デク-1.0   作:今日は晴れ

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 曇らせは主人公だけへの専売特許じゃねぇぜ!

 



 つまり、みんな曇らせます!!!

 まずは貴方だ、オールマイト(原作師匠)!!




第二話 オールマイト:イマジン

 

 『へぇ、君は出久ちゃんって名前なのね』

 

 青い髪に白いメッシュが入った女の子が、顔中を傷だらけ、青あざだらけにして僕に微笑んだ。僕も、彼女と同じく体中が痛むし、悲惨なことになってる。

 今も綺麗で可愛い子なのは知ってる。けど、この子は傷だらけなのに、その美しさと愛らしさが損なわれていなかった。はじめてあったばかりだったから、僕はかなり照れていたと記憶している。

 

 だから、照れ隠しも兼ねて、公園の水道で冷やしたハンカチを彼女に渡した。

 

 『ありがとっ! 出久ちゃんっ!』

 

 はじめてあったばかりなのに、その子は大輪のような笑みを見せ、僕にお礼を述べて、顔を冷やした。

 

 それから僕たちは、春の公園でベンチに座って、いろいろな事を話した。

 

 彼女が今日、この近くに引っ越してきたこと、僕もこの近くに住んでいることから始まって、気がつけば僕はヒーローになりたいと思っていること、そして、僕には個性がなく、無個性だとこの間お医者さんから言われてしまったことを、話していた。

 

 『ねぇ、出久ちゃんはどんなヒーローになりたいの?』

 

 このとき、正直に言って彼女は僕の話を聞いてくれていないのかと悲しくなった。

 だって、無個性だと話したばかりなのに。無個性じゃ、ヒーローにはなれないのに……。

 

 『違うよ、ヒーローになれないのと、どんなヒーローになりたいかは別の話、出久ちゃんは、個性があったらどんなヒーローになりたいの?』

 

 僕は、どんなヒーローになりたいか話すと、彼女は笑窪を深めて、

 

 『なら、大丈夫、成れるよ、出久ちゃんは、君はヒーローになれる、私が保証してあげる』

 

 それは、僕が誰かに言って欲しかった一言。

 僕でも、ヒーローになれるという、たった肯定の言葉だった。

 

 涙で、視界がにじむ。

 でも、でも……。

 

 でも、僕には個性が……。

 

 『なら、約束だよ』

 

 彼女は右手を、小指を立てて僕に差し出した。

 

 『私が、出久ちゃんの個性になってあげる。今日から、出久ちゃんは一緒にヒーローを目指していこうね』

 

 よくわからない。

 彼女の言っていることがわからないけど、個性が持てるなら、と僕も手を差し出して、彼女の小指に自分の小指を絡めた。

 

 『ただね、条件があります』

 

 条件?

 

 『私は、出久ちゃんの夢を叶える。だけど、出久ちゃんも私の夢も叶えてね!』

 

 もちろん! 君がどんな夢を持っていても、僕ができることをしてあげる。

 だって、この話のはじまりも、君は私の願いは叶えられないって困った顔をしてたから。僕と、同じだったから。

 

 『ゆびきりげんまん、嘘ついたら針千本飲ーます! ゆびきった!』

 

 そのとき、力が沸いてきた。

 今までにない、高揚感が僕の中に渦巻く。彼女の言葉は理解できない。でも、僕に個性が宿ったのは事実だとわかった。個性が宿ったことが嬉しくて笑っていると、一つ重要なことを聞き忘れていた。

 

 君の、珠雨華(じゅうか)ちゃんの夢って、なに?

 彼女は、笑う。まるで絵画になりそうな笑顔で、とびきり、素敵な笑顔で、

 

 『私の夢はね、世界一の――』

 

 そのあと、彼女の願いを、筒美(つつみ)珠雨華(じゅうか)ちゃんの願いを聞いた僕はぶっ倒れるのだが、そこまでいかない。

 

 なぜなら、ここで僕は目を覚ましたからだ。

 

 ☆

 

 「おはよ、出久」

 

 「おはよう、母さん」

 

 眠い目を擦って出久がリビングに入ると、既に朝食は用意されいた。

 母――火伊那、レディ・ナガンというヒーロー名で呼ばれていた女性は、ヒーローではなく、ビジネススーツ姿でコーヒーを飲みながら新聞を読み、学生服を着た出久もおとなしく席に着く。

 

 朝食のメニューは、アスパラと、ベーコンなしのジャーマンポテト、それと、ソーセージなしのポトフとトースト、飲み物はチョコレートプロテインだった。

 

