めっっっっっちゃ怪しいカードの精霊が契約契約って騒がしい 作:「めっ契」製作委員会
「俺の先攻ォ!」
●鬼原 LP:4000
●遊介 LP:4000
「俺は手札から『魔界発現世行きデスガイド』を召喚」
鬼原が手札を
「! これは……!」
「
鬼原が召喚したデスガイドの姿を見て周囲の不良たちが歓声を上げる。デスガイドはそんな不良達の歓声に答えるようにポーズをキメて見せるが、その姿を見て遊介だけは一人深刻な顔をする。
「ユースケ」
「……うん」
目の前のデスガイドが実体化している。
あの時と同じだ。晶と戦った時と同じように、この
「ってことはまさか」
「恐らく彼も例のカードを所持している。これは一筋縄では済まないぞ……!」
そう話す遊介を前に、その深刻そうな表情を意味を知らない鬼原は不敵に笑う。
「こいつが案内する先は“
瞬間、不意にその場に爆音が響く。まるで近くにいきなり暴走族が乱入してきたかのような、けたたましいエンジンの音、そしてそれに混ざって何故か聞こえてくる獣の息づく声と、鞭が空を打つ音──
「『
音の中から突然現れた影。それは単車のように改造された巨大なコブラ、そしてそれに跨った──小鬼?
「……何やらかわいいモンスターが出てきたなユースケ」
「え? あ……うん」
「ハハッ、余裕だな。いつまで
「!」
鬼原の号令に合わせ、いつの間にか公園に現れていた単車たちがエンジン音で旋律を奏で始める。
「“
エクシーズ召喚特有の破裂するような眩い光がその場を満たす。同時に光の中から先ほどの小鬼よりも大ぶりな、獣に跨った荒々しい小鬼が爆音と共に姿を現す。
「いきなりエースか!」
「ランク3……エクシーズデッキ……!」
「『巨魁ガボンガ』はエクシーズ召喚成功時に山札から『ゴブリン』モンスターを手札に加える。俺は『
再び爆音。鬼原の背後からまるでそのまま遊介に突っ込まん程の勢いで新手の小鬼が現れる。
「まだまだ止まらねぇ、『特攻ダグ』は召喚、特殊召喚した時に山札から『ゴブリンライダー』魔法、罠カードを手札に加える。俺が手札に加えるのは『
瞬間、鬼原の背後から強い光が差し、鬼と小鬼達を照らす。遊介は何度目かの強い光に目を細めた。
「コイツの効果は山札からさらに『ゴブリン』モンスターを手札に加える! 次に来ンのは……『
鬼原と小鬼達が背後に道を譲る。そこには、やはり爆音を奏でる小鬼が腕を組み仁王立ちで立っていた。
「さらに『大参上』は場のX素材を一つ取り除いてそのモンスターを特殊召喚できる。ガボンガァ!」
ガボンガが周囲に漂う光球を拳で叩き割る。それを見たクラッタはどこからか飛来した巨鳥に飛び乗り、ガボンガやダグの隣に並び立った。
「更に『爆音クラッタ』の効果!」
「まだ止まらないのか!?」
幻惑の魔術師が素っ頓狂な声を上げる。
「エクシーズ召喚を駆使する割にかなりの展開力がありそうだ……まさに
「うるさいよ」
「『爆音クラッタ』は場に出たとき
ミアンダが帰還し、場に四体の小鬼達が並んだ。一様に腕を組み、威圧的に胸を張っている。
「そろそろしまいだ。俺は『冷血ミアンダ』『特攻ダグ』『爆音クラッタ』でオーバーレイ!」
「!」
「三体エクシーズ! 大型が来るぞ!」
「“遠からん奴ァ目にも見ろ、近くばもっと近くで見やがれ! アイツが今からやってくる!” エクシーズ召喚! 『百鬼羅刹 グリアーレ三傑』!」
天に開いたオーバーレイ・ネットワークから再び爆発の如き光。三体の小鬼達が飛び込んだ先にから光が放射状に伸びていき、その姿が露わになっていく。
「これが……! 彼のもう一体のエース!」
光は巨大な亀の形を取り、その上に三体の小鬼達が降り立つ。そのまま小鬼達は亀に取り付けられたエンジンを噴かし、各々が手に持った傍や団扇を振り上げ、その存在を主張した。
