愛され転生エルフの救済日記   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第77話『勇気ある言葉』

イライラ。

 

「だから言ったのだ! 人間の元へ行くなんて悪影響しかないと!!」

 

「別に良いじゃない! ちょっと生意気になった方が可愛いわ! シーラは生まれた時からいい子過ぎて面白みが無かったのよ!」

 

「その結果がこれじゃないか! こんなに悪い子になって!! 私は悲しいぞ!!」

 

「それが良いんでしょうが! そして、一人では解決できない問題を抱え込んで、助けて、お姉ちゃんって来るの! 想像してみなさいよ!!」

 

「「「天才か」」」

 

私は戦っていたエルフ達が空中で止まりながら手を叩いた事で、怒りの魔法を空に打ち上げた。

 

「だー! もうやかましいですよ!! 皆さん! 私の命。私がどう生きようが! 私の勝手でしょうが!!」

 

「バカな! そんなハズはない!」

 

「そんなハズはない!? え!? そんな事あります!? いや、だって私の!」

 

「シーラはまだ幼い! この世界の事も人間の事も何も知らないだろう! それなのに! あまりにも危険だ!! 私たちはシーラが心配で言っているんだ」

 

「残念ですけど! 人間の事に関してはエルフの里の誰よりも詳しいですから! そもそも人間に関する知量が無いから外へ出たんですよ。私は」

 

まぁ、嘘だけど。

 

でも本に殆ど書かれていなかったのは確かだ。

 

精々が大きな歴史の出来事くらいで、個々の人に関する話なんか何も知る事が出来なかった。

 

だから!!

 

「私はこの里を出たんです!」

 

「しかし、帰って来たじゃないか! 泣きながら!」

 

「それは、まぁ……その、人間に影響のない忘却魔法を探す為で……って、それはもう良いんです! こんな危険な所までレナちゃんたちが来てしまった以上、私はこのままでは居られません!」

 

「シーラ!!」

 

「また出て行きます!!」

 

「そんな!」

 

「バカな!!」

 

「考え直すのよ! シーラ!!」

 

「嫌です! では、そういう訳なので」

 

私はもう喧嘩は終わりと地面に降りて、レナちゃん達の所へと向かおうとした。

 

しかし、背後から魔法で出来た紐の様な物で捕まってしまい、魔法も使えず地面に落ちる。

 

紐がクッションになってくれて、怪我はしなかったけどそれはそれとして動けなくなってしまった。

 

「くっ、こんなの!」

 

「シーラちゃん!」

 

「ごめんなさい。レナちゃん。この紐を取って貰えますか? これがあると魔法が使えなくて」

 

「うん! ヤスミン! みんな! 協力して!」

 

レナちゃんの声で、ヤスミンちゃん達も私たちの所へと走ってきていたが、私たちの間に空を飛んでいたエルフが複数降りてきてヤスミンちゃん達がこちらへ来るのを阻むのだった。

 

その中にはさっきまで味方みたいな顔をしていたエルフも居る。

 

「何のつもりですか!?」

 

「何のつもりも何もない」

 

「そうよ」

 

「さっきまで味方みたいな顔をしていたというのに!」

 

「それはそうでしょう。外の世界に憧れて飛び出してというくらいなら、私たちも子供の成長と受け止めるわ。でもね。もう一度なんてやり過ぎよ。一度外の世界へ出て、怖い所だってよく分かったでしょう? だから、もう良いのよ?」

 

何がもう良いだ!!

 

初めてのおつかい気分か!!

 

もうそろそろ80歳くらいになるお婆ちゃんだよ! 私は!

 

幼児じゃない!!

 

「私はもう大人です! 自分の意思で判断し、自分の意思で行動します」

 

「それは人間の怖さを知らないからよ。きっとシーラはすぐに騙されてしまうわ」

 

「そうだな。まぁ後五千年は里で過ごして、それからゆっくりと森の中を観察し、人間の里を観察し、と行動範囲を広げていけばいい」

 

「そんなに待ってられません! 私はあなた達ほど気が長くないんです!!」

 

私はぐぎぎと体に力を入れて、紐を取ろうとした。

 

しかし、外れない。

 

どんな魔力してるんだ! まったく!!

