by©︎闇寿司有識者会議
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スシブレード
by©スシブレード製作委員会
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ー*ー
ガラル地方からパルデア地方を経由しユキコシに帰るプライベートジェットの中。
パルデア沖の学園島グランデ・コンティネントからこの方戦闘を重ね、ムゲンダイナのカケラによる全世界のセーブデータ化という驚天動地に巻き込まれ、
先程まで空から見える景色にはしゃいでいたイーブイたちは、雲しか見えなくなって退屈したのかうとうとしている。ディアンシーだけが、フロックス姉妹とお茶会を楽しんでいた。
「とはいえ俺達も退屈だな。寝ておくか?」
「それもそうだよね蒼玻くん。バトルの練習もできないし、飛行機の中でまで仕事したいかというとしたくないよね。」
”「せっかく帰路ですし、旅の振り返りなどしたいですけれど…」”
姉妹もディアンシーもげんなりする。忠実にカグヤのそばで起きていたグレイシアが、ため息一つ、離れていった。…まあ、慌ただしくかつ激戦まみれの旅だったし、何もすぐその苦難を思い出すこともなかろう。
「あ、そういえばさ、1日、ポケモンたちだけで冒険してたよね?私達が別荘でムゲン団騒動の後始末をしてる間にさ。」
世界情報化も、宇宙の加速も、闇ユウリと戦っていた者たち以外は認識できていない…が、ムゲン団団員の戦闘、ムゲンダイナのオーラが世界を覆ったこと、それにムゲンタワー倒壊については隠しきれなかったので、ガラル上層部はフロックス家の後援のもと後処理に奔走させられた。
「ああ、そういえばあの日、書類の束片付けて俺達が死んだ目してたら、やたらキラキラした目で帰ってきたよな?」
”「はい…
…少しばかり、ドタバタがありまして…
…聞きたいのですか?」”
「もちろん。おもしろいことがあって、せっかくディアンシーが伝えてくれるなら、聞いておかない手はないよ!」
「まあではディアンシー、機内で退屈したわたくしの無聊、存分になぐさめてくださいますのかしら?」
”「カグヤさんとアオバさんの心に添えるよう、話してみますね。
話は、私がイーブイさん、グレイシアさんと相談して、別荘の近くの湖畔へ遊びに行った時のことになります…」”
ーそうしてディアンシーは、テレパシーで、主なきポケモンたちの1日の休日の話を始めるのだった。
ー*ー
その日は朝から快晴であった。
気持ちのいい湖畔で、12匹のポケモンたちは涼しくなり始めのどかな秋を楽しんでいた。
「きもちいいねぇ...」「ほんとですね」
ウールーがごろりころころ転がっている。グレイシアはグレイシアで腹を見せてコテンと横たわっていた。
他のカグヤのポケモン、ファイアロー、ビビヨン、ヒヲマトウハネは、そっと2匹から離れた。
「オレ夏の間ずっと
「…その『姉御』呼び、やめてもらえませんか…?私はカグヤ様のように、もっとクールでお淑やかなイメージで生きたいのですが…」
「無理だろ」「無理ね」「ハネ、むりだとおもう…」
グレイシアはがっくり首を垂らした。「わ、私の何がいけなかったのでしょう...」とブツブツぼやいている。
「…ボク思うんだけど、ボクらのカグヤさんからしてクールでもお淑やかでもないしねぇ...」
マハリハグルマだけ、我関せずとばかりに相変わらず微妙な不協和音を響かせ回っている。そんな様子を、ブロスターが水中から半身を出し眺めていた。
「…あっちはあっちで大変そうだぜ。まったくかしましいったらありゃしねえ」
「でもそういうブロスターも浮かれてる顔だよね。」
「うっ、うるさいこと言うなよクリムガン。俺は水ポケモンなんだぜ?広い湖に入るのはワクワクするに決まってんだろ。そこの
「あーなんでやろなー、ジブン、蒼玻はんが食べるもんくれるしもう獲物を探す必要はないんやけどなー...本能ってもんなんやろうなあ。」
「捕食者のサガってやつかね。俺もつい水の中のモノ追っちまうなぁ。
...だから、砲台を向けるのはやめてくれねえか?」
「ああスマンスマン、そんな気ぃなかったんやけどつい視線のほうにな。ところで誰がニタニタやって?」
イーブイは嘆息した。…ゲットされたころは暴れん坊で言うことを聞かず蒼玻ともども苦労したブロスターだが、強い割に子供らしく無邪気なクリムガンと、3億年のギャップのせいか妙に浮世離れしたオリセクトが加入した今となっては、立場が逆転してしまった感すらある。
「でもなかよくなれてよかったよ…
…ディアンシー、なじめた?」
「ありがとうございますイーブイさん。おかげさまでとてもよくしていただいています。」
ぺこり、若きダイヤの姫は綺麗におじぎした。
「ヒメ、毎日楽しんでる感じの、魂…」
イーブイとディアンシーが顔を見合わせ、テレパシーの必要もなく思いを一つにするー
ふと。
オリセクトが「なんや?」と湖面を凝視し、それから、真上を見上げた。ブロスタ―もまた、湖面に写る何者かの影を認め、右腕を掲げる。
「敵じゃないと思うが、敵なら俺が撃つ」「ほならジブンは受け止めやるわ。頼んだでブロスターはん。」
なんだかんだうまいタッグのようである。
ヒューン...