 二人の間に会話はなく、唯一、つけてあるテレビでは昨日起こったヴィラン犯罪と、それをオールマイトが解決した事件の詳細を報道していた。

 

 「今日だな」

 

 「だね」

 

 火伊那がテレビ画面の中で笑うオールマイトを見ながら話す。

 出久もテレビを見ながら同意する。

 

 壁に掛かったカレンダーには、四月も半ばの、今日の日付に丸が付いていた。

 その下に、オールマイト訪問との文字があった。

 

 出久と火伊那がこの町に引っ越してきて、引っ越してきて早々、ヘドロ型のヴィランに襲われてから、二週間が経過していた。

 

 出久は全てを食べ終えると、食器を流しに持っていき、スポンジで洗う。

 

 火伊那も飲んでいたコーヒーのマグカップが空になると、流しに持っていき、出久は無言で火伊那のマグカップも洗い終えた。

 

 火伊那は眼鏡をかけ、洗面台で軽く化粧をすると、通勤用の鞄を持っていく。

 

 その際、居間の仏壇、火伊那と笑っている彼女に似た女児、それとまぶしい笑顔の男性が映った写真の仏壇に手を合わせた。

 

 「行ってくる、沙慈」

 

 出久も火伊那が化粧を終えた洗面台で歯を磨き終えると、別室に入った。

 その部屋には、一台のベッドが置かれ、様々な呼吸器や生命維持に必要な機械が稼働し、その機械につながれた一人の女性がベッドに寝ていた。

 

 出久はベッドに寝る女性の顔を、洗顔用のタオルで拭い、目やにを拭いて、かさついた肌にクリームを塗ってあげた。

 

 「行ってきます、お母さん」

 

 部屋から出て行く際、そう、女性に、緑谷出久の実母、緑谷引子に話しかけて退出した。

 

 引子は何も言わない。ただ、部屋に、規則正しい呼吸器の稼働音が響いているだけだった。反応がないのは当然だった。緑谷引子は、9年前に、脳死と診断される、いわゆる回復の見込みが全くない状態になっていた。

 

 

 ☆

 

 

 夜、学校から帰ってきた出久と、同じく帰宅した火伊那はリビングにいた。

 ただ、二人とも落ち着かない様子で、どこか手持ち無沙汰な様子だった。

 

 そのとき、チャイムが鳴る。

 

 二人は玄関に急ぎ、ゆっくりと開けると、

 

 「私が、来た」

 

 そこには、一人の巨漢、筋肉でスーツをパツパツにしている男、オールマイトがいた。

 

 ただし、いつもの、今朝、テレビの中でみた笑顔であったが、声量が抑えられている。

 

 「狭いところですが、どうぞ」

 

 マンションの一室に入っていくオールマイト、その手には、ある封筒が握られている。

 

 封筒には赤文字で『極秘』と書かれていた。

 

 オールマイトも、先ほど入手した、読んだばかりの、つい、先ほどヒーローを統括する公安上層部、直々に読むことを許された書類だった。

 

 日本どころか世界でも、多大な影響力のあるオールマイトですら、二週間、待たされた極秘の資料――目の前の少年、緑谷出久(特例の仮免ヒーロー)、その義母、筒美火伊那(レディ・ナガン)、そして、火伊那の一人娘、筒美珠雨華に関する書類であった。

 

 この日から、オールマイトのファンたちは噂する。

 

 オールマイトの笑みが僅かに小さくなった、と。

 

 

 

 元、オールマイトの相棒(サイドキック)は話をする。

 

 これは、彼の転換点の一つだった、と。

 

 

 

 

 知るべきではなかった、知ってはいけなかった、救世主(オールマイト)が作り出した平和(社会)、その社会(平和)を維持するために供物になった暗部(犠牲者)を、オールマイト(救世主)自身が知ることになる。

 

 いつものような、打倒すべき巨悪など存在しない、どこまでも善意に溢れ、どこまでも救いようのない事実に、オールマイト(ヒーロー)は挑むことになる。

 

 逃げることも諦めることも許されない、なぜなら、オールマイト(英雄)救い(助け)を求める手を振りほどけないのだから。

 

 一人の、地獄に落ちた少年を、二組の親子を地獄から救う(掬う)ために。

 





 かなり長くなったので、今回はここまで

 次回、説明会

 

 Q.引子さん、大丈夫? 出久くんがこうなったら倒れちゃわない?


 A.引子さんは意識がないから大丈夫!!!既に倒れてるから曇るわけがないね!!!!!




 職場の同僚からの率直なご意見「人の心、マジでないんか?」

 
 ご意見ご感想、お待ちしております!
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