「彼の……」
亀もまた穏やかな顔つきながらしっかりとした足取りで地に降り、最前線──ガボンガの隣へきっと視線を向ける。
「か……」
甲羅上の小鬼、ガボンガ、
「……遅ッ!」
この時点でまだ三傑は鬼原の隣にいてガボンガの隣を目指していた。
「なんというか……のんびりしたエースだな」
「召喚条件はレベル3モンスター2体以上か……何をしてくるんだろう」
気が抜けた様子の幻惑の魔術師の隣で遊介はあくまで真剣な表情でやっと前線に到着した亀を見やる。そのさらに向こうで、鬼原は余裕そうに笑う。
「さて……俺はこのまま手札を二枚伏せる。そのままエンドフェイズ。『巨魁ガボンガ』の効果で山札からガボンガにX素材を追加するぜ。
●鬼原 LP:4000
場:『百鬼羅刹 巨魁ガボンガ(X1)』『百鬼羅刹 グリアーレ三傑(X3)』
手札:2 伏せ:2
●遊介 LP:4000
手札:5
「私のターン」
遊介にターンが回る。既に周囲の爆音のせいで耳鳴りがし始め、軽い眩暈を感じた。
「私は手札から、『ミラー ソードナイト』を召喚。そのまま効果を発動します」
遊介のターンにになると、先ほどまで鬼原の一挙手一投足に歓声を上げていた不良達のブーイングが始まる。怒号と野次、小鬼達の嘲笑と奇声の中で、鬼原はいつの間にか置かれていた椅子に腰かけこちらを挑発的に見つめている。
「『ミラー ソードナイト』をリリースし……デッキから『大翼のバフォメット』を特殊召喚!」
──やりづらいな──。
役に入り切っている時の遊介はエンターテイナーだ。その好物は歓声と笑い声。野次や怒号の中に立たされれば、遊介が自らにかけた
「『大翼のバフォメット』の効果……このカードが場に出たことで、『幻爪の王ガゼル』と『
エンジンの音や野次、怒号によってもはやただの騒音になっている周囲の音に紛れながらも、確かに効果を宣言する。それにあわせ、二体のモンスターが溶け合い、一つの影に成っていく。
「“交わる二対の獣王よ、その影を重ね合わせ、幻獣となりて新たなる姿を顕せ”! 融合召喚! 『幻獣王キマイラ』!」
「うおっ!
「なんだよ、ナヨナヨしてる割に結構
突然キマイラが降臨すると、何人かの不良が驚いたように声を上げる。その興奮した姿を見て幻惑の魔術師が顎に手を当てた。
「ふむ……巨大な魔獣というのはヤンキーのセンス的には感じ入るものがあるのだろうか」
「……『幻獣王キマイラ』の効果発動! このターンのエンドフェイズ時、あなたの手札を一枚──」
「罠発動! 『
鬼原の激。瞬間、周囲を満たしていた騒音にいきなり秩序が戻り、爆音に姿をかえた。
「こいつは場のX素材を一つ取り除き、対象のモンスターの効果をターン終了時まで
「!」
鬼原が号令を飛ばすと、亀の上に立つ団扇を持つ小鬼が光球を一つ叩き割る。そうして生じた破片がキマイラに飛来し、今まさに翼から放たれようとしていた閃電が雲散してしまう。
「く……!」
このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
①:自分・相手のメインフェイズに発動できる。自分フィールドの「ゴブリン」モンスターのみを素材としてX召喚を行う。
②:自分フィールドに「ゴブリン」Xモンスターが存在する場合、フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。フィールドのX素材を1つ取り除き、対象のモンスターの効果をターン終了時まで無効にする。
「なら……融合素材となった『幻爪の王ガゼル』の効果! 私はデッキから『
「お? おおお? もう出番かユースケ! 任せろ私が一つ決めて──」
「続いて手札から『融合』発動! 『幻惑の魔術師』と場の『幻獣王キマイラ』で融合召喚!」
「ユースケ!?」
