新たな異能   作:perusonazuki

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1 死と始まり

 私は死んだ。死因は心臓麻痺。

 自宅のベッドで寝ている際になぜか急に死んだ。

 そしてなぜ死んでいるのに今こうして思考できているのかといわれると、転生したからだ。

 

 転生したこと自体は別にどうでもいい、今世はなぜか女として生まれてきた。

 悲しき事に、女性であるがゆえに今のこの体に欠点があるのだ。

 

 それはつまり...

 

 

 棚の上の本が取れないのだ。

 

 

 ・・・冗談はやめておこう。

 私は今世、アルビノとして生まれ外を出歩くたびに日光で全身が痛み、日焼け止めを塗ったうえで日傘を差さないとまともに外を出歩けない。

 

 それに加えて、()()が見える。

 その()()は基本的に何もしてこないけど、偶に襲ってくる。

 私は今、中学2年生なのだが、基礎的な身体能力は小学1年生にも負けるのだ。そのためマジで死にかけたことが数回ある。

 

 あと、アルビノだからなのかはわからないが、視界がおかしい。なんといえばいいのか、視界全体に何色ともいえない謎の線が走っている。

 

 

 まあ、そんなことは置いておくとする。

 問題は家族関係だ。前世は普通の一人っ子だったのだが、なんかすごい面倒くさい。

 お父さんが白髪で名家の人らしく、お母さんは普通の一般人。なぜか私には理由を話してくれなかったけど離婚した。けど、今でも連絡を取り合ってたり偶に食事をしてるのを見るぐらいには仲がいい。

 お母さんの方に養育権があるはずなんだけど、なぜかお母さんは話しかけてくれない。なんというか、話したいけど話せないみたいなそういう感じで食事を用意してくれるだけで一切何もしてくれない。

 

 お父さんに関しても、なぜか離婚してるはずなのにちょくちょく遊びに来てゲームを一緒にやったりする。

 そして偶に腕に包帯を巻いて腕をぶら下げてる時があったり、最近じゃ右腕の手首から先がなくなってた。

 

 マジで893なのかもしれないと恐怖して来る度にびくびくしてた。

 

 まあ、そんなところで今は下校中だ。

 

「マック行こうぜ!」

「まったく、梵咲(そよざき)は本当にマック好きだよな。脂っこいものや太りそうなもんくいまくって化粧も髪型も整えない。本当に女かお前?」

「失礼だな、あと時雨(しぐれ)って呼べよ!ついでにマックじゃなくてマクドな」

「どうでもいいだろ、そんなこと。じゃ、マクド行った後はカラオケでも行くか?」

「絶対に行く!」

 

 天崎(あまさき)は今世で小学生の時からの男友達で、黒髪の美形で文武両道。目の下にほくろがある。いわゆる完璧ニンゲン。一緒にいると安心して少しドキってする。

 よく私が襲われてるときに助けてくれるけど、化け物は見えていないらしい。

 家に泊まったり、カラオケに行って歌ったり、カフェで一緒にご飯を食べたりとマジの大親友だった。

 

「ばいばーい」

「じゃあな」

 

 友達である天崎(あまさき)に別れの言葉を告げ、路地裏を歩く。

 

「楽しかったな~」

 

 そう呟き、夜の闇に包まれた路地を歩く。

 

「あれ?夜?」

 

 さっきまで明るかったようなと思い、周りを見た。

 

「暗いな...今日は天崎と一緒に変えるか」

 

 そう呟き、天崎と合流しようとして路地を引き返そうとしたその瞬間だった。

 

『うそしいおお、だなんお』

 

 目の前に化け物が現れた。

 

「え...?」

 

 言葉を発するよりも早く、馬のような口を持ち、無数の触手が猫のような胴体から生え、人間の足を持つ黒い鳥の翼が生えている化け物が羽を動かし、地面を踏み込んだ。

 瞬間、一瞬で私の目の前に迫り、その体の触手で私を包み込もうとする。

 

「...ッ!」

 

 咄嗟に地面を踏みしめ、跳躍し路地裏に飛び込んだ。化け物から逃げた瞬間、先ほどの化け物は怒り狂い触手を振り回してビルを数棟を倒壊させ、雄たけびを上げた。

 

(危なかったッ...!今までで一番早い!)

 

 すぐに化け物に目を向ける。化け物はあまり目がよくないようで、私がどこに行ったのかわからないようだ。

 

「早く天崎と…!」

 

 擦り剥いてしまったしまった膝を気にせず、走り始める。しかし、背後を振り向いた瞬間、

 

『!たけつみ』

「マジかよ...!?もう見つかった!?」

 

 先程の化け物がニヒルな笑みを浮かべながらつぶやき、背後から襲い掛かろうとしていた。

 息を吐きながら全力疾走し、路地に隠れはバレ、バレたら走りを繰り返し、体力の限界を迎えた時だった。

 コツコツという足音を路地裏に響かせながらたどり着いたそこは、先ほど天崎と別れた場所。

 

「は?」

 

 そこにあったのは、服をはぎ取られ、顔面をぐちゃぐちゃにされ、首と頭が離れていて、男性器をねじりちぎられ、足、腕を反対方向に折り曲げられている天崎だった。

 

「なん...で?

