ドラゴンカーセッ〇スの末に生まれた少女は立派なドラゴン兼自動車になりたい!! 作:生牡蠣
※この作品はフィクションです。作中に登場する企業名、並びに商品名はあくまで架空のものであり現実のものとは関係ありませんのでご了承ください。
むかーしむかし、ファンタ・ズマという世界がありました。
その世界には人間はもちろん、エルフやドワーフ、ゴブリンにオーク、そしてドラゴン等様々な種族が生息しておりました。
様々な種族が生息している。しかし、それは共存できているというわけではありませんでした。
多様な種族がいれば、それに伴う問題が当然起こります。
縄張り争い、考え方や宗教の違い、奴隷…もとい労働力の確保など様々な事が原因で戦争が起こりました。
特に、日々増えゆく生命の増加による土地不足は由々しき問題でした。
そんな戦争が続く中、ドラゴンの王――――竜魔王はとある事を思いついたのです。
まずは別の世界を侵略してしまおう――――と
ドラゴンの王である竜魔王は、ドラゴン達の中でも最強の力を持っていました。
巨大な身体は頑丈で、どんな攻撃も通しません。
自慢の立派な角や牙は幾人もの猛者を破ってきた最強の武器です。
長年生きてきただけあって、数々の魔法の知識も豊富です。
同族、他種族共に彼こそがファンタ・ズマの中で一番強いと疑う者はいませんでしたし、彼自身も自らの在り方に誇りを持っておりました。
そんな竜魔王にも、恐れていたことがありました。
それは、自分が死んでしまった後の事です。
仮にこのまま他種族で争いを続け、ドラゴンがこの地を征服したとしても、他の種族には『恨み』が残ります。
その恨みが何世代にもわたって受け継がれていき、いつかドラゴンの一族の脅威になる事を竜魔王は恐れていました。
その為、まずは他の世界を征服してその世界の土地や資源を奪い、それらをドラゴン一族が主体となって他の種族にも分配すればいいと考えたのでした。
竜魔王は早速、空間を捻じ曲げる事のできる部下に命令し、他の世界へのゲートを開けさせました。
その世界は、ファンタ・ズマと違って人間の一族が生態系の頂点に君臨していた珍しい世界でした。
それはのちに“ゲンダイ・ノ・チキュウ”と呼ばれる世界になります。
竜魔王はその世界を見て大層驚きました。
自分たちより大きな建造物がそびえ立ち、人間よりも明らかに強い生物も飼いならしている光景は、人間の一族を弱いと見下していた竜魔王にとっては常識外れな事柄だったのです。
しかし、同時に竜魔王は歓喜しました。
人間が支配している世界ならば、そんなに苦労せずに征服できると確信したからです。
おまけに、チキュウの人間はファンタ・ズマと違って力も弱く、魔法も使いません。
竜魔王は勝利を確信しました。
竜魔王はすぐに軍団を招集し、チキュウの大都市である“トーキョー”へと攻め入りました。
竜魔王軍が攻め入った時、トーキョーは突然現れたドラゴンにパニックとなりました。
逃げ惑う人々を見ながら『軟弱な者達』だと竜魔王は思いました。
だが、これは自分の予想よりも簡単に侵略ができそうだと獰猛な笑みを浮かべました。
『さっさとこんな世界、我らの物にしてくれるわぁ!!』
そう言いながら王自ら信仰の第一歩を踏み出そうとした時、ふと竜魔王の視線はとある建物を捕えました。
その建物は、自動車を売っている“ディーラー”と呼ばれる建物でした。
竜魔王はその建物を認識した瞬間、彼の時が止まりました
片足を上げたまま下ろそうとしない竜魔王の姿に、配下の竜たちは『大丈夫ですか竜魔王様!?』と心配そうに声を上げますが、竜魔王の耳には届いていませんでした。
竜魔王は、ディーラーを…正確には、展示されていた自動車を見るのに夢中だったからです。
ピンク色のセクシーな雰囲気
可愛らしい丸茂を帯びた
ライトで照らされている様な眩しい笑顔(顔…?)
