PokeLive SuperStar   作:EX@ED

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まだ名もないキモチ Ⅱ

アカデミーから戻ったカノンはベッドで仰向けになっていた。

 

「最低だ、私・・・」

 

クゥクゥはカノンの過去を知らない。

事情を知らないとは言え、キツく当たった事をカノンは後悔していた。

 

「クゥ・・・」

 

「ジィ・・・」

 

相棒である二体も、主人であるカノンを心配して近寄って来る。

そんな二体をカノンは優しく抱きしめる。

 

「ありがとう、モクロー、カジッチュ・・・」

 

カノンは疲労が溜まっていたのか、そのまま眠りについてしまう。

 

 

 

〜翌日〜

 

カノンは教室の前で立ち止まっていた。

 

「(クゥクゥちゃんに昨日の事謝らないといけないけど、かなり気不味いな・・・)え〜い、いい加減覚悟決めるよ!」

 

意を決したカノンは扉を開ける。

そしてクゥクゥの席に目をやる、だがそこにはクゥクゥの姿は無かった。

 

「あれ・・・まだ来てないのかな?」

 

「あっカノンちゃん!クゥクゥちゃんがグラウンドに来るように伝えて欲しいって言ってたよ」

 

「グラウンドに?」

 

カノンはクゥクゥの待つグラウンドに向かう。

するとそこにはグラウンドの中央にあるコートにクゥクゥが立っていた。

 

「クゥクゥちゃん!」

 

「カノンさん・・・」

 

カノンはクゥクゥの近くまでやって来る。

 

「カノンさん、クゥクゥとバトルしてください」

 

「っ!?なんで・・・」

 

「クゥクゥが勝ったらカノンさんにリーグ部に入ってもらいます・・・でもカノンさんが勝ったら入らなくてもいいです」

 

「クゥクゥちゃん・・・」

 

「さあ!クゥクゥとバトルです!」

 

クゥクゥはボールを構える。

だがカノンは顔を顰めさせる。

 

「・・・悪いけど、戦う事は出来ない」

 

「っ!どうしてですか?クゥクゥとバトルするのが怖いのですか?」

 

「違うよ、別に怖い訳じゃ・・・」

 

「だったらどうしてバトルしないのです!カノンさんが何と言おうとクゥクゥは・・・」

 

「いやもうすぐHRだから」

 

「グゥの音もでないですぅ・・・」

 

二人は一旦教室に戻り、放課後に改めてバトルする事にした。

 

 

 

 

 

そして放課後になり、二人は再びグラウンドに来ていた。

 

「では改めてバトルです!」

 

「・・・」

 

カノンはモクローの入ったボールを構える。

 

「審判はいませんが始めますよ!行くですアチャモ!」

 

「チャモ!」

 

クゥクゥの投げたボールからオレンジ色のヒヨコのポケモンが出て来た。

 

「さあカノンさん!モクローを出すです!」

 

「(相性は悪いけど・・・)モクロー、行くよ!」

 

「クロ!」

 

「先手必勝です!アチャモ!ニトロチャージです!」

 

アチャモは全身に炎を纏いながらモクローに突っ込む。

 

「モクロー!フェザーダンス!」

 

「クルゥオ!」

 

「チャモ!?」

 

アチャモの周りをフェザーダンスが包み込み、アチャモは足を止めて戸惑っている。

 

「アチャモ!ひのこでフェザーダンスで焼き払ってください!」

 

「チャモ!チャアモ!」

 

アチャモのひのこがモクローのフェザーダンスを焼き払ったが・・・。

 

「このは!」

 

今度はこのはがアチャモを包む。

 

「クゥ、もう一度ひのこです!」

 

アチャモが再びひのこを繰り出す。

視界が晴れたアチャモの目の前にモクローは居なかった。

 

「どっどこに行ったです!?」

 

「モクロー!」

 

カノンが上を見上げてモクローの名を呼ぶ。

クゥクゥはそれを見てモクローの居場所を掴んだ。

 

「上です!」

 

「ブレイブバード!」

 

アチャモは上を見るがモクローの技が見事に決まった。

 

「アチャモ!?」

 

アチャモに駆け寄るクゥクゥ。

アチャモは目を回しながら倒れていた。

 

「戦闘不能、私の勝ちで良いよね?」

 

