【田中さん、聞こえますか?】
「はいチーフ何でしょうか?」
清掃をしていたみち子に突然レシーバーのイヤホンから清掃チーフの声が聞こえ田中は首元のマイクのスイッチを入れ返信する。
【今日は第3搬入口の清掃はいいと上から連絡が入りました】
「え?どうして急に」
【それは知りません。とにかく今日は第3搬入口には近づかない様に】
清掃チーフは一方的にそう言って通信を切っていった。
「あ、ちょ・・・今第3搬入口にいるんだけどな・・・」
みち子はそう言いながらキョロキョロと辺りを見回すと搬入口には大量のブルーシートが掛けられた物が沢山置いてあった。
「しかし、ここの清掃は時々してるが段々増えてるこれは何なんだ?」
気になったみち子はブルーシートをめくろうとした時搬入口のシャッターが開く音がして思わずみち子は物陰に隠れてしまう。
(トラック?何かの搬入があるから今日の清掃は中止なのか・・・・何!?)
搬入口から入ってきたトラックからぞろぞろ降りてきたのはヤートットと壊力坊だった。みち子がそれに驚いて居ると反対側のエレベーターから花央社長が降りてくる。
(社長!どういう事だ?)
「全くこの前お売りしたばかりなのにもう次がいるのですか?」
「文句があるのか?お前が処分に困っている物を買い取ってやっているのというのに。見ればもうそれなりに貯まっているでは無いか」
「此方にも都合と言うものがあります。・・・取りあえず今はこれだけの量しかありません」
「十分だ。おい」
「ヤートット」
壊力坊が合図するとアタッシュケースを持ったヤートットが近づき蓋を開くと中には大量の札束が入っており花央はそれを確認していく。
「・・・確かに確認しました。どうぞ持っていって下さい」
「うむ、ヤートット運び出せ」
「「「ヤートット!!」」」
(まずい、まさかこの会社の社長がバルバンと繋がっていたなんて・・・早く蘭朶にテレパシーで伝えねば)
「おい、何だお前?」
「ッ!」
テレパシーで蘭朶に連絡しようとした時隠れている場所からヤートットが顔を出し声を上げた。
「誰だ!!」
「!あなた此処は立ち入り禁止と言った筈よ!」
「クソッ」
見つかったみち子は急いで反対方向から逃げようと走り出すが数メートルしない内に他のヤートットが回り込み道を塞いでしまった。
「貴様見たな。生かしては帰さんぞ」
「ッ・・・・!」
ATENA 社長室
〈(はるか!バルバンを見つけたぞ!)〉
「(本当!どこに居るのギンガホーン?)」
はるか達が社長室で花央を待っているとギンガホーン達からバルバン発見のテレパシーが入り思わず立ち上がった。
〈(君達がいる会社の地下の第3搬入口と言う所だ!そこで清掃員が襲われている)〉
「「「!!」」」
それを聞きはるか達はバッと社長室を出て変身出来る場所を探して走り出す。
「(どういう事ギンガホーン?なんで花央さんの会社にバルバンが!?)」
〈(詳しい事は分からんがどうやらあの社長はバルバンと繋がっていたらしい)〉
「「!?」」
「(そんな・・・・!どうして・・・?」
〈(それは分からん彼女に聞いてみない事には、な。兎に角急いでくれ)〉
「(分かったよぉ・・・)」
第3搬入口
「ヤートット!」「ヤートット!!」
「このッ」
あの後、みち子は何とか脱出しようとするがヤートット達に阻まれ壁際までに追い込まれモップを武器代わりにしてヤートットを近づけまいとしていた。
「全く、ここへ入ってこなかったら死なずにすんだと言うのに・・・」
「社長!何故バルバンなんかと取引を・・・・!」
「あなたが知る必要はありません・・・早く始末して下さい」
「某に偉そうに命令するなお前に言われなくても始末するわ。清掃員、貴様は見てはいけない物を見た罪で鋸引きの刑だ」
壊力坊がそう言いながら籠から鋸を取り出してみち子を始末しようと歩きだし時、トラックの影に隠れていた星獣達が飛び出し、さらに搬入口のシャッターを破壊してベルゼルガとパンタノペスカが乱入した。
「「「「「!!」」」」」
(蘭朶に百花!!テレパシーが届いたか)
〈ベルゼルガにパンタノペスカ。君達はどうやって此処にバルバンが居ると分かったんだ?〉
「それは乙女の秘密ですわ♡今はそんな事よりあの清掃員の方を助けてバルバンを倒すのが先決ですわ」
「アイツら邪魔、倒す!」
「ヤートット!!」
