大東亜連合奮闘記   作:名無之助

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拿捕

 結果として、ヘリオポリスから突如出現した大型宇宙艦艇は大東亜連合宇宙軍第3航宙艦隊により捕捉、停船命令及び威嚇射撃により、機関を停止、第3航宙艦隊から差し向けられた第7空間護衛隊による臨検を受けることとなる。

 

 その間に第3航宙艦隊司令とザフト軍クルーゼ隊隊長 ラウ・ル・クルーゼ、そして生き残っていた地球連合軍輸送艦艦長との間で通信による事情の聞き取りや戦闘のいきさつなどについての話し合いが行われていた。

 

 「では、ザフト軍側としては正規の作戦行動だと?」

 

 第3航宙艦隊司令は険しい表情を崩すことなく画面越しにいる仮面の男に向かい絞り出すようにそう問いかける。

 

 ≪その通りです司令閣下、そもそも中立国であるにもかかわらず、交戦国の軍艦を受け入れ、それだけならまだしも新型戦艦やMSの開発まで共同で行っていたのは言い訳はできますまい?≫

 

 「それはそうだろう。しかし、貴官らは一つ思い違いをしている。いかに正当な理由があろうとも、外交交渉という手段を飛ばし、いきなり民間人を巻き込む形での軍事攻撃は国際法上許容されていない。ただ、ここで軍人である我々が外交交渉をする立場ではないことも事実、それはそちらも同じ認識ということで理解しているがどうか?」

 

 ≪ええ、同じ認識と考えていただいてもかまいませんが、ではそちらが何を求めてこちらとの通信を繋げたのかお伺いしても?≫

 

 司令は表情を変えずに返答してくるザフトの指揮官、クルーゼに不気味なものを感じつつもそれを悟らせないように努めつつ、答える。

 

 「こちらが求めるのは、この宙域における戦闘行為の完全なる停止、戦闘の影響でコロニーから避難した住民及び戦闘宙域における生存者の救助、コロニー内での救助活動も含めそれら活動への妨害行為の禁止と、可能であれば協力を求めたい。貴官らが取得したものに関しては、当方は権限がないため一切関与しない」

 

 そこまで司令が伝えたところでそれまで口を閉じていた輸送艦マルセイユ三世の艦長が割って入る。

 

 ≪待っていただきたい、ザフト側が奪取したものは不当に取得したもののはず。それを見逃すと?≫

 

 マルセイユ三世の艦長の発言に司令は視線を艦長へ向ける。

 

 「その答えについては、先ごろ、我が軍司令部より通達が来た。読み上げよう【発・大東亜連合国防軍統合軍作戦司令部・宇宙軍総司令部連名 宛・宇宙軍航宙艦隊司令部並びに所属の各航宙艦隊司令部・大東亜連合政府はオーブ連合首長国に対し、ヘリオポリスにて発生した一連の武力衝突、及び、確認された中立条約違反、ほか、複数の戦時国際法違反に関し我が国政府、地球連合、オーブ連合首長国外交責任者間で会談、以下の事項が判明した。1・中立条約違反に抵触する事柄である交戦国と兵器の共同開発について、調査について合意した。さらにオーブ政府内組織内で政府閣僚が認知していない行動が確認されたことがオーブ連合首長国公安組織がオーブ外交責任者を通じ我が国政府へ情報共有されたことを通達する。それによりオーブ政府よりオーブ宇宙軍の一部に不穏な動きありとの情報あり、警戒されたし。2・ヘリオポリスでの事態収拾について、正式にオーブ政府より我が国に対し支援要請あり、また、必要な権限の現場責任者への委任もオーブ政府より我が国政府に救援活動中に限り治安維持に関するものを含め一時的にではあるが一任するとの合意。3・その他戦時国際法違反について、①中立領域での戦闘、②コロニーへの直接攻撃、③中立国艦艇への武力行使、これらについては後日国際法廷への提訴を行うことが決定した。また別個に我が国艦艇への攻撃に関してプラント政府に対し厳重に抗議しているところである。4・ザフト軍が取得した連合兵器について、返還を求めることについては交戦国ではない我が国政府は一切関知しない。交戦国の外交交渉にて対応することが望まれるため、関係する各員は留意せよ。その他、事態の推移、情報は逐次報告、または、司令部よりの情報共有に特に注意せよ。以上】ということで、それに関してはおたくの政府に言ってほしい。この場でそれの交渉をする権限は私にも貴方にもない」

