最近年をとってきたせいか、朝日と共に目を覚ます様になった。
ちなみに寝るのは日が沈んでから少ししてだ。
どうやら年を取ると、子供と同じ様な時間の流れで生きるらしい。
まぁ、正直昔から変わっていないだけなのだけれど。
いつか大人になる日は来るのだろうか。
疑問だ。
しかし、何年悩んでも答えが出ないのだから、悩むだけ無駄。
という訳で、今日も今日とてレナちゃんの観察をしている訳だが、私、気づきました。
恋は、静かな所で始まっているって。
ふふふ。
何を隠そう。今日は野外活動!
そして、何の偶然か、レナちゃんとナルシス君が同じ班になったのである。
まぁ、他にもナルシス君の弟であるマクシム君も居るのだが、こちらは問題ない。
何故ならマクシム君はナルシス君のサポートキャラだからだ。
そうナルシス君を攻略していると適度に協力してくれるキャラクターである。
素晴らしい。
気遣いの王とでも言うところだろうか。まぁ、彼は王にならないんですけど。
まぁ彼が上手い感じに上手くやって二人の恋を先に進めてくれる事でしょう!
でも、これで駄目ならもう駄目かもね。
「はい。では皆さんのチームにそれぞれコピーシーラを付けますので、何かあった場合はそのコピーシーラに、言ってください。私と同じレベルの魔法が使えますので、なんとかします。ただし、基本的には皆さんだけで解決する様にして下さい。どうしようもない時だけ頼る様にして下さいね」
「はい! シーラちゃん! 質問です!」
「なんでしょうか。レナちゃん」
「野外活動が終わったら、シーラちゃんのコピーを持って帰っても良いでしょうか?」
「はい。駄目です! 他、何か質問のある方! ……居ない様ですね。では皆さん気を付けて活動をして下さい!」
そして、私は全員を解散させ、コピーシーラを通して、全員の動向を探るのだった。
まぁ、いざとなったら頼れとは言っているが、頼る暇がない事もあるからね。
そういう時は臨機応変に動く。
あれだ。
高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応するという奴だ。
はい。
という訳で早速やらかしているチームがあるので、転移しましょうかね。
私は森の中を進む一団の近くに転移しながら、魔法の準備をする。
とりあえず展開するのは防御魔法だ。
何故なら三人が進む道の先に魔物が潜んでいるからである。
そして三人は当然気づいていない。
「……」
「何か、妙な感じだな」
お。でも一人は気づいたみたい。
「そうか? 気のせいだろ」
「そうそう。何にもねぇって」
が、駄目! 結局最初に気づいた子もそのまま何も気づかず進み、そして魔物と出くわしてしまった。
逃げようとして、失敗し、地面に転がって、悲鳴を上げる。
一応既に防御魔法を展開しているから、逃げなくても大丈夫なんだけど、まぁ気づいていないみたいだね。
そりゃそうか。そんな余裕ないわな。
「し、シーラ様、シーラ様に助けを」
『はい。なんでしょうか』
「あの魔物を倒してください!」
『分かりましたー』
やる気のない返事をしながら魔法を放って魔物を消し去ったコピーシーラに全員は安堵しながら、今度は警戒しつつ進む事にしたらしい。
良い事だ。
やはり学びがあるというのは素晴らしい。
と、そうこうしている間に、今度は別のチームでトラブル発生だ。
「ちょっと! 何よその女!!」
「いや、落ち着けって」
「アンタこそ何よ! 私の方が先に告白したんだからね!」
「だからなんだって言うのよ!」
うーん。修羅場。
これは放置しても良いかな。
私に出来る事無いし。しーら! 人間わかんない!
しかし、ふざけている場合でもなく、別のチームでも問題が起こっていた。
「これは、流石にシーラ様へ報告した方が良いんじゃないか?」
「そうしようよ。絶対やばいって。だってこんな凄い大きな足跡、どう考えても私たちより大きな魔物だよ!?」
「いや、まだ大丈夫なレベルだろ。コピーシーラ様だって居るんだしさ。どうせなら俺たちで倒して有名になろうぜ?」
「アタシもサンセー。シーラちゃんと同じ事出来る子が居るんでしょ? なら何が起きても大丈夫じゃん」
「そんな簡単に言わないでよ!」
「うっさ。良い子ちゃんしたいなら勝手にすれば良いじゃん。アタシもアタシで勝手にやるからさ」
はい。という訳でここも修羅場。
まぁ、さっきの話とは違って結構真面目な修羅場だけど。
こういう功名心は否定しないし、自分の人生だからどんな選択をするのも自分で良いと思う。
でも、それはそれとしてチームで行動するのなら、協調性は持って欲しいものだという思いもある。
そもそも今回の野外活動はそういう協調性を育てるのがメインだからね。
「じゃ、アタシもう行くから」
「おう。そうだな俺も行くぜ」
「ま、待てよ! 別行動するつもりか!?」
「当たり前じゃん。だってアンタらは嫌なんでしょ? ならそのままさっきの場所に戻ればシーラちゃんが居るだろうから、そこでアタシらが帰ってくるのを待ってれば良いよ」
「そうそう臆病者らしく、震えながらな!」
挑発しつつ、先へ進んでいく二人に、残された二人も酷く嫌そうな顔をしながら付いていくのだった。
そして、まぁ、当然ではあるがその大型の魔物が彼らの前に現れた。
しかし、言うだけあって、先へ進もうと言った二人はかなり強い。
しかもコピーシーラを上手く使って、防御魔法やら転移やらで上手く立ち回っている。
そして、そのままその大型の魔物を倒してしまうのだった。
「ゼェー。ゼェー! どんなもんよ!」
「ま、まぁ、余裕って、感じ……?」
息を荒くしながら見上げる様な大きさの魔物を倒した二人と何だかんだ戦っていた嫌々の二人であったが、その勇気は称えるべきだと思う。
しかし。
「手を前に。魔力を集めて壁を作ってください」
魔物というのはそれほど容易い存在では無いのだ。
私は四人の前に転移しながら、四人を守るべく右手を前にかざす。
そして、次の瞬間に来た魔力の多く含まれた咆哮を魔力の壁で受け止めるのだった。
「なっ、あっ」
私は振り返って腰を抜かしている四人を見て、怪我が無いかを確認しつつ、コピーシーラに防御魔法を使う様に指示する。
「そこから動かないで下さい」
「し、しーら、さま」
「大丈夫。こんなに強い魔物を倒した勇敢な皆さんなら大丈夫ですよ」
そう。私が言った次の瞬間には、彼らが倒した大型の魔物の影から飛び出してきた蛇の魔物がコピーシーラが作った防御魔法にぶつかり、それをかみ砕こうとする。
「こ、壊れちゃう……!」
怯えたような声を聴きつつ、私は蛇の口に向かって、石を投げながら魔力砲で撃ち抜いた。
そのまま頭が消し飛ばされた大蛇が地面を揺らしながら落ちるのを見て、私は安堵の息を吐く。
「大丈夫ですか?」
「い、いま、のは」
「あぁ、大きい魔物を倒すと、その魔物を食べようと近くの魔物が寄ってくるんですよ。そして、大抵は魔物を倒した者。まぁ、冒険者とかを自分の安全の為に攻撃しにきます。良いお勉強になりましたね」
私が笑いかけると、全員ひきつった笑みを浮かべながら、もう無茶は止めようとため息と共に呟くのだった。
うーん。良いお勉強が出来ている!
私、先生の才能あるかも!!