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最近見たテレビの話とか、買ったゲームの話をしながら家に向かいました。中学時代と同じように、ちょっとした雑談をしながら帰る生活になりそうです。沢山話せて楽しいですし、面白い話も聞けるので幸せです。まさか、高校に入っても一緒に下校できるとは思いませんでした。
十分ほど歩いたところで、琴葉姉妹の家に着きました。近くに家の多い住宅街ですし、周りの家と同じ白い壁で屋根も特徴のないのっぺりとしているので間違えそうで怖いです。わからなくなったらちゃんと表札を見ないとですね。玄関の扉を開けて、家に入ります。
「お邪魔しまーす」
「あかりの家でもあるんだから、そんなにかしこまらないで」
「せやでぇ、毎日そんなんしてたら大変やろ?」
「わ、わかりました。ただいまー!」
「…まぁ、それでいいんじゃない?」
ただいまって叫んでも返事はないです。そりゃあそうですよね、住人は私の隣りにいる2人ですから。高校から帰ってくる時は3人で一緒なので、明日も返事はないですね。でも、ただいまって叫んじゃいそうです。
家に着いた私は、玄関に置かせてもらっていた荷物を持って2階に登りました。2階には部屋が沢山あるので、その中の1つを使わせてもらいます。階段近くの2部屋は茜と葵が使ってるので、あえて1番階段から遠い部屋にしました。特に理由はないです。
部屋には小さな机があったので、取り敢えずその上に背負ってた鞄を置いときます。それで、玄関に置いておいた荷物は… まずは取り出しますか。スーツケースを開けて、ぬいぐるみはベッドに置いて、服はクローゼットにかけておきます。
教科書とノートは机にしまって、これで大丈夫ですかね? 他に持ってきている物はないですし、リビングに戻りましょうか。ちゃんと部屋の明かりを消して、扉をしっかり閉めてから階段を
2人共リビングに居なかったので、独りぼっちです。静かなリビングに響くのはカチカチと刻む時計の音だけ。照りつける日差しのせいか、平日の昼間だからなのかはわかりませんが、近くを車が走ることもなくずっと静かです。
…本当に静かです。普段からこんなに静かだったら、何か心霊の
それにしても暇です。課題もありませんし、ゲームも実家に置いてきたのでありません。2人が持ってきたゲーム機はありますけど、勝手に使って良いのかわかりませんし… 料理とか、してみましょうかね。
生まれてこの方、危ないからと料理はさせてもらえなかったのでやってみたいんですよ。家ではお母さんにだめって言われましたし、中学の調理実習でも同じ
茜も葵も引っ越したばかりで疲れてるでしょうから、私が料理を作ったら喜んでくれるでしょうね。よし、挽き肉があったのでハンバーグにしましょう。ポリ袋があれば簡単に作れるって習いました。
確か、玉ねぎを切るんですよ。まな板をしっかり洗いまして、包丁も洗って、玉ねぎも洗っときますか。それじゃあ、切っていきまーす! …ぬぅ、聞いたことはありましたが、目が痛い…
「んぅ、ぐずっ、んぇ…」
「あかり! どうしたの、何かあったの?」
「ん、大丈夫で、すぅ」
「大丈夫じゃないよね。ねぇ、どうしたの?」
「た、玉ねぎ切ってるだっ、けですから。大丈夫です」
「あかり、私がやるから下がって」
「はい…」
包丁を取り上げられてしまいました。玉ねぎの切り方、間違ってたのかな。葵、ぐって睨む感じでとても険相な顔をしてました。そんなに怒られることしちゃってたのかな…
少し後ろから、葵の料理を勉強させてもらいましょう。やって覚えるのが好きですけど、それで迷惑かけたらだめですし、座学にも自信はあります。見て学ぶのだって得意です。
…見てるだけでも、目が痛くなりますね。葵はどうして大丈夫なんだろう。気になるなぁ、聞いてみよう。
「葵、目、痛くないの?」
「少しは痛いよ」
「…凄いね、私だったら泣いちゃうな」
「まぁ、慣れてるから」
「私もいつか泣かずに切れるかな」
「私がやるからあかりは大丈夫だよ」
確かに今は葵がやってくれるので大丈夫ですけど、いつかは独り立ちするわけですし。葵みたいに、毎日料理してたら私も慣れるのかな。茜も料理が得意、だったと思うし、2人とも凄いな。こうやって親元を離れる時のために練習してたのかな。
今後も料理は続けましょう。できて損はないですから、頑張って練習します。バイトもしたいですし、勉強も頑張らないとですけど、それは葵も茜も同じでしょうからね。2人が忙しい時に私が作れないと困りますし、練習は必要です。
「料理の練習って、どうするのが良いのかな」
「あかりがしたいなら教えるけど」
「いいの? じゃあ、葵が暇な時に教えてほしいな」
「幾らでも教えるよ。危険なことはさせないけど」
危険なことをするつもりはないですから、何の問題もありませんね。見たこともないような創作料理を作る気はありませんし、ガスバーナーとかを使った料理も作る気はありません。フランベも特に興味はないので大丈夫です。
今は葵もハンバーグ作りで忙しいでしょうから、また今度教えてもらいましょう。これからどうしようかと思いましたが、ミートソースの為の調理料を持ってきましょう。塩と胡椒とトマト缶と… 後はなんだろう、醤油?
「ねぇ、ミートソースってどう作るの?」
「私に任せて。あかりはテレビでも見ながら待っててくれればいいから」
「…わかった」
仕方ありません、葵の動きでも見てましょう。冷蔵庫から何を取り出したかわかれば、私でも作れるはずです。ここで覚えて、明日の夜にでも作ったら葵もびっくりするでしょうから。よし、しっかり覚えますよ。
…背中で隠れてしまいます。ここからだと見えませんが、動いたら見てることがバレちゃうでしょうし、どうしますかね。ネットで調べて作る、だと口に合うかわかりません。びっくりさせるのは諦めて、今度素直に教えてもらいますかね?
手際よく作る葵の背中は、私からは少し遠いのかもしれません。私には、1つずつ時間をかけて順番に作っていくのが精一杯です。もしかしたら、時間かけても作れないかもですけど。週末にでも、葵に頼んで教えてもらいましょう。
チラッと振り返った葵の顔は、ニコッと微笑んでいました。けれど力強くて、私のことを見守ってくれているようでした。
ーーー
何をしてるんだ、あかりは。私が部屋で少しパソコンを操作してリビングに来たら、泣いてるから嫌な汗をかいたよ。玉ねぎで良かったけど、包丁で指に傷でもついたらどうするつもりだったの。傷跡一つない綺麗な指だっていうのに。
あかりから包丁を取り上げて私が料理を代わる。台所に置いてあるのは挽き肉と卵、ゴミを入れる用の袋も広げてあって切ってるのは玉ねぎ。なるほど、ハンバーグか。食べたいなら言ってくれれば
作りながら話してたけど、あかりは料理がしたいんだ。料理ができて損はないし多趣味なのは良い事だよ。だけど勝手にするのはやめて欲しいな。しっかりと練習してからじゃないと包丁もフライパンも持たせられないよ、あかり。
安心して、今は料理が苦手な人向けの包丁だってある。小学校の彫刻刀みたいにカバーが付いてて、間違えて指を切らないようになってる包丁とかね。指に向かって力を込めるような事をする程苦手ではないでしょ?
あかりに怪我はさせないから。これからゆっくりと、しっかりと練習していこう。楽しみだね? あかり。