幻惑の魔術師が大げさに驚いて見せるが、珍妙なポーズのまま影に溶けていく。
「──“魔王の威光、今ここに炸裂す! 悪鬼魔獣の天に座す魔剣の煌めきを魅るがいい!”」
キマイラと幻惑の魔術師が互いに引き寄せられるように地を這っていく。一つに固まった両者はまるで質量をもった泥のようにうねり、立ち上がり、その形を作り上げる。
「融合召喚! 『幻獣魔王バフォメット』!」
影の内から魔王がのそりと現れる。獣の体を持ちながら二本の脚で力強く立ち、肩から伸びた四本の腕に魔剣を四振りも携えた、山羊頭の魔王がその場に姿を現した。
「ほぉう……お前も中々……
「“鬼”には“魔王”を。充分な役回りでしょう? 『バフォメット』の効果を発動! 私はデッキから『大陰陽師 タオ』を墓地へ! そしてそのまま効果を発動します!」
遊介の
「『大陰陽師 タオ』は墓地へ送られた時、墓地の幻想魔族を特殊召喚します! 私が呼び出すのは──このモンスター!」
遊介が墓地から一枚のカードを引き出す。同時に、遊介の輪郭から別れ出るように、金色の魔術師が姿を現す。
「全くじらしてくれるじゃないか。いくぞ相棒!」
「“契約は果たされた。その契約に依りて、幻惑の微睡から姿を顕せ”!」
「『
「『
高笑いと共に、幻惑の魔術師が場に降り立つ。先ほどいきなり融合素材にされた時は驚いたが、これが遊介の狙いだったのだと気づくと、振り返って遊介に向けて親指を立てた。
「やれやれ……急に扱いが雑になったのかと驚いたぞ! さぁここから──」
「墓地の『爆音クラッタ』の効果発動!」
鬼原の宣言。鋭く飛んだ言葉に遊介と幻惑の魔術師は鬼原に視線が飛ぶ。
「コイツは
「何……?」
「そして……X素材が取り除かれたことで『巨魁ガボンガ』の効果も発動」
「!」
「場のモンスターを対象に、ソイツをX素材にする。対象は『幻惑の魔術師』だ!」
その瞬間、鬼原の背後からクラッタが飛び出し、再び飛来した巨鳥に飛び乗った。同時に、ガボンガが幻惑の魔術師に掴みかかり、見えない力で幻惑の魔術師を光球に圧縮してしまう。
「うおおおおおおおおお!? せっかく出たのにこんなのってありかね!? ユースケエエエェェ!」
「いつの間にクラッタが墓地に……?」
遊介は驚愕の表情を浮かべる。いつの間にか墓地に送られていたクラッタが場に飛び出し、幻惑の魔術師をあっさり処理されてしまった。いつクラッタを──
「! さっきの『グリアーレ三傑』の効果!」
「そうだ。あの時X素材として
レベル3モンスター×2
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがX召喚した場合に発動できる。デッキから「ゴブリン」モンスター1体を手札に加える。
②:フィールドのX素材が取り除かれた場合、フィールドの他の表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをこのカードのX素材とする。
③:自分・相手のエンドフェイズに発動できる。デッキから「ゴブリン」モンスター1体をこのカードのX素材とする。
幻惑の魔術師が完全に光球に変えられてしまうと、周囲の不良たちが湧き上がる。
「く……ならバトルです! 『バフォメット』で『巨魁ガボンガ』に攻撃!」
「『グリアーレ三傑』の効果発動」
「!」
「X素材を一つ取り除き……その攻撃を止める」
三傑が二つ目の光球を叩き割ると、今まさにガボンガに振り下ろされようとしていたバフォメットの魔剣が止まってしまう。
「う……!」
いけない。冷静さが失われてきている。
ここまで『グリアーレ三傑』と『巨魁ガボンガ』にいいように捌かれてしまっている。鬼原のデッキは見た目以上に堅実なようだ。爆音と番長仕草で集中が乱されてしまう。