 

 体から一気に力が抜け、その場に座り込む。

 

「ドッキリとか?嘘だよね?」

 

 もう目がどこにあるのかわからないほどぐちゃぐちゃになった瞳を見つめる。私の()は、ぐちゃぐちゃな死体(これ)を天崎だと認識している。だけど、魂が、心が認められない。

 ふと、近くに散乱していた鞄に目を向けた。

 

 そこには、一部分が紅く染まったパンダのような小さい変なマスコットがついていた。

 

「こ...れ、は...」

 

 このマスコットは、私がプレゼントしたものだ。この前一緒に旅行した時に私が買ったマスコットだ。これが鞄についているということは、もう天崎が死んでいるということの証明になってしまう。

 

「ハア、ハア...ッう、うぅ」

 

 どんどんと早まっていく心臓の鼓動とどんどんと荒くなっていく呼吸に呼応するように、心の底から悲しみ、消失感がこみ上げてくる。

 

「ぐッ...んッ...うんッ

 

 どんどんと瞼から水があふれ出し、その水はとどまることなく地面を濡らしていく。

 

 ()()はぐちゃぐちゃの死体の頭を抱え、その頭をぽつぽつと濡らした。

 そして次の瞬間、

 

ハハハ...アハハアハハハハハハハハハハ!!!

 

 まるで狂ったように笑い始めた。

 少女の全身から赤い何かが吹き始める。その何かは血ではない、なにか、謎のエネルギーであった。

 その赤いエネルギーは少女が笑うたびに噴き出し、徐々に青色へと変化し空気に浸透していく。

 

「アハハ、そうだな。そうだ、そうだよ。殺そう!天崎をこんなにしたんだ!なら、首を折って、脳みそをぐちゃぐちゃにして、足をちぎって、触手もちぎって、羽を一枚一枚もいでいこう!最後は全身ぐちゃぐちゃにして、頭をつぶす!」

 

 少女はまるで無邪気な子供のようにそう言い放ち、ぐちゃぐちゃ死体の頭と血濡れたパンダのキーホルダーを持って少女は歩き始めた。

 

 

 


 

 呪霊は恐怖していた。先ほどまで一方的に追いかけていた女が、自身が辱めようとした女が、今や圧倒的なる呪力を放ち、コツコツと足音を響かせながら狂ったように笑う。

 

『いわこ、ついあだんなんな』

 

 先ほどまで追いかけられるだけだった兎が、自身を一方的に食い散らかす獅子へと姿を変え、今や自身を探しているのだ。

 しかし、その事実を呪霊は認められなかった。

 傲慢にも手足を拘束し動けなくなったところを犯そうと考え、少女の目の前に出た。それがわざわざ悪魔の手のひらに乗ることだと知らずに。

 

「いた」

 

 まるで氷のような冷たさの声色が、辺りに響く。

 

「ハハ、ハハハクアハハハハアハハ!!!

 

 狂った笑いが夜に染まった町一帯に広がった。

 

「あ~、殺す」

 

 口が引き裂けそうなほどの笑顔を浮かべていた少女は、まるで二重人格のように無表情となり、悪魔は宣言した。

 

 その瞬間、呪霊は瞬時に少女の目の前にとびかかり、触手で腕をからめとろうとした瞬間、空中で自身の動きが()()()()、否、()()()()()

 

「うごけないでしょ?当然だよね、お前の時間が遅くなってるんだもん」

 

 少女は当たり前のようにつぶやき、呪霊の下を歩く。

 

「局所的に時間が止まった空間に体の一部が入った状態で動くとどうなると思う?」

 

 少女は口が引き裂けそうな笑みを浮かべて質問した。当然、呪霊は答えない。

 

「残念だな~、答えは...空気を止めるから動いた瞬間に切り刻まれるでした~」

 

 少女は笑いながら手をたたき、拍手をする。

 

「じゃ、いっくよ~っ!」

 

 せーのっ!といい、少女が手をかざした。その瞬間、呪霊の動きが遅くなっていたのが解消されその姿勢のまま、飛んでいく。そして突如として現れた黒い空間に入った瞬間呪霊の触手が、すべて切り刻まれ、紫色の血のような何かが全身から噴き出す。

 

『ッ~~~ッ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ』

 

 呪霊は痛みに震え、地面に転がりのたうち回る。

 

 「あはは!面白イな~、そんナ大げサにしなクてもいいジャん!お前はこれ以上のことを僕の天崎にしたんダかラ」

 

 徐々に片言になっていく少女は笑いながらぐちゃぐちゃになって頭を抱きかかえ、頭をなでる。

 

「じゃア、ツぎは」

『!!!アアアァァァラオ』

 

 少女が言葉を紡いている最中に、呪霊は触手を再生させ少女の腕に巻き付けた。しかし、少女は邪魔だよとつぶやき、黒き空間を出現させ、一瞬で触手を切り離す。

 

「はネをモゴっか」

 

 悪魔は笑いながら呪霊を足蹴にし、ドンドンと羽をもいでいく。ついでに触手も引き抜き、全身から紫色の血が噴き出す。

 

『!ッ゛て゛め゛や!て゛め゛や』

 

 呪霊は泣きながら懇願する。しかし、悪魔はその言葉を理解できなかった。

 

「モットしテほシい?」

 

 悪魔は最悪の勘違いをしてしまう。呪霊の懇願もむなしく、拷問といってもいい戦闘は長引いていくのだった。

 

 足をわざわざ時間のかかる素手で引きちぎっては、再生するまでほかのところを痛めつけ、再生したらその個所を引きちぎる。そして反応が薄くなってきたらほかの場所に変えてやる。

 

「アハハ!」

 

 その様子を眺めていた目隠しをした白髪の男はつぶやいた。

 

「これが僕の姪...?」




 なんか呪術要素薄いな。

梵咲(そよざき) 時雨(しぐれ)

 白髪に紅い瞳を持っていてすごい弱い身体能力で天与呪縛になり、呪力量、出力が増えている。
 術式『刻延呪術』
 体質:太らない、刻眼
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