...獲物を捕らえるべく太古の世界で発達したオリセクトの目は、落下物を確認した瞬間に、受け止めるため手を伸ばすのをやめ、そして叫んだ。
「イーブイはん!
空からスシが!」
「空からスシ!?えっなにそれ!?」
チャポーン...オリセクトとブロスターが見送ったため、スシ(?)は湖面に着水し、シャリが崩れることさえなくプカリと浮かんだ。
「ほーん、3億年も経つとこんな食べ物があるんやなあ。ジブン、アオバはんに回らない寿司連れて行ってもらったことはあるけど、こんなおっきいのはじめてやわ。」
オリセクトが、30センチほどもあるスシ(?)をつまみ上げる。
「えっ、俺聞いてないんだが?スシ!?」
「ブロスター、あれはあくまでオリセクトの生態観察のために食べてもらった時だからね…?」
「私だけ同席しましたね。みなさんはカグヤさんとバーベキューなさっていたのでは?
…ところで、あれは本当にスシなのでしょうか…?」
ディアンシーに問いかけられ、傍らのシャンデラはふるふる揺れた。
「そいつ、魂ある…生きてる…」
ぎょっと、オリセクトが飛びのいた。
「…オレスシー...」
「…スシって言うとるやないかい!
...ってスシが喋るわけないやないかい!」
「わーお見事なノリツッコミだね…」
ー*-
「それで、シャリタツさん、でいいんだよね?なんで空から落っこちてきたの?」
蒼玻/アオバのポケモンとカグヤのポケモンが集まり、オリセクトの砲台甲羅の上に載ったシャリタツへ、イーブイが代表して問いかける。
「オレ...シャリタツブレードで、マケタ...」
ー*-
「「「待って待って待って」」」
ディアンシ―の回想を聞いていたフロックス姉妹は、空から降ってきたスシことシャリタツの第一声を聞いた瞬間、同時にハモった。
「シャリタツブレード...?
...いやいやいやいや」
中でも蒼玻の動揺はすさまじく、なんなら純白の髪を冷や汗で濡らしている。アオバがハンカチを取り出し、「片方の人格の汗をもう片方がぬぐう」という若干滑稽な様相を呈した。
「それってもしかしなくてもスシブレードじゃねえか!
/あ、あの、シャリタツブレード...とやらが突飛な代物なのは聞かなくてもわかりますわ。けれどその、スシブレード...というのは、何かしら...?」
「えっと、蒼玻くんの転生知識?もしかして、『ポケモンがゲームの世界』でも似たようなイベントがあったの?
でも蒼玻くんってニワカオタクって言ってたよね?...もしかして、ゲームプレイしてなくてチャンピオンユウリすら知らない人でも知ってるくらいヤバイイベントフラグとか?」
「ああいやうん、違くて...
...まったく別のコンテンツなんだよ…ほら俺、前世じゃ、ゲームとかアニメとかほとんど見ないけどTwitterとかネット百科事典に入り浸って、ネットミームとかバズワードとかオカルトとかそういうので暇つぶししてるタイプのニワカオタクだったから…」
ついでに言えば、書籍を買わないで原作ネット小説を読みつぶすタイプのオタクでもあった。だから、「SCP財団」というコンテンツのことをたまたま少しだけ知っていた。
「...その後の展開、当ててやろうか?
