愛され転生エルフの救済日記   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第2話『黒の組織!』

エルフの仲間たちに隠れて里を出た私は、拾った木の棒を振り回しながら森の中を突き進んでいた。

 

ただ、私自身がまだ幼女エルフなせいか、進む速度は絶望的に遅い。

 

どうするかー。と考えていた私は、ふとゲーム内で聖女たちが魔物と仲良くなり背中に乗せてもらうという話があった事を思い出した。

 

「なるほど。では、魔力の濃い場所を探せば、魔物が居るのではないでしょうか?」

 

私は自分の行動を話しながら確認し、周囲に何かいないかと魔力を探す。

 

そして、それほどしないで、大きな魔力を持ち、動いている何かを見つけた。

 

「では、行きましょうー!」

 

私は、てってってと小さな手足を動かして、ゆっくりと動いている魔力の塊の所へ向かい、凛々しい顔つきの黒い大きな狼と出会うのだった。

 

魔物と友達になるのは簡単だ。

 

魔物は魔力が低い相手には敵意を示すが、己よりも魔力が高い相手には恭順の意思を示すのだ。

 

つまり、エルフとして高い魔力を持つ私は当然の様に狼君よりも上位の存在であり、狼君は私の前に頭を下げるのだった。

 

「おー。よしよし。イジメないからね。ちょっと協力してくれると嬉しいの」

 

私は狼君に乗りながら、テクテクと森の中を進んでゆく。

 

しかし、進んでそれほどせずに、私は酷くお腹がすいて、お腹を鳴らしてしまった。

 

なんて事だ。

 

このままでは行き倒れてしまう。

 

という訳で、狼君に頼んで近くに川がある場所へと向かい、そこで水の中に爆発の魔法を放って、浮かんできた魚を捕まえるのだった。

 

それから。捕まえた魚を焼いて食べた私と狼君は川の近くで昼寝をしていた。

 

狼君の体はフワフワしており、寄りかかって寝ているだけで落ち着く最高の存在であった。

 

しかし、そんな私と狼君の穏やかな時間は、少し離れたところから聞こえてきた声によって壊される事になる。

 

「見つけたぞ! 魔狼!」

 

その声はまだ幼い少年の声であり、叫んでいる声はどこか緊張している様にも思えた。

 

私は寝転んでいた体を起こし、その声の主を探す。

 

が、どうやら狼君は既にその少年を発見しているらしく、私を咥えてひょいっと自分の背中に乗せると、スクっと立ち上がって、少年に威嚇するのだった。

 

しかし、私はそんな狼君に待ったをかける。

 

当然だ。私はこの世界でロリとショタを救う為に活動を始めたのだから。

 

「っ! 人!? き、君は」

 

「私はシーラ。貴方のお名前を聞いても良いですか?」

 

「俺はオリヴァー! 最強の剣士……になる予定の男だ!」

 

「オリヴァー君ですか」

 

私は少年の名前を繰り返し呟きながら、ふむと考えていた。

 

それは、どこかで聞いたことがある名前だったからだ。

 

しかし記憶に上手く合致しない。

 

おかしいな。モブを含めてロリショタの名前は全員覚えているのだけれど……って、ちょっと待てよ?

 

オリヴァー? もしかして、剣聖オリヴァーか!?

 

『春風に囁く恋の詩』シリーズの時系列的に一番古い作品である1に出てくるイケオジの剣聖オリヴァー!?

 

「あの! オリヴァー君。一つお聞きしたい事があるのですが!」

 

「俺もあるけど……先に良いよ」

 

「ありがとうございます。親切なのですね。では、遠慮なく」

 

私は頭の中で年表を思い浮かべながら、一つの質問をオリヴァー君にぶつける。

 

「今は、聖歴何年なのでしょうか」

 

「え? そんな事も知らないのか?」

 

「えぇ。申し訳ございません。私はエルフの里からつい先日出てきたばかりですので」

 

「エルフの里って……まさか! お前はエルフなのか!?」

 

「はい。そうですね」

 

「実在してたのか」

 

いや、驚きすぎでは?