 

「さ。シーラ。大人しく家に帰ろう。人間も家に帰しておくから」

 

「嫌です!」

 

「何でそんな我儘を言うんだ」

 

「当たり前でしょう!? 大切な人と引き離されようとしているというのに、それを喜び者が居ますか!!」

 

「大切な者……?」

 

私の言葉に周囲のエルフがざわざわと騒ぎ始めた。

 

何を動揺してるんだ。

 

人間と長く接していれば愛する人が生まれるのは当たり前の事だ。

 

「そんなもの。時が過ぎれば忘れるよ」

 

「忘れるもんですか!! 私の記憶力を舐めないで下さい! 百年だろうが、千年だろうが覚えてますよ! 忘れるワケないでしょう!! 大切な人たちと過ごした思い出、忘れるもんですか!!」

 

私は叫びながら紐から抜け出そうとしたが、やはり抜けず、変わらず地面の上で芋虫の様にのたうち回った。

 

死にかけの虫の様だ。

 

いや、手も足も出ないという意味では正しいのだけれど。

 

流石はエルフというべきか。化け物みたいに全員が強い。

 

さっきまで魔法をバカバカ打ち合ってたのに、誰も息一つ切らしてないからね。

 

まさに本物の化け物という訳だ。

 

でも、だとしてもやり方はいくらでもある!

 

「どうしても人間の世界に戻るのが駄目だって言うんなら、私、舌を噛んで死んでやりますからね!」

 

「何を言ってるんだ。シーラ。舌を噛んでも痛いだけで死ぬことなど出来ないぞ」

 

「っ! な、なら胸に大きな剣刺して、死んでやりますから」

 

「胸に剣を刺した程度で死ぬわけないだろう」

 

「どうしたんだ? シーラは」

 

「分からない。だが、何か自分に痛い思いをさせたいらしい」

 

「どういう事なんだ。それは。なんでシーラはそんな可哀想な事をしようとしてるんだ」

 

「人間におかしくされたんじゃないか?」

 

「あり得る」

 

「もう! 私我慢できない! 人間の里、滅ぼしてくるわ!」

 

「俺も行くぞ!」

 

「私もだ!!」

 

「こんの! 分からず屋!」

 

私は苛立ちのままに立ち上がろうとして、でも出来なくて、何とか抜け出そうともがいていたのだが、そんな私を見てか、レナちゃんが大きな声を上げた。

 

「ちょっと黙りなさいよ!!」

 

「……なんだ人間。我々は今大事な話をしているんだ」

 

「なら、シーラちゃんの話をちゃんと聞いてあげなさいよ! 黙って聞いてれば、シーラちゃんの言葉全部無視して! シーラちゃんが嫌がる事ばっかりして!! そんなだから家出されるのよ!!」

 

「な、なにぃ!?」

 

「私たちがシーラの嫌がる事をしている!?」

 

「バカな」

 

「あの人間の考えすぎじゃないのか?」

 

「いや、しかし、シーラは確かに何かを嫌がっている様ではあったが」

 

「だが、だとしても何故それがあの人間に分かるのだ! おかしいではないか!!」

 

「そ、そうだ! 何故お前にシーラの気持ちが分かる! ただの人間が!」

 

「ただの人間じゃない!! 私は! 私は……! シーラちゃんの恋人だ!!!」

 

「……レナちゃん」

 

「恋人?」

 

「恋人って何?」

 

「あれだ。生涯のパートナー」

 

「え? 人間にもエルフと同じ文化があるって事?」

 

「まさかー! あり得ないでしょ。だって人間だよ?」

 

「恋人って事はさ。あの人間、シーラと一緒に狩りしたり、夜の星を見に行ったりするって事?」

 

「口づけをするかも」

 

「は?」

 

「いやいや」

 

「……キレた」

 

「人間ども……駆逐してやる! この世から……一匹残らず!!」

 

あわ、あわわ。

 

レナちゃんはやってやったぜ! みたいな顔してるけど、エルフは全員怒りに身を染めてるんですけど!?

 

ヤバいって!!

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