その全てが、竜魔王の視線を釘付けにしていたのです。
あの桃色の……
彼女を一目見ただけなのに、彼女の事をもっと知りたくなりました。
今まで発情期のメスドラゴンにも興味を示さなかった硬派なはずの自分だが、彼女を何とかして手に入れたいという衝動に刈られました。
子どもは弱点になるから絶対に作らないと決めていたはずなのに、彼女との子どもが欲しくてたまらなくなりました。
ここまで書けばもうお分かりでしょうが、あえて書かせていただきますと――――
竜魔王は、
そこからの竜魔王の行動はとても速いものでした。
『一目惚れしました!我……いや、僕と交尾を前提に結婚してください!!』と自動車に向かって顔を真っ赤にしながら求婚する竜魔王。自らの主の見たこともない姿に配下のドラゴンたちは呆気に取られました。
しかし、竜魔王は止まりません。偶然腰を抜かして逃げ遅れてしまったディーラーの店長を彼女の父親だと勘違いした竜魔王は『お義父さん!娘さんを僕に下さい!必ず幸せにして見せます!!』と深々と頭を下げました。
店長の『は…はいぃ……?』という戸惑いの声を結婚の許しと勘違いした竜魔王は歓喜し、ピンクの自動車――――ト
ここまでの竜魔王の動きに、着いていけている者は誰一人おりませんでした。
さて、無事ファンタ・ズマにてパッンを連れ帰った竜魔王でしたが、これで終わりではありません。
まず、妻の故郷であるチキュウを荒らしてしまった事を悔やみ、ニッポンの首脳に謝罪を入れ、それを皮切りにチキュウとドラゴン一族の同盟が正式に決まりました。
当時の首相は終始『えぇ…』と困惑しているようでしたが『まぁ謎の勢力から侵略されないだけマシか』と考えるのをやめました。
さらに竜魔王は『大切な妻を争いに関わらせたくない!』という一心でファンタ・ズマの他種族たちに争いをやめるよう頼み込みました。
もちろん、それは簡単な道ではありませんでした。
自分の持つ多くの財産を他種族に献上しました
他種族への落とし前として、自慢の角や爪を切り落とされました
血の気の多い同族からも『狂った王』と罵られ、配下も以前より少なくなりました
ファンタ・ズマの移民を受け入れてもらえるよう、自分より遥かに弱いチキュウの人間たちに何度も頭を下げました
しかし、竜魔王は苦ではありませんでした
だって、彼の隣には、最愛の
それからも様々な事が起こりましたが、何とかファンタ・ズマ全土の協定を結んだ竜魔王は、正式にパッンと結婚式を挙げました。
最初は攫うような形でパッンを無理矢理連れ帰りましたが、その頃には彼女も竜魔王の頑張る姿に惚れ込み、両者はすっかり両想いになっていました。
式場には彼らの結婚を家合う他種族、チキュウの人々で溢れかえり、2人の幸せを祝いました。
『竜魔王殿、貴方はこの者を妻として迎え、幸せにすることを誓いますか?』
『――はい、誓います』
『えー…パッン殿、貴方はこの者を夫として認め、支えていくことを誓いますか?』
『ぷっぷーー!』
『えっと…誓うって事でいいの?…"プーッ!”……あっ、いいのね。オッケー…』
チキュウから招待されたアメリカ人の神父の前で2人は永遠の愛を誓い合います。
神父様はキョロキョロと周りを見て挙動不審な様子です。きっと仲睦まじい2人が眩しすぎて直視できなかったのでしょうね。決して『えっ、これでいいの?』と不安になって周りの反応を伺ったわけではありませんし、参列客が目を合わせようとしなかったのも気のせいです。
『……よろしい。では両者、誓いの口づけを――――』
神父の(半ばヤケクソ気味な)言葉と同時に、竜魔王とパッンの唇が重なります。
その瞬間、2人の門出を祝うかのような歓声と拍手に会場が包まれました。
『おめでとう!』『おめでとう!』と2人に向けて祝いの言葉が次々に投げかけられます。
そんな光景を見て、竜魔王もパッンも胸がいっぱいでした。
本当に、この
両者は心の底からそう思いました。
それから2人は、いつまでも幸せに暮らしましたとさ
そしてその結果――――
「あたしが生まれたってわけ!!」
「おー」
「すっげー!」
「かっこいいー!」
少女の語った刺激的な物語に、周りを取り囲んでいた幼子たちが感嘆の声を上げた。
「ふっふーん、そうだろー!あたしのお父様はかっこいいだろー!!」
少女は幼子たちの声に鼻を高くする。
やはり相手が物事をよくわかっていない子どもだったとしても、自分が尊敬する父をよく言ってもらえるのは嬉しい。
嬉しさのあまり、少女は乗っていたブランコを思わず漕いでしまった程だ。
ブランコなんて何年ぶりに乗っただろう、高校生の自分が乗るのは少し気恥ずかしいが、やはり楽しいものだ。
「……でもさ~、おかしくない?」
しかし、そんな少女の話を訝しげに聞いていた子もいないわけではなかった。
「おかしいって、何がー?」
男児の疑問の声に、他の子達が一斉に注目する。
「だって、今の話が本当だったらお姉さんはドラゴンと車の子どもでしょ?」
「――――お姉さん、見た目完全に人じゃん!!」
男児の言葉に、周りの子ども達も“ハッ”とする。
お姉さんは自分をドラゴンと車の子だと話を聞かせてくれた。
しかし、自分たちの目の前にいる存在は
人に近い。そう表現したのは、完全に人とも言い切れない姿だったからだ。
シルエットは完全に人間のもので、年齢は16~18歳くらいだろうか?