クゥクゥはその言葉を聞くとアチャモをボールに戻す。

 

「はい、約束通りリーグ部に入らなくても大丈夫です・・・他の方を勧誘する事にします」

 

「あれ?随分とあっさりなんだ・・・てっきり勝つまでバトルし続けるものかと」

 

「クゥクゥはそんなにしつこくないですよ、それに一番大事な事を知れたから充分です」

 

「大事な事?」

 

するとクゥクゥはカノンに優しい笑顔を見せた。

 

「カノンさんはポケモンバトルが大好きだと言う事です」

 

「っ!」

 

「すいません、実はアカデミーの生徒にカノンさんのガイエンスクールでの事を知っている人がいたので聞いてしまいました」

 

「・・・そっか」

 

カノンは理解した。

恐らくクゥクゥが聞いたのはあのバトルの事だと。

 

「私・・・いつかワールドチャンピオンシップスに出てね、無敗の太陽ホノカさんとバトルするのが夢だったの」

 

「はい」

 

「その為には特訓あるのみ!って意気込んでスクールで先生やクラスメイト、街では大人の人とかにいっぱい勝負して勝ってきたの」

 

「それで無敗のカノンと呼ばれる様になったんですよね?」

 

「うん、小さな結果だけど、私もホノカさんと同じ『無敗』を名乗れる事が嬉しかったの、モクローとカジッチュとなら何処までだって強くなれるって思ってた・・・だけど」

 

「・・・」

 

クゥクゥは息を呑む。

ここから先は彼女が聞いた話の最も重要な部分だからだ。

 

「そんなある日に、私のその夢を何処で聞いたのか分からないけど、あるトレーナーの女の子に声を掛けられたの」

 

 

 

〜回想〜

 

『ガイエンスクールのカノンね』

 

『そうだけど・・・貴方は?』

 

『私はフレイ、貴方に決闘を申し込むわ』

 

『決闘ってバトルの事?良いよ!丁度相手になってくれる人を探してたの!』

 

『ハッ、随分と呑気なのね』

 

『え?』

 

『私は貴方が、ホノカ様に挑むなんて愚かで呆れた夢を叩き潰す為に来たのよ』

 

『なっ!別に良いじゃん!夢を持つのは個人の自由じゃん!』

 

『それに関しては同意するわ・・・けどホノカ様はね、貴方程度のザコが戦って良いような御方じゃないの』

 

『カノンちゃんはザコじゃないもん!』

 

『そうよ!カノン先輩はこの辺りでは『無敗のカノン』って言われてるんだから!』

 

『戦ってもいないのに人を弱い者扱いするのは非常識でしょ!』

 

周りいたカノンの友人達がフレイの発言に怒りを見せる。

そんな彼女達にフレイは溜め息を吐く。

 

『だからそれを証明しに来たのよ』

 

フレイはバトルコートの端に立つ。

 

『カノンちゃん、あんな奴さっさと倒しちゃいなよ!』

 

『カノンちゃんならやれるよ!』

 

『うん、ありがとう』

 

『カノンちゃん・・・』

 

バトルコートに向かうカノンをチサトが心配した顔で見ている。

 

『行きなさい、ギャラドス』

 

『ギャァオオオオ!』

 

フレイは水色の体の竜の姿をしたポケモン、ギャラドスを出した。

 

『ギャラドスなら前に戦った事がある・・・モクロー、行くよ!』

 

『クロォ!』

 

『モクローですって・・・馬鹿にしているの?』

 

『それでは、バトルスタート!』

 

 

 

「結果は私の負け、その時フレイに才能ないって言われちゃってさ・・・それで夢を諦めたの」

 

あのバトルでカノンは無敗の名を名乗れなくなった。

それで掌を返す様な友人達は居なかったが、その優しさが逆にカノンを苦しめたのだ。

 

「周りはみんな才能あるって言うけどさ、それがプレッシャーになっちゃってさ・・・」

 

「それはそうですよ、だってカノンさんは才能の塊なんですから!」

 

「話聞いてた?負けた私に才能なんて・・・」

 

「才能は勝ち負けで決まる物ではありません、気付いてないかもしれませんが・・・バトルしている時のカノンさん、とても素敵な笑顔でしたよ?」

 

「え・・・」

 

「『勝つ』ではなく『楽しむ』、それが何より大事な才能です」

 