バフォメットが剣を引き、構え直すまでの数秒で遊介は自己分析を終える。深呼吸を一つつき、次は状況の整理を始めた。
今墓地に送られたのは──『冷血ミアンダ』。『爆音クラッタ』と同じことができる。ということは、次のターンにも『巨魁ガボンガ』の効果を使われかねない。状況的に、次のターン決めに来るつもりだろうか。
なら──。
「メインフェイズ2へ。私は手札から、三枚のカードを伏せ……ターンエンドです」
「フン」
●鬼原 LP:4000
場:『百鬼羅刹 巨魁ガボンガ(X2)』『百鬼羅刹 グリアーレ三傑(X1)』『百鬼羅刹 爆音クラッタ』/『百鬼羅刹大暴走』(永続罠)
手札:2 伏せ:1
●遊介 LP:4000
場:『幻獣魔王バフォメット』
手札:1 伏せ:3
「俺のターン」
鬼原がカードを引く。
「終わらせる。
「またいつの間にか墓地に!」
いつだ──、と記憶を辿る。『神速ブーン』が墓地に送られた時──手札ではない、もちろん場でもない。となるとX素材。ガボンガか三傑──この二体のX素材が取り除かれたのは──
「! さっきの……『クラッタ』を墓地から蘇生した時!」
「
「
不良たちの歓声に応えるように、ガボンガが飛び出してバフォメットに飛び掛かる。
「墓地の『ミラー ソードナイト』の効果を発動! このカードを除外し、場の『
瞬間、バフォメットの影から『ミラー ソードナイト』が現れ、大振りに剣を振る。それを見たガボンガは小さく舌打ちをすると、大人しく引き下がった。
「ケッ、それならこっちも
ガボンガが頭上に漂う光球を叩き割る。砕け散った光は世闇の中に煌めき、一瞬ながら幻想的な風景を生み出す。その光に遊介は思わず気を取られ、自然と視線が空に向く。その先には星が煌めいており、そこから──
「うおおおおおお!?」
「うわっ!」
幻惑の魔術師が降ってきた。
「お……おおユースケ! ひどい目に遭ったぞ!」
「……重い……重い……」
「全く私をX素材として墓地に叩き込むとは! 君といい彼奴といい、なんだか今回私の扱い雑じゃないかね!?」
「ごめ……悪かったから……どいて……」
「更に永続魔法、『
「!」
鬼原の宣言に遊介と幻惑の魔術師が顔を上げる。その瞬間、二人の視界に飛び込んできたのは鬼原の背後から無数の小鬼たちがまるで湧き出るようにこちらに走ってくる様子だった。
「うわーーーーーーーーーーーっ!?」
「何だコイツら!?」
小鬼達はその場を囲う不良たちと同じように、遊介と鬼原を取り囲み、整然と整列した。なんとか遊介が立ち上がると、視界の先には整列したゴブリン達と、その前に整然と並ぶ
「『
「!」
このカード名の③の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドの「ゴブリン」モンスターの攻撃力は、自分フィールドの「ゴブリン」モンスターの数×300アップする。
②:自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「ゴブリン」モンスター1体を召喚できる。
③:自分フィールドの「ゴブリン」モンスター2体を対象とし、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●その内1体のレベルを、もう1体のレベルと同じにする。
●その2体のレベルは、それぞれの元々のレベルを合計したレベルになる。
「さらに『大集会』のもう一つの効果! 『神速ブーン』と『冷血ミアンダ』のレベルを6にする!」
「レベル6のモンスターが二体……」
「来るぞユースケ!」
「レベル6の二体でオーバーレイ! “さァ
三度目のエクシーズ召喚。空気が揺れ、地面が揺れ、今度のエクシーズは何か違う。
瞬間、地面に一瞬でひびが入った。この下から──大型が!