しかし、彼女は普通の人間ではありえない身体的特徴も確かに持っていた。
肌は人間の色とは程遠いくらいに硬く、銀色に輝くそれはまさに金属である
赤い髪の毛から覗く2本の角は天に向かって立派に伸びていた
背中から生えた竜の翼には所々にネジやナットが生えており、どこか機械的
肘やかかとには小さいタイヤが付いており、今にも走り出しそうだ
顔の造りは人間のものなのに、その瞳はガラスのように艶やかでまるでロボット。口から覗く鋭い犬歯は、獰猛なドラゴンを彷彿とさせた
本人の言う通り、彼女は人外なのだろう。
しかし、ドラゴンと車のハーフと自称するには、人間に近すぎるとも感じられた。
ちなみにそんな彼女の見た目を珍しく思った児童たちが、彼女に話しかけて冒頭の話をしたため、今のこの状況が出来ているのであった。
「確かに…」
「ドラゴンと車はわかるけど……なんで人?」
「お姉さん、嘘ついたの?」
男児の言葉を皮切りに、他の児童たちも戸惑ったように少女に問いかける。
「嘘じゃないよぉ!あたしのお父様が人間の見た目になれるタイプの竜だったから、それも受け継いだんだよぉ!本当のあたしは、かっこいいドラゴン兼車なんだから!!」
少女は自分の言っていることは嘘ではないと児童たちに言ったが、それでも児童たちの目は半信半疑であった。
「じゃあさぁ……見せてよ。ドラゴンになるところ」
最初に疑いの声を上げた男児が薄笑いを浮かべながら少女に行った。
男児は、目の前の少女は口から出まかせを言っていると思い込み『どうせ出来るわけがない』と高を括っていたのであった。
そう、どうせこのお姉さんはホラ吹きのかまってちゃんだ。こんな人間サイズのただの人……人?……ただの変な人が大きなドラゴンや車になれるわけが――――
「よ~~し!特別に見せてあげる!!」
しかし、男児の考えとは裏腹に少女は意気揚々とブランコから降り、児童たちから距離を取った。
やがて公園内の広い場所で少女は足を止めると――――
「いっくよー!へ~~んしん!!」
そう叫んだ瞬間、少女の身体に異変が起こった。
“ガゴガゴ!”と機械的な変形恩が鳴り響き、児童たちの目の前で少女の身体が変形していく。
人体的なパーツが収納されたかと思うと、身体から竜を思わせるパーツが出て来て少女の身体を再構成する。
その部品の量はとても多く、それに合わせて少女の身体も見る見るうちに大きくなっていく。
その光景を見ていた児童たちは、あまりの光景に“ボーッ”と見ていることしかできなかった。
やがて少女の変形が終わり、児童たちの目の前には少女とは別の姿をしたものが現れた。
自分たちの家よりも遥かに大きい巨体
マゼンタ色の金属で覆われたボディ
機械で出来た羽は、はばたくたびに金属が軋みような音が鳴っている
蜥蜴の様な見た目だが、身体のいたる所にサイドミラー等の車の特徴が垣間見えていた
そう、児童たちの目の前に、機械的なドラゴンが出現したのだ!