「っ・・・」

 

「負けて何もかも終わる訳ではありません・・・例え負けても、悔しいを乗り越えて勝った時の喜びが何よりも最高なんだとクゥクゥは思うのです!大事なのは『諦めない気持ち』なんです!」

 

カノンの中で何かが壊れて行く音がした。

それは鎖・・・カノンの心を締め付ける様に縛っていたトラウマの鎖。

 

「諦めない、気持ち・・・」

 

「クゥクゥはカノンさんのバトルが、とっても大好きになりました!なのでまたクゥクゥとバトルしてくれると嬉しいです!」

 

「クゥクゥちゃん・・・」

 

「だからカノンさん、カノンさんの夢・・・カノンさんの好きな事を、諦めないでください!」

 

「・・・」

 

クゥクゥはカノンにお辞儀してその場を去って行く。

 

(本当に良いの?私のバトルを好きって言ってくれてるのに・・・私の事をここまで励ましてくれたのに?)

 

俯いているカノンの視界にモクローの姿が映る。

モクローの強い眼差しにカノンは決意する。

その瞬間、カノンの心を縛っていた鎖は完全に砕け散った。

 

「すぅ・・・クゥクゥちゃん!」

 

「っ!」

 

カノンに名前を呼ばれてクゥクゥは振り返る。

 

「私を!リーグ部に入れてくれないかな!」

 

「っ!カノンさん・・・」

 

「やっぱり簡単に諦めきれない、これが私の夢だから!」

 

BGM:『未来予報ハレルヤ!』

 

「私はポケモンバトルが・・・ポケモンが好きだ!」

 

「クゥロォォォ!!!」

 

まるでカノンの叫びに呼応する様にモクローの体が青白い光を放ち始める。

 

「モクロー!?」

 

「こっこれは!『進化』です!モクローは進化しようとしているのです!」

 

進化。

それはポケモンが一定の条件を満たすと起きる現象であり、姿が変わるだけでなく、能力も大幅に上がるのだ。

 

「進化・・・モクローが・・・?」

 

その時、カノンの頭にモクローとの出会いが浮かんだ。

 

『カノン、お前にポケモンをやろう』

 

きっかけはカノンの父親がアローラ地方と呼ばれる場所に仕事から帰って来た時の事だ。

 

『本当!?ありがとうお父さん!』

 

カノンは喜んでモンスターボールを受け取りポケモンを出す。

ボールから出て来たのはモクローだった。

 

『現地で博士をやっている人と仲良くなってな、今日からこのモクローがお前の相棒だ』

 

『モクロー・・・私はカノン、宜しくねモクロー』

 

『クロォ!』

 

 

 

カノンの目から涙が流れる。

出会ってから共に切磋琢磨してきた相棒との思い出。

それらが今、トラウマを克服したカノンに答える為に、モクローに進化を齎したのだ。

 

「クルゥロォオオオ!!!」

 

モクローは一回り大きくなり、額に二本の緑色の前髪が増えた。

カノンはスマホに登録されている図鑑アプリを開く。

 

『フクスロー はばねポケモン くさ/ひこう タイプ』

『刃羽根と呼ばれるナイフの様な羽根を立て続けに投げて、敵の急所を確実に貫く』

 

「フクスロー・・・」

 

「フクゥス」

 

カノンはしゃがんでフクスローに目線を合わせる。

 

「フクスロー、私の夢・・・ホノカさんとバトルするって夢を、一緒に叶えてくれる?私とこれからも、一緒に戦ってくれる?」

 

フクスローは何も言わずに翼を広げる。

カノンはそれが肯定を意味している事を瞬時に理解した。

 

「ありがとう・・・フクスロー!」

 

カノンはフクスローに抱きつく。

フクスローもカノンを優しく翼で抱き締める。

 

[素晴らしい友情です!クゥクゥもう感激で目が・・・]

 

クゥクゥも二人の様子を涙を流しながら見ていた。

 

「良かったね、カノンちゃん・・・」

 

そんな二人の様子を遠くからチサトも眺めていた。

その目には薄らと涙が浮かんでいた。




今更ですが、クゥクゥの中国語は[]で日本語で表記する事にしました。
読んでいて分からない人もいるかもしれませんし、何より作者である私も分からないからです。
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