンタは友に会いに行きなさい〉
「え?・・・いいのギンガホーン?」
〈無論だ。友には会える内に会った方が良い・・・もう会えなくなる時だってあるだから〉
「ギンガホーン・・・ありがとう!」
〈アズールも折角だから行ってきて〉
〈元々お友達も一緒って誘われたんだろ?〉
「気を遣わせちゃったわねギンガルカ」
「だったらお言葉に甘えさせて貰うわ。けどバルバン見つけたら直ぐに言いや、直ぐに駆けつけるからな」
マゼンタ達はギンガホーン達にお礼を言うと別れて飛び立って行った。
上空
「ふむ、どうやら戦いはもう終わりで二手に分かれて探すようですね」
「結局あんた介入の機会無くしたわね・・・まぁロコは楽で良いけど」
「ですが、観戦に徹したお陰でアズールの美しい勇姿が見れました♡・・・ですがやはりバルバンはダメですね。魔法少女を甚振るのをあんな汚い廃液をぶっ掛けるだけなんて!わたしだったらもっと恥辱を誘って恥ずかしそうに苦しめながらにして!それでいてあんな体に害のありそうな物なんて掛けませんよ!」
「うわぁ・・・改めて言われるとドン引きだわ」
「てかお前もやってる事バルバンと変わってねーじゃん」
ベーゼの熱弁にドン引くロコムジカとルベルブルーメだが2人の言葉を聞きキッと睨み付ける。
「違うのです!バルバンは魔法少女を殺そうとする!わたしは魔法少女を弄んで遊びたい!そこには大きな違いがあるのです!!」
「「アッハイ、そうですね」」
ベーゼの熱弁にもうロコとルベルはどうでも良くなってきたのか生返事を返すがベーゼはそれを気にせず話を変える様に両手を叩いて笑顔になる。
「と言う訳で「え?何がと言う訳なの?」わたし達はこれから魔法少女を殺す存在であるバルバンに嫌がらせをしに行きます。心配ありませんはるか上空から見ていたお陰でアイツらが撤退していった場所は大凡分かりました。先回りしてやりましょう」
「おー流石ベーゼちゃん~」
「「総帥の鏡なのだわ」」(パチパチパチ)
ATENA 社長室
ATENA本社に着いたはるか達は早速受け付けで用件を伝えると直ぐに社長室に通されソファに座ってお菓子と紅茶をご馳走になっていた。
「うわ!花央さんこれすっごく美味しいよぉ!!」
「はるか社長さんでしょ」
「ふふ、構わないわよ今ココには私達しか居ないし社長呼びはしなくても構わないわ。むしろプライベートではるかちゃんに社長って呼ばれたら私泣いちゃうわよ」
はるかの口調を小夜は注意するが花央はそれを気にせず逆に少しおどけた様子で返した。
「それにしても社長さん。今更ですけど本当にウチらも来て良かったんですか?」
「いいのいいの。むしろ私の知らない中学のはるかちゃんの話してくれないかしら?」
「私も引っ越して会社の社長になった花央さんの色々な話聞きたいよぉ」
「あらそう、嬉しいわね・・・最初の頃は苦労したわね・・・良い香水を作っても値段が高いって言われて碌に売れず、赤字ばかりになって・・・質が良くて値段も安く出来る今の製法を生み出さなかったら死んでいたかもしれないわね・・・」
「え!?」
昔を思い出して暗い顔になる花央にはるかは驚いた顔を見せるが直ぐに花央は笑顔に戻る。
「心配しないで、今はもう死のうなんて事は考えて無いからね。むしろこれからどんどん私の開発した商品を世界中の皆に届けていこうか考えている所なんだから。はるかちゃんも良かったら応援してね」
「もちろんだよぉ!」
「ありがとう。・・・あっそれからこれはオフレコ何だけど、実は次の新商品は魔法少女をイメージしてトレスマジアとコラボしようと交渉中なのよ」
「「「ブッ」」」
花央の言葉を聞き3人は思わず飲んでいた紅茶を吹き出しむせてしまう。
「ちょっと大丈夫?」
「ゲホッ、ゲホッはい大丈夫です・・・それにしてもトレスマジアとのコラボですか」
「えぇ、小夜さんって言ったかしら。今世間は悪の組織と戦い平和を守っている魔法少女が人気だから、彼女達が我が社の商品を使ってくれたらきっともっと沢山の人が私の作った物を知ってくれると思うの。その為に今はヴァーツって言うマネージャーさんと交渉中なのよ」
「そ、そうなんですか」
「ええ、きっとトレスマジアの3人も我が社の商品は気に入ってくれると思うわ」
「きっと気に入るよ!花央さん特にマゼンタはここの香水は好きだと思うよぉ!」
「あら、ありがとうはるかちゃん」
(もしコラボが実現したらうてなさんも喜んで買うでしょうね)
花央とはるかの話を聞きながら小夜は脳裏にトレスマジアファンのうてなの顔が浮かびフッと微笑んだ。
廃工場
ドォオオン!!