 

 

 司令がそう伝えるとマルセイユ三世艦長は一瞬眉間に眉を寄せたが、「それなら仕方ありませんな、外交交渉は軍人の仕事ではありませんしな」と自分を納得させる。

 

 そんな会談の最中に、臨検をしていた第7空間護衛隊から急報が入る。

 

 「司令!逃走を図った大型艦の臨検をしていた第7空間護衛隊より緊急電!読み上げます!【発・第3航宙艦隊第7空間護衛隊、宛・第3航宙艦隊司令部・臨検した大型艦艇の艦名が判明、艦名は“アークエンジェル”臨検時、艦内にヘリオポリス民間人複数名を確認、保護。一部民間人がコロニー内部で地球連合士官によりMSでの戦闘行為を強要された可能性あり。また、当該民間人に対し、地球連合兵複数名が銃器を向けるなどの行為に及んだとの他の民間人より証言あり、対応の指示を乞う】」

 

 「なに?司令部へ指示を仰げ!・・・さて、これは一体どういうことか納得のいく説明をしてもらおうか!?」

 

 司令はとっさにマルセイユ三世艦長をモニター越しでにらみつける。

 

 ≪いや、私もそのようなことは把握していなかった!事実確認を願いたい!≫

 

 焦ったように答えるマルセイユ三世艦長をしばらく睨んだ後、司令は息を吐き、一旦クルーゼに視線を向ける。

 

 「クルーゼ隊長、このような事態になったが、停戦の可否はいかに?」

 

 ≪まあ、これ以上の戦闘は双方被害が出るでしょうし、受け入れましょう。まさか私の独断で中立国と戦端を開くわけにもいきませんしな。一度本国へ帰還させていただくとします≫

 

 「それであれば、こちらからは特に言う事はありません」

 

 司令部からの返答には数十分を要した。

 

 大東亜連合政府は軍司令部からの報告を受け、協議を行っていた。

 

 そのぶん返答は遅れたのだが、他国軍人による中立国民間人への戦闘の強要(と疑われる行為)同民間人の拉致(と思われた行為)同民間人への威嚇、脅迫(銃器を向けるなど)オーブ政府から権限を一時的に委任されていた大東亜連合政府は流石に看過できないと判断し、第3航宙艦隊へ以下を命令した。

 

 【大東亜連合政府国防委員会並びに国防省、統合軍司令部は事態を重要視し、第3航宙艦隊へ以下を命令する。①事態に関係すると考えられる地球連合軍人の身柄拘束、該当民間人の保護。②当該艦艇を含め宙域にて戦闘に参加した地球軍艦艇の拿捕、証拠物品としての押収。③増援艦隊到着までの間のヘリオポリス救援活動並びに宙域、コロニー内部の治安維持支援。①②に関連し、当該艦艇の逃走防止の警戒監視活動。増援艦艇、オーブ軍部隊到着後も司令部からの直接の指示がない限り双方指揮下に加え資源開発衛星シラカワ警備基地から現在急行中のシラカワ第2警備艦隊が到着するまで任務継続、到着し次第、拘束した地球軍軍人並びに艦艇を大型ドックのある宇宙要塞金平糖まで移送せよ】

 

 

斯して、これから更に戦いに巻き込まれるはずだった少年たちは保護され、やたらばるんばるんするはずだった艦長は拘束プレイ、不可能を可能におじさんは困惑しながらこれまた拘束プレイ、輸送艦と一緒に爆散予定だったおっさん艦長は泣きたくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガンダムSEEDのアラスカ戦を舞台にした短編を構想中です。内容を3パターン考えてるのですが、皆さんどれが読みたいですか?

  • 無名の中佐が部下を率いアラスカ脱出を試る
  • アラスカ守備軍の艦隊の艦長が頑張る話し
  • 守備隊兵士が基地で少女誘拐犯を追跡する話
  • どれも要らないor他の作品はよ続きかけ
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