「どーだ!あたし様のドラゴン形態だぞー!」
ドラゴンは児童たちに向かって“フンスッ!”と自慢げに声を掛ける。
その声は、大きく厳ついドラゴンの物とは程遠い可愛らしい少女のような優しい声であった。
「う、うわー!」
「お姉ちゃんがドラゴンになったー!!」
「ふははッ!すごいぞー!かっこいいぞー!」
児童たちは、ドラゴンに変形した少女を見て興奮のボルテージが最高潮に達したように騒ぎ出す。
テレビの中のヒーロー、ヒロインの様な変形を見せてくれた少女の事を、もう児童たちは疑ってはいなかった。
「お姉さん、本当にドラゴンだったねー!」
「うっ……うん」
目の前で変形した少女を見て、最初に疑いの目を見けた男児も素直に頷くしかなかった。
……しかし、まだだ。まだ自分は負けていない(この男児は何と戦っているんだ?)
このドラゴン少女は言った。ドラゴンと車のハーフだと。
つまり、この少女は車にも変形できなければおかしいのだ。
人間からドラゴンに変形するには相当複雑な体の造りをしているはずだ。
そんな変形を搭載しているのなら、車になるギミックまでは流石にないだろうと男児は考えた。
ロボットアニメ好きの父と兄を持つ自分はロボには詳しいのだ。この説は正しいはずだ!
そう考えながら、また少女……いや、ドラゴンにその事を指摘しようとした時であった。
「あー!もうこんな時間!?待ち合わせに遅れちゃうぅ!!」
ドラゴンが、公園に設置されていた時計を見ながらそう叫んだのであった。
どうやら、この公園には待ち合わせ時間の調整の為時間つぶしに立ち寄ったらしい。
「ごめんねみんな、あたしもう行かなきゃ!話が出来て楽しかったよー!」
ドラゴンはそう児童たちに声を掛けると、道路に向かって走り出し――――
「へ~~んしん!!車モードッ!!」
そう叫びながらジャンプした。
その瞬間、空中でドラゴンの身体が再び変形を始める。
大きな手足は収納され、代わりにタイヤが“にょきにょき”と生えてくる
立派な角も小さくなり、ワイパーに早変わり
身体の中から現れたガラス窓の中からは、シートやハンドルなどが内部で生成されていくのが見える
翼はドアを形成し、羽ばたくように開閉して変形が上手くいったか確かめている様子だ
瞳のパーツはライトとなり、瞬きをするように点滅する
ドラゴンの身体が道路に着地する時には、そこにはドラゴンの姿はなく、代わりにマゼンタ色のかっこいい自動車――――トモタ製の
「今度は車になったー!?」
「魔法みたーい!!」
「車はアメリカで生まれました。日本の物じゃありません。我が国の……」
またも変形した少女に沸き立つ児童たち。
変形、ロボ、ドラゴン、車……子どもさん大好きセットを目の前で見せられたのだ。興奮するなと言う方が無理だろう。
「じゃあ、あたしもう行くねー!ばいば~~~い♪」
そう車から少女の声がすると“ぎぃいいいぃぃぃ~~~ん!”とエンジンを吹かす音が鳴り響き、そのまま車は走り去っていった。
「……ドラゴンの羽あるなら飛んでいけばいいじゃん」
車の後ろ姿を見てはしゃぐ児童たちの中で、ただ一人呆然と立っていた男児はポツリと呟いた。
チキュウとファンタ・ズマ世界が同盟を結んでから数十年。
2つの世界の関係は良好で、比較的平和な世界と言える。
中でも、チキュウの技術や作られたものは、ファンタ・ズマの種族にとって革新的なものであり、すぐにそれらの虜になった。
今では、その技術を学ぶためファンタ・ズマからチキュウに学生や労働者を留学・実習と言う形で送り出すことも盛んである。
この物語は
かつてドラゴンの王と呼ばれた竜魔王
当時その可愛さや性能の高さでヒット商品となった自動車
その両者のドラゴンカーセックスの果てに生まれたドラゴンカー少女
アイリス・
―――日本名:竜華
彼女が立派なドラゴン兼自動車になるために奮闘する物語
なのかもしれない……
書いてて楽しかったんだけど、脳がバグった
最初の1000文字くらいは書いてて脳が理解を拒んでいるのがわかった
マジであの性癖最初に考えた人やべぇよ……数年後教科書に載っててもおかしくないと思うね!(錯乱)
続くかはいつも通り気分次第
というか私以外に需要あんのかこれ…
ここまでご拝読ありがとうございました