 

ファンタジーと言えば、エルフは定番の中の定番でしょ。

 

確かにゲームの中では出てこなかったけどさ。

 

「……今は聖歴289年だ」

 

という事は、ゲーム開始時点で55歳だった剣聖オリヴァーも今は10歳か。

 

確か、オリヴァー君が過去を語るシーンがあって、その時に子供の時は生きていくだけで必死だったと言っていた様な気がする。

 

というか、今の姿を見ているとボロボロだし、まさに今、必死に生きているという状態なのだろう!

 

よっし! ならば、救済対象だ!

 

「俺も聞きたい。その、シーラは、その魔狼の仲間なのか?」

 

「仲間。というか、友達かな」

 

「……っ! そう、か」

 

「さっき、この子の事を見つけたぞ。って言ってましたよね。何かこの子に用事があったのでは無いですか?」

 

「それは……」

 

「何か言いにくい事ですか? もしかしたら、私も何かお手伝いできる事かもしれませんし、教えていただけませんか?」

 

「……」

 

オリヴァー君は少しの迷いの後、私に縋る様な目を向けて、小さく言葉を返した。

 

「実は、昨日から何も食べてないんだ。それで、この辺りに、危険な魔物がいるって村人から聞いて、倒して食べようと思ったんだよ」

 

「そうですか。ではすぐに解決出来ますね!」

 

「え?」

 

私は簡単な問題で良かったと笑いながら、再び川へ向かい、一人分の食事に足りるくらいの魚を捕まえて、調理し、オリヴァー君にあげるのだった。

 

まぁ、調理って言っても焼いただけだけど。

 

バクバクと凄い勢いで食べるオリヴァー君を見ながら、私はふむ。と考えていた。

 

この世界での問題は、大きく二つある。

 

一つ目は戦争。

 

国家同士の争いが色々な場所で起こり、その度に国は荒れ、疲弊し、オリヴァー君達の様な親を亡くした子供が沢山出てくる。

 

更に言うのであれば、この戦争で使う為に、戦闘用に子供を捕まえて改造する。なんて話もあるくらいだ。

 

この辺りの酷い話は何が何でも止めて、ロリショタを救い出さねばなるまい。

 

そして、もう一つの問題。

 

それは魔王の存在である。

 

この世界、実は魔王なるものが実際に存在している。

 

とは言っても、他のファンタジー作品みたいに人間を滅ぼしてやるぞー! とかではないが。

 

それでも人間にとってあまり良い存在ではないというのは確かだ。

 

何故なら、魔王たちが国を広げる度に、魔物が大量発生して人間の国を襲うからだ。

 

存在しているだけで害悪だ。とは言わないが、非常に厄介な存在である事は確かだろう。

 

この辺りは聖女が誕生すれば、交渉とかで割と良い感じの流れになるが、そうなるまではどうにもならないという事でもある。

 

うーん。

 

悩みどころだ。

 

いや、今から出来る事が無い訳でも無いか。

 

しかし、それをどうするか。それが問題だ。

 

なんて、コロコロ思考を転がしていた私だったが、どうやら幸運な事に、今の問題を解決出来るかもしれない切っ掛けが向こうから飛んできているのだった。

 

「あの、シーラ様」

 

「ん? なんでしょうか。というか様は要らないですよ」

 

「いえ。そういう訳にも。命の恩人ですし」

 

「むー。そうですか。では、交換条件といきましょう!」

 

「交換条件、ですか? はい。俺に出来る事なら、何でも」

 

「ありがとうございます。では、オリヴァー君。私を冒険者組合に連れて行って下さい。それでチャラにしましょう!」

 

流石の転生者。こちとら24年分の知識が既にある状態なのだ。

 

名案オブ名案である。

 

これで、オリヴァー君との繋がりを作りながら、冒険者組合に行く事が出来るし。

 

冒険者組合に入れば、ランクを上げて、信用を作って、他国へ行く事も可能となるだろう。

 

魔王たちの国へ直接向かって交渉する事だって出来るはずだ。

 

うーん。天才。

 

「あの、冒険者組合。ですか?」

 

「はい。そうです。冒険者組合です!」

 

「申し訳ございません。シーラ様。冒険者組合って、何ですか?」

 

「え?」

 

えぇぇえええええええ!!?

 

冒険者組合の創設者である貴方が、何で冒険者組合を知らないの!!?

 

なんでっ!? これは、何かが起きているに違いない!

 

もしかして、私の救済計画を邪魔しようとする何者か、黒の組織が居るのか!?

 

この世界に……!

 

 

 

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