「大物だ……!」
「エクシーズ召喚! ランク6! 『
地面が砕ける。その下から、ここまで相手にしてきたゴブリン達とは比べ物にならない巨体が飛び出した。質量を持った
「ううぅっ……!」
「大きいな……! 間違いない、これが本当の
「く……なら、こちらも墓地の『幻獣王キマイラ』の効果を発動! このカードを除外し、墓地の『大陰陽師 タオ』を守備表示で特殊召喚!」
宣言と同時に、地面が歪み、敵の怪物と同じようにタオがそこから現れる。
「だからどーしたってんだ! 『
『大饕獣』の周囲を漂う光球がその体躯に溶け込んでいく。すると怪物は大口を開け、遊介の場に伏せられていたカードを飲み込まんと大きく息を吸い込み始めた。
「持っていかれるくらいなら……リバース……オープン! 『幻惑の眼』!」
遊介が叫ぶと、突然大饕獣の眼前にタオが現れた。
「あぁ……?」
タオは大饕獣の周囲を妖しく飛び周り、その集中を散らしていく。大饕獣はそれに気を取られたのか、途端に吸い込むのをやめてタオを振り払おうと暴れ始める。
「おいなにしてやがる!」
「『幻惑の眼』は場に幻想魔族モンスターがいる時、相手モンスター一体を対象に発動できます……その眼に見入られたモンスターは、幻惑の中に閉じ込められ、自らの意思を眠らせる」
怪物は自らの周囲を漂う邪魔な影を振り払おうと暴れるが、気づけば目を回し、ふらふらとよろめくように遊介の下へ歩み出る。
「……よしよし……いい子ですね。このターン、『大饕獣』は夢の世界に囚われます」
「ケッ、
「幻想魔族は幻惑の種族。その眼の放つ魔力からは誰であろうと逃れられませんよ」
「上手いぞユースケ!」
『大饕獣』が振り向き、鬼原と向かい合う。遊介が口に手を当て気取って見せると、怪物は本来の主人に向けて吠えたてた。
「さて。『大陰陽師 タオ』は戦闘破壊されない効果を持ちます。これでも私を“終わらせ”られますか?」
「しゃらくせェ! 罠発動! 『
「!」
鬼原の気迫は留まることを知らない。遊介の挑発をまるで意に介さず、罠カードの発動を宣言する。同時に、盤面に並んだゴブリン達を照らす月明りを遮り、何かの影が現れた。
空中に現れた巨大な影を、遊介は無意識に見上げる。そこいたのは──亀──?
「コイツは場のXモンスターに重ねてX召喚できる。さぁ……もう一度X召喚だ! 『グリアーレ三傑』!」
その瞬間、宙に浮いていた亀は重力に引かれ、『グリアーレ三傑』の頭上に降り立ち踏みつぶしてしまう。ぎゅう、と断末魔を上げた亀から三傑がひょこひょこ飛び出し、新たに現れたもう一体の亀によじ登ると、さきほどまでと同じように騒ぎ立て始める。
「重ねて……エクシーズ……?」
「何が狙いだ……!? 『グリアーレ三傑』を再召喚した形になるだけだぞ!」
「教えてやるよ。『グリアーレ三傑』には三傑それぞれに対応した三つの効果がある。一つ目は相手モンスターの表示形式を変更する効果、二つ目は相手の攻撃を無効にする効果」
「三つ目は」
「……場にX素材が三つ以上あれば、相手に直接攻撃ができる効果だ!」
レベル3モンスター×2体以上
①:フィールドのX素材が3つ以上の場合、自分の「ゴブリン」モンスターは直接攻撃できる。
②:1ターンに1度、このカードがモンスターゾーンに存在する状態で、モンスターが召喚・特殊召喚された場合、その内の1体を対象として発動できる。フィールドのX素材を1つ取り除き、対象のモンスターの表示形式を変更する。
③:1ターンに1度、相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。フィールドのX素材を1つ取り除き、その攻撃を無効にする。
「しまった……! それが狙いか……!」
「遅ェ! 俺は手札から二体目の『神速ブーン』を召喚し、バトルフェイズに突入だ!」
もう一体の『神速ブーン』が飛来すると同時に、ゴブリン達が臨戦態勢を取る。
「まずは今呼んだ『神速ブーン』からだ! 三傑の効果で直接攻撃! かましてやれッ!」
「まずいぞユースケ! これを全部通されたら……!」
「わかってる! あれを使うよ、準備して!」
「!」