パンタノペスカがどう来たのかを誤魔化してる内にベルゼルガがヤートット達を切り裂いていき、その時にブルーシートに掛けられた物も切り裂かれシートの下からドラム缶が露わになり切り裂かれたドラム缶からドロドロと廃液がこぼれだした。
〈アレは・・・!〉
ギンガホーンが見た事がある廃液を見て何かに気づいた時変身したマゼンタ達も搬入口に到着する。
「トレスマジア参上!・・・っこの匂いは」
「これは朝の戦いの時にばらまいていた廃液・・・・それがここに大量にあるって事はあの廃液はここから手に入れていたの」
「あの社長バルバンと繋がってたんか!・・・てことはあの大量廃棄物が出るって噂は本当やったんやな」
「そんな・・・どうして・・・・?」
知り合いだった社長がバルバンと繋がっていた事を知ったマゼンタが思わず茫然自失となるがそれを見たアズールが叱咤する。
「マゼンタ、今は呆然としている暇は無いわ。今は早くあの清掃員さんを助けてバルバンを倒さないと!」
「・・・・!うん分かったよぉ!」
「行くでマゼンタ!」
「「「真化星獣モード!!」」」!
マゼンタ達は真化星獣モードに変身するとアズールとサルファは壊力坊にマゼンタはベルゼルガとパンタノペスカを援護すべくヤートット達の方へ向かって行く。
「はぁああ!」「オラァア!」
「ぬぅ!」
真化アズールと真化サルファの同時攻撃に壊力坊は薙刀で防御し弾き飛ばす。
「チッ2人掛かりでも吹き飛ばすなんて見た目通りのパワータイプやな。あの薙刀も厄介や」
「だったら奪い取るわ。ハァ!」
真化アズールは羽衣を伸ばし薙刀を絡め取るとそのまま投げ飛ばした。
「うぉ!?おのれぇ」
薙刀を失った壊力坊は背中の籠から刺股を取り出して突進し刺股でサルファの首を押さえつけそのまま壁に叩き付けた。
「ガハッ」
「サルファ!!」
「まずは脆そうなコイツを先に潰させて貰ったぞ。次は貴様だカァー!!」
「ッ」
壊力坊が放った光線をアズールは羽衣で防ぐがその隙を突き壊力坊は刺股でアズールを拘束するとサルファ同様柱に叩き付ける。
〈〈アズール!!〉〉
「邪魔をするな。これでも喰らうが良い」
ギンガルカとギンガホークがアズールを助けようとするが壊力坊は竹筒を取り出してそれをギンガルカ達に浴びせ、それを被ったギンガルカ達は力尽きたかの様に地面に落ちた。
「ギンガルカ!ギンガホーク!あなた一体何をしたの!?」
「対魔獣用の眠り薬だ。どうやら星獣にも有効な様だなカァー!!」
壊力坊はそう言いながら近距離で光線を放ちアズールはそれに直撃し柱を砕きながら遠くへ吹き飛ばされた。
「さて後は3人「報告、報告ッスー!」何事だヤートット?」
残りの魔法少女を始末しようとした時ヤートットが慌てて報告に走り寄ってくる。
「モビーディグの反応がこの近くで出たッスー」
「何だと!・・・いやそれは好都合か・・・」
――――――――
「ヤートット!?」
ベルゼルガはみち子の近くにいたヤートットを切り伏せると急いでみち子に近づく。
「みっちゃ、じゃない清掃員さん!無事?」
「あぁ、すまない」
ベルゼルガはみち子の名を呼ぼうとするがマゼンタが近くに居たので言い直して無事を確認する。
「清掃員さん。ここは危ないから搬入口へ急いで逃げて下さい」
「マゼンタ、私が護衛する」
「ありがとうベルゼルガ。お願いするよぉ・・・・後は」
ベルゼルガがみち子を安全な場所に逃がすを見届けるとある場所をチラリと確認すると走り出した。。
「パンタノペスカ。ごめんなさい少しこの場をお願いします」
「あ、マゼンタ様!」
――――――――
「ハァ、ハァ・・・」
花央は段々激しくなる戦闘に巻き込まれまいと走り出すが彼女の前にマゼンタとギンガホーンが立ちふさがる。
「ッ」
「花央さん・・・何でバルバンなんかと取引をしたんですか?何でそんなに大量の産業廃棄物があるんですか?」
「・・・・仕方がなかったのよ。お客様の望む安くて良い商品を作る為のあの製法では大量の廃棄物が出てしまうの。大量に処分するにも手続きやコストが掛かって大変なのよ・・・そんな時アイツらが一週間前に現れたのよ。アイツらは処分に困っていた廃棄物を買い取ってくれるって言ってくれたのよ」
〈バカな!それで奴らの取引に乗ったというのか〉
「何が悪いのよ?アイツらが買い取った物ならアイツらがどうしようがアイツらの責任でしょ。それに私1人が売った所で何の影響も無いでしょ?」