たぶんそのシャリタツは正道のシャリタツブレードの使い手で、邪道のシャリタツブレーダーに負けたんだ。」
「邪道のシャリタツブレーダー」
カグヤ、呆然とオウム返し。
「たぶんラーメンのシャリタツブレードとかだよ。
/ラーメンのシャリタツとはなんですの!?スシじゃないじゃありませんかしら!?」
「そしてそこから、運命に導かれたシャリタツブレーダーたちは真のスシ、真のシャリタツを追い求めて、長きにわたるスシの因縁の物語が始まるんだ...!
/巻き込まれてたまりますか!」
「真と邪でバトルするのはムゲン団ユウリで充分だよっ!」
”「シャリタツはブレーダーではなくて回されるほうですし、そもそもラーメンって何ですか!?シャリタツブレードはもっと素晴らしいものですよ!?」”
三者三様、怒涛のツッコミだった。もっともディアンシーのツッコミは若干スメシ漬けのような気もするが。
「あ、あれぇ...?/まあ所詮ニワカではその程度ですわよ。」
”「話を戻しますね」”
ー*-
シャリタツが本来生息しているのはパルデア地方、ガラルにはほとんど住んでいない...が、フロックス家が別荘を持っている高級別荘地はその唯一の例外である。
...フロックス家の別荘がある湖は、はるか昔にシャリタツとヘイラッシャが移り住み、代々暮らしていた。歴史ある高級別荘地であり一般のトレーナーは入れないため、ガラルのシャリタツ&ヘイラッシャの存在はほとんど知られていない。
そして、パルデアよりも北にあるガラルでは寒さゆえにエネルギーの消費が激しく、一方で希少種であり見くびられやすいため弱くてはいけない。このため、仲間内の争いを省エネで済ませつつも尚武の気風を保つため、決闘文化が発達したのであった。
「ゴセンゾ、カンガエタ。
ケットウすれば、アトグサレない。強さ、キタエられる。」
そういうわけだった。
「シャリタツとヘイラッシャの力をあわせてケットウ、これが、シャリタツブレード。」
「え、えっと、つまり...?」
「ヘイラッシャ、『いっちょうあがり』する。
オレたち、『こうそくスピン』する。
オレたちシャリタツ同士がぶつかって、勝った方がカチー。」
ヘイラッシャをうまくコントロールしてシャリタツを投げさせ、ヘイラッシャの威力とシャリタツの回転力で勝敗が決まる…なるほど、スシ(?)の割にはなかなかよく考えられたペア決闘であった。
「ケド、最近、新しいハバツできた。」
「派閥」
グレイシア、半目でオウム返し。
「ヘイラッシャ、要らない...闇スシの奴ら、そう言って他所のポケモン連れてきた。
オレ、ケットウで負けて、ヘイラッシャたちを奪われて、仲間も劣勢。」
ー*-
「なるほどそうですわね、よそ者と手を組んだ闇シャリタツ派閥と、伝統的なヘイラッシャ回しの派閥、その派閥抗争...というわけですわね…
あら、蒼玻くん?
/そうかそうか縄張り争いか...ってなるかボケェッ!
闇スシってまんま闇寿司じゃねーか!」
れ、歴史って収斂するもんなの?震撼する蒼玻だった。
”「…そういうわけで、私たちはシャリタツさんに加勢して、闇スシ四板前に挑んだのです。」”
ー*-
「オレは闇スシ四板前が一シャリ、アボカド寿司のベニのび!
ヘイラッシャのいないユー、デス!」
-闇スシの アボカド寿司のベニのびは デスバーンを くりだした!
「邪道イッシュロールに堕したオヌシ、スメシ漬けにシテヤル!」
-伝統派閥の ぬしシャリタツは 自ら バトルに出た!
「要するに片方が一体のタッグバトルってことですね?」「大したことないな」「そうだねぇ...」「片方を速攻で焼いてもう片方も瞬殺すればいいんだな。」
カグヤ仲間たちのコメントを聞いて、ビビヨンは「いけないわ...日常が過酷過ぎてみんな常識をなくしてる...」と憂えた。
「「3、2、1、へいらっしゃ!」」
-デスバーンの ぶんまわす!
-アボカド寿司のベニのびの こうそくスピン!
-ぬしシャリタツの こうそくスピン!
フロックス姉妹の12匹が見守る中、波を弾き、水面へ2体のシャリタツが踊り出た。
高速で回転する2体のシャリタツが、何度もぶつかっては反発する。
「ぬしはんがんばるんやー!」「俺と同じヌシだろ根性見せろ!」「僕の母さんみたいにかっこいいよ!」「シャリタツ...魂...燃やして...戦って...!」
アボカド寿司のベニのびが、ゆっくりと、回転を弱めていくのを見ながら、イーブイとディアンシーは和やかに会話した。
「イーブイさん、これ、ヌシさんが普通に勝ちますよね?」
「かりにもヘイラッシャ派の決闘のリーダーだもん。
だから蒼玻なら言うはずだよ、『絶対隠し玉がある』って。」
「アオバさんも言いそうですわね…『
-デスバーンの かなしばり!