「罠発動! 『幻惑のバリア -ミラージュフォース-』!」
遊介が叫ぶと、今まさに敵に突っ込まんとする『神速ブーン』の眼前に突如として幻惑の魔術師が現れる。そして両者の衝突の瞬間、その間に見えない壁が生み出され、ブーンは自らの力に押し返され後方へ勢いよく弾き飛ばされてしまう。
「『ミラージュフォース』は墓地から幻想魔族を特殊召喚し、攻撃したモンスターを手札に戻します。私は墓地から『幻惑の魔術師』をフィールドへ!」
「嬉しいぞユースケ……そんなに私頼りにしてくれるのだな……! さぁ! 我が主に用があるならまずは私を通してもらおうかッ!」
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。自分の手札・墓地から幻想魔族モンスター1体を特殊召喚し、その攻撃モンスターを手札に戻す。
②:このカードが墓地に存在する状態で、自分フィールドの表側表示の幻想魔族モンスターが相手の効果でフィールドから離れた場合、このカードを除外して発動できる。自分の手札・墓地から幻想魔族モンスター1体を特殊召喚する。
「だがまだ直接攻撃はできるぜぇ!」
次に飛び出してきたのは『爆音クラッタ』。ゴブリン達に向かって仁王立ちをする幻惑の魔術師を軽々と跳び越え、遊介に迫る。
「く……ユースケ!」
「この攻撃は……受けます。ですが同時に『幻惑の魔術師』の効果発動! モンスターの攻撃する時、場のカードを破壊します。対象は……『グリアーレ三傑』!」
「ハッ! まだ
鬼原の宣言。すると遊介の場にいた『大饕獣』の周囲に漂う光球がひとりでに砕け散る。そちらに遊介が気を取られた刹那、鬼原の場に伏せられた罠カードから鎖が飛び出した。
「俺はお前の場にいる『大饕獣』のX素材を取り除いて効果を発動! 対象は『幻惑の魔術師』だ! これで『三傑』の破壊は無効だァ!」
鎖は獰猛な蛇のようにうねりながら、幻惑の魔術師に高速で飛来する。今まさに腕を振り上げ、魔術を行使しようとする男を食い殺さんとする勢いで迫り──
「……勿論、覚えていますとも」
その瞬間、幻惑の魔術師が煙となって消えた。
「!?」
「私はさらにそこへ手札の『タロンズ・オブ・シュリーレン』の効果を発動! 『幻惑の魔術師』を手札に戻し、『シュリーレン』を場へ!」
幻惑の魔術師が変じた煙から溶け落ちるように両鎌の魔人が現れる。それを見ても鎖は勢いを緩めることなく一直線に目標へ向かって飛び込んでいく。
「あ? だから何だって──」
「『大暴走』の効果が及ぶのは場のモンスター!
その瞬間、鎖の頭が煙を貫き雲散させた。
「!」
「さぁ効果処理! まずはこちらから!」
遊介の背後から煙となって消えたはずの幻惑の魔術師がゆらりと現れる。そして『グリアーレ三傑』へ向けて指を鳴らすと、巨大な亀を中心に連鎖爆発が起こり、亀は膝をつく。瞬間、特大の爆発が起こり、三傑はその中へ消えた。
が、その煙の中からけたたましい音と共に怪鳥、それに乗った『クラッタ』が飛び出し、遊介に迫る──!
「うっ……ぐううううぅぅッ!」
「ち……」
「う……く、うう……こ、れで……直接攻撃は封じましたよ……!」
「なら……なら直接
「迎え討て! バフォメット!」
とっさに遊介が叫ぶ。それに応じて『バフォメット』が迫りくる『ガボンガ』に応戦した。四本の魔剣を振り、暴走する敵を捉えようとするが、あえなく踏みつぶされてしまう。
「う……ぐっ!」
「ケッ、無駄な抵抗を……攻撃はここまでだ。エンドフェイズ時、ガボンガの効果でデッキからX素材を補充するぜ……」
「なら……『大饕獣』も夢から醒める時間でしょう。あなたの場へ戻ります」
「フン、
なんとかかわした──次で反撃に移れなければまずい。
遊介の頬を汗が伝った。
●鬼原 LP:4000
場:『百鬼羅刹 巨魁ガボンガ(X1)』『百鬼羅刹大饕獣(X0)』『百鬼羅刹 爆音クラッタ』/『百鬼羅刹大暴走』(永続罠)
手札:1
●遊介 LP:1300
場:『タロンズ・オブ・シュリーレン』『大陰陽師 タオ』
手札:1 伏せ:1
ルビ振りはシナリオ担当よりデュエル監修班の方が上手かったです。悔しかったです。