〈君と言う奴は・・・・!〉
「そんな事をしなくたってあなたなら環境を壊す様な事をせずに良い商品が作れたはずです!そんな方法で作った物なんか誰も笑顔にしないよぉ!!」
「・・・・アンタみたいなガキに何が分かるって言うのよ・・・・!!」
マゼンタの言葉を聞き花央ギリッと奥歯を噛み鬼の様な形相を浮かべる。
「どんなに私が苦労して良い商品作っても客は「高い」だの「もっと安くしろ」だの「ぼったくり」って値段だけ見て文句ばっかり!客に取って品質や過程なんて二の次なのよ。だから要求通り安くて良い商品作ってやったんじゃない!!その過程でアイツら環境破壊する物が出ても気にもとめないじゃ無い!!だったら私は悪くないわよ!悪いのはそんな商品求めるお客じゃない!!」
「ッ・・・・!!」
花央の叫びを聞きマゼンタは悲しそうな顔を浮かべ花央の顔をパァンと叩いた。
「な・・・?」
「確かにあたしは経営とか製造の事はよく分からないよぉ・・・でもこんな製法で作った物が良くない物だって言うのは分かるよぉ!!こんな物を作っても結局最後は皆不幸になって誰も喜ばないよぉ・・・・」
そう言うマゼンタの脳裏には昔笑顔ではるかに香水や化粧品で皆を喜ばせる夢を語っていた花央の顔が浮かんでいた。
「な、何よ偉そうに・・・」
ガシャアン!!
「「!!」」
花央が何かを言おうとした時何かを壊す音が聞こえ音がした方に顔を向けると壊力坊が太刀でドラム缶を破壊して中の廃液をまき散らしていた。
「来い!来い!モビーディグ!お前の好きな穢れは此処だぞ!!」
「あ、あ、あぁ!待って待って待ってぇええ!?」
それを見た花央は半狂乱になって壊力坊に走り寄り制止する様にすがりつく。
「待って、待ってよ!ここにはばら撒かないって約束してたじゃない!!」
「うるさい!」
そんな花央を壊力坊は邪魔くさそうに払いのけると眼前に太刀を突きつける。
「取引がバレた以上お前はもう用済みだ。ここで死ねがよい」
「ひぃ」
壊力坊がそう言って太刀を振り下ろした時マゼンタが割り込み獣撃槍で太刀を防いだ。
「マジアマゼンタ!!」
「・・・・花央さん、急いでここから逃げて下さい」
「え、でも」
「早くここから消えろって言ってるんだよぉ!!」
「ヒィイイイ」
普段見せないマゼンタの怒声を聞き花央は怯えた様に逃げ去っていった。
「ギンガホーン、花央さんが安全な場所に行くまで守ってくれる?」
〈・・・・分かった〉
抑揚を抑えたマゼンタの言葉を聞きギンガホーンは辛そうな表情で花央の後を追っていった。
「マジアマゼンタ。次は貴様を始末してくれるカ「ペイントフル#8」ガベベベ!?」
壊力坊は再び至近距離で光線を放とうと口を開いた時液体が入りむせて転がり回ってマゼンタから離れた。
「マゼンタ無事?」
「イミタシオ、ベルゼルガ来てくれたんだね、今の内に浄化のアース!」
ベルゼルガと共にイミタシオが駆けつけマゼンタの前に立ち武器を構える中、マゼンタは地面に浄化のアースを流し込み穢れを浄化し、地下深くに居たモビーディグは穢れが消えた事で引き返していった。
「ゲホッゲホッ・・・折角播いた穢れをよくも、纏めて始末して「雷霆掌剛!」グヘェ!?」
壊力坊がマゼンタに武器を向けた瞬間背後からサルファの拳が飛来し壊力坊は吹き飛ばされビルの外に転がり出した。
「イダダ、この攻撃はマジアサルファ!まだ生きていたのか」
「生憎やなアズール程や無いけどウチも頑丈なんや!」
「まぁ私が応急処置で回復させたんですけどね」
そう言いながらサルファの背後からパンタノペスカとアズールが現れる。
「いやー戦闘員と戦っていたらアズール様が飛んできてビックリでしたわ。お陰で助かりましたけど」
「吹き飛ばした場所を間違えたわね壊力坊。これでトドメよ行くわよ2人とも!」
「おう」「うん!」
3人は武器を合体させると壊力坊に狙いをつける。
「「「獣魔一体!マジックアースキャノン改!!ファイア!!」」」
撃ち出された魔力弾はそのまま壊力坊に直撃すると大爆発を引き起こした。
「グワァアア!?」
「正義は・・・必ず勝つんだよ・・・」
壊力坊は重症を負いながらも震える手でバルバエキスの容器を取り出す。
「無念こうなれば・・・バルバエキス!せめて最後のご奉公」
バルバンの魔人はバルバエキスを飲む事で巨大化する。だがそれは自らの命を縮める正に最後の手段なのだ!