ぬしシャリタツの回転が、ガクンと一気に減速した。こうそくスピンが続けられなくなったのだ。
「オヌシ、ヒキョウな!」
「HAHAHA、スシネタにヒキョウもラッキョウもナッシングネー!」
-デスバーンの くさむすび!
自由に回転できないぬしシャリタツの真下から、水草が迫る。
「こ、これはセコいなぁ…」「なあイーブイ、助太刀しようぜ。俺とセクトは乗る。
「ダメだよ…
ほら、グレイシアたちを見て。」
不自由ながらも必死に水草から逃げ回るぬしシャリタツから視線を外し、カグヤのポケモンたちに目を向ける...そこにいたのは、悔しそうに歯を食いしばる熟練のポケモン達だった。
「ヌシさんが私たちの力を借りたら、勝てるかもしれない。ですけれど...
...それでヘイラッシャを捨てさせたら、闇スシと同じですよ。」
押し付けがましい正義感で、ぬしを邪道シャリタツブレードに堕としてはならない...彼がヘイラッシャ以外と組むつもりがないのなら、助けを求めないのなら、一人で戦わせるべきだ...
「…じゃあなんだったらええん?」「アドバイス...なら...ヤジだし、いいんじゃないかな?」「じゃあヤジ入れてみるか!やーい闇スシの卑怯者ー!ドラゴンの誇りはないのかー!ガキ以下だぞー!」「…ブロスターって本当にヌシだったの...?」
「シュリンプポケモンの癖にナマイキなヤツネー!後でスメシ漬けにシテヤルからドントフォゲット!」
ーデスバーンの ポルターガイスト!
-アボカド寿司のベニのびの りゅうのまい!
波間が大きく揺れ、波に隠れながらアボカド寿司のベニのびがパワーを蓄える。一方でこうそくスピンの発動がかなしばりされて慣性だけでくさむすびから逃げ回るぬしシャリタツは、今にも止まりそうだった。
「こうそくスピン以外で、回転の、加速をしなくちゃ...!」
「シャンデラさんの言う通りです。
...しかし、どうやって回転を...」
「待てやディアンシー。回転をする必要はないぜ。回転を強めればいいんだから。まだ回転は止まってねえ。」
「そっか!ブロスター、ナイスだよ!何もこうそくスピンに頼らなくても、回転方向に力をかければいいんだ!」
「…オヌシら、助言、タスカル。」
-ぬしシャリタツの ハイドロポンプ!
「ユー、デス!」
-アボカド寿司のベニのびの こうそくスピン!
りゅうのまいで強化された超速回転が、ぬしシャリタツに迫る…その時、ぬしシャリタツは、ハイドロポンプによる逆噴射でぐるぐると加速し、回転を復活させていた。
超速回転するアボカド寿司のベニのびが、まだまだ回転速度の劣るぬしシャリタツに衝突する...その寸前、ぬしシャリタツを囲むハイドロポンプの回転噴射が、アボカド寿司のベニのびを張り叩く。
「ナヌ、ノォーッ!」
水のバリアに取り込まれたアボカド寿司のベニのびが、スピードを水抵抗に奪われ、ぬしシャリタツに衝突され、ハイドロポンプで打ち上げられる。
「オレ、カッタ!
邪道なんかに、マケナイ!」
デスバーンは、すごすごと逃げ出していった。
シャリタツブレードのルール
・「3、2、1、へいらっしゃ!」の掛け声とともにヘイラッシャが「いっちょうあがり」で水面へシャリタツを吐き出します(※)
・シャリタツはこうそくスピンで回転しながらお互いにアタックします。ヘイラッシャや(回転しながら狙いを定められるのなら)シャリタツが「こうそくスピン」以外のワザで決闘相手を攻撃することもできます。
・戦闘不能となるか、回転が止まるか、水面からヘイラッシャの背より高く弾き飛ばされた場合は負けとなります。
・ヘイラッシャの戦闘可否は勝敗に関係しません。観戦者への被弾は失格となります。相打ちは双方を負けと見做します。
・ルールを守り楽しく強く潔く!
※闇スシはヘイラッシャ以外のポケモンをブレーダーとします。