人気の無い廃工場で突如爆発が起こったと思ったら出入り口からマジアベーゼ・クヌムが笑いながら走って出てきた。
「ハッーハッハッーザマー見なさいバルバン!あなた方の目論見を潰してやりましたよーー!!」
「ンな事言ってる場合じゃないでしょ!早く逃げないと殺されるわよ!!」
「あの野郎意外と強いじゃねーか!?」
勝ち誇るに笑うベーゼ・クヌムに続く様にボロボロになったロコムジカ・ハトホルとルベル・アヌベトも必死なって出てくると奥から殿となって戦っているレオパルト・セクメトとネロアリス・ジャバウォックと戦いながら壊力坊が追いかけてくる。
「待て貴様等ーーー!!このまま唯で帰れると思うなよーー!!」
「ブッ殺クロー!」
「「ジャバウォック・パンチ!なのだわ」」
「舐めるなぁ!」
それに対し壊力坊は籠から鉞を取り出すと2人の攻撃を纏めて切り裂いた。
「「ッ」」
「ってぇこのヤロウ!」
「まずは貴様等から血祭りだ!」
「レオちゃん、アリスちゃん!メナスアイ!」
「うぉ!?」
切り裂かれた怯んだ所を壊力坊は真っ二つにしようと鉞を振り上げた所でベーゼがメナスアイを放ち壊力坊を攻撃して動きを止めその隙にゲートを開きレオパルトとアリスを回収していった。
「ハッーハッハッー、では今回はこれまでにしま「カァー!!」ギャアア!?」
勝ち誇って逃げようとするベーゼにせめて一太刀と言わんばかりに壊力坊が光線を放ちそれが直撃しベーゼは悲鳴を上げながらもゲートを閉じ逃げていった。
「おのれぇ逃がしたか・・・・!貯蔵していた廃液はどうなった?」
「それが全部燃やされたっスー」
「ヌォオオオ、エノルミータめぇ!!このままでは御大将に、引いては某の面目に関わる。急いで補充しに行くぞ」
壊力坊はそう言うと別の場所に隠していたトラックに乗り込むと何処かへ向かって行った。その様子を上空からギンガホーン達が見つけていた。
〈居たわバルバンよ〉
〈薫子達にテレパシーで伝えるか?〉
〈・・・いやどうやら奴らは汚染物質を何処かへ補給する様だ。奴らの補給源を見つけてからはるか達に伝えて方が良いだろう。あのトラックを追うぞ〉
――――――――
プルルルル
「あら、何かしら?ちょっと失礼するわね」
社長室ではるか達と楽しそうに話していた花央に電話が掛かりはるか達に断りを入れながら受話器を取った。
「私です。何かありましたか?・・・・え?例の客が資材を欲しがっている?何でまた急に・・・・いえ私が応対するわ、じゃあいつも通りあそこには誰も近づけない様にして・・・えぇそれじゃあ」
花央を電話を終えて受話器を置くとはるか達の方へ申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「ごめんなさいね。急な応対が入っちゃってちょっと出てくるわね。10分ほどで終わるから此処で待っててね」
花央はそう言うと社長室から出て行った。
「はー社長も大変やな」
「しょうが無いわよ。今日も忙しいはずなのに私達の為に時間を取ってくれたんだろうし急な応対もあるでしょうね」
「・・・・・」
「どうしたのはるか?」
「え!ううん、何でも無いよぉ(何だろう・・・出て行く時に見えた花央さんの顔、何だかとっても怖い感じがしたな・・・)」