『ウォオオオオオ!!』
「皆今回はあたしに行かせて!」
「だったら私も!遅れた分役に立ちたいの」
「分かったわ、頼むで2人とも」
「任せて!行くよイミタシオ」
「「マジアエキス!」」
魔法少女はマジアエキスの力で巨大化する事が出来る。だか巨大化出来る時間は僅か5分なのである!
『『はあぁぁぁ!はぁ!!』』
『2人纏めて叩き潰してくれるわ!』
そう言って壊力坊は籠から金砕棒を取り出し振り上げながらマゼンタ達目掛けて突進する。
『どらぁ!』
『何の!』
振り下ろした金砕棒をイミタシオは大剣を盾代わりにするが一撃で大剣に罅が入ってしまう。
『そら、そらぁ!』
『くっマゼンタ!』
『了解だよぉ』
マゼンタはイミタシオを援護しようと獣撃槍を伸ばし長槍にして壊力坊の横腹を叩き付ける様に振るう。
『うぉ!?』
それを喰らい壊力坊は吹き飛ばされはしなかったが踏鞴を踏みバランスを崩してしまう。その隙を狙いイミタシオは大剣を振るう。
『でりゃあ!』
『グ!』
イミタシオの攻撃は壊力坊にダメージは与えられなかったが金砕棒を破壊し壊力坊を無手にする事に成功する。
『今だ!闇を貫け獣撃槍!』
『ヌォオオ!!』
武器を失った壊力坊は防ぐ事が出来ず貫かれ空中に上げられる。
『セイント・アース!!』
『ウアァアアア!?』
そのままマゼンタは花のアースの力を流し込み壊力坊を爆散させていった。
荒くれ無敵城
「悪くない策ではあったが・・・壊力坊勤めご苦労であった」
ブドーはそう言いながら墨で文字を塗りつぶすと倒された部下を労ってやった。
数日後
【次のニュースです。大手化粧品メーカーとして有名なATENAの社長 花央 香氏が産業廃棄物の不法投棄の罪で逮捕されました。花央氏は数年前から自社で出た大量の廃棄物を不法に投棄していたと・・・・】
「・・・・・・」
電気屋のショーケースに置かれているテレビからニュースを聞きはるかは暗い顔になり歩いて行く。
「はるか・・・・」
「なぁ小夜・・・ウチらはるかにどう声かけたらいいんやろな」
「私だって分からないわよ」
2人ははるかをなんとか励まそうとするが何と声を掛けて良いか分からず二の足を踏んでしまう。そんな中はるかの前をギャルらしき2人組が通り過ぎていく。
「ねーね、これから化粧品買ってかないー?ATENA以外でさ」
「いいねーATENAの化粧品って何かヤバイ物が出たんでしょ?あそこって安いだけで良い商品なかったじゃ~ん」
「だよねー安ければいいで品質悪いと思ってたんだ~あの社長金儲けしか考えてなかったんだよきっと~」
「ッ・・・」
そんなギャルの会話が聞こえはるかは目に涙を浮かべながら思わずギャル達に向かって大声で叫んだ。
「バカヤローーーー!!」